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第15話 アルチュウとジコチュウ

「しゃーねぇ。適当に茶を濁して終わりにさせとくか」


 丹波凛という外野がうるさくなってきたところで、幽霊さんはアルチュウにトドメを仕掛けた。ポルターガイストの力を強め、アルチュウの全身の毛を吹き飛ばす。


「う、うわぁあああーー!!」


 アルチュウは叫んだ。バリバリバーン、という間抜けな効果音と共にヤツの体毛のすべてが呆気なく霧散、体毛をむしられたアルチュウはハダカデバネズミのような有様となり、地面に雑に落とされる。


「ア、アルチュウーーーーッ!!」


 打楽器女は迫真の絶叫をあげた。


「は、恥ずかしいぃーーっ!!」


 体毛を失ったアルチュウは両手でデリケートゾーンを隠しながら女々しい悲鳴をあげていた。その様は側から見てもなかなかキモかった。


「もういい! もどりなさいアルチュウ! 画面的に見苦しいわっ!」


 凛はモンスターボックスを手にすると、中央部のボタンを押し、パチモンを収納するための赤いビームを照射した。アルチュウは乙女みたいなポーズをしたまま、モンスターボックス内に収納される。


「このぉ……よくも私のアルチュウを……こうなったら次のパチモンを出すしかないわね……!」


「まだやんの?」


 俺はいまので懲りてくれると思ったが、そう甘くはなかったらしい。


「あのパチモンに対抗できそうな私の手持ちは……ええっと、何がいたっけ……ディーブイにタイキング、メンヘラクロスにガンギマリル……この中からどれか……いや、ここは一か八か大爆発を無理やりに覚えさせたリアジューを出すべきかしら……? ここら一帯焼け野原になっちゃうけど……構わないわよね?」


 構わなくねぇよ。


 それにしてもどのパチモンも最低なネーミングセンスである。この世界の生物はどうなっているのやら。神様のイタズラってレベルではない。


「って、あれ? あれれ? ゲット済みのモンスターボックスがひとつもない……どうして?」


 凛が腰ベルトにあるモンスターボックスに手を伸ばすも、アルチュウの枠以外そこは丸っきりの空きスペースとなっていた。


 そのことに凛が気が付くと、彼女は頭を抱えて大仰に喚きだした。


「ああ~!! しまったぁ~!! そういえばアルチュウ以外みんな夜逃げしたんだったぁ~!! すっかり忘れてたぁ~!!」


「夜逃げ、って……おいおい、普段からそいつらにどんな扱いしてたんだよ」


「相当ひでぇ扱いだったんだろうな。幽霊さん」


 後から話を聞くと、夜逃げ決行時アルチュウは泥酔してて、他のパチモン仲間から置いて行かれたらしい。そうして、丹波凛ことジコチュウ女のもとに残ったのは酒呑みパチモンのアルチュウだけという結果になっている。


「そりゃ、あんなジコチュウモンスターみたいな主人のもとじゃ嫌になるわな」


「なんとなく足蹴にしてそうだもんなパチモンのこと。あいつらに同情するぜ」


 俺と幽霊さんは凛のパチモンに対する普段の扱いが想像できてしまった。そのせいか、パチモンの方に同情する気持ちが大きかった。

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