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あっけなく終わる第五話


「何なんだ、あいつ!!」


 俺は気絶した男を背負いながら森の中を全速力で走っていた。


「分かりません!! 見たことない魔物です!!」


 メルも俺に並んで走っていた。


「ゴギュルエエエエエエエエ!!!!」


 そんな声をあげながら、俺達の後を追ってくるのは"歩く巨大食虫植物"。


 大きさは余裕で3メートルは超えているだろう。体は全身緑。まさに食虫植物を大きくしたような感じ。簡単に人を飲み込めるであろう口を開け閉めしながら俺たちを追ってきていた。


 葉っぱのような足を器用に使いながらかなりの速さで奴は迫ってくる。俺たちは全速力で走っているため、消耗が激しい。だが、奴には疲れた様子が全く見受けられなかった。


 それに、逃げ続けたところでこいつを街に近づけるのはまずい。街には他の強力な冒険者がいるとはいえ、非戦闘員もかなりいる。被害が計り知れないだろう。


 どうするのが最善か。


「メル!! この人を運ぶの代わってくれないか!!」


 背負っている男をメルに示す。


「分かりました!!」


 メルは指示通り、男を背負うのを代わってくれた。よし、こっからが正念場だ。


「メル、お前はその人連れて街まで走れ。そんで、出来るだけ強い冒険者を呼んできてくれ」


「っ!? リストさんはどうするつもりですか!! まさか」


「大丈夫、ただ応援が来るまで逃げ回るだけだから。簡単だ」


「そんなの危険です!!」


「そうかもしれないけど、やるしかないだろ? これしか無力な俺にはできねえんだよ」


「でも」


「いいから行ってくれ!! メルがさっさと応援呼んできてくれたら良いだけなんだからさ」


「......わかりました」


「よし、じゃあ俺が注意引きつけるからメルはその隙に」


「リストさん、短い間でしたがありがとうございました」


 突然、背中が重くなる。メルが背負っていた男を俺に預け返したのだ。


「っ!? 何を」


「風よ、応えたまえ。その攻撃は全てを切り裂き、その真髄は風の民のみが知る」


 迫りくる怪物に向かって手をかざし何かを唱えるメル。


「おい、それって」


 メルが唱えたのは風の最高位魔法の一つ。


「私には力を操る器がありません。でも、私の一生をかければ、一度くらいは力を使えるんです」


 命を削り、力を使う。


「おいちょっと待て!!」


 そんなことをすれば、間違いなくメルは。


「リストさん、私はあなたに勇気を貰いました。こんな私でも見捨てないでいてくれる人がいるんだって。だから、私はあなたを死なせたくない!!」


「待ってくれメル!!」


無数の風刃(ロッツオブウインド)


 その魔法は古代に風の民が編み出した最強の魔法。無数の風が刃となり、ただ一つの目的を襲う。


「ゴギュエエエエエエエエ」


 目の前の怪物が尽く切り刻まれる。風によって切られた怪物の体からは緑色の血が溢れていた。風の影響かはたまた怪物の叫びの影響か。リストを一瞬の頭痛が襲う。


 しばらくして風は止んだ。残ったのは跡形もなくなった怪物の残骸。


「......これが、最高位魔法の力。って、そんなことより、メルが」


 メルがさっきいた場所を見ると、そこには、


「え? え? え? え? えええええ!?」


 なんか混乱しているメルがいた。予想以上に元気そうだ。


 ......え?




 














 


 

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