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第25話 夏野は激怒した

 夏野は激怒した。必ず、邪智暴虐の女神どもを除かねばならぬと決意した。夏野には政治がわからぬ。勉強もわからぬ。ついでに女の子の気持ちもわからぬ。夏野は甲斐性なしのヘッポコである。ハーモニカを吹き、ペットのカメと遊んで暮らしていた。けれども己を虐げる理不尽に対しては、人一倍敏感であった。


『お前ら!! ほんといい加減にしろ!! さんざん俺のことをバカにしやがって!! 何が目的なのかハッキリしろ!!』


 俺はパイプ椅子から立ち上がるとパソコンの前にたむろしているケセランパサランどもに怒鳴った。


『それとなぁ!! 男はみんな助平なんだよ!! グラビアアイドルコレクションの秘蔵フォルダひとつくらいなんだってんだ!! 言っておくが俺は十五歳なんだぞ!! 思春期舐めんな!!』


 そんなことを言っていたら、ケセランパサランどもは妙に納得したような顔を浮かべながら、スーッと静かにもとの席に戻っていった。


『では、気を取り直して……夏野さんの診断を続けましょうか』


『えっ? まだやんの?』


『あたりめーよ。お前が異世界に行って悪さするとは限らねぇからな。人格とか過去のやらかしとかそーゆーの調べねぇとダメなんだよ。まぁまぁ、エロフォルダについては思春期で溜まっててどうしようもねぇ、ってことで免除しといてやる。しょせんはただのグラビア画像だしな。マッパなら粛清してたところだがよ』


 いや、流石に未成年の俺にはフルヌードは刺激が強すぎるし……ネットで調べて変なものが流れてきたら怖いから、せいぜいそれが限界なんだよ。


『つーわけで、お次は卒業文集と自作ポエム、それから好きな子に渡す予定だったラブレターのご開帳と洒落込むかぁ? ケッヒヒ、悪いと思うなよ? これも仕事なんでな。別に興味あるわけじゃねぇぜ? 仕方ない、仕方ないって話だ』


 言いながら『03』と『04』は俺が過去に書いた文章の閲覧に入った。


『オワァーーーー!! やめてーーーー!?』


 虚しく俺の叫びが木霊(こだま)する。


 隅々まで自分のことを調べ上げさせられた頃には、羞恥(しゅうち)のあまり、もう灰のように真っ白に燃え尽きていた。


 そうして長い時間が経ち、ようやく適正診断とやらが終わりを迎えようとしていた。


『では、最後に我らが代表……女神のセツナに評価を下していただきましょうか』


 纏めに入るようだ。『02』は中央席に座る黒髪の女の子、セツナに水を向けた。


『うむっ、ほいキタ』


 さも偉そうに腕を組み、胸を張るセツナ。


『夏野くんの~、異世界転移~、適正診断結果は~……』


 指揮者ぶった仕草と、もったいぶった話し方でセツナは俺に合否の結果を伝えんとしていた。

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