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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
真章2 元勇者様の宅配便
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元勇者様の宅配便 4

空行などを変えてみました。あとはセリフ部分とかなんですが、詰めると間が分かりにくくなるのが問題です。

朝となり僕達はエイシャールから調査現場の洞窟へと出発した。


道中には魔物もいたが僕達+護衛により問題なく対処できた。

ただ魔物が多く移動に手間取り5時間ほどかかってしまった。


そのため出発時には山に隠れていた日がすっかり頭上にまで昇っている。


僕達が物資を運んだ場所は洞窟ではなく近くに貼られたテント。

この世界では魔導具を使ってテントに結界を張る。

結界を使い強度を高めたり温度調整を行ったりしているんだ。


だからテントと言っても、その辺の民家よりも丈夫な場合すらある。


「暑いな」


「…む~」


クルスとリーザは暑さに参っているようだ。

魔導具で温度を一定に保つという物もあるが高価なため所有している人は少ない。

それに温度を一定に保つということは周囲の異常な温度変化などに気付きにくくなり危険も生まれる。


と、いいながらも僕は身に着けているんだけど…2人に気付かれた。


「ユウ。お前は物資の運び込みは2割増しで頼む」


「…生ぬるい。6割増しで」


「絶対に、いやだ!」


「お前だけずりーぞ!」


「…裏切り者」


このあと結局、1割増しの物資の運び込みを僕はやり終えた。


作業終了後の暑さは砂漠の暑さだろうか?

それとも2人への怒りによる暑さだったのだろうか?

答えは分かり切っている。



僕達が物資を運び終えた時点で依頼の半分が終わった。


そして僕達はテント内でランダー退治の作戦会議中だ。


このランダーは群れを作る性質がある。

つがいのランダーは住みついた洞窟の奥で卵を育てるときに洞窟内から他の魔物を追い出す。

本来なら卵が孵る前に倒しておきたかったんだけど…残念なことに5匹ほど孵っている。

子育て中のランダーは気性が激しいため、ある作戦が考案された…リーザから。


「…ユウを囮にして外に出す」


「で、外に出た所を俺達で倒すわけだ」


「なんでそうなる」


「洞窟内を無傷なままランダーを倒せれば追加報酬が…」


「そのためにリスクが一気に跳ね上がっているんだけど」


「…上がったのはユウのリスクだけ」


「仲間を思いやる気持ちはないのかな?」


「思いやりは無いが、信頼はあるぞ」


「…逃げ足に期待する」


「…」


コイツら引き下がる気は絶対に無いな…


僕自身も逃げ切る自信がある。

2人も僕のスピードを知っているから説得は不可能そうだ。


悔しさはあるがけど引くしかないか…クルス覚えていろよ!



~作戦会議終了後~


作戦会議?が終わり僕はテントから外に出ると日は既に傾いていた。

湿度が少ない分、砂漠の太陽はクッキリと見える。


僕が夕焼けを眺めながら、そんなことを考えていると声がかけられた。


「ユウ君。少しいいかな?」


「なんでしょう?」


僕に声をかけたのはメイヴィスさんだった。

メイヴィスさんは金色の髪に黒目で髭を生やした人だ。


「君に見て欲しい物があるんだ」


「考古学には詳しくありませんが…よろしいでしょうか?」


「ああ、僕は錬金術師としての君に見て欲しいんだ」


メイヴィスさんは僕が最上級錬金術師であると知っている。

だから見せたい物は最上級錬金術師の意見を訊きたくなる物なんだろう。


「…興味がありますね」


「そうか。よかった。では、コッチに来てもらえるかな?」


僕はメイヴィスさんに案内されテントの一つに入った。

メイヴィスさんがテントの中で明りを着けると…ガラクタの山が。。


ごめん。どれも考古学的価値があると思うけど素人には分からないんだ。


僕が心の中で謝っている間にメイヴィスさんはテントの奥に行って一つの宝箱を開けていた。


「君に見て欲しいのはコレなんだ」


メイヴィスさんは白い手袋を着けて宝箱の中からある物を取り出した。


「これは…コアですか?」


メイヴィスさんの手には六角形の金属の塊があった。

それと似た物を僕は知っているけど…違う物のようだ。


「君もそう思うかい?」


「似ているというだけで、コアは見た目が水晶のような感じですし…」


「そうか…」


「ただ…」


「ただ!?」


メイヴィスさんは目を輝かせて僕に顔を近づけた。

思わず僕は後ずさりしてしまう。


「ああ、すまない」


「いえ…」


メイヴィスさんはイケメンなため顔を近づけられると迫力がある。

女性なら目を背けられなかっただろうな~


「続きを聞かせてもらえないかな?」


「え、ええ。それはコアとは違うのですが似た魔力の性質があります」


「そうなのかい!」


「コアは魔核石を加工した物ですが、それは魔核石に限りなく近いという感じです」


「では魔核石ということかい?」


「いえ、それは形が整い過ぎているので人工的な物だと思います」


「そうか……うん、素晴らしい!」


「え、ええ。そうですか…」


僕はメイヴィスさんの興奮についていけない。

目が凄くキラキラしていてコチラから話しかけるのも戸惑うほどだ。


「では…ユウ君はコレを古代文明の産物だと思うかい?」


物凄く興奮した目で僕を見ている。

なんか…怖いぞ。


「す、少なくとも僕は、その加工方法は分かりません」


「そうか…ユウ君でも分からない物なのか」


「え、ええ」


今のメイヴィスさんは少年の心を全開にしているという感じだ。

今にも踊り出すんじゃないか?


「ただ危険な感じがします」


「!?…危険とは?」


「なにか決定的な物が欠けているような感じがします。勘のような物ですが…」


「危険か…」


メイヴィスさんが考え込んでしまった。


「まあ、あくまで勘ですから」


「ほう、いい勘をしているな」


僕とメイヴィスさんしかいないはずのテントに太い男の声が響いた。

コアというのはモンスターの核である魔核石を加工した物です。

平たい粋臭のような六角形の物体です。

※元勇者様と死者の村 1で登場

今回のは金属製で違う物ですが大きさや形が似ていたためユウはコアだと一瞬思いました。

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