元勇者様に獣人娘は面倒な仕事を運ぶ
ホテルのラウンジで高級そうなケーキを食べ終わった3人。
アルマ、リーザ、ミスティは僕に会計を押し付けて、さっさと歩いている。
これって依頼の報酬から出るよね?
クルスを見ると黙って僕の肩を叩くだけだった。
…僕が支払いを持つのは決定事項なの?
僕達はホテルの外に出て、しばらく歩いた。
一軒の建物の前にアルマが立った時…
「コッチに来てくれ」
アルマは僕達を建物の中に案内した。
その建物は外から見た感じはレンガ造りの建物。
内部に入ると木を素材に作られた空間が広がっている。
そして隠し通路の先には白一色の部屋があった。ぼ
この部屋は転移方陣が設置された部屋。
「本当の依頼を話したい」
「ああ」
クルスはアルマの言葉に頷いた。
やはり街の案内依頼はカモフラージュだった。
しかも研究所関連の依頼。
厄介な臭いしかしない。
アルマとミスティが属する研究機関は魔導具研究を行っていた。
もちろん公に出来ない実験ばかりだ。人体実験が温く感じるくらいにね。
その研究所をアルフ君は買収をした。
完全に研究所を掌握できたかは疑問符が付く。
国の暗い部分にも深く関わる組織だから色々としがらみも多い。
どちらにせよ僕に出来ることは限られている。
あとはアルフ君の知恵に任せるしかないだろう。
アルマに案内される形で僕達は転移方陣を使い別の場所に移動した。
どこかの研究所だと思うけど具体的な場所は分からない。
周囲には白い壁が続いている。
僕達はアルマに導かれるまま部屋を出て歩き続けた。
そして木目模様の扉を前にアルマが立ち止まる。
「ここだ」
木目模様の扉には取っ手が無い。
だがアルマが手をかざすと扉が自動的に開いた。
魔導具の一種だったようだ。
扉の先には、それほど大きくない部屋が広がっている。
部屋の中心には白い円形のテーブルと白い椅子。
椅子は僕達の人数に合わせてあるようだけど…気になる物がある。
テーブルの上に木を編み込んだ籠がある。
その籠には毛皮が…ってタマやん?
「よう」
タマやんはテーブルの上で籠に入り丸くなっていた。
籠の中にはピンク色の布が敷き詰められ…タマやんの声に不似合いだ。
リーザが杖を向け…るのは僕が防いだ。
僕達がいる建物は厳重な警護が敷かれているはずだ。
わざわざ本当の依頼を伝えるためだけに移動した場所だ。
安心して内緒話が出来る程度の警護はあって当然だろう。
そんな場所でタマやんを燃やしたら面倒な事になるのは目に見えている。
リーザは不満そうだ。
でも仕事が終わってからなら邪魔しないということで、この場は引いてくれた。
…帰ってから生き残れるかは君次第だよ。タマやん。
「では、始めよう」
アルマが椅子に座ると他のメンバーも同じように座った。
この場には以下の6人がテーブルを囲み座った。
アルマ
ミスティ
クルス
リーザ
タマやん
僕
「早速だがクルス、リーザ、ユウ、君達への本当の依頼を伝える」
「…」
僕達は黙ってアルマの言葉を待っていた。
面倒過ぎる依頼は避けたいところだけど…
「君達に依頼したいのは、森の金属化現象の解決だ」
森の金属化現象…なにそれ?




