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FrameWorks  作者: シロイヌ
6/24

-Side Episode-01 白銀

タクミは天空城で目覚めたがヒロシの方はというと……。

道に迷った。



というかそもそも現在位置すらまともにわからない。



そして何より……。



「ハラ減った……」





まず最初に俺の名前は古賀弘だ。

親友からはヒロって呼ばれている。

そんな俺だが最近FrameWorks(フレームワークス)というゲームに嵌っていて、念願の天空城をようやく完成させて感慨にふけっていたらなんだかよく分からん現象が発生して気づいたら森の中だ。


おまけになんか体が微妙に重いと思って、手足を見たらごっつい白銀の鎧なんて着込んでいるから思わず”なんじゃこりゃあ!?”と叫んじまったもんだ。


その後も色々調べてみたらタクはいねぇしログアウトも出来ないわで途方に暮れていたところだ。



「はぁ~あ、これからどうすりゃいいんだろ……」



鎧のまま大地に寝転がって空を見る。

本当ならこんな重苦しい鎧なんてさっさと脱いでしまいたかったが、今は何故かこの鎧に安心感のようなものを覚えてしまってそのままという訳だ。


「ここってFrameWorks(フレームワークス)の中なのかな……でもそれにしちゃあ感覚がリアルすぎるし鳥まで飛んでるしな……」



そこでふと思い立ち、メニュー画面を開き”ウェポン・ブレイド”と書かれている武器の一覧から一本の大剣を取り出す。

重厚感のある黒い輝きを放つクレイモアを手に取り数度振るう。


ヒュン、ヒュンとまるで細剣を振るった時に出るような風を切り裂く鋭い音が聞こえる。


「なんか、びっくりするぐらい軽いな……俺ってこんなもんを振り回せるほどの筋肉は無いはずだし……システムの補助か?」


う~ん?と首を傾げていると、突如として女性らしきものの悲鳴が聞こえてきた。

まだ明るいといってもこんな森の中で悲鳴?しかも女?と不思議がる。


「今、確実に悲鳴が聞こえたな……厄介ごとの気配がぷんぷんする……行きたくねぇな~、でも行かなきゃ現状埒が明かないしな……」


数秒迷った後、ヒロはすぐさま行動を開始した。







エレノアは焦っていた。

今回の依頼は何も難しいことはないただの薬草の採取だったはずだ。

普段と同じように安物の盾と小剣を装備してこの森にやってきた。

だが目の前にはCランク相当の魔物であるブラックボアが私という獲物を前に舌なめずりをしている。

さんざん追い掛け回されふとした拍子で転んでしまい足を挫いてしまった。

もう逃げられない……終わりだ……。


いよいよブラックボアが声を荒げ突進してくる。

私は目を瞑り最後の時を構えた。




だがいつまで経っても魔物の攻撃が来ない。

不審に思い目を開けるとそこには見事に両断されたブラックボアと、黒き大剣と白銀の鎧が対照的な騎士の様な出で立ちの男が立っていた。


「……大丈夫か?」


ドキリッ、と心臓が跳ねる。

重く腰に響くような安定感のある大人の声だ。

なんだか白馬の騎士みたい……だとすると私はその王子様に助けられるお姫様かな?

うわ!考えたらなんだかドキドキしてきた!

私顔赤くなってないかな!?


「は、はい!大丈夫れす!」


やや怪しいがそれでも大丈夫だと答える。


「そうか……聞きたいことがあるんだが、少しいいか?」


「は、はい大丈夫です!」


「……いや、ひょっとしたら長くなるかもしれないから街に行ってからにしようか」


や、やっぱり顔に出てた!?それとも対応がまずかったかな!?


「わ、わかりました」


「よし、それじゃさっさと行こうか」


「え?あ、あの!このブラックボアの素材は剥ぎ取らなくていいんですか?」


「ん?構わないよ、別に。欲しいならあげようか?」


なんという人だろう。この人はとても太っ腹なのか、それともそんなちっぽけな素材などどうでもいいということなのか。

だが貰えるというならば貰っておこう。

私からしたらブラックボアの素材などとても手に入れられない貴重品だ。


「じゃあ失礼していただきますね!」


「ああ、」


大きな体躯と油にてこずりながらもなんとか毛皮と二本の巨大な牙を手に入れることが出来た。


「おまたせしてすいません」


「いや、じゃあ行こうか」


「はい!」





特に会話もないまま私がやや先行する形で素材を背負いながら平原を歩いている。

というのも「街まで案内してほしい」と騎士様が言い出したからだ。

私は道に迷ったのかな?と思いつつも、助けて貰ったのだからそのぐらい!ということで二つ返事で引き受け今に至る。


「(ふわ~、それにしても凄い鎧だ~。あんなの買ったらいくらするんだろ?)」


現在ヒロが身に付けて入る鎧は大きく張り出した肩当と頭頂部の鶏冠(とさか)の飾りが特に目立つ白銀の鎧だ。

背中に複雑な黒い刺繍が施された蒼いマントと黒い大剣を背負っている。


「(というかホントに何者なんだろう?こんな凄い武器や防具、Aランクの人でも見たことないよ……)」


エレノアがこの人はいったい何者なのかと考えている横で肝心のヒロはというと……。



「(ハラが減って死にそうだ……)」



空腹がそろそろ限界に来ていた。

こんな風に幼女のタクミと騎士のヒロシのお話を交互にやっていくつもりです。

もうしばらくヒロシ編が続きます。


以下設定

エレノア 十五、六歳ほどの少女 冒険者になってまだ日が浅い

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