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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
真章2 元勇者様の宅配便
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エピローグ 元勇者様は猫からの依頼を達成した

スクエイドの街に僕達は到着した。

そしてタマやんから依頼された高濃度の魔水晶を作成。


今はタマやんと共に周囲に人気のない街の広場に来ている。

魔神なんて物騒な種族だと名乗る猫を簡単に信じるわけにはいかないからね。

だから店に入れると危険と判断して広場での取引となった。

(猫と話している姿を身内に見られたくないというのもあったけど…)


「約束の物は出来たのか?」


「もちろんだ」


「早速、見せてもらおう」


タマやんは尻尾を盛大に振っている。

猫も犬のように嬉しい時なんかに尻尾を振ったけ?


「これが高濃度の魔水晶だよ」


「…」


僕は小さなケースに入れた黒い水晶をタマやんに見せる。


「なあ…」


「うん?」


「なんで魔水晶が黒いんだ?」


「魔力を出来る限り入れたから」


「…」


タマやんが言うことも分かる。

高濃度の魔水晶は本来、紫色だ。

でも僕がやると色が濃くなりすぎて黒くなる。


「…化け物だな…」


「品質には問題ないはずだよ」


「そりゃあな…」


タマやんは、ジッと魔水晶を見続けている。

少し引いているのは気のせい…じゃないな…多分。


「取引はどうするんだい」


「ああ、成立だ」


「じゃあ、まずはテイムからだ」


「まあ、いいだろう」


魔神という物騒かもしれない生物を放置するわけにはいかない。

魔水晶を渡して襲いかかってきた~なんてイヤだしね。


「リーザ!」


「…おう」


リーザが広場に置かれた木材の陰から首輪を持って姿を現した。


「ちょっと待て!」


タマやんが何か言いたそうだ。

何を言いたいのかは予想ができるけど。


「お前がテイムすんじゃねーのかよ!」


「最初は、そのつもりだったんだけどね」


「おかしいだろ!」


「約束の時に誰がテイムするかなんて言わなかったし問題は無いよ」


「…お前というヤツは…」


「取引はどうする?」


僕は魔水晶を見せながら取引について聞いた。


「魔神を嵌めるとは…」


「まあ、どうしても嫌なら僕がテイムするけど?」


「ほ~」


「君が化け物と呼ぶ僕とリーザ、どちらにテイムされたい?」


「!!」


タマやんが驚いて表情を崩した。

猫の表情は分からないけど…そんな気がする。


「…」


「…」


「…」


「…」


「…」


「………リーザ…頼む」


悩みぬいた末、地獄を選んだ。


「…よろしく」



そしてリーザはテイムを行うことになる。

僕はテイム専用の魔方陣を描いた布をアイテムBOXから取り出す。

もちろんリーザが購入してくれたヤツだ。


布を地面に敷き四方にろうそくを置き真ん中に水晶を置いた。

そしてリーザとタマやんが水晶を挟み対峙した感じで向かい合う。


僕が真ん中に置いた水晶に魔力を通す。

すると水晶と魔方陣が光り始める。

続いて四方に置かれたろうそくに火が灯り周囲を照らす。


「じゃあ、始めよう」


僕の声と共にリーザは短剣を取り出し自らの人差し指を傷つける。

次に溢れてくる赤い血に自らの魔力を込めた。

そして真ん中に置かれた水晶に一滴分付着させる。


次にタマやんの肉球を僕が短剣で傷付けた。

タマやんもリーザと同じく魔力を血に込めてリーザの血の上に自らの血を塗る。


すると水晶玉は血が水に広がるように赤く染まった。


「タマやん」


僕はタマやんを呼び水晶に近づけさせ右前足を水晶に乗せさせる。

次にリーザがタマやんの右前足の上に手を乗せた。


テイムを行う時、このあと呪文を主人となる者が言う。

でも呪文を関係ない者が聞いてはいけないことになっている。

だから僕は魔方陣の外に移動した。


僕は外側で結界を張り呪文が周囲に漏れにくくし2人のテイム終了を待つ。


そしてリーザが口を動かしたあとタマやんの口が動いたと思ったら…

魔方陣や水晶が強く輝き四方のロウソクからも火柱が上がっている。


しばらく、眩しい光が周囲を包み続けた。


………

……


魔方陣の光が収まると赤くなっていた水晶は砕けていた。


「…成功」


「ふん」


テイムは成功したようだ。

これで僕とタマやんの取引は一部が完了した。


「タマやん。これを渡しておくよ」


僕はタマやんに魔水晶を渡す。

一部とはいえ相手は契約に従ったんだ。

今度はコッチが契約を履行しないといけない。


「ああ、確かに受け取った。好きな物を選びな」


タマやんは宝と称する素材を広場に広げた。

ちゃんと僕が布を敷いたから付いた汚れは少ないはずだ。


もちろん僕は『精霊の雫』を手にとる。

そして貴重な素材数点も受け取ることにした。


これで仕事の一つは終了したことになる。

あとはエリアルさんの細剣だけだ。


………

……


「リーザ」


「…?」


「タマやんに無茶させちゃダメだよ」


「…大丈夫」


本当に大丈夫か気になる。

でもリーザは出来ない約束はしないから大丈夫…かな?


「タマやん」


「ふあ?」


タマやんの顔を見て僕は絶句した。

口の中一杯に魔水晶を詰め込んでいたんだ。


「タ、タマやん…」


「はひひへんはひょおお」


「何を言っているのか分からない」


「…」


「…」


バリッ、ボリボリボリ……

(えっ魔水晶を噛み砕いている?!)


「何見てんだよ」


「…」


僕は、そっとタマやんから目をそむけた。


(魔水晶って、あんな使い方だっけ?)

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