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Sweet Message 

作者: 水聖

バレンタイン女子会企画小説です。

ネタ提供してくださったHANA子さん、感謝ですw


2月の初め、立春が過ぎたとはいえ、まだまだ本格的な春は遠いこの寒ーい季節。女の子を1年で一番熱くさせる行事が近づいてくる。

そう、聖バレンタインデー。


でも、あたし牧野美月まきの みづきにとってはかなり憂鬱な日だったりする。


バレンタインって、もともとは男女の区別なく好きな人に日頃の思いを込めてプレゼントを贈る日なんだけど、クリスマスが本来の意味とはまったく違った行事となっているように、日本ではこの日はなぜか「女子が男子にチョコを贈って告白する日」になっている。

いつからどうしてそうなったのか知らないけど、お母さんに聞いたら「お母さんのときからそうだったわよ」って言っていたから、かなり昔からそうなんだろうなあ。

はあ、全く面倒な日を作ってくれたもんだ。


毎年、この時期はため息が出てしまう。なぜって、TVのコマーシャルの影響かなんかだと思うんだけど、いつの間にか「買ったチョコより手作りチョコのほうが思いが伝わる」ってことになっているみたいで、男子が明らかに市販のチョコと手作りのものでは贈ったときの反応が違うのだ。

「うわー、これ手作りじゃん」とか言いながら満面の笑みを浮かべる男子と「そうだよ、頑張ったんだから」と得意げに微笑む女子。毎年そういう光景を見てきた。

ふーんだ、シロウトのつくったチョコよりプロのチョコのほうがおいしいに決まってるじゃん、と思ってはみるものの、やっぱ負け惜しみっぽいようなあ。

なんてことを思いながら学校への道を一人とぼとぼと歩いていたら、後ろから肩を叩かれた。


「おはよー、牧野」


声をかけてきたのは香住かすみ 祐介ゆうすけ同じクラスの男子、そして、あたしのブルーの原因。

あたしが香住のことキライなのかって。

ううん、そうじゃない。

その、反対。

キライの反対はスキだよね。


「おはよ、香住。朝から元気だね」


香住は満面の笑みでそれに応じた。


「おう、今日の3,4時間目調理実習だからな」

「そっか。香住は腕の見せ所だもんね。今日はロールケーキだっけ」

「そうそう、スイーツだと特にテンション上がるよな。バレンタイン近いし美味いケーキ作ればホワイトデーのお返し目当てにチョコくれる女子もいそうだしな。ところで牧野」


できればこの話題は避けたいなー、というタイミングで突然名前を呼ばれてドキッとする。


「何か元気ないな。腹でも痛いのか」

「違うよ。もう、デリカシーない聞き方だなあ」

「じゃあ何でそんなムズカシイ顔してんだよ」

「え、それはあの。ほら、2時間目物理だからユウウツだなーって」

「そっか、オマエ物理苦手だもんな。でもその後の楽しい調理実習こと思って乗り切れよ。じゃあな!」


そう明るく言うと、香住は走っていっちゃったんだけど。全然わかってないんだなあ。

そりゃ物理は大嫌いだけど、それ以上にあたしをユウウツな気分にさせてるのは、ほかでもないその調理実習なのだ。

あたしには女子として決して知られたくない秘密がある。それは。

あたしは、それはもう壊滅的に料理が苦手なのだ。



あたしは料理が苦手だ、と言ったけど、正しくは、ほとんど出来ないと言ったほうがより現状に近い言い方だ。


もちろんチャレンジしたことは、何度かある。だけど目玉焼きすらまともに出来たためしがないから、お母さんも調理の手伝いはさせてくれなくなった。

うちのお母さんはフルタイムで働いていてとても忙しいのにちゃんと毎日ごはん作ってくれるから、あたしも出来れば手伝いたいんだけど、あたしが手伝ったりするとかえって時間がかかるから敢えて遠慮してるというのがホントのところ。


でも、そのぶん食器を出したり洗い物をしたりするのはやってる。早いしきれいだってお母さんも褒めてくれてるし。

だけどやっぱり、高2にもなって自分で料理できないのはかなりのコンプレックスだ。

バレないようにたまの調理実習では苦労してる。計量係やったり率先して洗い物をしたり、とにかく実際の調理にかかわらないようにして何とか乗り切ってきた。

なのに。


なのに、あたしったら何で毎日自分の弁当を作ってくるような料理上手な男を好きになっちゃったんだろう。


もうすぐバレンタイン。

できれば友チョコでもいいから香住にチョコ渡したい。

でも、スーパーで買ったそのままを渡したくはない。これはキモチの問題なんだけどさ。

だからといって目玉焼きすら作れないあたしに手作りチョコなんて夢のまた夢。

今のところ香住に彼女はいないみたいだけど、バレンタインチョコを渡した女子の中にもしも香住が気に入ってる子がいたとしたら。やっぱりハッピーエンドになるんだろうなあ。

そう思うと居ても立ってもいられない。

それなのに、あたしは何もできない。

ああ、バレンタインの精霊かなんかが現れてあたしにおいしいチョコの作り方とか教えてくれないかなあ。

あたしはもう一度深いため息をついた。



あたしが香住を意識するようになったのは1学期の半ばから。それまでは特になんとも思ってなかったんだけど。

あれは物理の中間テストの答案が返ってきた時だった。

あたしは理数が苦手なんだけど、とくに2年になってからは必修科目の物理が鬼門中の鬼門になった。

もう何がなんだかさっぱり理解出来ない上に、ムズカシイ計算もしなきゃならないなんて、こんなドSな教科滅びればいいのに、と本気で思っていた。

で、ついつい勉強もおろそかになって、結果。

38点という、絶対に人様に見せられない答案を貰ってしまった。

欠点は35点未満だからギリ追試は免れたけど、成績通知書に思い切り黄色の線を引かれ、2週間の補習授業を食らってしまった。

自業自得とはいえ、さすがに落ち込んでいたら目の前にセロファンに包まれた星型のクッキーが出現した。

びっくりして顔を上げたら香住と目が合った。


「なに、これ?」

「なにって見りゃわかるだろ」

「うん、クッキーだよね。てか何で?」

「落ち込んでるみたいだからさ。それ食ってみ、元気出るから」

「う、うん」


言われるままにクッキーを口に入れた。

サクッといい音がしたと思ったら、バターの香ばしい香りと上品な甘さが口の中いっぱいに広がった。うわあ、なにこれ。超おいしい。


「美味しーい。これ手作り?お母さんが作ったの、あ、もしかして彼女?」

「あのなー、どこの世界に彼女から作ってもらったクッキーを他の女にやる男がいるんだよ」

「あはは、そういえばそうだよね」

「彼女はいねーよ、残念ながら。それ作ったのはオレ」

「えー!?」


男の子が手作りクッキー?!って、心底驚いたけど、よく考えてみたら有名なパティシエには男性が多いし、体力のいる仕事だからそんなに不自然なことでもないのかな。


「すごいね。こんな美味しいの作れるなんて。他にもできるの?」

「料理なら一通りのことは出来るぜ。弁当だって毎日自分で手作りしてるし」


うう、弁当を毎日手作り。クオリティ高!

忙しいお母さんに毎日弁当作らせてる自分が情けない。


「よし、元気になったな。それ食って勉強がんばれよ!」


そう言うと香住は立ち上がった。

げっ!バレてる。って思ったけど、なんだか心があったかくてすごーく幸せな気分になれた。でもってほんとに大嫌いな物理の補習も頑張れそうな気がしてきた。クッキーのパワーかどうかは定かでないけど、その後あたしはなんとか補習授業を乗り切り、以後、お世辞にも好成績とは言えないまでも、あそこまでひどい点数をとることはなくなった。

香住のおかげかな。いいヤツだなーと思うとなんかちょっとドキドキしてきて。


それ以来、あたしにとって香住は気になる存在になった。



そして3時間目。調理実習の時間がやってきた。今回も無事に乗り切れるかどうかちょっと心配。


最初は班分け。男子、女子で偏らないように男女別に分かれてアミダで班が決まる。誰と一緒になるのか、いろんな意味で緊張の一瞬だ。

あたしは2班。一番仲良しのサエがいるから心強い。サエは小学校のときからの親友であたしが料理苦手なことも、香住のことが好きなことも全部知ってる、貴重な友達なんだ。

ちょっとほっとしながら、あたしは男子3人の待つ調理台へと向かった。


「おー、牧野に島田に山本。よろしくな!」


え・・・。

ニコッと笑ってあたしたちに声をかけてきたのは、なんと香住だった。

サエがニッと笑ってあたしの腰のあたりをつついた。たぶん「やったじゃん!」ってイミだと思うんだけど。

これってラッキーなのかアンラッキーなのか。

香住と2時間一緒なのは確かにうれしい。うれしいけどさ、あたしが料理できないことが香住にバレるって危険値もものすごく高いわけで。

ううう、どうしよう。緊張マックスだよー、どうか無事に乗り切れますように。

あたしはそう神様に祈りながらエプロンを着けた。

すると、それを見たサエが


「うわ、美月のエプロン、超かわいい。え、なに。三角巾もお揃いなの?」


と言った。


「あ、うん」

「ほんとだー、いいな。可愛いエプロン見つけてもバンダナと合わなかたりするんだよね。これってセットで売ってるの?」


サエの言葉に山本さんも食いついてきた。そりゃあね、女の子にとってはオシャレは最大の関心事。でも学校は普段制服だからオシャレっていっても限界がある。

だからエプロンひとつとはいえ、手を抜きたくないのは当然だよね。


「ううん、これ自分で縫ったの。あんまり気に入ったエプロンが売ってなかったから」

「マジでー?!美月すごい。ほんと可愛いよ。赤のギンガムチェックがいかにもバレンタインーって感じだしそれにここの白の縁取りもいいよね」

「うん、可愛いけど爽やかっていうか清潔感がある感じがねー」

「そ、そうかな」


ふたりの口々に褒められてちょっといい気分。あたし料理は苦手だけど裁縫は得意なんだ。

だから家庭科の点はかなりいい方。調理と違って個人評価だしね。

でも調理はグループ評価だから、あたしがみんなの足を引っ張らないようにしないと。


「おい、そこの女子3人!口動かしすぎ。さっさと用意して材料取りに行ってこいよ。早くしないと昼休みに食い込むだろうが!」


エプロン褒められて調子に乗ってたら香住に怒鳴られた。


「すいませーん!!」


慌てて材料を取りに行きながらあたしは泣きたい気分だった。やっぱり前途多難だよー、香住の前で大失敗したらどうしよう。

ああ、どうか2時間が無事に終わりますように。



「よし、材料は揃ったな。じゃあ卵の泡立てからやるぞ」


香住が料理得意っていうのはみんな知ってるから、仕切るのは香住だ。あたしは悪い意味で例外としても、香住以外は男子も女子もほとんど料理の経験はないらしく、自然と香住が中心になっている。


「牧野!」

「は、はいっ!!」

「おー気合い入ってるな。そこのボウルに卵割り入れてくれ。泡立てるのは力がいるからオレと松永が交代でやる。」


えー?!な、なんであたし?

ボロが出そうで怖いよー。でも卵割るくらいなら、あたしにもできる、よね?

あたしは恐る恐るボウルの縁で卵を割ろうとした。でも、おっかなびっくりやってるせいか、なかなか割れない。力が足りないのかな。

そう思ったあたしは力を入れて卵をボウルに打ち付けた。


その途端、卵の殻はぐしゃぐしゃに潰れ、おまけに肝心の中身はほとんどボウルの外に出てしまい、ボウルの中には大量の殻が残されてしまった。

手はベトベト、テーブルはこぼれた生卵でドロドロ。卵割ろうとしただけなのになんでこんな最悪の事態になるの?

周りの空気が凍りついているのが痛いくらい感じられる。

どうしよう、どうしたらいいんだろう。


「牧野、気合い入りすぎ」


気まずい沈黙を破ったのは香住の声だった。


「さっさと手とボウル洗えよ。それから島田、卵新しいの取ってきてくれ」


何事もなかったように布巾でテーブルを拭きながら香住が言う。その声にみんな我に返って、それぞれの仕事を始めた。

あたしも香住に言われた通りに手とボウルをきれいに洗って香住に手渡す。すると香住はボウルの中をキッチンペーパーできれいに拭った。


「ちゃんと水分取らないと卵が泡立たないからな」


そうなんだ。ほんとあたしったら何も知らない。情けなくて悲しくてこの場から逃げ出したかった。


「はい、新しい卵」

「おお、サンキュ」


サエが持ってきた新しい卵を受け取ると香住はそれをボウルの縁に軽く当てた。コツンと小さな音がした。香住がほんの少し右手を動かすと卵はきれいに割れ中身がボウルに落ちる、見事なまでの片手割り、もちろん殻なんてひとかけらも入っていない。

すごい、卵割っただけなのに香住がヒーローに見えてくる。てか、あたしとのあまりの違いに情けなさを通り越して惨めになってきた。

やっぱりあたしが香住のためにチョコ作るなんて無理だ、おこがましい。そう思うと胸の奥がキリキリと痛んだ。


それからも、あたしたちは香住の指示に従って作業を進めた。たぶん、あたしが料理がダメだって気づいたんだろう。香住があたしに頼むことは天板にオーブンシートを敷くとか紅茶のティーバッグを取ってくるとか、絶対に失敗しないようなことばかりだった。

それはありがたいことだったけど、惨めさは余計に身にしみた。

器用でもの覚えも早い山本さんに香住がロールケーキの巻き方を丁寧に教えているところを見るのが辛くて仕方がなかったけど、こんなあたしじゃ嫉妬する資格すらない。


出来上がったロールケーキはスポンジがしっとりふわふわで中のホイップクリームもなめらかで、すごーく美味しかったけど。

あたしにとっては、涙のしょっぱさもプラスされて。

とってもフクザツな味だった。



2月10日。バレンタインまであとわずか。実質今度の土日が勝負なんだろうな。

学校帰り、あたしはスーパーのバレンタインコーナーに立ち寄っていた。


色とりどり、さまざまな種類のチョコレート。高級な本命チョコからクラスみんなに配るご挨拶チョコまで、包装されているにも関わらず、甘い香りがそこらじゅうに漂っているような気がする。

その一角に「思いを伝える手作りチョコ」というコーナーが設けられていて、たくさんの女の子が群がっていた。

あたしもちょっと興味をひかれて覗いてみる。

ベースになる基本のチョコレートには、スイート、ミルク、ホワイト、イチゴやメロン、抹茶やバナナのフレーバーのものもある。

これって溶かして固めればいいのかな。だったらあたしにも出来る?でもやっぱ自信ないなあ。


「整形チョコは温度管理が結構難しいぞ」


え、い、今の声、まさか。恐る恐る振り返る。


「か、香住。なんでいるの?ここバレンタインチョコのコーナーだよ」

「いちゃいけないのかよ。別に男子禁制ってわけじゃないだろ」

「そりゃそうだけど」


こっそりと手作りチョコのコーナーを見ていたことを当の本人に見られたっていうのはかなり恥ずかしい。ましてやこないだ調理実習で醜態晒したばかりだし。


「チョコ作りたいのか?」


はい、そうです。でもあたしなんかがって思われてるんだろうな、卵もマトモに割れないヤツが手作りチョコとか笑っちゃうもん。うん、もういっそ笑ってくれていいよ。

そう思ったけど、香住は笑わなかった。

真剣な表情であたしの方を見つめている。どーしよ、そんなイミじゃないってわかってるのにドキドキしてきちゃう。


「別にそんなんじゃないよ。あたし料理苦手だもん、香住だって気付いてるんでしょ」

「卵の件か」

「うん」


ああやっぱり気づかれてた。うすうすわかってはいたとはいえ、本人に指摘されると一層悲しくて情けない。


「まあ、慣れてないのはわかったよ。でも誰だって最初はあんなもんだ」

「そ、そうなの?香住もそうだったの、最初から上手だったんじゃなくて?」

「初めから上手な奴なんていないって。失敗しながら上手くなっていくもんだ、料理に限らずなんだってそうだろ」

「うん」

「もう一回聞くけど、牧野、チョコ作ってみたいんだろ」

「うん、作りたい」


今度は意地を張らずに素直に言えた。そして、あたしはまた香住に惚れ直してしまった。

香住って、ほんとにいい男だ。さっきまで悲しくて泣きそうだったけど、こんどは嬉しくて涙が出そうになった。


「だったら頑張ってみろよ、手伝うから」

「へ?手伝うって?」

「牧野、明日か明後日、ヒマか?」

「うん、別に何も予定入ってないけど」

「だったらオレの家来いよ。初心者でも失敗しないチョコ教えてやるから」


えー、マジですか。嬉しい、すごい嬉しいけど、話が急展開すぎてついていけない。


「もしかしてイヤか?」

「あ、ううん。でもほんとにいいの?」

「勿論。ただしキビシク指導するから、覚悟しとけよ」

「はい、ヨロシクお願いします、香住先生」

「よろしい。じゃあ牧野さん、携帯出してください」

「え、なんで」

「連絡先知ってた方が便利だろ、イヤなら無理にとは言わないけど」

「あ、そうか」


あたしはバッグから携帯を出した。赤外線通信で連絡先を交換する。


「OK。じゃあ詳しいことはあとでメールするな」

「うん!」


帰っていく香住に手を振りながら、あたしは嬉しくて叫びだしたい気分だった。

やったー、香住の連絡先ゲット!そして一緒にチョコづくりが出来るなんて超ラッキー!

ん?でも。

チョコあげる相手と一緒にチョコ作りってちょっと変じゃないか?


いや。細かいことは気にしない。

そう、気にしない。

あたしはふとこみ上げてきた疑問と不安をそうやって無理やりに押し込めた。


フツウハ チョコモライタイアイテトハ イッショニ チョコツクラナイヨネ


知らない、そんなこと。

そんなこと

知らない!




次の日、あたしは張り切って香住の住む街へと出かけた。

香住はうちの最寄駅から電車で二駅の隣の市に住んでいる。学校とは反対方向になるからあまり乗ることのない路線で、そのせいか景色も新鮮に見える。

でも、これはやっぱり浮かれてるせいだな、きっと。


香住は駅まで迎えにきてくれた。

あたしが迷わないためなんだけど、それでもちょっとデートっぽくてうれしい。


住宅地の中を10分ほど歩くと香住の家についた。

車が3台止められる、一般家庭としては大きめのカーポートがついている、広めの一軒家。

でも今は小型の車が1台止まっているだけ、あとは空いているけど家の人はお出かけ中ってこと?

鉄製のちょっとお洒落な白い門扉を開けて中に入る。玄関もうちよりだいぶ広めだ。香住のうちってお金持ちなのかな。


「キッチンはこっちだから」


香住に手招きされてキッチンに入ったあたしは目を見張った。

キッチン広っ!!

それもふつうの家にあるような一般的なシステムキッチンじゃなくて、部屋の真ん中にシンクがある、アイランドキッチンってやつだ。

しかも、ぴっかぴっかに磨かれてる。


「すごーい。普通のおうちじゃないみたい」


思わずそう言うと香住はちょっと首をかしげた。


「普通、ではないかもな。うちのオフクロ、ここで料理教室やってるから」


ふえええ、お料理の先生。道理で。

じゃあ香住が料理上手なのも遺伝ってことなのか。


「今日お母さんは?」

「出張中」


え、てことは二人きり?やだなんかドキドキしてきた。


「さ、無駄口はここまで、早速やるぞ。チョコだからって指導は甘くないからな!」

「はい!すみません!!」


はあ、チョコ作るからって甘いムードになるわけないか。あたしは心の中でこっそりため息をついた。


今日作るのはトリュフチョコレート。本格っぽい感じだけど、材料も市販の板チョコと生クリームと仕上げ用のココアパウダーだけでシンプルで初心者でも失敗が少ないらしい。


最初はチョコを刻むだけでビクビクものだったけどだんだん慣れてくると楽しくなってきた。「きれいに刻めてる、いいぞ」とか言われるとすごくうれしくなってあたしは張り切って作業を続けた。

温めた生クリームに刻んだチョコを入れ、ゆっくりと掻き回すとチョコがどんどん溶けてきて良い匂いがあたりに漂う、うわー、美味しそう。これをあたしが作っているなんて信じられない。香住のおかげだ、なんか魔法使いみたい。

こうして出来上がったガナッシュを冷まして、掌の上で丸める。なんだか小さいときにやった泥団子遊びを思い出して楽しい。

あとは湯煎したチョコをガナッシュにコーテイングして、最後にココアパウダーをまぶして出来上がり。


「わー、ほんとに出来た。すごい、うそみたい」


自分でもびっくりするくらいにきれいにできた。うう、感激。泣きそう。


「じゃあ、味見してみるか。せーの」


香住の掛け声で二人一緒に出来立てのチョコを口に入れる。

ほろ苦いココアパウダーのあとに甘いミルクチョコの味。そして口いっぱいに広がる、蕩けるように滑らかなガナッシュ。

なにこれ。滅茶苦茶美味しいんですけど。今まで食べたどんな高級チョコよりおいしいかも。


「すごい、ものすごく美味しい」

「うん、よく出来てる。とくに中のガナッシュの口どけがすごくいい。牧野は仕事が丁寧だから絶対いけると思ったんだけど、その通りだったな。合格」


うわっ、褒められた。もう嬉しくてどうしたらいいかわかんないよ。


「基本のトリュフがこれだけきちんと出来るんだからあとは応用でいろんな味が作れる。ベースをホワイトにするとか、仕上げにまぶすのをフロストシュガーとか抹茶パウダーに変えてみるとか。家に帰ってからまたいろいろ試してみるといいかもな」

「うん、やってみる」


生まれて初めて調理が楽しいと思った。

こんな達成感と満足感が味わえるなら、他のものにも挑戦してみようかな。

で、

そのときにも今みたいに香住が隣にいてくれて、ふたりで一緒に作れたらいいのに。

うれしさと切なさがないまぜになって、胸が締め付けられる。

どうしよう、あたしほんとにどうしようもないくらい香住が好きだ。


「ちょ、牧野、何泣いてるんだよ」

「だって、うれしいんだもん」


ほんとはうれしいだけじゃないんだけど。

あたしが香住のことを好きなように、他にも香住のことを好きだって思ってる子がいるかもしれない。でもってもしかしたら香住もその子のこと好きになっちゃうかもしれない。

そう思うとたまらなく辛くて。


でも、今香住とこうしていられることは本当にうれしい。

もしも香住が他の子のことを好きになってしまったとしても、今日の、今のこの瞬間はあたしにとって最高の宝物だ。


そんないろんな思いがどんどん胸に迫ってきて。

あたしの涙はそれからしばらく止まらなかった。



夕方。張り切って製菓コーナーで材料を買い込んだあたしは、香住に教えられた通りに、いろんな味のトリュフチョコを作ってみた。どれも結構おいしくできたのに自分でもびっくり。

いろいろ試してみた中で、あたしとしては美味しいと思う組み合わせがスィートチョコにフロストシュガー、ミルクチョコにココアパウダー、ホワイトチョコにベリーパウダーの3種類。香住にあげるチョコはこれにしよう。また褒めてくれると嬉しいな。


ハート模様のかわいらしいアルミカップに出来上がったチョコを載せ、ピンクのペーパークッションを敷いた箱に詰める。

赤いギンガムチェックの薄葉紙でラッピングして、チョコレート色のシルクのリボンをかけて完成。うん、われながら可愛くできた。


だけど、なんとなく物足りない。

チョコだけじゃなくて、もうちょっと何かできないかな。


香住はあたしが落ち込んでるときに2度も救ってくれた。テストで酷い点をとったときと、調理実習で大失敗したとき。

だから、あたしも2回分のお礼がしたい。1回分はこのチョコとして、もう1回分はどうしよう。


ふと調理実習のときにサエと山本さんにエプロンを褒められたことを思い出した。

エプロンくらいなら一日で出来る。この前作ったばかりだし、料理が好きな香住にぴったりだ。

そう思ったあたしは、うちのすぐ近くの手芸店に駆け込んだ。


男の人がつけても似合うように生地はしっかりとした厚めの綿ブロード。無地が無難かなと思ったけど、黒地に銀の星がプリントされているデザインの布を見つけた。わりと大胆な柄だけど、香住なら似合いそう、うん、これに決めた。


裁ってもらったその布を使って、あたしは一晩でエプロンを縫い上げた。

香住に使ってほしい。そして、もし出来るならこのエプロンをつけた香住と、また一緒に料理を作りたい。

ひそかにそんな思いを込めて。


2月14日、バレンタイン当日。

この日は男子も女子も朝からそわそわと落ち着かない。

もらう方、あげる方。

それぞれの思惑が交錯する緊張感マックスの一日だ。


さすがに香住だけにあげるのはあまりに露骨な気がして恥ずかしいので、普段よく喋るクラスの男子にも義理と友の中間くらいのチョコを買って配ることにした。これはできるだけみんなの見ている前で一斉に渡すのがコツだ。

以前、完全に義理だったのに、たまたまその男子がひとりのときに渡したらマジと誤解されてなんだか非常に気まずい思いをした。

こういうイベントってそのあたりの兼ね合いがなかなか難しい。


幸い3時間目あとの15分休みのときに予定してた全員に渡せた。「おーやっぱり牧野はオレに惚れてたのか」「なわけないでしょ!」とか軽口を叩きながら大笑いする。

あたしのバレンタインっていつもこんなもんだ。


でも、今年は違う。

あたしにとって生まれて初めてのガチの本命チョコ。

これはものすごくあげるのに勇気を要する。

他の男子のに比べてあきらかに気合いが入ってるのはわかるだろうし、逆にいえばわかってくれないと困る。でも香住にもう好きな人がいて本命贈られても迷惑ってことも。いや、チョコつくるのにお世話になったからちょっと頑張りましたって言えばいいよね。とはいえ、いつのタイミングで渡したらいいんだろ、義理と違ってこっちは香住がひとりのときに渡したいんだけど。


あたしは何度となく、こっそりと香住の姿をチェックした。


香住は気さくで話しやすいから男女問わず友達が多い。つまり、ほとんどひとりのときがない。

そして、すごくイケメンってほどでもないけど、わりと顔立ちも整ってるほうだから女子人気もあって当然けっこうたくさんのチョコをもらっている。

入れ替わり立ち替わり香住にチョコを渡す女子たち。あの中にどのくらい本命チョコを渡す子がいるんだろう。そしてその中に香住にとっての本命はいるんだろうか。


そんなことを思っていたらあっと言う間に放課後になってしまった。香住が帰ってしまう前に渡さないと。今ちょうど人が途切れたところだし。

なんて言って渡そうかな。「この間はありがとう」がいいか、そうしよう。


あたしが立ち上がりかけた時、また一人女子がやってきた。山本さんだ、こないだの調理実習のときに香住がやけに熱心にロールケーキの巻き方を教えていた子。胸の奥がざわめいた。もしかして、もしかしたら。

あたしにとって見たくないものを見てしまうかもしれない。見ないほうがいい、心の中で警鐘が鳴った。だけど、なぜだか目を離すことができない。

山本さんは香住にチョコらしき包みを渡した。それを見た香住が目をみはる。え、なんだか今までの子と違う感じ。驚いてるみたい、どうして?意外だから?予想外で嬉しかったから?

香住と山本さんはそのあともしばらく喋っていた。ここからは二人が何を話しているかは聞こえない。でも、香住は明らかに嬉しそうで、そして。話し終えて山本さんが席を離れるとき、香住が山本さんに向って親指を立て、それに山本さんがVサインで応えているのが目に入った。


なに今の?どういう意味なの?わかんない。

わかんないよ、わかっちゃったけど。ううんやっぱりわかんない、わかんなかったことにしたい。

ふたりが両思いになったなんて、そんなこと。

わかりたくなんかないよ。


あたしは机の中でチョコとエプロンの入った紙袋を握りしめたまま一歩も動くことが出来なかった。


どれくらいそうしていただろうか。

隣に誰かの気配を感じてあたしは顔を上げた。


「かすみ・・・」


香住が心配そうな顔をして立っている。


「なに?」

「どうしたんだよ、ぼんやりして」

「ううん、なんでもない」


ついさっきあんたに失恋したからなんて言えるわけないじゃん。


「ところで、ちゃんと渡せたか、チョコ」


胸の奥がズキンと痛んだ。なんで今それ言うかな。


「ううん、まだ」


そうだ、今渡してしまおう。ええと、なんて言うんだっけ?そうそう「この間のお礼」だ。そして香住のことはきっぱり諦めよう。


「えー、早く渡さないとみんな帰っちまうぞ」


香住の言葉に痛む胸の奥がゆっくりと凍りついていくような気がした。

あたしが香住のこと好きだなんて想像すらしてないんだ、したくもないのかもしれない。


「せっかく頑張って作ったんだから勇気出せよ」


香住の優しい言葉、今はそれが胸に突き刺さる。そうだね、その通りだよね。

結果がわかっていても、頑張ったことは事実なんだ、香住のために、生まれて初めて作ったチョコ。ちゃんと届けてあげないと。

あたしは覚悟を決めて机の中から紙袋を出して香住に押し付けた。


「はい、これ!」

「えっ?!」


香住は呆然としている、そりゃそうだよね。


「そういうことだから、じゃあ!」


あたしはそう言うと通学カバンをひっつかんで教室を飛び出した。

涙が溢れてくるのが止められない。誰にもこの顔を見られないように走って走って、そして駅のトイレに駆け込んで思い切り泣いた。


こうして。

あたしが初めてガチで挑んだバレンタインは盛大な初失恋に終わった。



その夜、なんだか一気に力が抜けてしまったあたしは部屋のベッドでぐったりしていた。

明日、どんな顔して香住に会えばいいんだろう、って気がしないでもないけど、香住のことだからきっといつも通りに振舞ってくれるだろう。

あたしは香住のそういうところに惚れたんだから。

ああ、やっぱりまだちょっと胸が痛いや。


携帯が鳴ってる、誰からかな。サエだったら泣いちゃうかもしれないなあ。

あたしはベッドの上をずるずると移動して携帯を取った。

発信元は、えっ?!「香住祐介」

なんで電話してくるのー?もうほっといてよ。慰められたらかえって惨めじゃん。

そう思ったけど、鳴り続けるコールに仕方なく電話に出る。


「も、もしもし」

“美月、今ちょっとだけ出てこれないか?”

「え、ちょっと待って」


時計を見ると6時45分だった。夕食は7時半だから、もし遅れるとしても8時前には戻ってないと。


「場所によるなあ。門限8時だから。今どこ?」

“おまえんちの前”


えーウソでしょー。

カーテンを開けて外を見ると、携帯を手にしている香住の姿が目に入った。

ほ、ほんとにいた、なんで?

あたしは急いでコートを羽織って外に出た。

大きめの白い箱を抱えた香住と目が合う。


「どーしたの、香住。てかなんでうちの場所知ってるの?」

「あれから部活帰りの島田を捕まえて聞いた」


あ、そうか、サエか。あれからって、あれだよね、恥ずかしいなあ。


「そっか、で、何か用?」


あの件はサクっと忘れてほしいんだけど。


「用があるから来たんだ、ちょっとそこの公園まで付き合え」

「うん」


5分ほど歩くと、小さな児童公園に着いた。もうすっかり夜だから誰もいない。

あたしたちは街灯の下にひとつだけぽつんと置かれているベンチに並んで腰を下ろした。

なんかデートしてるみたいで落ち着かない。ついさっき失恋したばかりの相手なのになにドキドキしてるんだあたし。


「えーと、用って?」

「これ!」


香住は持っていた白い箱をあたしに差し出した。


「え、あたしに?なにこれ?」

「開けてみろよ」


香住に促されて箱の蓋を取ると中から現れたのは小さめのホールケーキだった。

真っ白なクリームにピンクのハートチョコがふたつとラズベリーとブルーベリーが載っている。すごく可愛いデザインだ。


「うわあ、可愛いしおいしそう。もしかして香住が作ったの?」

「ああ、あれからうち帰ってダッシュで作った」


あれからって、また思い出してしまった。恥ずかしいからやめてほしいのにー。


「あは、チョコのお返しとか?義理堅いのもほどがあるよ。それにホワイトデーは1ヶ月先だし」

「1ヶ月も待てなかったんだ」

「は?」


待てなかったってなんで?


「それさ、まだ未完成なんだ。最後の仕上げ、美月に手伝ってほしくて来た」

「あたしに?」

「そう」


手伝えってどうして。ん、今「牧野」じゃなくて「美月」って呼ばれた?そういやさっきの電話もそうだったような。


「これが仕上げのパーツ」


そう言いながら香住が取り出したのは星型のクッキー。物理のテストのことで凹んでいたときに香住がくれたことを思い出す。あれはプレーンだったけど今度のはココアクッキー。バレンタインだからかな。


「一つずつ、ケーキの空いたスペースに飾っていってくれ、順番通りに。これがひとつめ」


手渡されたクッキーにはホワイトチョコで「み」という文字が書いてあった。それをケーキの上に貼り付ける。うん、ますます可愛い、香住、センスあるなあ。

香住が次のクッキーを渡してくれる。「づ」だ。あれ、これもしかしてあたしの名前?

やっぱり次は「き」だった。あたしが何なんだろう。

そして次の文字は「す」

え・・・?まさか。

心臓が破裂しそうに高鳴った。

次の文字は

「き」

う、うそ、こんなのありえない。


「これで最後」


香住に手渡された最後の文字は「だ」


「はい完成!」


真っ白なクリームの上に載ったココアクッキーに書かれた文字、続けて読むと

「みづき すきだ」


「あああああ、あの・・・」


あまりびっくりしすぎてまともに喋れなくなってしまったあたしを見て香住はにっこり微笑んだ。


「この時間でこれ作っておまえの家まで来るのすげえ大変だったんだぜ」

「あ、うん。そうだよね、ありがと」

「それで返事は?」

「返事ってあの、でもそのなんで?」

「なんでって?」

「香住が好きなのは山本さんなんじゃないの?」

「は?なんでってこっちが聞きたい。どうしてここに山本が出てくるんだ」

「だってさっき山本さんとサイン交換してたからてっきり」

「サイン?」


香住は首をかしげている、どうやらほんとに心当たりがないらしい。


「山本さんからもらったチョコ見て、親指立ててたでしょ。でもって山本さんがVサイン返してて」

「あ、ああ、思い出した。あれか。あれはさ、山本がバレンタインにケーキ作って松永に渡したいから協力してくれってオレに相談にきたんだ。で、丁度調理実習でロールケーキやるからその時に教えてやるってことになって。もしうまくいったらお礼にチョコくれって約束したんだ。でもって山本からチョコが来たから、うまくいったんだってわかってさ。やっぱ自分の特技が人の役に立つと嬉しいじゃん」


な、なんだ。あれはそういうことだったのか。あたしったら早とちり。


「でもそれを言ったらあたしにだってチョコの作り方丁寧に教えてくれたじゃん。それってネタバレでしょ」

「ネタバレって。まさかオレにくれるなんて思ってなかったんだよ。あのときオレがどれだけ切なかったかおまえにわかるか?好きな子が他の男にやるためのチョコを作る手伝いをしてるオレって何なんだろってさ。でも男だし、ここは辛さをぐっと堪えておまえの幸せを祈ろうと」


え、そういうことだったの?何かお互いいろいろ誤解があったようだけどこれってつまり。


「あの、今オレものすごく不安なんだけど。さっきオレにくれたチョコとエプロンの意味ってただのお礼ってこと?」

「ううん」


どーしよ。嬉しくてどうしたらいいかわかんない。

でも、今度こそちゃんと言わなくちゃ。

生まれて初めてのバレンタインの告白。


「あたし、か・・・祐介のことが好き。あたしが作ったエプロンつけてまた一緒に料理作りたい」


そう一気に言ったら・・・


「オレも!」


香住、ううん祐介はそう言ってあたしを抱きしめた。

すごく幸せな気分であたしは祐介の胸に顔を埋める。

甘いバニラの香りがした。



ハッピーバレンタイン。

今日、世界中の恋人たちがこんな幸せな時を過ごしているんだろうな。

胸いっぱいにバニラの香りを吸い込みながらあたしはそんなことを思っていた。



                                  END






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― 新着の感想 ―
[良い点] すごく可愛くて優しい作品で一気に最後まで読みました 最後はうるうるきましたよ(笑) [一言] 今回は企画に参加いただきありがとうございました 執筆お疲れ様でした
[一言] 甘いですね~、糖分過多になりそうです笑 やっぱり料理のできる男はモテるんでしょうね。 こういった作品は、男女が出てきた時点でオチは見えるので、そこまでの過程をいかに描くかだと思っています。…
2012/02/17 00:06 退会済み
管理
[一言] 水聖さんが生み出す登場人物たちは何て言うか……【無理】がない。 (ああ、上手い言葉が見つからなくてすみません) 普通にいそうな感じが読者の感情移入を素早く誘い、話に引き込む。 これ、前回のイ…
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