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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第二章-A 元勇者様と遺跡発掘
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元勇者様は蓄音機を愛でた

~ユウの店にて~


レイナは興味津津という顔でに魔導具を見ていた。

レイナ以外にもティナトエリーがテーブルを囲み座っている。


エリーはヴァンパイアのはずだ。

でも太陽の光も全く効かないため気が向くたび店に来ている。

と、思っていたら店の地下に住みついていた。


このことをティナやレイナ、残念女神に話したら…


「?…知らなかったんですか?」


「ユウ君…エリーちゃんに、もっと関心を持ってあげようね」


「それでこそユウですね…」


僕以外の全員にとっては当たり前になっていたようだ。

なんで家主の僕だけが知らなかったんだろう?


考えたくはないけどヒウラ家の食物連鎖最下層は、ひょっとして…

…心当たりが多すぎる。



ま、まあ話を戻すけどレイナが興味を持っているのは蓄音機みたいな形のやつだ。

見た目とおり音楽を聴くアイテム。


先日の遺跡発掘で出てきた魔導器に音を操作するという物があった。

そいつの術式や構造を利用して作ってみた。


…と、いうことにしてある。


本当はゲームのVRネヴァーズに存在していたアイテムを基にしている。

ゲーム中の音楽を聴くアイテムの外観を変えただけの物だ。


VRネヴァーズのアイテムなんだから僕ならディメンション・ルームで作成可能だ。

僕が頑張って作ったわけではないから褒められると良心がチクチクする。



「いいですね~」


「音楽が毎日聞けるね」


レイナとティナが褒めているけど、ちょっと良心が痛む。

でも、この世界には娯楽が少ない。


当然のように音楽を聴くアイテムも普及していなかった。

だから彼女たちにとって新鮮な経験なんだろうと思う。


「ふん、ふん、ふ~ん♪」


エリーは鼻歌を歌っている。

相当、お気に召したようだ。


「夜なんかは迷惑になるから聞けないけどね」


「でも、周りに家もないし大丈夫なんじゃないですか?」


「こういうことは、しっかりとしないとトラブルが出るよ」


「ユウ君も、ちゃんと考えているのね」


ティナ…最近は僕のことを子ども扱いしていない?

なんか義弟から更に恋愛対象から離れ始めた気がする。


「ユウ君?どうしたの」


「な、なんでもないよ!」


僕の顔を覗くティナに今の心情が見られるような錯覚を感じ少し焦ってしまった。

なんかレイナが、こっちをみて生温かい視線を送っている。


クッ、なんか悔しい。

クルスにラブソングを作らせてプレゼントさせようか!


…イタい結果しか思い浮かべられない

…さすがにクルスが可哀想だからやめておこう。



「ユウ~」


「うん?」


エリーが話しかけてきた。


「他にはないの?」


「今のところ、その曲しかないんだ」


「ふ~ん」


エリーは興味を失ったのか再び蓄音機?を見始めた。


「まあ、売る予定だから聞ける音楽は少しずつ増やすよ」


「本当!?」


「今のところ少しずつ増やす程度だけどね」


「楽しみ」


エリーは、ヴァンパイアらしからぬ無邪気な笑顔で喜んでいる。

エリー…君はヴァンパイアらしさを捨て過ぎていないか?

可愛いからいいけど。


可愛ければ大概の事は許される!

日浦 悠の魂が断言した気がした。


………

……


「ユウ君」


「なに?」


「買ってくれる人はもういるの?」


「うん、クルスが…あっ」


「どうしたの?」


試作品ができたとき色々とヤリ過ぎた僕はクルスに、お詫びとしてプレゼントした。

そのときクルスはレイナに贈たいからと一台注文してくれたけど…


…自作の音楽を聞けるか質問してきたっけ。


嫌な予感しかしない。

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