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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第三章-B 元勇者様と友のラブソング
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元勇者様は獣人少女に助けられる

僕はミスティを連れてクルスがいる酒場へと戻った。

そうしたらクルスは数人の女性に声をかけられていてイラッとした。


「レイナに伝えておくよ」

「不可抗力だろ!」


とりあえず、レイナの名を口に出し脅してみた。


不可抗力なのは予想できる。

いつも女性の方から声をかけてくるから……このモテ男め!!


「いいじゃない、彼女がいても」

「奥さんだから」

「えっ……」


僕は『奥さんだから』と言っただけでレイナが奥さんとは言っていないよ。

話の流れで、この女性が勝手に勘違いするのは勝手だけど…


クルスはレイナとの生活を妄想してニヤついているから問題はないだろう。


その後、クルスを囲んでいた女性は諦めて帰った。

ニヤケるクルスの顔に残念そうな視線を送りながら……


僕とミスティは椅子に座った。


「1つ言っておきたいんだけど…」

「ん、なんだ?」


クルスはニヤケ顔をまだ晒している。

魔道具でも使って写真にしてレイナに見せたくなるような素敵な顔だ。


「ミスティが飛び出していったのは、用事を思い出したからだよ」

「ええ、お騒がせしてしまったようで」

「そうか…」


クルスは上の空でミスティの言葉を聞き流している。

レイナとの新婚生活に夢を見る友の瞳は…キモイ。


「……………」

「……………」

「?……………」

「……………」

「……………」

「!……(変態ユウさんが熱い視線で見つめている!!男の人でも…)…」

「ミスティ、今考えていることは勘違いだからね」

「えっ (私の心を読んだの?!…この変態さんは侮れない!!)」


僕はミスティの心など読めない。

でも彼女の表情を見れば、変なことを考えていることぐらいは分かる。

多分、今も失礼なことを考えているのだろう。


「クルス、蓄音機のことなんだけど」

「ああ」

「話、聞いている?」

「ああ」


上の空か…


「レイナの手料理食べる?」

「くれ!!」

「食べたいのなら、レイナに頼んでね♪」

「………お前」


クルスが本気の眼で怒っている。

幸せな妄想を邪魔されたからか純情を弄ばれたからか…

どっちでもいいんだけど…


「ミスティと話していたら気になることを聞いたんだ」

「なんだ…」


クルスは機嫌が悪い。

レイナ絡みになると面倒くさかったり心が狭くなったりと疲れる。


「ミスティ。話してあげて」

「ひゃ、ひゃいっ」

「………僕と話しているつもりで話せばいいから」


ミスティは緊張しまくって、いつもの悪い癖が出ている。

彼女は人前に出ると何でココまで緊張するんだろう。

僕に対しては酷い事ばかり考えているのに…


「自作の歌で告白した人がいたんだって」

「そうか?」

「思わず殴っていたらしい」

「なんでだ?」

「凄く恥ずかしかったからです」


ミスティはクルスの質問に対し僕を見ながら答えている。


「恥ずかしいって…」

「2人だけの時に歌ってくれたのですが、聴いていて辛くなったというか…」

「えっ 辛い?」

「ええ、二度と会いたくなくなるくらいに…」

「…………」


クルスは沈黙した。

多分、ラブソング入りの音楽を贈っていた場合の自分を想像しているのだろう。


「クルス…自作の歌を贈るのはヤメておこうか」

「…そうだな」


やっぱり女の子に言われるとキツイよね。

ミスティに頼んで良かった。


でも、ミスティにクルスの計画を話したことを怒られなくてよかった。


………

……


~クルス説得の数日後~


クルスを説得した酒場に僕とミスティはいた。

ミスティは僕がストーキングしそうで怖いから来てくれたのだと思う。


「昨日は助かったよ」

「いえ(変態な要求をされなくてよかったです)」


助けられたこともあるし、心の声は指摘しないようにしておく。


「何か欲しい物があれば作るけど」

「…(見返りに私を!)」


ミスティは僕から少し距離をとった。


「今回は、僕だけではクルスを説得できなかったから、お礼だよ」

「私も助けられたのでおあいこです(変なこと考えていない?)」


ミスティは猜疑心さいぎしん100%の眼で僕を警戒している。

これ以上、欲しい物を尋ねたら悲鳴を上げて逃げかねない。


「じゃあ、これを受け取ってもらえるかな?」

「えっ(代わりに変なことを要求するんじゃあ)」

「お礼だから何も要求しないから…」

「じ~~(本当かな?)」


物凄く疑っている。


「本当だから」

「……分かりました。では、何を求めても断りますから」

「それでいいよ」


僕は布に包んだ2振りの短剣を渡した。


「これは?」

「魔導具の一種でね、投げても一定の距離なら手元に呼び戻せる」

「高価な物では?(欲しい、でも後が怖い)」

「それだけクルスの事で悩んでいたんだよ…毎回、毎回………」


僕はクルスがレイナ関連で見せる面倒臭さを思い出していた。


「あの、頑張ってください」

「ありがとう…」


頑張れを無責任な言葉だという人もいる。

でも誰にも気づいてもらえない悩みに言ってくれた『頑張れ』という言葉に僕は救われた気がした。


「うっ (気持ち悪い)」


涙ぐんだ僕の顔を見てミスティが抱いた心の声には気付かないフリをした。

ちなみにクルスは、ラブソングを贈るのは諦めて蓄音機を贈るだけにした。

レイナは僕に気兼ねなく使えるので喜んでいる。

嘘をついた罪悪感もあるし後でレイナの趣味に合った音楽でも、クルスに教えておこうと思う。


修正しました

~クルス説得の翌日~→~クルス説得の数日後~


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