エピローグ 元勇者様と冒険者たちの悩み
死霊の村を脱出した僕達は近くの街に辿り着いた。
だが冒険者特有の問題により宿屋の食堂で頭を抱えていた。
「やっぱり、こうなったか…」
「…うん…」
クルスとリーザは、いつもよりも元気がない。
「本当に、すまなかった。」
ダイクは申し訳なさそうに謝っている。
ミアとパトラは居心地が悪そうにソワソワしている。
僕?僕は欲しかった素材が手に入ってウハウハさ!
でも一人だけ浮かれるわけにもいかず大人しくしている。
僕の中には日本人気質が生き続けているんだから仕方ないよね。
で、なんで僕達が頭を抱えているのかというと死者の村のせいだ。
僕達は死者の村で大量の幽体系のモンスターを倒した。
でも幽体系モンスターは倒すと消える。
だから素材も魔核石も獲れず僕達はタダ働き状態になった。
タダ働きになると冒険者だけで生活している場合は凄くキツイみたいだ。
あと、タダ働きに関しては冒険者仲間で色々とジンクスもあって精神的にもキツイ。
まあ、僕は錬金術師やら色々とやっていて他人事でしかないんだけど。
クルスもリーザも落ち込んでおり先ほどから巻き込んだダイクが謝り続けている。
ミアとパトラに関しては仕方ないと思う。
だって、可哀想じゃん。
ダイク…彼は仕方ないんじゃないかな?
とりあえずリーザに燃やされればいいと思う。
「とりあえず、コレ」
僕は一つの魔核石を取り出す。
「…魔核石?」
「ドヴェルマンの魔核石」
「………」
なんかリーザが睨んでいる。
『もっと、早く出せ』と、彼女の迫力ある沈黙が語っている。
タイミング的に出しずらかったんだから、そんなに睨まないで欲しい。
でも2時間出さずにいたのはマズかったか?
うん、反省しよう。
「でも、こいつ1つじゃあな」
「報奨金も出るから、足しにはなると思う」
「…報奨金?」
「魔人討伐をしたら報奨金が出る…ひょっとして聞いたことない?」
「初耳だな」
魔王の配下といえる魔人。
魔王の誕生とともに現れるとされ進化したモンスターだともいわれている。
魔人はモンスターの軍隊を作れるので、どの国にとっても悩みの種だ。
だから魔人が軍隊を持ったり力をつける前に倒すのが最良と言える。
このため多くの国で賞金をかけている。
まあ、魔人を倒すのなら相当な準備が必要になる。
だから少人数で動く冒険者には縁のない話かもしれない。
「この魔核石が証拠になるから申請しよう」
「どこで申請は出来るんだ」
「国に直接か…冒険者ギルドからに僕らならなると思う」
僕は魔人の報酬で荒稼ぎさせてもらったから結構、詳しかったりする。
ついでに良い素材も獲れて…クックック…
「…ユウ、悪いことを考えている」
イカンイカン、魔人のことを思い出すと、おいしすぎてツイ。
「まあ、とりあえず6人で倒したと早めに申請するとしよう」
「…賛成」
「そうだな、迷惑かけちまったし俺も申請を手伝う」
「むしろ、そのぐらいはやれ!…ユウも頼む」
「分かった」
報酬の申請に関しては、クルス、ダイク、僕の三人で行うことになりそうだ。
「あの、私たちは辞退させて頂けませんか?」
ミアが報奨金の辞退を申し出てきた。
パトラも辞退をしたいようだ。
「私達は、みなさんを巻き込んだうえ戦力になれませんでした。ですから…」
「却下だ」
ダイクが却下だと言った。
僕も同意見だけど僕達を巻き込んだ君が言うのには違和感があるよダイク。
「ですが…」
「いいか?正当な報酬を受け取るのは権利ではなく義務なんだ。」
「義務というのは?」
「もし、正当な報酬を受け取らないんなら、その報酬は別の誰かの手に行く」
「ええ」
「その金が悪いとは言わないが、心のどっかであくどい考えが浮かぶもんだ」
「そうなんでしょうか?」
「可能性でしかないがな。他人を腐らせる可能性があると覚えておいてくれ」
「はぁ…」
ミアは納得してはいないものの報酬は受け取るようだ。
パトラも受け取るそうだ…パトラ、立場が弱すぎないか?
話に一区切りついた所で僕は最も重要な話題を切り出す。
「コイツなんだけど。」
「結界の要になっていたヤツだな」
「デモンズ・ハートっていうんだけど売ってもらえないかな?」
「俺はいいが珍しいのか?」
「少なくとも僕が10年近く探しても見つからなかった」
「マジか?…うん?お前って何歳?」
「16歳だけど」
「じゃあ6歳から探していたってことだろ!」
「探していた」
「ありえないだろ!」
「6歳の時から、半サバイバル生活で1人で川にいって魚を獲り、モンスターを1人で狩って、作った魔法薬をギルドに1人で卸していたけど、それってオカシイことかな?」
「すまん。悪いことを聞いてしまったな…」
なんか他のメンバーもシーンとしている…まあ、いいや。
「ギルドで鑑定してもらい、その金額の1.2倍の金額で売って欲しい」
これは普段は行わない提案だけど10年以上探し続けてやっと見つけたんだ。
ここで確実に手に入れておきたかった。
………
……
…
「…ユウ」
「うん?」
「…杖の作成を依頼したい」
「わかった」
「…うむ、まかせた」
リーザからの作成依頼か…とんでもない要求がありそうで怖い。




