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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第0章 回想:6歳時代の勇者様
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勇者様と残念な女神様

女神様?がホットケーキを食べている最中に来た。


やっぱりマイペースのようだ。



天使とか使いの者がいないのか疑問に思ったけど聞く必要はないだろう。


話してみると行うべきことの確認に来たようだ。

3ヶ月ほど半サバイバル生活に忙しく使命っぽいことを全くやっていなかった。

だから催促に来たのか!!と心配したが違うようだ。


文字通り行うべきことの確認とのことだった。



「当面の作成物はエルゴール病の薬とエリクサー、そして竜の魂の3つでですね。」


「はい、エルゴール病の薬に関しては1年以内にお願いします。

エリクサーと竜の魂は魔王討伐の後でも大丈夫です。」



エルゴール病の薬というのはVRネヴァーズのイベントアイテム。

エルゴール病という病気は魔力が暴走して命を落とすという病気。

さらに流行しやすい特徴があるという設定だった。


エリクサーは言わずと知れた伝説の霊薬。

ゲーム内でも作成のための素材が高価であったりレアであったりする。


竜の魂というのは膨大な魔力を秘めた宝石という設定だった。

ゲーム内では錬金術でしか作れず錬金術の素材という位置づけ。


「錬金術以外では賢者様に同行して魔王討伐する準備をしておけば良いと……」


「はい、魔王討伐は過酷な旅になるので念入りな準備をお願いいたします」


僕は、もう少し深く話を聞こうと質問をする。


「具体的には、どのような分野の鍛錬が必要になりますか?」


「えっ」


女神様?は『えっ』と言ったまま固まった。

しばらく沈黙が続き、いたたまれなくなった僕は別の質問をすることにした。


「では、魔王討伐で用意しておかないといけないアイテムはありますか?」


「……回復アイテムとか?」


ものすごく不安を感じる返答を頂いた。

なんか女神様?は目をそむけている。


(気持ちは分かるけど女神様?がコレでいいのだろうか?)


魔王討伐に関しての質問は女神様?が限界っぽいので終わりにしようと思う。

魔王討伐に関しては剣と魔法を中心にすることにする。


なんとも言えない空気に辺りは包まれてしまっている。

空気を変えるために別の質問をすることにした。


「先程お伺いした3つの物以外には、どんなアイテムを作れば良いのでしょうか?」


「そ、それはですね。え~と、、ま、まだ分からないんです。」


女神様?はテンパっているようだ。

ついでに口調も砕けたしゃべり方になっている。


「わからないというのは何か理由があるのでしょうか?」


「ハ、ハイ。イロイロナ、ホンライアルハズノギジュツガソンザイシナイジョウタイナノデ……」


女神様?がテンパリすぎて、おかしくなり始めた。


しかも涙ぐんでいる。


今の女神様の言葉を意訳すると

→『はい、色々な本来存在する技術が存在しなくなっているので今後どんな影響が出るのか分からないのです』


こんな感じだろうか?


それにしても涙ぐんでいる女神様?がカワイイ。

なんというか小動物的なかわいらしさがある。


本当に女神様なら、かなり失礼な感想なんだけど。


でも、これ以上追いつめて本気で泣かせるのはマズイ気がする。


そこで……


「よろしければホットケーキを食べてみます?」


ホットケーキの素は手元にあったのでススメて話の流れを変えよとした。


「ハイ!大きめに焼いてください!」


満面の笑みで女神様?は答えた。

その笑顔を見て僕は……


(絶対にコッチが素だよね)


(さっきテンパったのを見ると来る前にセリフを必死に練習してきたんじゃあ……)


このような考えを確信と共に抱いた。



~数分後~



「はう~ 甘いです。美味しいです。」


女神様?は満面の笑みでホットケーキを食べている。

今、食べているので5枚目だ。


アイテムBOXというアイテムを入れる魔道具が僕の家にはある。

僕は女神様?が来る前は作ったホットケーキの素を保管しておこうと考えていた。


でも女神様?の食欲を見て保管は諦めた。


………

……


たらふく食べて女神様?は帰って行った。

女神様?はテンパって涙ぐんでホットケーキを満面の笑みで食べた。

その女神様?の姿を思い出して僕は感じる。


(あの人は、きっと残念な人なんだな~)


このとき僕の中で女神様?の呼び名は『残念女神』に決定した。

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