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街はずれの錬金術師は元勇者様  作者: 穂麦
第一章 街はずれの錬金術師は元勇者様
13/88

元勇者様の優秀すぎるブレインは誰?

読み飛ばしても大丈夫です。

アレフ・エザームがユウの優秀なブレインとだけ覚えて頂ければOK

『アレフ・エザーム』は『ユウ・ヒウラ』を崇拝している。


アレフは9歳のとき、エルゴール病を患い命の危険にさらされた。

そのとき彼の両親もエルゴール病を患うこととなる。


そしてアレフの周りの人間達も次々にエルゴール病に倒れていった。


これはエルゴール病の流行…

かつて女神イシュルテがユウに薬を作らせた理由。


魔力の暴走を引き起こすエルゴール病は地獄を作り出す。


ささいなキッカケで魔法が発動して自分に降りかかる。

ある者は体内を火に焼かれ…

ある者の血は凍りつき…

ある者は砂のように崩れ…

ある者は肺を破裂させ…


アレフの周りでも少しずつ地獄が始まっていた。


それらを目の前で見せられ自分に訪れるのを待つしかない恐怖は、いかなる物か?

恐怖に押しつぶされ自ら命を絶つ者がいたほどだといえば伝わるだろう。


そんな恐怖に押しつぶされかけながら1週間を幼いアレフ・エザームは過ごす。

だが彼は1週間を過ぎた頃に助かることとなる。


1週間が経った頃に大量のエルゴール病の薬が届いたのだ。

アレフを診ている高名な医者すら知らないエルゴール病の薬。

それは薬師ギルドから届けられた物だった。


届けられた薬によりアレフと両親の病も治った。

残念ながら命を失った友人は多くいたが…


アレフは自分を助けてくれたエルゴール病の薬について知りたいと思った。

だが子どもだった彼では情報源も限られている。

このためエルゴール病の薬を誰が作ったのかは知ることが出来なかった。


~それから数年が経ち~


その日は街に賢者ウォーレンの一行が立ち寄っていると話題になる。

『アレフ・エザーム』も話題の賢者様一行に興味があった。

しかし隣の街に仕事で行く必要があり賢者を見る時間はとれない。


その仕事は気が進まない上に、どう考えても行き帰りの危険が高いとも考えていた。

しかし外すことのできない仕事であったため護衛を5人雇うことにする。

これは少なくはないが多いともいえない人数。


その日の仕事を考えれば妥当な出資といえるのは、この程度だと考えていた。

それは普段の彼からは考えられない判断。

この判断は仕事への不満により頭を鈍らせた結果であった。


そして最悪の形で、この判断がミスであったと証明される。


仕事の帰り道にアレフ達はモンスターに襲われたのだ。

アレフの護衛達は襲ったモンスターを平原が得意なモンスターだと判断する。

少しでもマシな状況にしようと森の中にアレフを誘導した。


しかし数分経つ頃には地獄が広がる。

爪に引き裂かれた者や喉元を噛み切られた者などが森に転がっていた。


黒く自分の背よりも高い獅子の姿をした3体の魔獣。

この獅子達が惨状を作り出した存在だ。


獅子達は強力すぎる魔物だった。

平原であろうと森の中であろうと人間は狩られる側であることに変わりない程の…


アレフの目の前には1人の戦士がいる。

戦士は肩から血を流し獅子に剣を向けている。


彼の命が尽きたとき自分が獅子の餌食になるんだろう…

アレフは自分の命が尽きようとしているのを感じていた。


そして、ついに黒い獅子が筋肉をしならせ襲いかかってきた!



黒い獅子が動いたときアレフは命の終わりを覚悟した。

だがアレフの視界の中で黒い獅子は不自然に崩れ落ちていった。


まるで積み木が崩れるように…

黒い獅子の体は散らばり崩れていく。


それは異様な光景だった。


獅子が崩れる数秒も満たない時間のハズだ。

だがアレフには、とても長い時間のように感じられた。


獅子が完全に崩れ去ると視界の端に少年が立っているのに気付く。

目の前に立っていたのは黒髪黒目で胸当てに小手などを装着した軽装備の少年。

そして右手に持った紅い反り返った薄刃の剣からは妖しくも美しさを感じた。


少年はアレフの目の前にいた戦士に何かを投げた。

そして軽くほほ笑むと…少年は再び消える。


少年の姿が消えると視界の端で2体の黒い獅子が先ほどの獅子と同様に崩れていく。


アレフと護衛の戦士は目の前の現実を受け入れられず呆然とし続けた。

呆然としたまま時間が少し経ったが今度は少年が姿を現すことはなかった…



まるで幽霊をみたような気分だった。

だが少年が投げた何かはポーションであり血を流していた戦士の体を癒した。

だから少年が幽霊や夢幻の類でないのは確かなハズ。


そんな風に答えが出るはずのないことを考えながらアレフは自分の街に帰る。

街にの屋敷に帰り考える余裕が生まれると不思議な事に気付いた。

アレフが自分の街に戻るまで全くモンスターに遭遇しなかったということに。


あの少年が何かをしたのか?


と思うも『まさかな…』と、少年に不思議なことを全て結びつける自分を嘲笑った。



アレフは自室の椅子に深く腰掛け、あの不思議な少年のことを思い出していた。

『彼は何者だったのだろう?』アレフは答えが出るはずのない質問を自答する。

しかし思考にふけっていると意識を手放しそうになる。


アレフ自信も気付かなかったが、彼は疲れきっていたようだ。

殺されかけたという精神的な疲れと逃げた肉体的な疲れは思った以上に深かった。

まぶたを開けているのも辛いことに今更ながら気付く。

従者に生き残った護衛を明日、呼ぶように伝えてから眠ることにした。



翌日アレフは少年のことを思い出していた。

そして、ある人物と特徴が合致することに気付く。

念のため呼び出した護衛と話してみると同じ意見だった。


少年は『光の勇者トワ』ではないのか?

これがアレフと護衛の考えだった。


もし少年が『光の勇者トワ』であれば、姿恰好が一致する。

さらに姿が消えたことも眼に映らないスピードで移動していたと考えれば…


(イヤ、ありえないだろ!)


トワの人外のスピードは否定した。

だが他に手掛かりがないので『光の勇者トワ』を調べることにした。



調査を進める中でアレフは気付く。

『光の勇者トワ』と『エルゴール病の特許を譲った人物』が同一人物であることを。


同一人物だと気付いた後も色々と調べた結果アレフは確信した。

「自分は勇者トワに2度、命を救われた」と。


その後アレフは、賢者ウォーレン一行を影からサポートするようになる。

大賢者ウォーレン一行は政治的な面や経済的な面などでアレフに何度も助けられた。


更に魔王討伐後にもアレフはトワ達を助ける。

勇者トワと聖女アリシアが権力者の駒にならないように支持者を集めて守った。

その後も彼らが利用されないように見守るために影で動いていた。


だがあるとき、ユウの錬金術師としての規格外の技術に魅了されてしまう。

そしてユウを崇拝するようになり彼のブレインとして動くようになった。


………

……


アレフの優秀さは彼が崇拝するユウの、この言葉によく表れている。


「キミが世界を裏から支配していても僕は驚かないよ」

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