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光の奔走  作者: 如月あい
一章 光の失速
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突き放してでも

 待ちに待った、再会の日。

 本当は、伝えたいことが、たくさんある。

 それでも、赤銅色の髪と目をした少年は、静かに目を閉じる。

 黒髪、深緑の目の少女の首に、かすかに光る銀の鎖。

 それを意味することを忘れたわけではない。

 それでも、少年は、何かを決めて、彼女を見る。

「はじめまして。デュエル・オブスキィトです。デュエルって呼んでほしい」

 できるだけ平静を装って、愛想をよくして、少女に話しかける。

 心臓が激しく脈打つ。

 いつのまにか、少年は下を向いていた。

 少女が言葉を発するまでの間は、永遠と思われるほど、長かった。

「はじめまして。オブスキィトの人ね?ルフレ・ルミエハと言います。私もルフレでいいわ」

 少女の言葉に、少年は顔をあげる。

 そして、体が一気に冷えていくのを感じた。

 黒髪の少女は、微笑んでいたが、その深い緑の目は、影を宿していた。

 そして、少女は、一瞬にして闇に飲まれる。




「……ぃ」

 赤銅色の青年は、一気に体を起こす。

「夢……」

 あと五つ月が過ぎれば、十九になる。

 一の月の一日。

 毎年、この日は、この夢が多かった。

 少女の言葉までは、すべて現実に起きたこと。

 しかし、彼女の表情は、あの時怖くて見れなかったから、自分の想像にすぎないのだ。

「もうちょっとだけ……」

 自分は彼女をいつまで待たせるのか。

 それより、彼女は果たして自分を待っているのか。

 

 それでも青年の思いは、あの時と変わっていなかった。


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