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 男子の人数も女子と同じくらいに増えている。村口先輩が新しく来た面々に振り付けを教えているので、俺は隅まで行き床に腰を下ろした。新参の中には石村や柿沢もいる。それにしても男ばかりが踊り狂う教室は正視に堪えない。俺は目閉じて思索に沈んだ。

「おい、坂上」

 姉さんと二人きりのダンス練習は果たして可能か、と差し迫った問いに対して深謀遠慮を巡らしていた俺は石村と柿沢の声で思索を中断させられた。いつの間にか振り付け講座は一通り終了し、休憩に入ったらしい。他の面々も水分補給や談笑をしている。

「同じブロックの三年生の女子に、少しばかり日焼けした美人がいたんだが、見たか?」

「このくらいの髪でさ」

 柿沢は石村の肩甲骨あたりを指でつついた。

「ああ」姉さんのことだな。「宮野先輩のことだろ?」

「そういう名前なのか。ペアダンスなら、ああいう人とがいいぜ」

「残念だな、諸君。宮野先輩のペアはすでに決まっているのだよ」

「マジか?誰だよ?」

「俺だ」

 石村と柿沢はポカンとしている。

「はいはい、分かった、分かった」

「信じていない様だな。説明してやろう……」

 俺が姉さんとペアを組むに至った経緯を、姉さんと俺の関係も含めて、多少の誇張も織り交ぜつつ語りだそうとした正にその時、姿が見えなくなっていた村口先輩が騒々しく戻ってきた。

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