失踪中に見つけたカギ
ようやく、二章、始まりました!
見つけた、と思った。
癖のない黒い髪に、深い藍色の瞳のを持つ、とても整った顔立ちの少年。
少女にとって、それは、カギだった。
「……誰?」
少年が問いかけてくる。
「ルフレ。ルフレ・レンティシア・ルミエハ」
「……ここらへんで、ミドルネームを名のるってことの意味、分かってんの?」
少年が驚いたように、それでも、少しだけ警戒を和らげて、問う。
「ミドルネームを大切にするの、ヴェントス領の風習だったの?」
「ああ。それに、大切にするってだけのものじゃない。それ、ほとんどプロポーズだよ」
少女は驚き、少年を見つめる。
「……じゃあ、あなたは、ミドルネームを名乗らないで。そして、私の名前は、あなたの心の中にだけとどめておいて」
「レオ。レオって呼んで」
「そう、じゃあレオ。ルミエハ、には反応しないのね」
「……オブスキィトは、必死にルミエハと協調しようとしてる」
「知ってるわ」
「だから、俺だって、気にしない」
そう言い切った少年の意志の強さがうかがえて、少しだけほっとする。
「でも、やっぱり、ルミエハを嫌いな人も、いると思う」
「……そうでしょうね。そして、それの方が、安全なのかもしれないわ」
「あんた、ルミエハの人らしくないね。噂と違いすぎる」
「ええ。よく、言われるわ。褒め言葉として受け取っておけばいいのかしら?」
「もちろん」
少年はあっさりと答えて、少女は思わず苦笑した。
「ここに、何しに来たの?」
「……姉のように思っていた人が、つい最近、殺されたの。だから、殺した人を知りたい。その証拠をつかんで……復讐したい。ただ、それだけよ」
「復讐、か。神に殺された母親の敵は、どうやってとればいいんだろうね?」
「お母さん、お亡くなりになられたの?」
「ああ。三日前に、病気で」
「……そう。それは、残念だわ。レオのお母さんが、どんな人か、会ってみたかった」
後半はほとんどつぶやくように言ったが、少年には聞こえたらしい。
「会ってみたかった……か。まあ、美人で、優しくて……俺にとっては、良い、母親だったけどな」
「幸せね。母を、尊敬できるのは」
少年は少し驚いたような顔をして、そして、納得したような顔をしてうなずいた。
「母さんは……きっと望まない」
「え?」
「俺が、こんなところで、落ち込んでるのは」
「……そうね。きっと、いつでも笑っていてほしいと、願うでしょう」
「あんた、母さんみたいなこというんだな」
「そうなの? ……似てる? あなたのお母さんに、私が?」
「……ああ。似てる。言うことも、雰囲気も、見た目も……あんた、母さんと同じで、黒髪で美人だし。全体的に」
「喜んで、いいのかな」
「嫌か? 俺の、あんたと歳がかわらないようなやつの母親と同じにされるのは?」
「……いいえ。むしろ、嬉しいわ。ありがとう」
「……ここらへんで、宿をやってるの、俺の家だけだけど……来る? クロエも、客が来たって言えば喜びそうだし。落ち込んで暗いのは、俺だけじゃないし」
「そうね、喜んで」
黒髪の少女は、そう言って微笑む。




