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お前が世界を救うって。

一九九三年九月三日(一日目)

 朝、カーテンの隙間から差し込む日差しにハッとした。無意識に寝てたらしい。

 朝ごはんは中嶋さんがお茶とサンドイッチを用意してくれていた。贅沢。でも食欲は無かった。テレビを付けるなり、また細胞再生研究所のコマーシャルが流れた。欠伸をしながらサンドイッチを頬張ると分厚いベーコンが噛みきれない。高そうだな、と思う。

 と、いきなりバターンというドアの開く音。三島が入ってきた。

「おい、加藤」

「私が着替えてたらどうするんですか」

口にくわえたまま喋ったので伝わらなかったらしい。あ?三島が笑いながら私の口からサンドイッチを引っ張った。

「早くそれ食って出るぞ」

「昨日、出発は十時とか言ってたじゃないですか」

ようやくベーコンが噛みきれ、サンドイッチから口を放した。ちょうど三島から借りた携帯のアラームが鳴る。八時。

「予定はあくまで予定です」

三島は堂々としている。「もう一本、急遽出演が決まった」そう言うと私の顔をまじまじと覗き込んで言った。

「お前、顔色悪いよ」


 「じゃ、そのまま昨日の指示通りによろしく」

三島に両肩を掴まれる。これは三島の癖なんだろう。そして「お前やっぱ顔色悪いね」と笑われた。

 番組は昼のニュースだった。

 右に昔メイクの女子アナ、左に昔の髪型のアナウンサー、私は三島と並んで椅子に座った。

「只今より、占い師三島みちるさん、後継者加藤くるみさんが緊急生会見です。では、三島さん、加藤さん、よろしくお願いします」

 本番が始まるとさっそく女子アナが笑顔で紹介してくれた。

「おはようございます。三島みちるです。今月を持ちまして僕が引退するので、その後継者がこちら加藤くるみです」

「おはようございます。加藤くるみです」

私は笑顔で一礼した。撮影慣れしていてよかったと思う。

「加藤さんはまだ未成年なんですよね」

女子アナが小首を傾げ私を見た。はい、そうなんです、私は微笑んだ。「でも今月には成人します」

「あ、じゃあ、二十歳になるのに合わせて引継ぎですか」

女子アナが三島を見た。

「そうですね。ただ、まだ加藤は力が弱いので完全に交代するのはもう少し先になりますね」

三島は笑顔でカメラを見た。女子アナも笑顔のままカメラを見る。

「なるほど。では、ここで本日、加藤さんがお力を初披露という事で」

はい、私は頷いた。そして無意識に三島を見た。三島は私を無言で見返す。失敗すんなよ、と目が言っていた。

「今日は、第三十回メモリアルダービーの結果を」

私は控えめに言う。初登場で競馬の結果を言うのはどうなのか。今更ながら色々な意味でまずい気がしてきた。

 ふとスタジオを見回す。ADもスタッフも皆、私を凝視している。唾を飲み込み私は話し始めた。

「最初は」


 やるじゃん、加藤、番組終了後、スタジオ事務所に私と三島はいた。三島が予想以上に力強く私の肩を叩いたので少しふらついた。

「これで明日からのお前の仕事は順風満タンだな」

「満帆です」

私は俯いた。全部記憶を遡っただけだ。結局、この世界でも嘘をついている。どこにいっても私は人をだまし続ける。

「よし、明日からのスケジュールを立てるぞ」

三島がそう手を叩いた所で中嶋さんががに股で走ってきた。小声で三島に何か伝えると三島は部屋奥へ進み電話の受話器を持ち上げた。私はぼんやり昨日の夜の事を思い出した。三島は昨日何時に帰ってきたのだろう。

電話が終わり、振り向いた三島の顔は引きつっていた。

「加藤。俺寄るとこあるからまた後で打ち合わせする」


マンションに着くと、私はこの付近を散策する事にした。

中嶋さんは出歩かないようにと言ったが、ちょっとだけ、と笑顔でお願いした。昨夜はいろいろな意味でそんな余裕などなかったが今は随分と気持ちに余裕ができた。二十年前の町並みを歩いてみたいと思った。

とりあえず太い道沿いを歩く。すると驚く事に見覚えのある建物が見えた。

あの大学病院だった。こんなに近くにあったのだ。


 大学病院を見た瞬間、真っ先に思い浮かんだ事はあの少年だった。ほんの昨日の事なのに随分経っているように感じられた。

 あの少年に会いたいと思った。

 別に怪しげな宗教に力を貸そうなんて思わない。ただ、あの少年の事だけが気に掛かった。大体、私があの宗教に入った所で特に危険な事など無いはずだ。予言する力も資金力も無い私など、かえって向こうにとっては迷惑な存在でしかないだろう。私は息を深く吸い込み病院の自動扉をくぐった。と、次の瞬間唖然とした。

 三島が隣を通過したのだ。

 どうしてここに?

 全く私の存在に気付いていないようだった。忙しそうに隣を通過して行った。私は三島を追いかけた。

 三島は待合室で一人の男に片手を上げた。オレンジ色のプラスチック椅子に座っていたその男は気付くと立ち上がった。

 ひょろりと背の高い色白の男だった。二人並ぶと、モデル二人の撮影風景を見ているような錯覚に陥った。二人共通して色白で脚が長く、とにかく細い。髪型は三島がセミロングに対し、男は短髪だが毛足が長く、どことなく垢抜けていた。両者共に着ている服さえ違えば、二十年後でも十分、注目の的だったろう。

 男は「コーヘー」と三島に呼ばれていた。三島に似て目が細い。それだけでなく、他いくつか顔のパーツが三島にそっくりだった。もしかしたら兄弟なのかも知れない。

 「遅くなってごめん」

三島が笑った。すると、コーヘーと呼ばれるその男の方が申し訳なさそうに笑った。

「いや、しょっちゅう呼び出して悪い」

 昨夜の出先もこの男の所だったのか。撮影後の電話も。私は納得した。

 しかし、気になる点が二点。

 今日の撮影後、病院がマンションの近くにあるにも関わらず中嶋さんの車で一緒に帰らなかったのはなぜだろう。それに、昨夜の出先がここなら、中嶋さんにわざわざ車を出してもらわなくても歩いていける距離だ。三島は何を隠しているのだろう。

 三島はコーヘーと何やら話しながらエレベーターに乗った。扉が閉まってから、私はエレベーターがどこで止まったか確認する。

 やはり、十二階だった。エレベーターに乗り込むと12のボタンを連打した。

 あの宗教と何か関連があるのだろう。

 十二階に下りると、すぐにボディガードと思しき男二人に睨まれた。が、すぐに「どうぞ」と廊下を案内された。目の前で三島とコーヘーが腕を組んで笑っていたからだ。

 「加藤、隠れるの下手だな」

三島がいじわるそうに笑った。コーヘーも目を細める。笑顔がそっくりだ。私も口の両端を吊り上げ、三人はそのままボディガードに案内されるままあの部屋に入った。

 

 「あっお兄ちゃん達また来てくれたの?あっ、加藤くるみもいる!」

少年が笑顔で迎えてくれた。声は元気そうだったが、顔は青白かった。寝ているのだろうか。ちゃんと食べているのか。

 と、いうより、この少年は一体何をさせられているのだろう。

 児童保護団体に訴えてしまえば、この宗教は一気に解散するのではないか?

 例のドアから近藤が出てくる。

 「これは、加藤様まで、皆様お揃いで。では、こちらへ」

近藤が奥の部屋を勧めた。昨日私が拒否した部屋だ。でも今日は三人いる。例えこの二人がこの宗教側の人間だとしても、大丈夫、私のような文無し…以下略。

 隣の部屋は長机以外何も無かった。長机の上には数種類のリーフレットが並べられていた。

 驚かされたのは、その部屋からしばらく歩いてからだった。

 いくつにも分かれる廊下をしばらく歩いた所でガラス張りの部屋が視界に飛び込んだ。右手で繋いでいた少年の手を、私は無意識に強く握った。

 ガラス張りの向こうは研究室のようで、こちら側から見学できるようになっていた。研究室は天井が高く、とにかく広かった。大学の広いアリーナを思い出す。部屋全体が白く明るく眩しい。中には三十人ほどの研究者と思しき人達が頭の先からつま先までビニールのようなもので覆われた服を着て、先程から凝視しているこちらに目もくれずに作業をしていた。あちこちを数え切れないほどの赤や緑の太さの異なるコード、試験管やフラスコ、見た事のない電子機器が部屋中を満たし、上にはテレビがいくつも付いて、手術の映像やトカゲ等の動物をライブ映像で映していた。

 「加藤様は研究室をご覧になるのが初めてでしたね。こちらが、現在、国内最先端医療技術の研究を行っております研究室になります」

近藤が恭しく紹介する。私は一層少年の手を強く握った。なんだか怖かった。

 「そして加藤様の為に再度、幸人君にについてご紹介をさせて頂きます」

近藤は私の隣にいる少年を右掌で指した。

「彼こそが奇跡の子であり、国家機密となる大いなる謎を秘めた能力を持ち、全世界唯一切っての逸材であります」

 私は無言で隣の少年を見下ろした。幸人君と呼ばれたその少年は理解しているのかいないのか、無表情のまま私を見返している。

「それは一体、どういう事なのですか」

私が聞くと、では、お見せいたしましょう、近藤は幸人の右手を引いた。しかし幸人は私から左手を放さない。

「幸人君。言う事を聞きなさい」

近藤に窘められ、幸人はようやく左手を離した。

 途端、私は無意識に幸人の左手を再度掴んだ。

「ちょっと待ってください。何をするんですか。嫌がってるじゃないですか」

気が付いたら声を荒げていた。自分でもどうしてここまで興奮しているのか分からない。しかし、ふと隣を見ると三島もコーヘーも、今にも幸人を引き戻そうという格好だった。

 「ああ、ちょっとした実験です。大丈夫ですよ。もう五十回はやっているので本人が一番慣れています。何より、麻酔をしますから全然痛くない」

近藤が穏やかにそう言う横で幸人は明らかに動揺していた。青白い顔が更に悪化したように思える。

 麻酔が痛いじゃん、ボソリと三島が呟いたのが聞こえた。

 「三島さんも鈴木さんもまだご覧になっていませんよね。この機会に一度ご覧になってはいかがでしょう」

 まるで幸人が、とある新商品のような言い方だった。癇に障るその言い方に腹が立った。

「説明だけで結構です」

幸人の右腕を引き寄せた。しかし、驚く事に先程まで青白い顔をしていた幸人は私を見上げ笑顔を作った。

「くるみ、見てて。僕って天才なんだよ」

にっこりと微笑むその顔に圧倒された。三島もコーヘーも怯んだのが分かった。

「では、本人もそう言っているので」

近藤は溜め息を付きながら壁に設置された内線でどこかに電話を掛けた。その偉そうな態度が腹立たしい。この人の事は一生好きになれないだろう。

 しばらくすると、白衣を着た女性がワゴンを引いてやって来た。

「では、ご説明させて頂きます」

女性は笑顔で私達を見た。

「これから、幸人君の指を切断します」

 え?

 頭の中が真っ白になる。この人は何を言っているの?

 「切断する指は、万が一を考慮し、生活する上で一番支障の少ないとされる小指です。施術方法としては麻酔を使用し、本人に痛みが全く感じられない事を確認した上で切断は行われます。切断は骨まで完全に行います。数分後には幸人君の指が再度生えてくる事を確認していただけますのでご安心ください」

 吐きそう。

 私は座り込んだ。何を言っているの?おかしい。狂ってる。おかしい。

「いいよ、やらなくて」

三島が声を荒げた。

「もう映像で確認したからいいです」

コーヘーも不機嫌だった。

 しかし、近藤は言った。

「この度、国家の為に貢献いただけるあなた方にお見せしないのもおかしな話です」

そう言った瞬間、既に白衣の女性が幸人の右手甲に麻酔と思われる注射を打っていた。

「やめて」

私は幸人を抱きしめた。涙が溢れ、吐き気が止まらない。本当に吐くかも知れない。

 しかし幸人は笑って私の右手を握り返した。

「すぐ終わるから大丈夫だよ」

 麻酔を打ち終えると今度は女性が小型のチェンソーのようなものをワゴンから取り上げた。

 いよいよ私は気絶した。

 目が覚めると、白い世界だった。白い壁に囲まれた白いベッド。どこかで見た景色だ。頬に涙の後残り突っ張っている感じがする。最悪な夢。

 しかし夢じゃなかった。

 私は隣を見てまた泣きそうになった。幸人が飛びついて来たからだ。

「くるみ、起きた?」

元気そうな幸人にホッとしながらも幸人の右手小指を見る。

 そこには何事もないかのように幸人の小さな指があった。まじまじと見るが、切った跡ですら全く残っていない。一方、幸人はくすぐったいよと笑っている。

 本当に切断をしたのだろうか。

「指、切ったの?」

詰め寄ると、私のあまりに真剣な形相に幸人は圧倒されたようだった。うん、小さく頷いた。悪い事をしてしまったようなそんな顔をしている。違う、怒っているんじゃない。確かに怒りたくもなるけど。言われるままに大切な指を切るなんて。

 でも、幸人は全然悪くない。悪いのは100%、この細胞再生研究所。怒りで震えが止まらなかった。あまりのショックと怒りで泣きそうになり、吐き気もした。

 狂っている。この病院は狂っている。

 呆然としているとドアが開き、三島とコーヘーが入って来た。

「加藤、起きたじゃん」

三島がニヤニヤしながら部屋に入って来たが、私の顔を見るなり真顔になった。

「お前」

隣のコーヘーも私を見ると眉を寄せた。「大丈夫?」

 「ありえないですよ」

私は声を震わせた。「子供の指を切ったんですよ」

 ありえない、私は何度も繰り返した。しかし三島は私にリーフレットを投げた。「これ、見てみ」

 細胞再生研究所、と書かれたそのリーフレットは既にもらっていた。持ってます、私はリーフレットを床に叩き付けた。幸人がその動作を見てビクッとする。だめだ、いけない。幸人は私達の為にやってくれたのに。

 私は口を尖らせリーフレットを拾い、最初のページを開いた。

 「細胞再生研究とは、その名の通り細胞の再生を意味します。しかし、本研究では本来行われるものとは異質の、特殊な再生を指します。例えば、身体の一部である指。指を何らかの要因で失った場合、指は二度と生えてきませんが、もし再度指が生えてきたらどうでしょう。細胞再生研究とは、具体的にそういった本来再生しない細胞の再生について研究しています」

 最初のページを読み終え私は納得した。

 幸人は本来再生しないはずの再生が出来る。全世界切っての唯一の逸材、とはこういう事なのか。

 「もし、本来再生しないものが再生できるようになったら、この世界はどうなるでしょう。戦争や事故等で失った身体の一部が再生できるようになれば、手術の数は減り、手術に掛かる費用、その他コストは一切無くなります。より多くの他の手術を行う事ができます。より多くの人々が普段通りの生活を送れるようになり、長く生き続けられるようになるでしょう。」

 私は溜め息を付いた。幸人を見る。見た目はその辺の子供と何一つ変わらない、ごく普通の少年だ。しかしこの子に課せられた使命は大きすぎる。

 「この研究のきっかけとなったのは、ある一人の少年でした。橘幸人君。彼は人類で初の異質の細胞の再生が出来る人物です。我々、細胞再生研究所は、彼の遺伝子レベルから研究をし、いずれこの地球上全人類の大きな進化を目指します」

 

 「始めまして。鈴木耕平です」

大学病院から出た瞬間、コーヘーと呼ばれていたその男は頭を下げた。改めて見ると本当に綺麗な顔をしている。鈴木、という事は三島の兄弟ではないのか。

「お二人はどのようなご関係なんですか」

そう聞いた所でタイミングよく赤い車が隣の道路に滑り込んだ。中から二十代半ばくらいの女の人が手を振っている。「コーヘー、三島くーん」

「ああ」

耕平は微笑んで女の人に手を振り返し、こちらを振り向くと照れくさそうに笑った。

「嫁」

 嫁?一見、歳は三島と同じくらいなのにもう結婚してるのか。目が点になっていると更に驚かされる。車の中から三歳くらいと思われる男の子が顔を出し手を振ったのである。「パパ」

 耕平は目尻を下げ、笑う。「みっちゃん、いい子にしてた?」ニヤニヤしながら、じゃあまた、と手を振って車に乗り込んでしまった。

 残された私と三島はそのままマンションまで五分ほど歩いた。

「分からない事がいくつかあるんですけど」

隣の三島を見ると意外にも笑っていた。

「うん、当然だと思うよ」

そして、何でも答えるよ、とまで言った。「もう加藤、全部見たからね」

 

 マンションに着くと、中嶋さんの部屋のチャイムを押した。しばらくすると、中嶋さんが顔を出す。ついでに三つ編みおさげの女の子も顔を出し、カレーの匂いまで顔を出した。ばんわー、三島が営業スマイルで中嶋さんとおさげに挨拶をする。

「明日の予定を教えてもらってもいいすか」

 しばらく三島が中嶋さんと話す間、私はおさげに会釈をして微笑んだ。おさげは警戒しているような顔で私を見るだけだった。ニコリともしない。目の形が中嶋さんに似ているので娘さんだろう。当然といえば当然かも知れないが、中嶋さんはこのマンションでご家族で住んでいる事を知った。

 

 「あざーす」

確認が終わり三島はドアを閉めこちらを振り向いた。いつものように私の両肩を掴む。

「よっしゃ、明日は夕方までフリーだから、さっそく売り込みするぞ」

はい、私は返事をした、瞬間、固まった。閉まったはずの中嶋さんのドアの隙間から視線を感じたからだ。視線の主は間違えるはずも無い、先程のおさげだった。どんな子なのだろう、部屋に戻ると私は一人苦笑した。肩に少し寒気を感じた。


 橘幸人、あの少年を見張るんだ。

 帰り道、三島に言われたその一声がいつまでも頭に残った。

 鈴木耕平は知る人ぞ知る神がかった占い師らしく、同い年でありながらも三島の師匠に当たる存在らしい。あまりに力があり過ぎた為に過去に色々経験している苦労人だと三島は言うが、失礼ながら私にはただのハンサムパパにしか見えなかった。車から顔を出したのはみっちゃんという四歳の息子で、超美人な奥さんは雅さんといって、あの大学病院で看護師として働いているらしい。

 そしてその耕平の予言によると、橘幸人という存在が今後、全世界の平和を脅かす存在になり得るらしい。今日のあの事件からして、いつか取り返しのつかない事になる気はした。耕平の予言は私にとって予言で無かった。私はただ幸人くんをあの地獄から救い出したかった。

 あ、そうそう、三島がバツが悪そうに笑っていた。ごめん、お前が未来から来ること、それも実はコーヘーから聞いててさ。私がポカンとしていると三島は続けた。

 でさ、コーヘーが言ってたんだよ、あれ、忘れてないよね?

 お前が世界を救うって。

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