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第40話 DX丹波凛ブレード

「ケツが痒いなら仕方ねぇな。後で座薬でも塗るこった」


「…………」


 トカゲ頭はそんないらぬ優しさを見せながらまた俺達に背中を向けた。彼はまた引き続き治安維持隊の動きを静止している。


「よし、縄解けたぜ。夏野、どうする? 裏口から逃げるか?」


「そうしたいのは山々なんだけど俺だけ逃げたら他の人質から猛抗議されそうだしトカゲ頭にバラされそうだしなぁ……」


 縄から解放されたのはいいが、動けずにいるままだ。


「あいつ、さっきからあたしらに背中向けてるし、何か手頃な鈍器で頭殴りゃ倒せるんでねぇの? どっかにクワとか落ちてねぇかな?」


「殺傷力高すぎ。殺す気か。ていうか、そんな都合のいい鈍器はそうそう……」


 俺がそう言ってると、さっきまで凛と食事していたテーブルの端に彼女の木刀が立てかけられているのを見つけた。


「あっ、あれはぁ……!」


 光らない!! 鳴らない!! DX丹波凛ブレード!! 販売所京都土産売り場、お求め価格1200円、中古品、状態劣悪……がそこにある。


 そう彼女が修学旅行先で買ったとされる木刀である。


「おい、あれって打楽器女が持ってた専用武器じゃん。ま、ないよりマシだし使わせてもらうか……」


 言いながらレイさんはサイコキネシスでテーブルに立てかけられていたそれを引き寄せて俺の手元まで持って来させた。


 凛の木刀は女性でも扱えるくらい軽く、そしてほんのりスイカ臭かった。


 たぶん一度も洗っていないのだろう。


「よっしゃ! それでアイツの頭かち割ってやりな! さっきからずっと背中向けてるしヨユーだろ!」


「……思ったんだけどさ。レイさんがアイツに念力かけて倒した方がはやくない?」


「その発想はなかったぜ」


 しまった、みたいな顔を浮かべるレイさんだったが、すぐに彼女は切り替える。


「まぁ、細かいことはいいとしてだな。いいか、夏野くんよぉ。よく聞けよ」


「なんだい?」


「いまここでお前さんがあのワニを倒せば一躍ヒーローになれるって話だ。人質を解放して、みんなから感謝されて大喜び。するとどうなる? 有名人になってウハウハモテモテのハーレムの完成だ。マスターはお前を見直すし、条件の良い仕事にもつけて生活も豊かになるかもだぜ~」


「レイさん……!」


 なんて賢くて気配り上手なんだ!


「というわけで行ってこい。ダメだったらあたしがちゃんとフォローしてやっから」


「わかった! なつのがんばる!」


 そういうことで俺はDX丹波凛ブレードを手にトカゲ頭を迫るのだった。

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