04 転移
「…………うっ!」
頭が痛い……。いったい何が起こったんだ……?
ようやく覚醒してきた頭を振って、目を開ける。
周囲を見渡せば先ほどまでと変わらない風景が見えた。
吹き抜けの円形状の空間に、その中心には今は静かな生命の樹が見える。
はっ、そうだ!
ヒロは!ヒロはどこにいったんだ!?
僕は周囲を見渡すがヒロはどこにも見えない。
「なんだよ……、ヒロ……どこ行ったんだよ……」
ん?立ち上がってみたらなんだか目線が低いような?
僕は不審に思い手足や体を確認する。
「なっ!?なんだ、これ!!??」
僕の体が……女の子の体になっている!?
僕は鏡のように磨き上げられた光を反射している床で体や顔を確認する。
小柄な体躯に小さな愛らしい顔立ち。
髪は膝の部分まであるようなふわふわとした亜麻色の髪。
瞳はぱっちりと蒼い輝きを放っている。
なんだ……これ……。
い、いや。落ち着け!
こんなもの使用アバターを変更すればすぐに治まるはずだ!
そう考えた僕はメニューを開きアバターの変更を行おうと試み、キャラクター一覧を開く。
一番上に出てきた”リアル”とだけ名づけられた生身の肉体から読み取って作った、いつもの作業用のアバターに変更しようと決定ボタンを押す。
『アバターの変更に失敗しました』
僕がいくらボタンを押してもメニューはこの返事しか返さない。
ならいつものアバターじゃなくても構わない!と他のキャラへと変更しようと試みるが全て失敗に終わってしまった。
「い、いや落ち着け!こんなもんログアウトさえすればすぐに終わるはずだ……」
震える手で再度メニューを操作しログアウトを行おうとするが……表示された画面にはどこにもログアウトの文字が無かった。
「なんだよ、コレ…………わけかんねぇよ…………」
あれから何時間か経ったのだろう既に日が暮れてしまっていた。
僕は樹に背中を預けながら膝を抱えてどうしようもなくうずくまっている。
本来のFrameWorksの使用であればどれだけ時間が経とうが日が暮れるなんてことはありえない。
専用のステージ変化ギミックも入れていないなのだからステージ”天空”は日なんて暮れないはずだった。
ならここはいったいどこなんだ?
いくら問うても答えを出してくれる人はおらず、今日が終わってしまった。
短いですが区切りが悪くなるので投稿します。