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【完結】声優女子、恋人を救うためVRゲームにログインする  作者: BIRD


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17/50

第15話:リベンジ

 ルウとのハッピーエンドを迎えるには、四大天使が健在でなければならない。

 天界と魔界の勢力がほぼ同じで、人界は光と闇がバランス良く存在する場所であることも条件になっている。

 そのバランスを崩そうとするのが、魔界四天王たちだ。

 正規シナリオよりもかなり早く登場した黒炎のディアモは、自らの対極にある炎の大天使を抹殺しようとした。

 ミカを殺しそこねた彼は、きっとまた襲ってくる筈。

 私はミカの討伐に付き添い、好感度を上げつつミカを護ることにした。



「襲われると分かっていても、魔物の討伐をサボるわけにはいかないからな」


 大剣を背負った赤毛の大天使は、そう言うと白い翼を広げて飛び立った。

 飛び立つ天使たちの後に、天馬に乗った私も続く。

 今回の天馬はケインという名前の牡馬で、エーレよりも一回り大きい。


 私は前回の遠征時は弓を背負っていたけれど、今回は盾を背負っている。

 武器ではなく盾を装備しているのは、守りに徹するため。


「防壁を張っておくね」


 私はウリから教わった最上位タイプの盾スキルを発動させた。


 盾スキル・範囲型:風の防壁ウィンドバリア


 その名の通り、風を使った防御系スキル。

 不可視の防壁が、討伐隊を包んだ。


(ミカだけじゃなく、みんなも護らなきゃ)


 私は討伐隊のみんなと仲良くなっていて、たまに雑談しながらティータイムを楽しんだりもする。

 だから、彼等をゲームのモブだとは思えない。

 四大天使以外の天使たちの生死がシナリオに影響することは無いけれど、私は討伐隊メンバーを誰も死なせたくないと思う。


(……来た!)

 

 討伐隊が森の上空まできたとき、敵は仕掛けてきた。

 突然、巨大な黒炎球が飛んでくる。

 狙いは勿論ミカだ。


(防壁強化! 盾スキル【受け流し】発動!)


 不意打ちで倒すつもりのようだけど、そうはさせない。

 私は風の防壁を強化しつつ、別スキルを発動した。

 見えない防壁が、黒い炎の球体をスルリと受け流す。

 黒炎球は天使たちを傷つけることなく落下して消えた。


「面倒な奴め。前よりは警戒してきたか」


 ディアモが空中に現れて、私を睨む。

 私はディアモを睨み返しながら、次のスキルを起動した。


 盾スキル・単体型:自動反射オートリフレクト


 以前使った全力反射フルリフレクトに似たバフスキル。

 自分専用の全力反射とは違い、仲間にかけてあげられる。

 かける相手はもちろんミカだ。


『バフOK』


 バフスキルは目視できないようにしているので、ミカには念話で伝える。

 ミカは背負っていた大剣を抜き放つと同時に、ディアモに向かって攻撃に出た。


「こないだのお返しだ! おらっ!」


 真紅の炎を纏う天使と、漆黒の炎を纏う魔族がぶつかる。

 やはり戦闘力は互角で、決着はつかなそうに見えた。


「暑苦しい天使め!」


 ディアモがサッと離れて黒炎球を放つ。

 それがミカを傷つけることはない。

 自動反射オートリフレクトが作動し、魔法攻撃はそのままディアモに返された。


「ちっ!」


 ディアモは舌打ちして、返された黒炎球を片手で受け止めて吸収した。

 やはり反射だけではディアモにダメージは通らないね。

 一方、ディアモもミカにダメージが通らないことに気づいた。


「貴様を先に片付けた方が良さそうだな!」


 ディアモの視線が、ミカから私へ移る。

 黒翼を羽ばたかせて、ディアモが私に襲い掛かってきた。


『ケイン、みんなから離れて!』


 私は天馬に命じて天使たちから離れた。

 ケインにはミカと同じ自動反射オートリフレクトをかけてあるから、魔法は食らわない。

 もっとスキルレベルが上がれば味方全員にかけられるけど、今は3人までだった。

 ディアモが剣を手に接近してくる。


(さあ来い!)


 私は盾を構えてディアモを待ち受ける。

 しかしディアモは、直前でフイッと避けてしまった。

 私の横を通り過ぎながら、ディアモは剣を持っていない方の手で私を突き飛ばす。


「え?」


 想定外のことに対処する間もなく、私は落馬して落下した。

 すぐ下には森の木々が茂っていて、ケインが回り込んで受け止めることは出来ない。


「ヒロ!」


 ミカが叫ぶ声が聞こえる。


 飛べない私はバキバキと木の枝を折りながら落ちていく。

 あちこちに裂傷を負った後、背中から地面に叩きつけられた。


「痛ったぁ……」


 落下でのダメージは反射も反撃も無い、私が痛いだけだ。

 根性値が高いおかげで気絶はしなかったけど、激痛で身体が動かない。

 仰向けに横たわったまま目を閉じていると、誰かの気配がした。


「ヒロ! 生きてるか?! すぐ治してやるからな!」


 声がしたので薄目を開けて見ると、ミカの顔が間近にあった。

 勿論生きているけど、全身打撲+複雑骨折で痛すぎて起き上がれない。

 ミカは私を地面に横たわらせたまま、唇を重ねて治癒の力を使ってくれた。

 回復の力を込めたぬくもりが、唇から全身に広がって痛みが消えていく。


(ミカがここにいるってことは、ディアモは……?)


 私は回復してもらいながら、ミカの頭越しに空を見た。

 上空にいるディアモが、こちらに片手を向けて超特大の黒炎球を作り出しているのが見える。

 多分、私が意識を失い、ミカを護るスキルが解除されたと思っているんだろう。


 私の意識は途切れていない。

 ミカにかけたバフは残っている。

 ディアモがミカめがけて魔法を放っても、跳ね返すだけだ。

 でも、反射効果だけでは、ディアモにダメージが通らない。


(ウリさんが教えてくれた新スキル、使ってみよう)


 私はスキルを発動させた。


 盾スキル・特殊:身代わりの反撃サクリファイスアタック


 それは、味方を庇い、代わりに受けたダメージを光属性攻撃に変換して反撃するスキル。

 私はミカの代わりに黒炎球を食らい、不屈の反撃と合わせてディアモにダメージ返しを試みた。


「ヒロ?!」


 ミカがギョッとして叫ぶ。

 全快した筈の私の身体に重度の火傷が現れたから。ミカが驚くのも無理はない。

 せっかく治してもらったけど、またズダボロだよ。

 私は強烈な炎ダメージを受けた後、それを光ダメージに変換してディアモに反撃してやった。


「グァァァ!」


 ディアモの絶叫が辺りに響き渡る。

 2つの反撃スキルによる光ダメージをもろに食らい、ディアモが悶絶した。


 特大の光球がディアモを飲み込んでいく。

 助けを求めるように片手が球体の外に突き出された後、燃え尽きた紙のように崩れて消え去った。


「勝った……」

「お前は本当に無茶ばかりする奴だな」


 ボーッとしつつも、私は勝利を確信する。

 ミカが溜息をついて、また治療してくれた。


「ヒロ!」

「大丈夫?!」


 ディアモが消滅したのを見て、討伐隊の天使たちが森へ降りてくる。

 天使たちは誰も怪我をしていない。


「良かった、みんな無事で」

「無事じゃない人に言われてもな……」


 私がホッとして呟いたら、ツッコミが返ってきた。

 でも、私はみんなを護れた満足感しかない。


「あ、そうだ。みんな、私が怪我したことは天使長には内緒にしてね」


 満足した後、私はミカたちにお願いした。

 無茶したことがバレたら、ケイに怒られる予感しかない。


「それは無理だな」

「既に知られているぞ」

「えっ?!」


 でも、みんなから残念な答えが返ってきた。

 既に知られている?!


「ヒロ、お前が乗ってきた天馬、天使長の召喚獣だぞ」

「そ、そうなの……?」


 ケイン、召喚獣なの?

 私が目を向けると、天馬ケインはヒヒンと鳴いて肯定した。

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