第26話 夏野とスキルの話
ゴクリ、と俺は生唾を飲んだ。ていうか、この適正診断で相応しくない結果が出たら俺はどうなるというのか。地獄に叩き落とされないよな?
『ふんふん……ぶっちゃけビミョーだけど合格でいいよね? ねっ、みんな?』
もったいぶってたし、回りくどいことばかりしていた割に、セツナの発表はあっけらかんとしたものだった。
彼女はニコニコ笑いながらケセランパサランどもにそう告げる。
『はい、セツナがいいと言うのであればこれで決定ですね。はぁ、長くて面倒くさい時間でした……』
やれやれ、といった感じに溜息を吐いて『02』がテーブルの資料を片付けていた。
『およ? 終わったのー? じゃあ、みんな帰ろっかー』
退屈そうに机に突っ伏していた『05』が『02』の終了の声を聞くと、起き上がって大きく伸びをしていた。
『ううん、まだ少し待ってね。これから夏野くんを異世界に飛ばすからそれまでもうちょっとの辛抱だよ』
セツナは指を鳴らすと、俺の前に青白く発光する扉を出現させた。その扉はひとりでに開き、その先にある空間は渦を巻くように歪んでいた。
『おおう、何だこれ……』
俺はその扉の登場に感心していた。
異世界へと通じる異界の門といったところか。やたら本格的である。
『あ、そういえば夏野くんに渡すスキルについてなんだけど……』
『……ッ、スキル!! 待ってました!! 俺はそれを期待していたんだ!! とびきり良いのを頼むぜ女神様!!』
スキルの話になった途端、俺のテンションはこのうえなく上がった。
今からどんなスキルを貰えるのかワクワクして仕方がない。
異世界には必要不可欠で重要な要素。これがなくては始まらない。
『うーん、そうだねぇ……』
セツナは顎をさすりながら何がいいかと思案していた。
最強系頼む。最強系。
だが、待っていたのはそんな俺の淡い期待を裏切る出来事だった。
『あっ、スマホから電話が……』
ピピピ、と着信音が鳴り、セツナはスカートからスマートフォンを取り出していた。
『あっ、ちょ……』
俺に与えるスキルの話はいったん保留となり、彼女は着信に応じる。
『もしもし? どうしたのパパ?』
どうやら彼女の父親から電話がかかってきたらしい。
『えっ? そろそろお昼ご飯の時間だから戻って来なさいって? ママも待ってる? あー、もうそんな時間なんだ。うん、わかった。すぐ戻るね』
セツナはニコニコと楽しそうに話している。
『うん、みんなもいるよ。わぁ、今日すき焼きなんだ。みんなの分も用意してあるから呼んでほしい? うん、そうするー』
俺は首を伸ばしてセツナの電話が終わるのを待っていた。




