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デュースサイドのサービスエリア、おそらくど真ん中よりややネットより、そしてセンターラインよりは大分サイドラインよりに弾むであろう、回転のほとんど無い涎の出そうな絶好球。さて、どうするか。セオリーなら走り込んでボレーで決める。しかし、それではあんまり地味で詰まらない。ドライブボレーでコートの角に突き刺すか?それとも少し待って、ライジングで弾み端をぶったたくか?いやいや落ち際まで待って、相手の動きの逆を突く?強打に見せかけてドロップか、豪快にフォアのジャックナイフを叩き込むか。スピンかフラットかスライスか、サイドスピンも一興だ。クロスかストレートかショートクロスか、敢えてセンターも面白い。
ほとんど我を忘れて恍惚と、悩みに悩んでいた俺の後頭部に熱い一撃が入ったのはその瞬間だった。