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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第一章 街はずれの錬金術師は元勇者様
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元勇者様と真祖の吸血姫

僕の目の前には金髪蒼眼で白くも健康的な肌の少女がいた。

髪は腰付近まで伸びていて髪は途中からウェーブがかかっている。

服装は赤いゴスロリ衣装といえば伝わるか。


彼女の名前は、エーデンリヒ・ス…  なんだっけ?


なんか長くて言いにくいだったから思い出せない。

とにかく僕はエリーと呼んでいた。



エリーは僕を深く愛していた。

僕を食べたいと感じるほどに。


………

……

…


と、いうよりも食べ物として僕を愛していた!



エリーはヴァンパイアだ。

昔、魔王討伐の旅をしている最中にエリーと戦ったことがある。

魔王討伐のメンバー全員がエリーの幻術で操られた。


そしてエリーの家族を演じさせられ少しずつ衰弱させられていったんだ。


でも僕はゲームのスキルで幻覚攻撃への耐性がカンストしている。

だから僕にはエリーの幻覚が効きづらかったんだ。


このためエリーの幻覚の中では常にエリーが僕に幻術を掛け直していた。

で、幻術を掛け直すたびに僕の血をジャンジャン飲んでいた。


本来であればヴァンパイア化するはずだけど僕は状態異常全てがカンスト済みだ。

だから人間を辞めずに済んだ。


どうして幻覚攻撃の耐性がカンスト済みなのに僅かとはいえ効いていたかって?


…

…

…


まあ僕も健全な男子だ。

エリーみたいなカワイイ女の子と仲がいい役割というのは嬉しかったというか…


ちょっと掛けられた幻覚を楽しみたい気持ちがあった。

だから、そこを付け込まれたらしい。


後で女性陣が冷たい視線を僕に向けていたのを今でも覚えている。



それはともかくエリーは僕が倒したはず。

力を完全に失ったヴァンパイアは灰になり復活できない。

エリーが灰になったのは倒した僕が確認した。


では目の前にいるエリーは復活したのか偽物なのか?

確かめる必要がある。


「君は本物なのか?」


「?本物…?」


「えーと、君は僕が殺したエリーなのかな?」


「?う、うん。トワに殺されたことはあるよ?」


会話が?だらけになる…

そういえばエリーは頭の緩い子だったな~

直接的な言い方でないと答えられない可能性がある。


「僕に殺されて灰になったあと、どうやって復活したんだ?」


「?…?」


「う~ん」


下唇に右手の人差し指を当て必死に考え始めた。


「……………」


「……………」


「……………」


しばらく待とうと思う。。


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


もう少し待とうかな…


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「……………」


「真祖だから?」



考え抜いた末に、とんでもない爆弾を落としやがった。

ヴァンパイアの始祖といったら不死者の頂点だ。


神に最も近い存在の一つだといわれていて人間の手に負える存在ではない。

でも、そんな存在が人の住む場所に来るとは考えられないから嘘の可能性も…


「食べないのなら、ちょうだい」


そんな間の抜けた声に僕は神に近いどころか神そのものがいることを思い出した。

僕の食事を狙う銀色の髪の女神を見て嘘をついていない可能性も高いと感じた。


(女神がコレだもんな…)


とりあえず僕は分厚いハンバーグを1枚分の肉だけ残して銀髪の女神様に献上する。


「ワタシも、ごはん~」


僕の肩に手を回そうとするものの僕はエリーの手をかわした。


「少しだけだから」


その少しが危ない。


僕はヴァンパイア化しない。

更に噛みつかれた傷は回復魔法を自分でかけて治せる。


でもエリーは僕の血を飲むとき体を密着させて首筋に噛みつく。

エリーはスタイルも良く抱きつかれるのは嬉しい。

だから代償が血を吸われる程度なら…と、つい考えてしまう。


でもティナに見られたくない!


ティナは、さっきから真剣に僕を見ている。

あの目は焼きもちの目…ではないな。

義弟が一線を越えないように見張っている目だと思う。


これ以上、恋愛の可能性を潰すのは致命的だ。


何とかしないと。


「エリー…」


「うん?」


「魔物の血じゃダメかな?」


「ユウがいい」


ちょっと『ユウがいい』の言葉にドキッとしてしまった。


「じゃあ、他の人の血とか…」


「ユウ君!」


「じょ、冗談だから」


ヤバッ 他の人間だとヴァンパイア化するのを忘れていた。

ティナの機嫌を損ねるところだったよ。


「エリー。ちょっと相談してくるから待っていて」


「?うん」


僕はティナと相談しようと立ちあがる。

そういえばエリーが真祖か確かめる方法があることを思い出した。


「と、その前に1適だけ血を貰えるかな?」


「じゃあ、代わりにユウの血を…」


「エリーが本物か確かめるためだから…ね」


「ケチ」


少し頬を膨らませているエリーもかわいい…


って、イカン!魅了されかけている。

と、いうか自分から魅了されたいって感じ始めている。


「エリーだと証明できないんなら噛まれるわけにはいかないな」


「じゃあ、ワタシがエリーだって証明できたら血をくれる?」


「まあ、血をあげられる可能性は高くなるかな?」


「…じゃあ、少しだけ」


僕はエリーにナイフとガラス板を渡す。

そしてエリーはナイフで指先を切りガラス板に血を一滴垂らした。


僕は血の付いたガラス板を、地下にある錬金術用の部屋にもっていく。

そしてディメンション・ルームを発動させた。


エリーの血が付いた板を持ち…

『分析』と心の中で唱える。


板が黒い霧の中に吸い込まれた。

そして宙を浮く立体映像に「真祖の血:ヴァンパイア」と表示された。


(本物…ということか)


彼女が真祖であることは分かった。

真祖がエリーに化けているという可能性もあるけど。


そんなことを考えながら先ほどの部屋に戻ると…


「ユウ君、少しぐらい血液をあげてもいいんじゃない?」


ティナから、まさかの提案があった。

ひょっとして噛まれたのか?それとも幻覚攻撃で操られている?


「ユウ、私もあげていいと思う」


残念女神もティナの意見に賛成のようだ。

腐っても女神だ。真祖のヴァンパイアでも操ることは…


イヤ、あの残念女神では不安しかない…


でもエリーは僕のいない間に~~なんて頭が回らない気がする。

レイナの様子も気になり見てみると…


「…」


レイナは何か考え込んでいるようだ。

レイナに何があったんだろう?



と、考えているとエリーが話しかけてきた。


「ティナとイシュルテと相談したら、ユウの血を飲んでもいいって♪」


まさか!

頭が緩いと思っていたエリーに外堀を埋めるという知恵があったというか!!!


ありえん。

ありえない。


「だから。。ユウを頂戴♪」


エリーに外堀を埋めるという知恵があった!

その驚愕の事実に驚いているとエリーは僕の肩に手を伸ばし…


ドン!!


「キャッ」


エリーの顔から火が吹き出…

イヤ違う。ティナが火魔法を使ったんだ。


さすが元聖女の火魔法… あれ?現役の聖女だっけ?

まあ、ともかくヴァンパイアの真祖を怯ませるなんて並大抵のことではない。


「エリー。そういうことは気軽にしちゃダメよ」


「う~~」


「それにユウ君の情操教育上よくないことは義姉として見過ごさないから」


今まで以上に義弟扱いになっている。

涙が出そうだ。


レイナの奴いつもみたいに笑っているんだろうな。。

と、思いレイナの方を見ると、まだ考え込んでいる。


なんかおかしい。


「エリー。血はユウ君の腕に噛みついて飲むようにしよう」


「いいの?」


僕の血が解禁になりエリーは凄く明るい表情だ。

その笑顔は太陽のように眩く生命力にあふれている…

ヴァンパイアが見せて良い表情かはわからないけど凄く良い笑顔だ。


ティナの提案通り僕が腕をエリーの方に向ける。

あうるとエリーは遠慮なくかぶりつき血を飲み始めた。


なんか疲れた…

いつの間にか僕の血の贈与が決まっていた点は何も言わないでおこうと思う。


………

……

…


「あの、エリーさんを殺したトワって…」


「ユウが勇者やっていた時の名前だよ」


「えっ」


僕がエリーの血を調べている間にレイナと残念女神が、こんな会話したらしい。

そういえばレイナは、僕が勇者トワだということを知らなかった。


どうしよう…

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