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リング

ギルは、俺に色々な部材を用意するように指示してきた。初めは半信半疑であったが、彼に人格が存在する事に疑いを持つことは無くなった。俺が調達してきた物を器用に加工して、彼は自分の体を1年かけて復元していった。


「凄えな、すっかり直ったみたいだな!」目の前に直立するギルに俺は歓喜の声を上げる。


「ありがとう、アキトのお陰だ。前の体よりも具合がいいよ!」表情は見えないが嬉しそうに見えた。


「いや、俺もお前の修復を少し手伝ったお陰で、機械に強くなったみたいだ」ギルの体の調整をするのに、データの微調整が必要だった為に、俺の少し古いパソコンがお役に立てたようである。彼が言うには、新しいパソコンを使わなくても、俺が使っていたもので、十分に彼のメンテナンスは可能だということであった。


俺達の間には、友情のような物が芽生えた感じにがした。


ちょうどその頃、大手機器メーカーのソールドが、小型ヒューマノイド「オルナス」を発売したのであった。


そういえば、ギルを拾ったあの廃棄物があった工場は、ソールドの下請け会社であったと思う。


「あれも、ギルみたいに話が出来るのか?」俺にとって特別な存在であるギルと同じ物が世の中に出回る事に少し残念な気持ちが湧き上がってくる。


「いや、あれは私のように自分の意思で活動することが出来ない傀儡だ。」ギルは俺の隣でパソコンに表示されたニュースを覗き込む。


「じゃあ、やっぱりギルは特別なんだ」俺は少し嬉しくなった。


「アキト、前にも言ったが私の事は誰にも話してはいけない。それとこれをあげよう」そう言うとギルは黒と赤の二色のブレスレットを差し出した。


「なんだ、格好いいなこれ」言いながら手首にはめてみる。


「どうだ」ギルが感想を求めてくる。


「なんだ、これ…、ギルに…」それは言葉が見つからないが、シンクロとでも言うのであろうか、不思議な感覚であった。


「これで言葉を交わさなくてもお互いの言いたい事や、気持ちが少し解るようになる

これに近いシステムがこれだ」ギルはパソコンの画面に映る同じようなリングを指さした。


「本当だ」画面と自分のリングを見比べてみた。


「このリングを通して、オルナスをコントールするんだ。まるで自分の体のように…」


「へぇ、そうなんだ」


「私はこれから外ではオルナスのフリをする。これで誰にも疑われずにアキトと一緒に外へ出掛ける事が出来るようになるだろう」なんだか少しギルが嬉しそうに見えた。


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