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幾千万ものアルタイジ  作者: YY:10-0-1-2
1部 ブラックアビス・ドラゴンメディヴァール
5/5

4話 地獄のような


 ドラゴン族の村は各地にあると記録場では記されている。今からおよそ200年前には、ひとつの大陸にドラゴンが多く生息していたと言う。

 ユウガはそんな記憶を思い出しつつ、目の前を見る。


 ……それは、焼かれていた。

 ……焼き焦がれた家。焼き焦がれた井戸。焼き焦がれた屍。焼き焦がれた……全て。

 土地も、空も、人も、何もかもが焼き払われ、黒と化していた。

 ユウガはその屍を触り、骨であることを確認してから立ち上がる。

 ユウガの目には、怒りとは違う何かが宿っていた。

 ……これは、人間の所業なのか? と。

 これが()、村の姿である。と、何も知らない人間に伝えたらどう答えるのだろうか。答えは簡単である。


 ……そんなわけが無い、と。


「っぁ……ぁあ……ああぁ……!」


 ラナが隣で膝まつき、大きく目を見開いて叫ぶ。

 ユウガはそんなラナを見ながら目を細める。


「……クソッタレ。あんまりだな」


 ラナが大きく悲鳴をあげる。

 その声は大きく木霊し、遠く遠くに響く。

 何があったのかは誰にも分からない。しかし、大きな抗争があった訳でもない。まるで、一気に何かに焼き払われたかのような……そんな跡が残っている。


 ……ドラゴンのブレス? 否。

 ……砲撃の後? 否。


 明らかにおかしい。

 ドラゴンのブレスならば、家が所々焼き落ちてるだけ、というのは不自然だ。

 そもそも、ドラゴンのブレスの破壊力には乏しい。乏しすぎる。

 ならば何か?


「……能力者か」


 ユウガは推察する。

 砲撃の後ならば、動かした跡があるはず。そして、どちらも発射された際の跡がない。

 まるで()()に囲まれているのだ。

 村を囲うように。まずブレスや砲撃ならば扇形に拡がっていくはずなのだ。しかしその後もない、痕跡もない。


 ユウガは立ち上がり、ラナに近づく。

 ラナは村の方に手を合わせて、涙目のまま彼女は呟く。


「こんなことしたやつを、私は許さないよ」

「……復讐か?」


 ユウガが呟く。

 ラナは、ユウガの方に向き直る。そして、目に光をともさずに、頷いた。


「うん」












 ◇◆◇














 その場を後にしたユウガ達は次なる街へと向かっていた。

 その街とは「オンズマリズバーグ」と言う街であった。歴史はまだ浅いながらも、様々な人間や獣人が生活をしていて、栄えていた。

 ユウガとフードを被って角を隠したラナはオンズマリズバーグに着き、一息つく。


 焼き払って間もなくならば、ここの街に来るはずだという思惑だ。

 ユウガ達は宿を取り、部屋の中に入る。


「俺はちょっと歩いてくる。お前はどうする?」

「……ん、ごめん。休ませて?」

「…………わぁった」


 ユウガと言えど、精神が疲弊している人間に対して「来い」などと強い言葉は使えない。

 そもそも、ユウガ自身が『一人で動けた方が楽』と考える人間なので言わないのだが。


 ユウガが立ち去った後、ラナは枕に顔を埋める。


(……お母さんとお父さん、どこいったんだろう……)


 ラナはそう考えて、黒色の屍を思い出して再び目を見開いた。

 ラナは再び吐きそうな衝動を抑えて、耐える。

 近くにあった水を飲み干すと、胸に手を置いて落ち着かせる。


「とにかく、敵を探し出して……倒さなくちゃ」


 ラナは自分の拳を見つめて呟く。

 ドラゴン族である自分が、敵を倒し、仇を取らなければならない。

 そう思い立ったらラナはベッドにインする。


「……今は、休まなくちゃ。ユウガに、迷惑はかけれないからね」


 ラナはそう言って目を閉じる。



 ……ユウガが帰ってきた頃には。


「スヤァ!」

「……………………」


 鼻ちょうちんを膨らませながらぐっすりと寝ていたが。

 ユウガはため息をついて、部屋の電気を消すのであった。



Q.ラナちゃんって実は図太い?

A.ドラゴン族ですしお寿司。

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