1 ユニーク職業
今日から初投稿だよ〜。
楽しんでってね!
VRMMO『君と共に描く世界』が発売された。人気すぎて買えなかったゲームソフトが手元にあるのは何故だろうか。
それは、さっき一つ下の弟が「姉さんにプレゼント」と渡してきたからだ。
弟は何故か私の心を怖いくらいに読んでくる。しかも、全て当たっているのだ。怖くね?
まぁ、それは置いといて私はウキウキでゲーム機にソフトをセットし、ゴーグルを被った。
私にとっては初めてのVRゲーム。これからどんな出会いがあるのだろうか。
胸を踊らせながら目を閉じると広がるのは真っ白な世界。
『和泉葵さま、この度は『君と共に描く世界』をご利用いただきありがとう御座います。』
突如として目の前に現れたのは人形と見間違えるぐらい別嬪なお姉さんが出てきた。
「別嬪さんですね〜。」
『へ!?あ、ありがとう御座います?』
しまった、口が滑った。
片手で口を覆ながらチラリとお姉さんを伺うとソワソワと狼狽えていた。ほのぼのしちゃう。
「可愛いな〜」
『………っ………』
お姉さんはその場にしゃがみ込み頬を押さえている。
『「……………」』
しばらく経ち沈黙が場を支配した。
『ご、ごほん。この度は『君と共に描く世界』をご利用いただきありがとう御座います。』
わぁお。なかった事にしたぞ、このお姉さん。
『本サービスはすべてお客様に置いて自由が許されています。』
「自由?」
『はい、自分の家やギルドを立ち上げたり、冒険や旅に出たり、まだ見ぬものを創造したり、国を造ったりとさまざまな不可能が可能になります。』
「それは……凄いね〜。」
顎に手を置き考える私にお姉さんはにこりと微笑んだ。
『そして、それを広げるのが職業です。本サービスでは主に魔法系、戦士系、聖職系、テイマー系、遠隔系など様々な職業の中からランダムに選ばれます。』
お姉さんによると
魔法系は火、水、土、風を操ることに優れている。
戦士系は近距離で戦うことに優れている。
聖職系は人の傷を癒す事に優れている。
テイマー系は魔獣や召喚獣、野獣などを使役するのに優れている。
遠隔系は命中率が上がり弓などの扱いに優れている。
「質問いい?例えば剣士系が魔法を使い、魔法系が剣を使う事が出来るの?」
『はい、あくまでも“優れている”ですからね。魔法系以外の者達が魔法を使ったり、戦士系が獣を使役することも可能です。』
「なるほど〜……」
“優れている”だけで、違う職業が違う技を使っても良いわけか。
『ですが……』
「ん?」
ふむふむと頷いているとお姉さんが言葉を繋げた。顔を上げるとお姉さんの目と会った。
『使えない職業も有ります。それは12のユニーク職業です。』
「12のユニーク職業?」
『12のユニーク職業とは世界で12人しかいない。どの職業にも当てはまらない世界でただ1人が所持することが許される職業です。』
それって、他には使えず自分では使える職業ってこと?でもそれじゃあ、自由を象徴とするはずが不公平になる。
「ユニーク職業にはデメリットがあるの?」
『はい、有ります。これじゃ、あまりにも不公平ですからね。』
「………そんなに私の表情って、読みやすい?」
『ふふ、はい』
笑われてしまった。両手を頬に当て引き攣った顔をほぐしているとお姉さんによる説明が続いた。
『ユニーク職業は他のプレイヤーには使えない職業です。ですが、代わりにユニーク職業保持者はユニーク職業以外は使えません。なので、ユニーク職業は決して優位な職業では無いのです。』
「んん、そうなのね。」
『その様子だと、わかってらしたのですか?』
「まぁ、なんとなく。『君と共に描く世界』は“自由”なんでしょ?私が知る“自由”は“愉快”故に成り立つ。だから、“不愉快”だったらそれは“不自由”だよ。」
どうだろう?と首を傾げると、お姉さんは驚いた顔をしていた。
『そのように理解している方は初めてです。』
「そう?」
『はい。』
“自由”。私がこのゲームに惹かれた要因。さぁ、私にどんな世界を魅せてくれるのだろうか。
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