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第10話

 リリアンにもやもやしたら気持ちを話したら、気持ちが和らいできた。


 気持ちに余裕がでてくるのも束の間、次に頭を悩ませるのは、これからの問題だ。


「これから、どうしていこう」


 そう、今後、どこで暮らし、どこで働いていけば良いのだろうか。


「まあ、しばらくは家に泊まってもらってかまわないから」


「でも、ずっと厄介にはのれないわ。新しい住まいを探さないと」


 リリアンのアパートも、事務所と兼用なので、何日かソファーを借りることはできても、二人でシェアするには狭かった。


「そうねぇ。家は狭いからね。。アルルは、何かしたいことあるの?」


「したいこと?」


「そう、まずは仕事を探さないと、家賃も払えないなら、誰も貸してくれなわ」


 リリアンに聞かれて、私は自分のやりたいことを考えたみる。


 研究職につきたかったが、それは一般的に社会で成功したイメージを考えた結果の話だった。


 真剣に研究職につきたいかというと、話は別で、頭があまり良くない私は、実は苦手な職業だった。


 花嫁になりたかったが、あっけなく崩れ去ってしまった今、本当になりたいものは、私にはなかった。


「特にないかな」


「え?」


「稼げれば、なんでも良いわ」


 リリアンには、本心をさらけ出せた。


「なんでも良いって、簡単なようで、難しいわね」


 リリアンは、頭を悩ませて言った。


「逆に、リリアンは、何で探偵だったの?」


 そういえば、私はリリアンが高校中退をしてまで、何故探偵業だったのか、聞いたことがなかった。


「話してなかったかしら。うちは父親が浮気ばっかりしていて、母親は泣いてばっかりなのよ。それなのに、父親は社会的にはエリートで態度が大きくて、上から目線なの。だから、探偵になって、全て社会に暴いてやろうと思ったのが、きっかけかな」


 リリアンは、あっさりと話した。


 リリアンは父親と仲が悪く、勘当寸前まで壊れていると知っていたが、まさかそういう事情があるとは、知らなかった。


「そうだったのね。あっさりしているけど、父親が憎いでしょ?」


「どうかしら、あまり考えないようにしているわ。他人事のようにしていたら、気持ちは楽になるの」


 喜怒哀楽の激しいリリアンが、無感情に見えた。そういえば、家庭の話をしているとき、いつも能面のように無表情になる癖に気づく。


「色々大変なのね。元気なリリアンしか見えてなかったわ」


「もう!今は、アルルの話でしょ!」


 私は胸が痛くなり、しんみりと話すと、リリアンは怒った口調で言ってくる。


「そうだわ、忘れていたわ。私、これからどうしたら良いのかしら」


「もう!そんなに人のことが心配になるなら、修道女にでもなったら?」


「修道女?」


「そうよ。あそこなら、タダで寝泊まりできるし、仕事もあるわ」


「仕事って、なに?」


「奉仕よ。神にお祈りして、ボランティアとかするのよ。」


 神に祈り、奉仕をする仕事、、。


 考えてもみなかった道だった。


 でも、カールに捨てられた今、男は金輪際いやだった。これからは、恋人も作らず、結婚もしない。一人で生きる覚悟はあるが、心細い気持ちはあった。


「いいかもしれない」


 だって、一人で生きる私の背中を押してくれる道だった。


 信仰心はあまりないけど、結婚式当日に花婿に逃げられ、挙句に実家からは追い出され、宿も食いぶちもない崖っぷちの今、神にでもなんでも縋りたかった。



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