魔法少女、雨宮さん (あらすじ)
今年二十歳になる大学生、雨宮ゆうきはある日遅刻をしそうになっていた。曲がり角でぶつかったのは、イケボのチベスナ。チベスナは驚いているゆうきに対し魔法少女になってほしいと頼む。ゆうきは「年齢的に魔法少女はきつい」と一度は断った。しかし目の前の家で大爆発が起きたことでやむを得ず魔法少女になることに。変身したはいいものの身体強化しかできないとは何事か。こうして「今日も魔法の杖でぼっこぼこにしちゃうぞ(☆物理☆)」が決め台詞の魔法少女が誕生したのだった。
第二話
魔法少女となった雨宮ゆうき(今年二十歳)は、なぜかスルーされるチベスナをお供に学校に登校した。年齢的にもビジュアル的にも魔法少女であることを知られたくないゆうき。必死で隠そうとするがSNSとは恐ろしいもので友人たちは全員知っていた。再生回数56回という身内しか見ていないであろう微妙な拡散率。そんな中、隣のクラスで爆発が起こった。急いで変身をするが友人たちに決めポーズを修正させられる。そんなことはいいから早く敵をぼっこぼこにしたいゆうき。学校の崩壊が先か、決めポーズが決まるのが先か。そしてなぜチベスナはスルーされるのか!
第三話
友人公認の魔法少女となった雨宮ゆうきは同じ学部の海鳴あいに睨まれていた。心当たりのないゆうきは気まずさを感じながら授業を受ける。講義終了のチャイムと共に中庭で爆発が起きたため急いで魔法少女に変身して向かった。今回はいつもに増してふざけている癖に強いタイプの敵。ピンチに陥ったゆうきだが、チベスナのおかげでぎりぎり敵を追い払うことができた。教室に戻ると「貴方に守ってもらいたくない」とあいに告げられる。
第四話
あいに言われた一言が気にかかり今までの自分でいいのかと疑問を持ち始めたゆうき。確かに弱い自分に守ってほしい人などいないだろうと、とりあえず体力作りを始めることに。バキバキなる関節や悲鳴を上げる筋肉たちに涙目になりつつも努力を始めたゆうき。同時期に敵がいたるところで発生するようになってきた。ただでさえレポート課題が積みあがってる時期なのに! 一方サポートポジションのはずのチベスナはちょうちょを追いかけて走り回っていた。
第五話
レポート課題を書き終えた深夜一時。ゆうきは気晴らしに星を見ようと窓を開けて空を見上げると爆発が起こった。爆発以外に芸がないのかと思いながら魔法少女に変身して空へ跳ぶ。なんとか敵を倒すと朝日が昇る瞬間が見えた。今日も平和を守ることができたと心の底から思った自分に驚きつつ、学校に向かう支度を始めた。しかし無理がたたり登校中に倒れてしまう。目を開けると見覚えのない部屋であいが看病をしてくれていた。そこであいの言葉の真意を知ることとなる。一方チベスナはちょうちょを見失いそのまま迷子となっていた。
第六話
あいの言葉の真意。それは「一人の犠牲で成り立つ平和への疑問」だ。あいの言葉に何も返せなくなってしまったゆうきは自分の中での違和感と向き合うことになる。翌日、登校中に爆発が起こり急いで向かおうとしたが足が動かない上に変身もできなくなっていた。敵はこれ見よがしにゆうきに襲い掛かる。もうだめか・・・。そう思ったゆうきだが「バッカじゃないの?」という声と共に腕を引っ張られ命を救われる。我に返ったゆうきはもう一度、魔法少女への変身を試み成功させる。敵を倒し振り返るとあいが泣きながら飛びついてきた。本人曰く泣いてないらしい。こうしてあいとゆうきの友情が芽生えたのであった。一方チベスナはいい匂いにつられながら迷子継続中であった。
第七話
全く戻ってこないチベスナをいよいよ捜索した方がよいかもしれないと思ったゆうきは、ふとチベスナをペットとして飼うには特別な許可を取らなきゃいけないということに気が付く。いや、野良猫ならぬ野良チベが家に入り浸っている状態だからセーフか? だが、いい加減に戻って戦いのサポートという本来の職務は全うしてほしい。あいに相談した結果「限りなく、限りなーくチベスナに似た犬(雑種)」という扱いにすることに。果たしてチベスナは見つかるのか?
第八話
捜索をしたが見つかったのはチベスナに限りなく似た野生の狸だった。あきらめて帰ろうとしたその時、公園で爆発が起こる。しかも今までにないタイプの異臭を放っていた。ガスじゃないよな? そう言って火をつけようとしたバカは周囲の人たちによって止められていたので、ゆうきは魔法少女となり現場へ向かった。しかしあまりの異臭に近づくことすらできずゆうきは苦戦。果たして敵は倒せるのだろうか? ゴミ回収業者の方や清掃員の方など異臭付きの肉体労働をされる方を心の底から尊敬します! そしてチベスナ帰ってこい!!
第九話
ピンチに陥ったゆうきを助けるように現れたチベスナ。「メタモルフォーゼしてください!」と叫んでくるが身体強化魔法しか使えないゆうきを魔法少女から筋肉ゴリラに変身させたいのだろうか。結果的にメタモルフォーゼなしで敵を倒すことに成功したものの、チベスナは落胆していた。そんなに筋肉が見たいのならボディビルダーが通うジムにでも放置してやろうかと思うゆうきをよそにチベスナはまたもやちょうちょに気をとられている。その一方、敵のラスボスたちは何やら大規模なことをたくらみ始めたようだ。
第十話
今までにないほどの大規模な爆破が起こった。ゆうきは急いで現場に向かい魔法少女となるが、どうにもこうにも物理では勝てない系のラスボスだった。あっという間にピンチに陥り、空中で叩き落されると同時に変身が解除されてしまう。このままでは落下の衝撃で死んでしまうと藁をつかむ気分で空中に手を伸ばすと、ちょうちょが手に止まった。同時に体の底からとてつもない力が湧いてきて・・・。ゆうきはいよいよ魔法少女らしく魔法で戦うことができるようになるのか!?
最終話
メタモルフォーゼをしたところで所詮は「今日も魔法の杖でぼっこぼこにしちゃうぞ(☆物理☆)」の魔法少女。相手が水だろうが霧だろうが物理で解決できました。ラスボスも倒したことだしお役御免と言いたいところだが、残念ながら魔法少女の戦いぶりを録画されていたようで勝手に投稿されてしまう。ふと我に返りやっぱりこの年齢とビジュアルで魔法少女は恥ずかしくなってきた。SNSってやっぱり怖いね! いよいよチベスナともお別れの時がやってきた。なぜかスルーされるチベスナ、ちょうちょを追いかけていたチベスナ、いい匂いにつられて迷子となったチベスナ・・・ろくな思い出がないな。あ、一回だけピンチを救ってくれたわ。そんなチベスナを見送り少しだけさみしく思うゆうきだったが、忙しい日々の中魔法少女時代を忘れていってしまう。そんな勇気の元にある日プレゼントが届いて・・・。
あ、二次創作をする場合は「魔法少女、雨宮さん」で検索できるようにしておいてほしいです。読者の皆様の底力をぜひとも拝見したい・・・