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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第二章-B 元勇者様に迫る影
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元勇者様は喧嘩の仲裁が遅かった(裏)

その美しい女性はヴァンパイアです。

~ある冒険者の独白~


美しい女性ひとだった。

金色の髪は太陽の光を集めたように輝いている。

蒼い瞳は夏の大海を表したように澄み渡っていた。

そして白い肌は天使の羽のような白さだ。

着た赤い服は太陽の下に咲く薔薇の様な鮮やかさを連想させた。


彼女を初めて見かけたのは冒険者ギルドの前だった。

そのとき彼女は5人組の男に囲まれていた。

だが自分の置かれた状況が理解できていないようにも見える。


マズイ状況だと誰もが思ったはずだが周囲の野次馬は誰も助けようとしない。


野次馬が見守る中、彼女を取り囲んだ男の1人が殴りかかった。


俺は思わず飛び出そうとしたが…


彼女は殴りかかってきた男を片手で軽く振れただけで吹き飛ばす。


周囲は呆気あっけにとられていた。

彼女を取り囲んでいた男達も驚いた表情を浮かべている。


驚いたために判断力が鈍ったのだろう。

無謀にも男達は最初の男と同じように殴りかかった。


そんな男達に彼女が魔法を放った。

黒い光が1人の男を襲い他の男達も巻き込まれて吹き飛ばされる。


その光景を見ていた男の一人は突然の危機に錯乱したのだろう。

自分の獲物である斧を手にして彼女に襲いかかった。


さすがに武器を使うのは限度を超えている。

野次馬も騒ぎ出した。



だが次の瞬間、誰もが驚愕することになる。

金色の髪をした彼女は振り下ろされた斧を片手で止めていた。


斧の刃を掴み表情一つ変えず…


誰もが声を発することができずにいた。

イヤ、状況そのものを理解出来ずにいるのかもしれない。



それから沈黙だけが流れ続けた。



そんな沈黙を破ったのは彼女自身だ。


突然、何かが砕けるような音が響いた。

そして彼女の手にしていた斧が地面へと落ちて舗装された地面を砕いた。


周囲には補導された地面を斧が砕いた大きな音が響く。

だが彼女は斧を握っていた手を何事もなかったかのように眺めていた。


彼女は指の隙間から零れる砂となった金属に気付いたようだ。

首を僅かに傾げた後、指をゆっくりと開いた。


彼女が手をゆっくりと開くと砂のような金属がサラサラと流れ落ちて行く。

その流れ落ちる砂を見ながら彼女は微笑んだ。



そんな彼女の微笑みに俺は心を奪われてしまった。


俺のように心を奪われたヤツは多かったようだ。

男達だけではなく女性でさえも熱い目で彼女を見ている。


無理もない。


この世の美しさを集めたような容姿。

そして男達を軽く吹き飛ばし斧をも容易に砕く高位の魔法使いでもある。

心を奪われない方がおかしいともいえる。


眩しすぎる彼女を俺達は遠くから見ているしかなかった。

美しすぎる彼女には声をかけるのも躊躇ためらわれる。


しばしの沈黙の後、彼女は美しい声を発した。

天使のような可憐な声だ。


「あっ ユウ~」


ゆう…なんという素晴らしい響き…うん?

ゆう…YOU…ユウ…!!!

ユウだと!


今、美しい彼女の微笑みは1人の男だけに注がれている。

この場にいた誰もが、その男に注目した。


そこには俺の見知った男が1人。

その男の腕を彼女は嬉しそうに掴んでいる。


男の名はユウ・ヒウラ。

俺達、銀狼の牙でトップの男だ。


く、くそ~~~


だがヤツ程の男なら…


「帰ろ♪」


KA・E・RO…「かえろ?」…「帰ろ!!!!!」


ユウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!


キ、キサマ~~~~ッ


それって一緒に暮らして、キャッキャ、ウフウフということか!!

世の中にはな!誰であろうと許されね~ことがあんだよ!!


ユウ・ヒウラ。てめーだけは許さねえ。


………

……


俺は周囲に目を向けると視線を重ねただけで心が通じ合う事に気付いた。

それも1人や2人とではない…ここにいる全員と通じ合える!


そうか、俺は1人ではないんだ。

こうして俺に多くの同志ともが生まれた。

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