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夜更かし先生  作者: HATI


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第23話 決着

 姫川に能力を強化してもらった時に似ているが、勢いがその比ではない。

 何が起きているのか訳も分からず、溢れ出る力を目の前のジェスターへと向けた。

 磁力によって鉄の身体を持つジェスターは俺の意思に従いひとりでに飛ぶ。

 そしてそのまま誰もいない壁へと衝突した。

 電話が余波で壊れてしまった。


 これで連絡手段は衛星電話しかない。

 思わずやってしまったが、これは後で請求されるのだろうか。

 いや、今はそれどころではなかった。

 問題はこの力の出処だ。


 わずかにしか感じられなかった力が、泉から湧き出るように全身を巡っている。

 俺のこの磁力は突然沸いてでてきたものではない。

 ほとんどの力をいつも妹の心臓を動かすために使用している。


 だから出力はほぼ0に等しく、学校の能力検査でも最低レベルと評価されてきた。

 しかし妹の命と引き換えになるならそれは問題にもならなかった。

 その力が解放されたとなると妹に何かあったとしか考えられない。

 痛む全身をこらえて能力をジェスターへと向ける。


「ボス!」


 トージェンがこっちに攻撃をしようとしたが郡衙が能力を使って阻止した。

 さすがの能力だな、あっちは任せてよさそうだ。


「くそ、鉄の身体が仇となったか」

「悪いな、急いで確認することができたんだ。全力で行くぞ」

「磁力使い……まさかこんな形で妨害されるとは」


 磁力を使ってジェスターの身体を宙に浮かせる。

 どれだけ身体が強固で重くともこうなってしまえばできることはない。

 無効化できたといっていいだろう。

 だが倒す手段がない。


 建物にぶつけてダメージを与えようにも、先に建物がダメになるだろう。

 今は一刻も早く妹の安否を確認しなければ。

 俺はジェスターをそのまま窓の外へ投げ捨てることにした。

 この高さから落ちればただでは済まないだろうし、衛星時間を使う時間も稼げる。

 トージェンは強化された郡衙に完全に抑え込まれている。

 今がチャンスだ。


「吹っ飛べ!」

「やめろ!」


 制止する声を無視して外へと投げ捨てる。

 デパートの外へと投げ捨てられたジェスターは衝撃に備えて身体を丸める。

 勢いよく飛ばしたからか水の壁を破っていった。


 後は外に待機した協会の制圧部隊にまかせるしかない。

 投げ捨てると同時に力が一気に消失していった。


「てめえ、よくもボスを」

「よそ見すんな。好き勝手やりやがって」


 トージェンを無視して衛星電話を取り出して電話をかける。

 妹の携帯には繋がらなかった。

 デパートに行くと言っていたはずだが、ここにはいないので外には逃げれたはず。

 外に待機している協会なら何か知っているかもしれない。

 急いで協会の窓口に電話した。


 最初は取り合ってもらえなかったが、デパートの中にいることを伝えると向こうが慌ただしくなるのが伝わってくる。

 そんなことよりも早くして欲しかったがどうにもならない。

 最終的に支部長が電話を代わった。


「何が起きた? 中の状況は? 犠牲者はいるのか」

「犠牲者は今のところいません。敵の親玉はなんとか外へ放り出しました。仲間は交戦中です。でも今なら人質は安全だと思います」

「分かった。ジェスターが外に出たのは確認済みだ。今救出部隊を突入させる」


 まだ部隊は突入していなかったようだ。

 あのまま待っていても助けは来なかったということか

 大きな音と共に水の壁が吹き飛ぶ。

 何らかの能力が使われたらしい。


「あの、それで救助された人の中に七瀬という女の子はいませんか?」

「七瀬? 少し聞いてみよう」


 祈るような気持ちで電話を待つ。


「突然倒れた少女がいるようだ。友人たちの証言から七瀬という少女らしいが……」

「その子です。どんな状態ですか!?」

「すぐに近くの病院に運ばれたようだ。一時心停止状態だったようだが、今は回復しているとのことだ」

「分かりました。ありがとうございます」

「ああ。とにかく今は安静にしていてくれ」


 電話が切れる。

 トージェンと郡衙の争いでは最終的にトージェンが勝ちそうになったが、その前に治安部隊が突入して身柄を拘束した。

 これでようやく壁越えによるデパート立てこもり事件が終息することになった。

 警備員として人質の人たちの誘導をかってでる。


 まず重症の朋畑さんたちが運ばれ、それに続くようにして最上階から降りる。

 非常電源しか稼働していないためエレベーターやエスカレーターが使用できず、年配の人に肩を貸すなどして時間がかかったもののデパートから出ることができた。

 体調を崩した人たちも含めて救急車で運ばれていく。


 囲いの外では記者たちがこっちに向かって写真を撮っていた。

 治安部隊が中に入れないように止めているようだ。


「あ、おい!」


 だが一人の記者が強引に押し入ってくる。


「君、警備員のようだけど中で何があったんだ!?」

「すみません、勝手にいうわけには……それに疲れているので取材は遠慮したいんですが」

「そんなことを言わずに。指名手配犯がいたという情報もあるんだ、是非詳しく……」


 記者の声はそこで止まった。

 いつの間にか記者が持っていたはずのカメラとマイクが消えており、唖然としている。


「おじさん。ちょっと空気読んだ方が良いよ」


 いつの間にか後ろにいたリカが能力を使って取り上げていたようだ。


「はいこれ。ほら、さっさと行って」

「まだ聞きたいことが」

「あ?」


 リカのドスの効いた声が響く。

 記者はそれでも取材を続けようとしたが、リカの顔をじっと見た後顔色が変化していく。


「し、失礼しました」


 大慌てでいなくなってしまった。

 何が何やら分からないが、静かになって助かった。


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