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FrameWorks  作者: シロイヌ
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05 召喚魔法

それから数時間か進み、今は早朝だ。

心地よい爽やかな風と温かい日の光が外から差し込んでくる。


あれから現状を整理しようといくつかの確認を行った。

その結果わかったことは、おそらくこれが現実だということ。

自身の吐く息や心臓の鼓動、血の流れまでもがはっきりと認識できる。


そしてこの体についてだが、あの時は動転していてわからなかったがこの体には見覚えがある。

原作にあった、この天空の王国の守護神であり生命の樹(セフィロト・ツリー)を司る精霊だった”イニス”というキャラクターだったはずだ。


つい最近までは樹の製作で忙しかったから忘れていたが、僕とヒロが作ったキャラクターの内の一人だったはずだ。



だがそれがなぜ僕のアバターになっていて、しかも変更が出来ないのかについては結局何もわからなかった。


次にこの城についてだが、少ししか調べていないがFrameWorks(フレームワークス)で作った城と寸分(たが)わないということと、人が一人もいないということだった。


原作のキャラクターが一人もいないというはまだ分かっていたがどこを探しても大声を出してもヒロを見つけることは出来なかった。


……思い出したら泣きそうになってきた。

精神年齢がこの体に引っ張られているのか?

軽く潤んだ目をこすって、探索の続きを行う。




城は美しさと荘厳な雰囲気を兼ね備え何百年もそこに存在していたかの様な歴史の重みを感じさせる。


だが今の僕にはそんなのはどうでもいいことだ。

今は何より腹が減った。


この城の製作者でもある僕は城の構造など手に取るようにわかり、迷うことなく厨房へ進んでいく。

厨房へと入るとそこはステンレスの様な光沢を持つ金属で構成されたシンクや冷蔵庫、コンロなどが見える。これならなんとか料理は出来そうだ。

ヒロと色々協議した結果、現代風のキッチンにしておいて良かった。


巨大な冷蔵庫を開けるとそこには様々な肉、野菜が見える。他にも倉庫には米や小麦、調味料などを発見できた。

この食材は物好きなプレイヤーが作った”食材セット”をコピペした置いただけのはずだったが今ではその全ての食材が黄金色に輝いて見える。


続いて僕はメニューを開き様々なアバターの項目を出すと”料理人”を選択しリリースした。

すると目の前に光の粒子が集っていき人型の形を整えると、その粒子が弾け料理人が召喚された。


これが最も大きな発見の”召喚”である。


自分のアバターの変更が出来なくなった代わりにこうやってアバターは召喚するだけのものになってしまったのだが驚いたことにこのアバター、ある程度設定に沿って自我を持って出てくるのだ。


最初は軽い気持ちでうさぎを召喚したら、まるでそのうさぎが本物の様に動き出したのを見てひょっとしたら……と思ったが大当たりだ。

ちなみに人以外にも物を出してみたら問題なく機能した。随分と便利な能力に進化したものだ。




「え~っと、それじゃマルク。炒飯作ってくれないかな?」


「畏まりましたイニス様!最高の炒飯を作ってみせましょう!」


マルクと呼ばれたちょび髭のオッサン料理人が自身満々に答えて見せる。ていうか洋食が得意そうな感じだったがどうやら中華も出来るようだ。

まぁ、付属してあるアバターの説明文にはどんな料理も器用に作ってしまう万能天才料理人とかいう(なか)ば手抜きのような説明文だったが今回はそれが幸をそうしたようだ。


マルクは流れるような動きで食材を調理していき中華鍋を豪快に振り回しながらご飯を炒めていく。

しかもマルクは炒飯を作りながら卵スープも作っている。


完成した炒飯を一口頬張る。

ちょうどいい塩梅の塩辛さと卵の包み込むような旨みが二口目、三口目と誘ってくる。

卵スープも滋養が体に染み込んでくるといった感じだ。

今の自分は胃袋も口も小さいが五分程度で完食してしまった。


「はぁ……美味しかった!ありがとうマルク!」


「いえいえ、お腹が空いたときは何時でも申し付け下さいませ」


柔らかな笑顔で返してくるマルク。

と、同時に満腹になったことで急に眠気が襲ってきてしまった。


「う~ん、マルク。二時間ほど経ったら起こして……」


うつらうつらと体が揺れる。


「畏まりました。ごゆっくりお休み下さい」


「うん……zzz」


他にもやることがあったような気がするがもうめんどくさい。

その他のことは起きた時に考えよう……。


そうして俺は意識を手放しまどろみの中に落ちて行った。

朝から炒飯だが昨日から何も食べていないから、ということで容赦してください。

次回はヒロ編

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