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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第三章 街はずれの錬金術師は元勇者様3
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元勇者様は吸血姫と猫を観察する

この話では血が出ます。苦手な方は注意。

僕の店でヴァンパイアと猫が見つめ合っている。


ヴァンパイアというのは、エリー。

猫というのは、タマやん。


買い物を押しつけられて僕の店を訪れたタマやん。

そのタマやんを食事をしに来たエリーが見つけた。


タマやんに興味を持ったのかエリーは1時間ほど見続けている。

対してタマやんは硬直したかのように動かす1時間、同じ体勢のままだ。


ときどき、エリーはタマやんの頬を指でつついている。

でもタマやんはされるがまま動かない。


エリーの仕草が可愛いので僕は観察していた。

タマやんは怯えているようだけど…まあ、いいや。


でも飽きっぽいエリーが1時間も同じことをしているなんて珍しい。


~~


「ユウ、これ食べていい?」


エリーがタマやんを観察始めて2時間ほど経った頃、タマやんを食べようとした。

食べるといっても血を吸うのだけど…タマやんのサイズだとミイラになりかねない。


タマやんは相変わらず身動き一つとらない。

…いや、小刻みに震えているのが分かる。


身に迫る死を感じているようだ。


タマやんにもしもの事があればリーザに何をされるか…

僕は自分の身を守るためタマやんを庇うことにした。


寄生虫(むし)とかいたら困るからダメだよ」


「そっか~」


エリーはタマやんの頬をつつきだした。

タマやんを見ると心なしかホッとしているように感じる。

ミイラにならずに済んだのだから当たり前か。


タマやんの無事を確かめると僕は再び仕事に戻った。


~~


1時間ほど経ち僕が再びエリーとタマやんの居る場所に行くと…

エリーはタマやんの頬を両手で引っ張り遊んでいた。


頬を引っ張られるタマやんを見ると…目があった。

涙ぐんで僕に助けを求めているように見える。


…まあ、いっか。


僕は再び仕事に戻ることにした。


~~


更に1時間たった頃に再びエリーとタマやんの所に行ってみる。


エリーはタマやんを引っくり返したりして観察していた。

タマやんは目が死んだようになり、体もグッタリとしている。


さすがにヤバそうだから助けようと思う。


「エリー、お腹すいていない?」


「うん、少しお腹すいた」


僕は腕を隠していた服の袖をずらしエリーが血を吸いやすくする。

エリーは嬉しそうに僕の腕をとり噛みついた。


一瞬、鈍い痛みを感じたあと、エリーが口を当てた所から僅かに血が流れた。

エリーは一生懸命に血を吸っている。


僕はタマやんが気になり、彼の方を見るとフラフラと物影の方に移動していた。

そして机の後ろに行ったあたりで、コテッと倒れる。


(限界だったか…)


見た目は三毛猫だが魔神という種族のタマやん。

魔神だから動物虐待にはならないハズ…だよね?


~~


しばらく僕の血を吸ったエリーは満足したのか、その場を立ち去った。

既にタマやんのことは頭に無いようだ。


僕が倒れたタマやんを見るとピクリとも動かず横になっている。

…相当、疲れたんだな。


しばらくタマやんを放置しておくことにした。


~~


更に1時間ほど経って先程の場所に行くと…

タマやんは復活していた。


「よう」


「あっ生き返った」


「死んでねーよ」


僕達は他愛たわいもない会話をする。


「ありゃあ、一体なんだ」


「…ああ、エリーのことか」


「人間じゃねーだろ」


「うん、ヴァンパイア」


「ヴァンパイアねー。だが、あの存在感は『タダの』じゃねえんだろ?」


「真祖」


「はぁ?」


タマやんは驚いているようだ。

毛皮のせいで表情が読めず、声からしか驚きは分からないが…


「なんで、真祖がココにいんだよ!」


「住んでいるから」


「住んでいるってお前!どうしたら真祖と住むことになんだ」


「僕の知らない間に周りが許可しちゃって…」


エリーが住んでいることは他のみんなは知っているのに僕だけが知らなかった。

この一件でヒウラ家で僕がどんな立場なのか分かったんだよな~


僕は悲しい思い出を手繰たぐり寄せて泣きそうになった…


「…まあ、何があったか知らんが思い詰めないことだ」


猫に慰められてしまった。


………

……


しばらくしてタマやんは帰り自宅にて。


「…どこに寄り道していた?」


「寄り道なんてしてねえよ」


「…遅すぎる」


タマやんはリーザに叱られている。


「ユウの店でヴァンパイアに血を吸われかけたんだよ!」


「…下手な嘘」


「嘘じゃねー アイツの店には真祖のヴァンパイアが住んでんだ!」


「………」


「本当だって!」


「………」


「なあ、何かしゃべれって!このタイミングの無言はスゲー怖いんだぞ!!」


タマやんは、それから2時間ほどリーザからお説教をされた。

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