21 過去と今の未来の話
「ルキがくれた、この苗。なんていうの?」
『それは『世界の苗』世界で4本しか存在しない一つなんです。』
「え?4本しかないの。」
とんでもない物を貰ったな。
「『世界の苗』は成長すると『世界樹』になるんだよ。今、発見されているのは秩序、明智、気概。最後の一つは道義。」
『よく知ってますね。』
「……油断した。まさか、姉さんがお前の王になるなんて思ってもなかった。あの時、湖を凍らせてればよかった」
『何を言おうと無駄ですよ。アオ様は私の王様です!』
ハルの言葉は聞こえなかったけど、ルキの言葉は嬉しい〜なぁ〜。それにしても、道義の苗は一体どんな樹になるんだろう。
「『世界の苗』って、何日で『世界樹』になるの?」
『さぁ?数百年ぐらいじゃないですか?』
「数百年……」
『意外とすぐですよ?』
「お前の感覚と一緒にするなよ。」
う〜ん、数百年か……
「花屋のおばちゃんに早く木がなる方法とか、教えてもらおうかな。」
「そうだね!今度、行ってみようか。」
私は世界の苗をしまった。
『世界の苗を獲得しました。』
【世界の苗(道義)】
種類:世界樹
等級:神級
詳細:神々が創り出した世界に四つしかない苗。成長すると世界樹になる。
あっ!そうえば!
「私気になってたんだよね〜。黒狛犬とか。」
従魔って書いてあったけど、どんな子が出てくるのかな?
「え〜と。【黒狛犬】?」
私の影が伸び、そこから一匹の黒い犬が出てきた。
「わっ!」
「姉さん!」
『アオ様!』
思わず声が出てしまった。それに続けて、ハルとルキが私の名前を呼んだ。
「大丈夫だよ。えっと?君が黒狛犬?」
⦅そうだよ!⦆
ん?なんか、聞こえた。
「聞こえた?」
「聞こえた。」
『聞こえました。』
ハルとルキも聞こえたみたい。
「ハル、白狛犬を出せる?」
「うん、【白狛犬】。」
ハルの影が伸び、白い狛犬が出てきた。
⦅やっと、呼んでくれた!⦆
「聞こえた?」
「聞こえた!」
『聞こえました。』
あぁ、【狛犬の主人】獲得者と私の繋がっているルキだから、聞こえるのかな?
⦅⦅初めまして、ご主人様方!⦆⦆
⦅僕は貴方達が助けてくれた今のフェンリル。⦆
⦅ボクは貴方達が助けてくれた過去のフェンリル。⦆
⦅⦅貴方達と新たな自由の未来を作るため、また会いに来ました!⦆⦆
狛犬達の琥珀の瞳が私達を見据える。
『フェンリルって洞窟にいた?』
「知ってたの?」
『はい、それが私の宿命ですから。』
あっ!そこで繋がってたんだ。
『私の正確な宿命は来訪者をフェンリルの元へ誘うか、判断する役目だったので……でも、そっか。貴方も自由になったのですね。』
⦅うん、僕達はご主人様達に救われました。⦆
⦅だから、一緒に自由を作る。⦆
「うん!」
ポンポンポンと3人の頭に手を置いた。
「これから、みんなで自由を作ろう!」
『⦅⦅はい!⦆⦆』
頷く3人は可愛らしく、顔をほんのり赤くした。
「そうだ!2人に名前をつけようよハル!!」
「うん、分かった。」
⦅⦅名前?⦆⦆
首を傾げる2人にコクリと頷いてみせた。
「君達はフィンリルや狛犬様って言われてたけど、私達の名前を決めてもいいかな?」
⦅⦅うん!⦆⦆
「ありがと。」
さて、何にするか……。
「ハルは決まった?」
「……白」
⦅いや!⦆
え!?私、黒って考えてたんだけど……
「は?ん〜、じゃぁ、スキアーとか?」
「スキアーってどういう意味だっけ?」
「影だよ。」
影か、なんか暗殺術師の従獣にピッタリだと思うのは私だけだろうか……
⦅スキアー……⦆
「気にったか?」
⦅ハル!ありがと!⦆
スキアーはハルのことを呼び捨てにしてるんだ。でも確か、さっきはご主人様って……
⦅ご主人様、ご主人様。僕の名前は?⦆
「あっ!ごめんね。」
膝の上にはスキアーがこちらを見上げいる。
「君の名前はスカイだよ。」
⦅スカイ?⦆
「そう、空っていう意味なんだ。」
君が綺麗と言った空。自由の始まり。
「どうだい、気に入った?」
⦅うん、とっても!⦆
私の問いかけに笑顔で答えスカイの下にスキアーが向かうと戯れついた。
⦅よかったね!スカイ。ご主人様に名前を付けてもらって!⦆
⦅スキアーもハルに付けてもってよかったね!⦆
あれ?今、スキアーが私のことご主人様って呼ばなかった?
「待ってスキアー、私のことなんて言った?」
⦅ご主人様⦆
「ハルのことは?」
⦅ハル⦆
あれ?スキアーってハルの従獣だよね?
「なんで、私のことご主人様って言ってるの?」
⦅ご主人様はご主人様だからだよ?やだ?⦆
「いいよーー!!」
私は呼び方問題を放り捨てた。それから少しお喋りをしてログアウトした。
「はぁーー。終わったね。」
「そうだね。」
グーっと背伸びをするハルと欠伸をする私。今は朝の8時。
「私達どのくらいゲームやってた?」
「えーと。午後の7時から始めたから、13時間ぐらいだね。」
そんなにやってたんだ。まぁ、それより!
「「クリアおめでと〜う!」」
イエ〜イとハイタッチする私達は徹夜明けでテンションが可笑しい。
「まさか、硝石問題から此処まで広がるとは思っても見なかったね。」
「本当だよ〜。硝石問題から……って、硝石!!」
肝心の硝石、持ってない!!
「大丈夫だよ。あそこの洞窟所有権は俺達が持ってるから。」
「あぁ、それもそうか。」
これで、当初の目的の黒色火薬が作れる。
「そういえば、後一週間でイベントだよ。覚えてる?」
「………忘れてた。」
まぁ、それは後で考えよう。今はお休みなさい。
私はリビングのソファーで倒れた。
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