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幸せの湯

作者: 船岡 銀杏

いい湯だな

アハッハッハ!

いい湯だな

アハッハッハ!

幸せの湯

               船岡 銀杏





エピローグ


不思議なお風呂があった。

なんとも不思議なお湯だった。

そこにはいろんなお客が来た。

地球のどこにあるんだろう?

確か、どこかの緑の平原にあると聞いたけど・・・

よく流行っているんだって

「ちょうどいい湯加減らしい」と噂だよ。




1. 町の銭湯


夕方の近所にある銭湯

湯舟には、よく見かけた父親の姿。

 湯につかった後、子どもの私の方を見つめながら

足を組み、足の小指にできた豆をいつまでも爪でかく父がいる。

 夕焼けの湯舟が湯気でくすぶる。

やがて、すべてが湯気に包まれ影となり、消えて行った。





2.山奥の秘湯


 そして、ここは山林の奥まった温泉?

一人の客がいた。

雪に埋もれた秘湯にニホンザルが

頬を火照らせながら、何とも満ち足りた表情で出来上がっていた。

湯につかるサルの頭や顔に雪が降りかかる。

目をつむったまま、いつまでも湯につかっていた。






3.いよいよ平原の湯


 ここはアフリカの平原

ジャングルを抜けて、大移動を始まったのだ。

数えきれないバッファローが体中に泥をつけ、

次から次へと、湯につかる。

 湯にはまると言うか、飛び込んでは、出てゆくのだ。

ここは冷泉なんだろう。

それにしても、湯は尽きないんだろうか?






4.その後には、小鳥たちが


 バッファローが去った後、

 青空から小鳥たちが舞い降りて来た。

小鳥の鳴き声が

チィッ、チィ、チィッ、チィと聞こえて来た。

 湯に小鳥も集まるのか?

湯のつかる訳でもなく、湯の周りにいる小虫を啄んでいる。

中には、ダイビングを挑む者さえいた。






5.一頭のシロサイ


 傷ついたシロサイが湯の側に立っていた。

大きな体の後ろ脚に傷を負っていた。

大木にぶつけたのか?

オス同士の縄張り争いで敗れたのか?

湯の周りを一周しながら、静かに湯につかって行った。

彼の思いは一体、何だったのか?






6.傷ついた競馬馬


 上品な老婦人が一頭の馬を連れて来た。

老婦人は、昔有名な歌手だった。

馬は、昔有名なダービーを制したチャンピオンだった。

 馬と歌手は老いてしまった。

歌手は引退した競馬馬の終末を、見守るために引き取ったのでした。

二人は静かに牧場で暮していました。

そして今日は、馬を湯治に連れて来たのでした。




7.どこからかフラミンゴが


 大空からフラミンゴの大群が舞い降りて来た。

見る見る間に、フラミンゴが次から次へ舞い降りて来た。

湯には入れ切れず、周りの水辺にまでフラミンゴが溢れた。

オレンジ色と緋色のミックス

 青空の下、水面もフラミンゴのオレンジ色と緋色に染まり

辺り一帯は、オレンジ色と緋色一色の饗宴

空からは、まだまだフラミンゴが舞い降りる。



8.幸せの湯


 幸せの湯につかった


笑った父の顔、

ニホンザルの笑顔、

バッファローの笑顔、

小鳥の笑顔、

シロサイの笑顔、

老いた競争馬の笑顔と老婦人の笑顔、

フラミンゴの笑顔、

えっ、いつの間にカピパラの笑顔までが

みんな一緒だった。


 


お湯の中から

ポタリと湯気~が

いい湯だな

    アハッハッハ!


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