第21話 夏野とプライバシーの侵害
『ふぁ……これ、なんか長くなりそうだし、つまんないね。ゼロツー達に進行は任せてわたしはひと眠りするよ』
氏名表に『01』と書かれているおさげ髪を前に垂らした女性が大きくあくびしながら隣席の『02』に言った。
『ええ、どうぞゼロワン姉様。お疲れのようなら私が後をやっておきます』
ニコニコと愛想良く笑って『02』が『01』にそう返す。『01』は机に突っ伏すと気持ち良さそうに寝息を立て始めた。いきなりのサボタージュである。
『へへっ! ゼロツー姉様! こいつの部屋から私物を押収して来たぜ! これ全部調べてやんよ!』
『03』は『04』と共に少しの間だけ席を外していた。
二人が帰ってきた時、その両手に抱えていた段ボール箱には俺の私物のゲーム機や漫画、あまつさえ中学の卒業アルバムなどプライバシーに関するものがたくさん入っていた。
俺は彼女達が持って来たそれを見て、顔が青ざめる。
『あっ! ちょ……それ俺の……! あんたら何するつもりだ!? ひとのプライバシーを侵害するってのか!? 何の権利があってそんなことを……!』
俺が必死に訴えると『03』はギザギザの歯をにぃ、と見せた。
『ケッヒヒ、悪いな~。お前の部屋にあったこいつらを適性診断の調査資料にしてやるぜぇ~』
『……わぁ、やりかけのゲームある。しかもラスボス前だよ……』
『よっしゃ、ゼロフォーそれクリアしてやれ。あいつの目の前でなぁ』
『まかせろ……ふふ』
『04』と呼ばれた前髪の長い女の子は段ボールの中にあった携帯ゲーム機を手に取ると、俺が作ったセーブデータを起動して、勝手にプレイし始めるのだった。
『あー!! それ昨晩やっとダンジョンクリアしてラスボスに辿り着いたヤツなのに!! 勝手にクリアしようとすんなっ!! エンディング楽しみにしてたんだぞ!!』
俺は声を大にして二人に叫んだ。
『やかましいクソガキ!! お前、死んだんだからどうせクリアできねぇだろうが!! オレ様達が代わりにクリアして未練なくしてやろうって優しさだろうがよっ!! 感謝しやがれ!!』
『……ええ……?』
と『03』は暴論をかざして俺を無理やり黙らせると、椅子にどっかり座り込み、行儀悪くもテーブルに足を放り出して押収した漫画雑誌を読み始めた。
彼女のテーブルには他にも俺が愛用するノートパソコンや厨二時代に作成したマル秘ノートなどが並んでいた。
俺の背中から冷たい嫌な汗がダラダラと流れ始める。
いやぁ~!! やめてぇ~!! 俺の恥ずかしいものが赤裸々にされちゃうぅ~!!




