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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第一章 街はずれの錬金術師は元勇者様
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元勇者様は喧嘩の仲裁に失敗した

久しぶりに冒険者ギルドに行くことにした。


毎日トレーニングを行っているけど実践経験がないと勘が鈍ってしまう。

だから冒険者ギルドに行ってモンスター退治依頼を受ける必要がある。


一応、血を見たかったのではないことは強調しておく。


で、歩いていると冒険者ギルドの前に人だかりができている。

野次馬根性丸出しで人だかりに混ざってみると…


冒険者風のグループが険悪なムードで向き合っていた。



片方のグループは2人組の青年達。

鎧などは比較的新しいようだ。


もう一方のグループは世紀末のヒャッハーという雰囲気の5人組。

鎧とかに傷がある熟練者という感じの人達だ。


新人イビリかな?


僕がグループを野次馬として見学していると後ろから声をかけられた。

声をかけたのはギルドの受付嬢の一人で猫耳のリスティだ。

なんか面倒事に巻き込まれそうな気がするんだけど…


「ユウさん!あの人たちを止めてください」


嫌な予感は的中してしまったようだ。


「……人違いです」


僕は人違いで誤魔化そうとする。

でもリスティに一瞬睨まれたあと…


「ハァ~」


この溜息に『今後のギルド使用が気まずくなるぞ』という主張を感じた。

どうやら面倒事に付き合わないと今後に関わるようだ…


「仕方ないか…」


と、僕が諦めたときドサッと音が聞こえた。

どうやら新人君?の1人がヒャッハーに倒されたようだ。

仲裁するのなら早く動いた方が良さそうだ。


「どっちに加勢すればいい?」


「止めてくれるんですか?」


「止めるから、どちらに加勢すればいいか答えて欲しい」


少しイラついて口調が荒くなってしまった。


「どちらもケガをさせずに止めて…」


「それはヤめた方がいいと思う!」


冒険者ギルドの受け付け嬢が仲裁を求めている。

このことから冒険者ギルド内で起きたトラブルだと予想できる。

リスティの立場を考えれば片方に肩入れするのは好ましくないけど…


「すでに、一人が倒れているから中途半端な仲裁は後にひくかもしれない」


「う~。それじゃあ新人君を助けてください…」


「新人というのは一人で頑張っている方でいいの?」


「はい!お願いします」


僕は新人君の方につけと言われて本心から助かったと思っている。

なにせヒャッハーの方につくことになったら喧嘩両成敗にしようと思っていたから…

新人君を叩きのめすのは気が引ける。ヒャッハーの方はいくらでもヤレるけど。


僕は助けるために2グループの元に行こうとする。

しかし人混みが邪魔で前に進めない。


無理矢理体をねじ込んでも人が何度も押し戻されてしまう。

仕方ないので風魔法を使い野次馬を踏み台にしようとしたとき…


戦っていた新人君が体勢を崩した。

そこにヒャッハーが彼を斬ろうと剣を振り上げる。


(ヤバッ 間に合わない!)


そう思った次の瞬間、赤い炎が剣を振り降ろしていた相手の顔を燃やした。


「そこまで…」


深い紫色のローブをまとった小柄の少女が喧嘩を仲裁していた。


………

……


(カッコいい)


僕は少女に称賛を送った。

でも後ろではリスティが白い目で僕を見ている気がする。


後ろは振り返らないようにしよう。

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