ミケの話
山なし落ちなし意味なし、ってやおいじゃないよ!
我が輩はミケである。
……いや、違った。
我が輩は猫である。 名前はミケ。
ご主人から賜った偉大な名前である。
ん?
え? 三毛猫じゃないよね、だと?
見ての通り、ぶち猫である。 白と黒のコントラストが美しい芸術的な白黒ぶち猫ではないか。
羨ましかろう?
何? 羨ましくないのか?
この芸術的なモノトーンが羨ましくないだと?
何とも浅ましいものだ。 少しは芸術というモノを理解し給え。
うん?
三毛猫じゃないのにミケなんて変だと?
我が輩のご主人がくれた名前だぞ?
何らかの深謀遠慮があるに決まっているだろう?
全く。 それくらいは理解して欲しいモノだな。
おっと、ご主人が呼んでいるな。 もうメシの時間であったか。
我が家のメシは旨いぞ?
カリカリとは違うのだ、カリカリとは。 いやまあ、歯にいいとかで偶にはカリカリも出るが。
ご主人は懐が広いからな。 キサマのメシも猫○族が出るぞ。
ふははははは。
「お~い、ミケ~」
「にゃあ~」「みゃあ~」
「お、客人も連れてきたな。
よ~しよし、ゴハンだぜ~」
「ミケ、って三毛猫じゃねーんかい!?」
「ん? ああ、三毛猫って意味じゃねーし」
「いやいや、ミケで三毛猫以外の意味がどこにあんのよ?」
「まずミケを立たせるっしょ」
「にゃ!?」
「こうすると、ほら。 伸びきった胴体の、この白い部分が何かに見えてこないか?」
「………………まさか、ダビデ像か?」
「おうよ。 ミケのフルネームはミケランジェロだかんな」
びろーーーーーーん