表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アリフェレット異海譚  作者: 水炊き半兵衛
Last Ep:アリフェレット異海譚
30/34

30.全勢力

「成る程、亡霊か」


 リッチであるアインハルト爺さんが納得したように呟く。もたらされた情報に一同は苦い顔を隠しきれていない。

 当然か。下手をうてば世界滅亡すらあり得る状況だ。楽観視できるものではない。


「すまんな、結局頼ってしまって」

「いや、話が来たのが早かっただけだ。それでリリア、現状はどう纏まっている?」

「魔物だけなら我々でどうにか沈静化させるつもりだった……が、こうなっては国喰卿に出張ってもらう他ない」

「だからその二つ名みたいなのはやめてくれ……」

 

 まさかリリアにまで言われるとは。まぁ、この二つ名のおかげで色々助かってる部分もあるがどうにも慣れない。


「各国が保有する戦力は?」

「アズリア神州ならば神谷の術兵と小角の侍と言ったところだ」

「インパニスはまぁ、その……察してください」


 あぁ、小角の侍も出してくれるのか。それはありがたい。インパニスに関しては仕方がない。真っ先に潰されているのだから。


「アズリアからは海竜騎士ドラゴンナイトを」

「レストールは亀甲騎士タイマイナイトを出しましょう」


 よしよし、まぁここまではある程度予想通りだ。レオノールに打診もしてあるしアズリアの戦力は心配していない。

 レストールもティリアスならば出すだろうと踏んでいた。残るは……。


「正直な話、リリアとアインハルトが何を出してくるか予想がつかないんだが……」

「そうじゃな。ワシからは配下の者を出そう。勿論、ワシも戦力として入れてくれて構わんぞ」

「爺さんの配下? ……いたか?」

「まぁ、実際に見てもらうとするかの」


 爺さんが杖を掲げて二、三何かを呟いたかと思うと無数の法程式が絡み合い、一つの円陣が完成する。

 その中央にはどこか見覚えのある少女が一人。そしてリリアが尋常じゃないくらいに驚いている。


「我が娘、ルナじゃ。ルナティア・オルド・ニフ・イーギスと言えば分かるじゃろう?」

「馬鹿なッ!? ルナの父親は――!」

「公的には無論、当時の王じゃよ。さすがにリッチが父では外聞が悪くてのぅ」

「では私の父も……あなたか? アインハルト卿」

「うむ。とは言え今はしがない公爵じゃて。当時の王も儂が作った人形じゃったし、表舞台へ出るには聊か問題がなぁ」


 冗談抜きで勘弁してくれよ。そんな歴史の裏側なんて知りたくなかった。と言うか、あれ?


「内乱止めろよ爺さん」

「単なる公爵が止められる内乱では無いわい」


 当時の王に仕事させろよ。単に面倒だっただけじゃねえのか。


「それで、そのルナは何ができる?」

「ルナも魔の血を多く引き継いでおっての。植物を自在に操れる。まぁ、あのバカ共の足止めくらいはできるじゃろう」

「そうか。つか、爺さんを見てたらこの世界って割と不死者が溢れてるんじゃ……」


 そう言いつつ見回すとほぼ全員が首を横に振っている。


「イーギスが異常なだけで、他の国に不死者などいません」


 代弁するかのようなティリアスの言葉に頷く。そう言えば不死者はこぞってイーギス関係だな。さすが魔の巣窟……。


「儂らのような不死者ほどでは無いが、ルナも長命でな。数千年は生きるから文字通り"お隠れ"になってもらったわけじゃよ。魔の混血とは知られておらんかったし、病死と発表しても誰も不信に思わんかったわい」

「それで次の代へ引き継いだのか」

「まぁ、それが今のセレスじゃな」

「おい」


 そんな昔からセレスが統治してたのかよ!


「セレスはリビングデッドという事が公にされたからどうしても直接的な死因が必要でな。不死者は病気などにならんし、正直面倒だったのじゃよ」

「それでよくもまぁ国を回してきたもんだ」

「上がどうすげ変わろうと、民にとって生活に影響せんかったらどうでも良いしのぅ」


 よくもまぁ悪びれもせずに言えるのもだ。いや、だからこそ今日までイーギスを存続させることができたと言ってもいいのか。


「それでリリアからは……」

「あ、あぁ……叫喚の一族から見繕うつもりだ。それと、エナに助力の打診も取り付けてある」


 世界中のほぼ全勢力があの迷惑な二人に向けられるわけか。しかし、これでもまだ不安が残る。


「魔法戦艦の数がなぁ……」


 一隻で無双とは言うが、それは国家間の戦争での話だ。間違っても魔物の軍勢に向けられる言葉ではない。

 規格外なのが二人、それに触発されるカタチで海の魔物が群れとなって各地を襲う地獄絵図。

 そこに魔法戦艦を投入するのは、俺でさえも前代未聞だ。そんなセッションすらやったことない。

 けれど、だからこそ燃える。これまでのように安全策を講じて云々などは通用しないだろう。だがそれはこの世界で生きていくうえで当然のことだ。

 人生に安全など無い。ここで逃げればどの道世界が終わる。だったら足掻くしかないだろう。


「一朝一夕で造れるもんでもないし、仕方がない。バルトルード商会からは魔法戦艦六隻、全て出す」


 幸い、アリフェレットとアズリア神州に集中しているからすぐに終結させることができるだろう。

 さてそれじゃあ、怪物どもと世界を賭けた大戦争を始めるとするかね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ