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離縁を告げられた夜、宰相閣下が「ならば私が伴侶にしよう」と言った

作者: 妙原奇天
掲載日:2025/11/17

第1話 離縁の夜に


 夜の王都は、まだ冷えていた。

 石畳に映る灯がゆらめき、街灯の光が雨上がりの路面に細い線を描く。

 その道を、セシリア・ランベールは一人歩いていた。


 手にした封筒には、ただ一枚の紙。

 そこには夫の名でこう書かれている。

 ――「君との婚姻を解消する。理由は情の欠如。」


 情の欠如。

 その言葉を見たとき、胸の奥は驚くほど静かだった。

 涙よりも先に浮かんだのは、「やはり」という納得。

 仕事のように夫を支え、家計を整え、領民の帳簿を付け、税収を均した。

 だが夫が求めていたのは、数字ではなく「甘さ」だったのだろう。


 馬車の車輪が遠くで鳴る。

 夜風が封筒の端をめくり上げた。

 セシリアはそれを押さえ、顔を上げた。


「……終わり、か」


 その言葉を誰に向けたわけでもない。

 だが、返事のように鐘の音が響いた。

 王都中央議会館の塔から、正午ではなく、離縁報告の鐘――“別の始まり”を告げる鐘だった。


     ◇


 翌朝。

 宮廷の離縁手続きの場は、想像よりも静かだった。

 文官が事務的に書類を読み上げ、王族の代理人が印章を押す。

 セシリアは貴族の規律に従い、姿勢を崩さず、名を呼ばれるのを待った。


「セシリア・ランベール。離縁届けの受理を確認します」


「承知しました」


 声に揺れはない。

 彼女の視線は前だけを向いていた。

 その目に一瞬の迷いが見えたとしたら、それを見抜けたのは――壇上の一人だけだ。


 宰相ロウウェン・グレイス。

 黒衣に銀の紋章。鋭い眼差し。

 年齢は四十を過ぎたばかり、だが、若い議員たちは誰も彼を軽んじない。

 政治を数字で動かし、感情ではなく制度で治める。

 冷徹宰相。そんな異名があった。


 離縁証が読み上げられる間、彼の灰青の瞳はずっとセシリアに向いていた。

 まるで何かを計測するように、静かに、正確に。


「……以上で手続きは完了です」

 文官の声が終わると同時に、ざわめきが広がった。

 セシリアは一礼し、その場を去ろうとした。


 その瞬間、椅子の軋む音が響いた。

 宰相が立ち上がったのだ。


「待ちなさい」


 場の空気が一瞬で固まった。

 誰も、宰相が離縁の場に介入するなど想定していなかった。


「セシリア・ランベール。君は今、婚姻から解かれた。間違いないか」


「はい。今、正式に……」


「ならば、次の手続きをしよう」


 ロウウェンの声は、議場の石壁に反響した。

 言葉の意味を理解するまでに数秒かかった。


「――私が、君を伴侶とする」


 ざわめきが爆発した。

 議員たちが顔を見合わせ、文官が書類を取り落とす。

 宰相が“離縁女”を妻に迎えるなど、聞いたことがない。


「理由をお聞かせ願えますか」

 セシリアの声は落ち着いていた。驚きよりも、確認が先に立つ。


 ロウウェンは短く息を吐き、言った。

「理由は三つある。まず一つ。君の提出した財政報告書は、王国の現行制度を凌駕していた」


「……ありがとうございます」


「二つ目。離縁の理由が“冷たさ”なら、私はその冷たさに救われる。感情よりも理で動く人間は、国の根だ」


 ざわつきが止まらない。

 ロウウェンは、周囲を一瞥して言葉を続けた。


「そして三つ目。――私は君に興味がある」


 その一言が、議場の空気を変えた。

 政務の場に似つかわしくない、しかし確かな宣言。


「興味、ですか」


「感情ではなく、構造としての“君”に、だ」


 セシリアは短く息を吸った。

 彼の目に、侮蔑も憐れみもなかった。

 ただ純粋に、分析のような光。

 けれど、その奥にかすかな温度があるのを、彼女は感じ取った。


「……宰相閣下。軽々に承諾することはできません」


「当然だ。だからこれは求婚ではなく、提案だ。

 契約婚として、宰相府の顧問として働け。婚姻の形を取り、法的な保護を得た上で」


 契約婚――その言葉がまた波紋を広げた。


 だがセシリアの目に宿った光は、わずかに変わった。

 拒絶ではなく、計算だった。


「……考慮いたします。閣下」


「良い返事だ」


 宰相はわずかに笑った。

 それが“氷の宰相”の顔に見せた、初めての微笑だと、後に誰もが語ることになる。


     ◇


 宰相府。

 その日、セシリアは新たな生活を始めた。

 名目上は「顧問官補佐」。だが実質は、宰相の補佐官として働くことになった。


 書類の山が机を覆う。

 印章の押された公文書、地方からの請願書、歳出の報告書。

 彼女はペンを取り、次々に数字を整理していった。


 ふと、ロウウェンが背後に立っていた。

「初日から随分と手際が良いな」


「数字には順序があります。感情のように崩れません」


「なるほど。君は“崩れぬ理”を持っている」


「閣下は“揺れぬ理”をお持ちでしょう」


「……皮肉か?」


「敬意です」


 ロウウェンの唇がわずかに動いた。

「敬意とは、礼ではなく認識か」


「認識です。認めること。評価と違って、消えませんから」


「いい答えだ」


 その夜、二人は宰相府の灯をともして働いた。

 窓の外には雨。

 灯の下、静かにペンの音だけが響く。


 それは恋ではなく、理の始まりだった。


     ◇


 翌日、議会はざわついていた。

 宰相が「離縁女」を側に置いたことで、他の貴族たちが不満を漏らしていたのだ。


「宰相閣下は正気か」「あの女は情がない」「冷たい石のようだ」


 そんな噂が飛び交う中、セシリアは資料室で静かに書類を読み込んでいた。

 背筋を伸ばし、筆記の手を止めない。


 そこへ若い議員が現れた。

「君、まさか閣下に取り入ったわけじゃないだろうね?」


 セシリアは顔を上げずに答えた。

「“取り入る”とは、何を差しますか」


「え、えっと……そういうことだよ。女の武器で……」


「その武器、私は持ち合わせていません」


 議員は言葉を失い、逃げるように出ていった。

 その様子を廊下の陰で見ていたロウウェンが、小さく笑った。


「見事な撃退だ」


「仕事に集中していただけです」


「君のような人間が、もっと議会にいればいい」


 セシリアはわずかに首を傾げた。

「閣下は、人を褒めるのが下手ですね」


「慣れていない」


「では、今練習しました」


 そのやり取りに、ふたりの間に小さな空気の変化が生まれた。

 理と理の隙間に、まだ名もない温度。


     ◇


 数日後。

 王立議会に緊急通達が届いた。

 「歳入不明分、十万シリング」。

 どこかで巨額の金が消えている。


 宰相府に報告が集まり、ロウウェンは即座に命令を出した。

「セシリア、予算報告の写しを確認しろ。王都支部の三期分だ」


「はい」


 セシリアは走り、帳簿を開く。

 記録の中に、不自然な数字のずれを見つけた。

 “補助金支出:ヴィルソン商会”

 その商会は――彼女の前夫の実家が経営している会社だった。


 胸の奥に、微かな痛みが走る。

 ロウウェンが机に手を置いた。


「……やはり、か」


「閣下」


「復讐を考えるな。感情で動けば、君の理が濁る」


「復讐は望みません。修正を望みます」


 その言葉に、宰相は静かに微笑んだ。


「ならば、共に正そう」


 その夜、ふたりは再び机を挟んで並んだ。

 蝋燭の灯が揺れ、書類の影が二人を包む。

 ロウウェンの灰青の瞳が、わずかに柔らかく光った。


「……セシリア。君の理は、美しい」


「理は、美ではありません」


「そうか。だが、美しいと思った。――それで十分だ」


 彼女は答えなかった。

 ただ、胸の奥で小さく、何かが動いた。


 外では雨が雪に変わり、夜更けの鐘が遠くで鳴った。

 離縁の鐘ではなく、新しい“始まり”の鐘。


 氷の宰相と、理の女の物語は、今、静かに動き出していた。


第2話 氷の宰相と帳簿の女


 朝の鐘が三度鳴った。

 王都の空気は薄く冷え、路地の影はまだ眠そうに伸びている。

 セシリアは宰相府の裏口から入り、手袋を外した。指先が冷たい。だが頭は澄んでいた。


 机の上には昨夜からの帳簿の束。

 王都支部の歳入報告、三期分。

 彼女は首の後ろで髪を結い直し、ページの端に薄い紙片を挟んでいく。色分けされた紙片は、ずれた数字の箇所にだけ差し込まれた。見れば一目でわかる、静かな旗だ。


 扉が軽くノックされた。

 ロウウェンが入ってくる。黒い外套の肩に、外気の冷たさが残っている。


「早いな」


「起きてしまったので。数字が呼ぶので」


「数字が呼ぶ、か。君らしい」


 彼は机の端に腰を預け、開きかけの帳簿を覗き込んだ。

 灰青の瞳が、斜めに走る細い鉛筆の印を追う。


「二期目の“補助金支出:ヴィルソン商会”。ここが不自然です」


「数値の桁か」


「いえ、伝票の回し方です。王都本庁からの支出なのに、領事館経由の押印になっている。手数が多い。意図的に増やしたか、手順を知らないかのどちらかです」


「知らない者に、十万シリングは動かせない」


「はい。だから――知っている者が、わざと隠した」


 ふたりは目を合わせた。短い沈黙が落ちる。


「現地に行こう」とロウウェンが言った。「書類は嘘をつく時がある。倉庫と足を見よう」


     ◇


 王都南区の倉庫街。風が強い。

 石畳の上を、空になった荷車がきしりと鳴る。

 ヴィルソン商会の倉庫は、通りの角にあった。人の出入りは少なく、扉は固く閉ざされている。


 番頭が出てきた。帽子を脱ぎ、芝居がかった笑顔を浮かべる。


「これはこれは宰相閣下。お寒い中、ようこそ。今日はどのような――」


「検分だ」とロウウェン。「突然すまないが、帳尻の合わぬ匂いがする」


 番頭の笑顔が硬くなる。奥で誰かが合図をした気配がした。

 セシリアは何も言わず、倉庫の床を見た。運搬車の車輪の跡、粉の落ち方、掃き掃除の雑さ。古い埃の上に、最近付いた細い線がいくつも走っている。


「ここ、昨日動かしましたね」


 番頭が肩をすくめる。「在庫の入れ替えをね」


「入れ替えの帳簿は?」


「もちろん、ございますとも」


 差し出された帳面を受け取り、セシリアはページをめくる。

 紙の匂いが違う。古い帳と新しい帳。日付は過去のものに合わせてあるが、紙は今年の製紙所の印だ。

 彼女は開いたまま、ほんの少しだけ距離を取って倉の奥を見た。棚の上段に積まれた麻袋。袋の口紐が、同じ人間の手つきで結ばれている。


「封を切ってもいいですか」


「ちょ、ちょっと、それは困る」


「困る理由は?」


 番頭の喉が動いた。

 ロウウェンが一歩進む。目は笑っていない。


「困る理由は、君自身が一番よく知っているはずだ」


 静かな声だった。だが、逃げ道を塞ぐ重さがある。

 番頭は観念したように肩を落とし、麻袋の封を切った。

 中から出てきたのは、小麦ではなく、染料用の草だ。市場で高値で売れる。穀物の名目で補助金を受け取り、実際には別の品を扱っている。


「補助金を取り付けたのは誰だ」と宰相。


「……知らない、では済みませんな。旦那様のご親族が……」


 言いにくそうに、番頭は名前を出した。

 セシリアの胸の奥で、冷たい何かが小さく鳴った。前夫の実家の名。やはり、そこにつながる。


 彼女は深く息を吸い、吐いた。

 ロウウェンが横目でそれを見た。問いはない。信頼だけがある。


「搬出の記録、全て写し取ります。手順に従って」


 セシリアは筆記板を取り出し、日付、数量、押印、搬出時刻を正確に記していく。

 番頭は汗を拭きながら、言われるままに奥から伝票を運んだ。


 外に出ると、風がさらに冷たくなっていた。

 ロウウェンは外套の襟を立て、セシリアに手袋を渡す。


「冷える。手を守れ」


「ありがとうございます。……大丈夫です。数字のほうが冷たいですから」


「そうでもない」


「え?」


「君の数字は、温度を持っている」


 セシリアは言葉に詰まった。

 からかいではない。評価でもない。認識だ。胸の奥に、それが静かに落ちていく。


     ◇


 宰相府に戻ると、先触れが待っていた。

 王立議会からの召喚状。緊急審問。

 内容は短いが重い。「顧問官補佐セシリア・ランベール、裏帳簿の流用及び補助金横領の疑いについて弁明せよ」


 廊下の空気がひやりとした。書記たちの視線がそっと揺れる。

 ロウウェンは召喚状を受け取り、封蝋を親指で弾いた。

 文面を一読し、目を細める。


「早いな。手が打たれる前に、こちらを封じるつもりか」


「……私を使って、ですか」


「君を使えば、私に傷がつく。誰かはそれを望んでいる」


 セシリアは頷いた。

 怖さは、不思議と薄かった。数字が道筋を示している。やるべき順序は見えている。

 ロウウェンが彼女に視線を向ける。


「弁明の言葉を用意するか」


「事実を並べます。怒らず、責めず、手順で」


「いい。私も同席する」


「宰相が?」


「私の顧問官補佐だ。放っておけない」


 その言葉が、暖炉の火のように胸に残った。

 セシリアは軽く頭を下げた。


「ありがとうございます。……ただ、ひとつ」


「何だ」


「審問の場で、私個人の感情について問われたら、黙ります。数字と事実だけを話します」


「感情は私が受ける」


「そんなことが、できますか」


「できる。私は宰相だ」


 ためらいのない声。

 彼の肩にのる重さが、瞬間だけ、目に見える気がした。


     ◇


 審問の午後。

 王立議会の円形の議場は満席だった。

 高い天井、集う視線、石の段にこだまする靴音。

 中央の席にセシリアが立ち、左右の席に議員たちが並ぶ。ロウウェンはその少し後ろ、補佐の位置に座る。


 首席審問官が開会を告げた。

 読み上げられる疑いは簡潔で、しかし容赦がない。

 「裏帳簿を作成し、補助金を横領した疑い」

 証拠として示されたのは、セシリアが記した写しの一部だった。渡した覚えのない紙片。書式、筆記、印。間違いなく彼女の手だ。だがそれは「検分記録」であり、「横領の証拠」ではない。


 議場のざわめきが増す。

 首席審問官が問う。


「セシリア・ランベール。弁明は?」


「はい」


 セシリアは一歩前に出て、落ち着いた声で言った。


「まず、示された紙は私の筆記です。ただしこれは“検分の写し”であり、“横領の証拠”ではありません。倉庫での搬出記録を写したもので、補助金横領の可能性を示すための一次資料です。宰相の命で持ち帰り、正式な報告に編纂する前の段階のものです」


「つまり、君は横領を知りながら、黙っていた?」


「違います。黙っていません。正式な手順に従って、報告書を作成しています」


「だが、その報告書はまだ提出されていない」


「本日中に提出予定でした。召喚状が先でしたので」


 短い沈黙。

 審問官は、次の書類を掲げる。


「では、これは何だ」


 別の紙片。セシリアの筆跡に似せた文字で、補助金の流れを“訂正”する命令書。そこに記されたのは、セシリアの署名。

 議場がざわついた。

 セシリアは眉を寄せ、紙を受け取った。署名の最後の跳ねが、わずかに違う。彼女は自分の癖を知っている。


「偽造です」


 審問官の眉が上がる。「言い切れる根拠は?」


「私の署名の最後の“ループ”は、右上に向かって細く消えます。これは、下に向かって太くなっている。筆圧が違う人の手です。日付の数字も、私は七に一本の横線を入れますが、この紙では入っていない」


 議場のざわめきが一段階下がった。

 セシリアは、もう一枚の資料束を掲げる。宰相府で作成中の正式報告書の下書きだ。

 ロウウェンが無言でそれを渡してくれていた。彼女はそれを広げ、項目ごとに示す。


「これが正式報告の構成案です。“発覚経路”“確認手順”“関係者”“暫定対策”。偽造文書の指示系統には、私が通常使う語順が一切ありません。私の書類は、名詞を先に置きます。偽造文書は動詞で始まる。私の癖を知っていれば真似られたでしょうが、偽造者は“見た目”だけを似せた。構造は真似できていません」


 首席審問官が、資料に目を落とす。

 周囲の議員たちがひそひそとささやき合う。

 ロウウェンは腕を組み、静かにその背中を見守っていた。


「つまり、偽造だと」


「はい。そして偽造する動機があるのは、補助金の流れに関与した側です。私を先に告発し、口を塞ぐために」


 審問官がもう一度、議場を見渡す。

 そこへ、別の議員が立ち上がった。年配の男だ。

 前夫の伯父。ヴィルソン商会の背後で、政治の橋渡しをしていると噂される人物である。


「若い娘の弁は雄弁だが、詭弁だ。偽造だというなら、誰がした。証拠はあるのか」


「今はありません。ですが、出せます」


 セシリアは迷わなかった。

 議場の空気が変わる。

 ロウウェンが初めて口を開いた。


「その証拠は、私が用意した。――正確に言えば、用意しておいた」


 視線が宰相に集まる。

 ロウウェンは鞄から封筒を二つ取り出し、机の上に置いた。封蝋には王国印と宰相印。

 封筒の一つは、昨日ヴィルソン倉庫で押収した搬出記録の写し。

 もう一つは、宰相府が独自に設置している公文書用紙の真贋識別票。紙の繊維に混ぜてある微細な色素の配合が、年ごとに違う。


「偽造指示書の紙は、去年の配合と一致する。だが日付は今年だ。用紙調達権限のある者でなければ、去年の束は手に入らない。権限者は限られている。名簿もある」


 年配議員の口角が引きつった。

 ロウウェンは続ける。


「さらに、偽造署名の筆圧と軌跡は、某議員の秘書の癖と一致する。宰相府は議会側の書記局に観察許可を得て、定例会議のメモ書きを複写してある。比べれば一目だ」


「……宰相。君は最初から疑っていたのか」


「疑っていたのではない。準備していた。いつか誰かが制度を歪める。その時のために、仕組みを整えるのが私の仕事だ」


 静かな言葉。だが、議場に重く届く。

 首席審問官が小さく頷いた。


「宰相。封筒を預かる」


「どうぞ」


 審問官は補佐に命じ、識別票と紙片を照合させた。

 短い間。

 結果が出る。

 補佐官が耳打ちし、審問官が宣言した。


「偽造の可能性が極めて高い。審問は続行するが、セシリア・ランベールの即時拘束は行わない」


 重かった空気が、少しだけ軽くなった。

 セシリアは胸の奥で、そっと息を吐いた。

 ロウウェンが視線だけで告げる。よくやった――と。


 しかし、審問は終わらない。

 年配議員が最後の抵抗を試みた。


「だが、君は冷たい。国に温かさは必要だ。君のような女が政に関われば、民は冷える」


 その時だった。

 セシリアが一歩、前に出た。

 議場の中心に立ち、真っ直ぐに言った。


「冷たさは、温かさの反対ではありません」


「何だと」


「熱で壊れるものがあります。数字も、手順も、法も。私は熱を持ちません。壊さないためにです。民の腹を温めるのはスープですが、そのスープを配る仕組みは“冷えている”ほうがいい。私は、仕組みを冷やします。だから、民は温かくいられる」


 ざわめきが、今度は違う質で広がった。

 ロウウェンの口元が、はっきりと緩んだ。

 声を重ねる。


「私が保証する。彼女の冷たさは、国を温める。――それを理と呼ぶ」


 首席審問官は槌を打った。

 審問の第一幕は終わった。

 決着は次回。偽造の主を誰とするか、補助金の流れをどう正すか。

 議場には、次の戦いの気配が満ちていた。


     ◇


 宰相府に戻る道すがら、雪が舞い始めた。

 セシリアは手袋を外し、白い息に手をかざす。

 ロウウェンが歩調を合わせた。


「今日はよくやった」


「私は事実を言っただけです」


「事実を恐れずに言うのは、簡単ではない」


「閣下が隣にいたからです」


 言ってから、少し頬が熱くなった。

 ロウウェンは何も言わず、屋根の滴を避けるように千鳥に歩いて、彼女の前に出た。

 外套の裾が雪を払う。


「君に頼みがある」


「何でしょう」


「今夜、宰相府の応接で、書簡を一通、書いてくれ。王に提出する。“緊急対策案”。審問より先に動く」


「わかりました。項目は?」


「三つに絞る。補助金の精査ラインの再設計。用紙識別の常時照合。審議録の開示範囲の拡大」


「三つに?」


「理由は三つ、と言うと人は聞く。今日、私はそれを学んだ」


 セシリアは笑った。

 彼はさらりと言うが、ちゃんと見ている。人の耳と心の動き。

 彼が冷徹だと言われる理由と、同時に信頼される理由が、少しずつわかってきた。


     ◇


 宰相府応接。

 灯を落とし、机に二人分の影が伸びる。

 セシリアはペンを走らせ、時折、言葉を削った。回りくどい言い回しは排除。中学生でも読める文章で、王に届く案を三項目にまとめる。


 一項目目は、補助金の申請から支出までを一筆書きにする「モノ線」。各部署の判子を横串にせず、一本の線上の順番に並べる。途中で戻れない仕組み。戻る必要があれば、戻った履歴が必ず残る。


 二項目目は、用紙の識別を誰でも照合できる簡易キット化。色素配合を公表するのではなく、照合カードを各部署に配る。カードは年一で更新。古い用紙は自動的に「過去年版」と判別される。


 三項目目は、審議録の開示範囲を広げる代わりに、開示までの時間を短縮。民の目を入れる。見られて困る運用を減らす。見られるから正す、という逆算。


 紙が一枚、また一枚と積み重なっていく。

 セシリアは最後の句点を打ち、顔を上げた。


「できました」


「見せてくれ」


 ロウウェンは受け取り、黙って読み込む。

 指先が時折止まり、また進む。

 読み終えると、彼は紙を裏返し、短く頷いた。


「よくできている。――いや、よく、じゃ足りない。必要だ」


「必要、ですか」


「うむ。君が必要だ。国に」


 言葉が静かに落ちる。

 セシリアは目を伏せた。心臓が、いつもより鮮明に音を立てた気がした。


「……宰相閣下。今朝、私は離縁の紙を受け取りました。紙は、冷たいと思っていました。けれど、紙で人は救えるのですね」


「紙で人は死ぬ。だから紙で救う」


「はい」


 ふたりの間に、短い沈黙が流れた。

 暖炉の火が小さく爆ぜる。外の雪が、窓辺で音もなく溶ける。


「一つだけ、確認してもいいですか」とセシリア。


「何でも」


「宰相閣下。これは“契約婚”でしたよね」


「そうだ」


「もし、私が“情”を持ってしまったら、契約は壊れますか」


 ロウウェンは少しだけ目を丸くし、それから、ほんのわずかに笑った。


「契約は壊れない。条文は増える」


「条文?」


「条文に“情文”が増える」


「……くだらない」


「私にしてはうまいほうだ」


 セシリアは堪えきれず、短く笑った。

 自分が笑う声は、思ったより軽かった。


     ◇


 翌朝。

 王への提出が済む前に、もうひとつの出来事が起きた。

 宰相府の門前で、群衆が集まり始めたのだ。

 誰かが煽っている。板に書いた文字が掲げられる。


 「冷たい女を追放しろ」

 「民に愛を」

 「宰相は女に操られている」


 雑な文句。だが、声は大きい。

 セシリアは窓からそれを見下ろし、目を細めた。

 ロウウェンが背後で言う。


「行くか」


「私が?」


「お前の名を叫ぶ者の前で、黙っていても勝てる時はある。だが今日は、違う」


 セシリアは頷き、外套を羽織った。


 門前に立つと、群衆の声がこちらに向いた。

 雪がちらつく。握りしめられた拳、濡れた靴、赤い鼻。

 彼女は大きく息を吸い、吐いた。


「私は冷たい女です」


 ざわめきが一拍止まった。

 セシリアは続ける。


「あなたたちの鍋の火加減を、私は遠くから見ます。近づくと、火傷をするからです。代わりに、薪が尽きないように、道の雪をどけます。遠くから、冷たく」


 群衆の中の年配の女が、腕を組んだ。


「難しいことはわからないよ」


「難しくしません。あなたのお椀が空にならないように、倉から小麦が出る道を一本にします。それだけです」


 若い男が叫ぶ。「宰相は女に操られてる!」


 セシリアは小さく首を傾げた。


「操るとは、紐を握ることです。私には紐はありません。私が持っているのは、鉛筆だけです」


 笑いが少しだけ生まれた。

 その笑いが、怒りの尖りを一つ、二つ削る。

 セシリアはそこで言葉を切り、深く頭を下げた。


「寒い中、ありがとうございます。どうか、風邪を引かないで」


 彼女が戻る時、群衆の声は小さくなっていた。

 ロウウェンが扉の陰で待っていて、短く言う。


「見事だった」


「何もしていません。火に近づかなかっただけです」


「それを“している”と言うんだ」


 彼の視線はやわらかかった。

 セシリアはほんの少しだけ、視線を避けた。心が、慣れない色に染まるのを感じたからだ。


     ◇


 昼。

 王宮から使いが来た。

 王は宰相案の三項目に目を通し、即日施行の内示を出すという。

 審問は継続だが、制度は先に動く。


「速い」とセシリア。


「王は速い」


「陛下が“速い”のは、宰相が“遅くない”からです」


「なるほど。いい言葉だ」


 ロウウェンは机の引き出しから小箱を出した。

 中には細い金属のしおり。片側に小さな刻印がある。


「贈り物だ。文官の誕生祝いに渡すものだが、習わしを破ってもいいだろう」


「誕生祝い?」


「新しい役目の誕生だ」


 セシリアはそっと受け取った。

 指先で冷たい金属の感触を確かめ、刻印を見た。

 小さな扉の印。蝶番が精巧に刻まれている。


「扉、ですか」


「扉を見つける女に、扉を」


「……ありがとう、ございます」


 声が少し震えた。

 ロウウェンは聞こえないふりをした。


     ◇


 夕刻。

 審問の続きの通達が届く。明朝、再開。

 偽造の主の名が、ほぼ固まったらしい。王立記録局の副長、そして彼に紐付く数名の名が挙げられている。背後に、あの年配議員の影があることも、もう隠しきれない。


 セシリアは資料をまとめ、机の上に置いた。

 窓の外はもう暗い。

 灯を落とす前に、ふと、机の角に置かれた小箱が目に入る。扉のしおり。

 彼女はそれを本の間に挟み、そっと閉じた。


 扉は、開けるだけが能ではない。

 開けるべき時まで、閉じておくこともまた、手順の一つだ。


 廊下の向こうから、ロウウェンの足音が近づく。

 静かな靴音。規則正しい歩幅。

 彼は扉の前で立ち止まり、軽くノックした。


「準備はいいか」


「はい」


「明日は、私が前に立つ。君は、言うべきことだけを言え」


「はい。……閣下」


「何だ」


「私が冷たいのは、あなたのためです」


「どういう意味だ」


「熱を持つと、あなたの判断が歪むから。私は、あなたの隣で冷たくいます」


 ロウウェンは短く息を吐き、目を細めた。

 その目は冷たくも、温かくもなかった。

 ただ、まっすぐだった。


「なら、私は君のために温かくいよう」


「温かい宰相、ですか」


「たまには」


 セシリアは笑い、頷いた。


「明日、勝ちましょう」


「勝つのではない。正す」


「はい。正しましょう」


 灯が落ちる。

 夜は静かに深くなり、雪はまだ、音もなく降り続いていた。


 ――翌朝。

 王立議会の扉が開く。

 宰相は中央へ歩み出て、最初の言葉を放つ準備をした。


「定義から始めよう」


 その一言が、第三話の幕を上げる合図になった。



第3話 凍てつく誓い


 朝の空は、凍りついた硝子のように白かった。

 議会広場を囲む建物の屋根に、夜の雪が薄く残っている。

 王立議会の扉がゆっくりと開かれ、人々のざわめきが押し寄せた。


 セシリアは宰相府の階段を上がる途中、深く息を吸った。

 今日の審問で、すべてが決まる。

 偽造の主を暴き、補助金の流れを正せなければ、国の制度そのものが凍りつく。


 ロウウェンは隣を歩きながら、手袋を外していた。

 白い息が立ちのぼり、指先の傷跡が光を反射する。

 彼の顔はいつものように無表情だったが、その歩幅には迷いがなかった。


「宰相閣下」


「うむ」


「勝ち負けではなく、“正す”ために行くのですよね」


「そうだ。……だが、正しさは冷たい。冷たすぎると人は凍える。だから、お前の言葉がいる」


「私の、ですか」


「数字だけでは届かぬ場所がある。理の先には、誰かの心がある」


 その言葉に、セシリアはわずかに視線を落とした。

 自分が選んできた“冷たさ”を、誰かが“必要”と言ったのは、これが初めてだった。


     ◇


 議場の天井は高く、光を受けて冷たい輝きを放っていた。

 傍聴席には記者や商人、王立大学の学生までが集まっている。

 今日の審問は王国全土の注目を集めていた。


 首席審問官が開会を告げると、空気が一気に張り詰めた。

 円形の壇の中央に、セシリアとロウウェンが立つ。

 その対面に、偽造に関与したとされる副長オルドと、背後に並ぶ数名の議員。


 審問官が淡々と告げた。

「本日の議題は、偽造書類の作成および補助金の不正流用。――オルド副長、弁明を」


 年老いた副長は、口の端を吊り上げた。

「弁明することなどありません。書類は宰相府からの命令です。署名も宰相印もある」


「宰相印?」


 議場の視線がロウウェンに集まる。

 彼は一歩前に出た。

「それを“見せろ”。」


 審問官の合図で、文書が持ち込まれる。

 封蝋は確かに宰相印に見えた。

 だがロウウェンは手に取ると、蝋の縁を指でなぞり、淡い光を反射させた。


「宰相印に見える。だが、これは“宰相府旧印”だ。廃止から二年経っている。使えるのは、旧文書管理局の関係者のみ」


 ざわめきが起こる。

 副長の額に汗が滲んだ。


「さらに、この蝋。温度管理が甘い。宰相府の封蝋は常に二百度で溶かす。これは百五十だ。印面の輪郭がわずかに歪んでいる。――偽造だ」


 ロウウェンの声は低く、しかしよく通った。

 その冷たさが、逆に議場を静かに温めていくようだった。


 セシリアは一歩前に出て、補足する。

「不正の流れを示す帳簿はここにあります。補助金の半分が“匿名寄付”として再分配され、三分の一が議員私邸の改修費に回っている。署名は副長オルドの直筆です」


「証拠があるのか」


「もちろん。筆跡鑑定の結果も添付しています」


 書記官が慌ただしく資料を回す。

 議員たちの顔色が変わり、会場のざわめきが再び高まる。


 首席審問官が椅子を叩いた。

「静粛に!」


 静まり返った空気の中、ロウウェンがゆっくりと歩を進めた。


「副長。君は制度を利用した。だが、制度は人が支えている。人を欺いた時点で、それはもう理ではない。理を離れた理は、ただの計算だ」


 オルドは唇を震わせた。

「理、理とうるさい。理だけで国が動くと思うか! 民は数字ではない!」


「だからこそ、数字がいる」


 ロウウェンの声が一段低くなった。

「数字は嘘をつかない。感情は嘘をつく。私は数字を信じる。だが、君は数字を装って嘘をついた。――君こそが、民を数字に変えた張本人だ」


 副長が崩れ落ちる。

 証拠が突きつけられ、議場は完全に彼の敗北を悟った。

 審問官は短く判決を言い渡した。

「副長オルドおよび関係議員数名、告発に基づき拘束。補助金の全額を没収し、再発防止策の立案を宰相府に一任する」


 槌が鳴り響いた瞬間、場内のざわめきが歓声に変わった。

 勝敗ではない。正しさが通った瞬間の、息をのむような静けさと熱。


     ◇


 審問が終わると、外は夕暮れだった。

 陽が傾き、雪解けの水が道を濡らしている。

 王都の鐘が鳴り、群衆が広場に集まった。


 ロウウェンとセシリアが議会の階段を降りると、人々の拍手が起こった。

 「宰相閣下!」「セシリア様!」――そんな声が混じり、街に響いた。


 セシリアは軽く会釈し、ロウウェンの隣に並ぶ。

 彼の横顔には疲労が見えたが、どこか満たされた色もあった。


「……終わりましたね」


「ああ。だが、“終わり”ではなく“始まり”だ」


「はい」


「補助金制度の改革は、すぐに始める。君の案をもとに、全土に展開する」


「承知しました」


 風が吹き、セシリアの髪が頬をかすめた。

 ロウウェンは一瞬だけ手を伸ばし、迷ったように、そして静かにその一房を指先で払った。


「冷たさが、今日ほど頼もしいと思った日はない」


「私も、温かさを必要だと思いました」


 二人の間に、短い沈黙。

 遠くで鐘がもう一度鳴る。


     ◇


 その夜。

 宰相府の執務室。

 ロウウェンは報告書に署名し、ペンを置いた。

 セシリアは地図を広げ、各地の再分配経路に印をつけていく。


「……忙しくなりますね」


「退屈よりはいい」


「宰相閣下は、退屈を嫌いますか」


「退屈は、心を鈍らせる。理を鈍らせる」


 セシリアは微笑んだ。

「では、私が退屈させません」


「どうやって?」


「手順で」


 ロウウェンが吹き出した。

 珍しく、笑い声を漏らした。


「君といると、理屈が息をする」


「理屈に息をさせるのは、閣下の役目です」


 彼女の手が紙の上を動き、インクの匂いが部屋を満たした。

 暖炉の火が柔らかく揺れ、窓の外には静かな雪。


「セシリア」


「はい」


「これから、国がどう変わると思う?」


「仕組みは変わります。でも、人の欲は変わりません」


「だろうな」


「だから、私は手順を作り続けます。欲が暴れないように。閣下が、それを守ってください」


「約束する」


 ロウウェンは、机の上の紙を片付け、ふと視線を上げた。

「……契約婚の期限を、延長したい」


 セシリアのペンが止まる。

「延長?」


「そうだ。――終わりを、定めたくない」


 その声は、いつもより少しだけ柔らかかった。

 彼女は短く頷いた。


「期限を延ばすのではなく、項目を増やしましょう」


「項目?」


「“契約の目的:国の安定と幸福”に、“互いの幸福”を追加します」


 ロウウェンの口元が笑みに変わった。

「また条文か」


「理屈の世界しか知りませんので」


「それでいい。――それが、君だ」


 暖炉の火が一際強く燃えた。

 窓の外、雪がやみ、月が顔を出す。


 セシリアは机に肘をつき、ペン先で紙に小さく線を引いた。

 “幸福”。たった二文字。だが、そこには温度があった。


「宰相閣下」


「なんだ」


「私、冷たいままでいてもいいですか」


「もちろんだ。その冷たさが、私の温かさを保つ」


 セシリアは目を閉じ、深く息を吸った。

 ゆっくりと吐き出すと、胸の奥がほんの少し軽くなる。


「……この国は、良い方向に動きますね」


「ああ。君がいれば、必ず」


 ロウウェンの指が、机の上のしおりを撫でた。

 金属の扉が、月明かりを受けて光る。


 その輝きは、まるで未来の予告のようだった。


     ◇


 数日後。

 王都広場で行われた改革布告の式典。

 宰相ロウウェンと顧問官セシリアが並んで壇上に立ち、新しい制度を発表した。


 その姿を見た人々は、こう呼ぶようになった。

 ――氷の宰相と帳簿の女王。


 だが、彼ら自身は違う言葉を胸に秘めていた。


 「理と情を、並べて置く」


 それが、ふたりの誓い。

 恋という名の温度を、理という名の手順で包みながら。


 雪解けの風が吹き抜け、王都の鐘が春を告げた。

 凍てついた冬は終わり、新しい季節が始まる。


 ――冷たさは、愛の形をしていた。


 終。


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