エルフの少女に出会った第一話
「あー、どうしようかな」
そう嘆く俺に答えてくれる者はいない。
今俺は冒険者ギルド内にいる。
今まで俺は冒険者として生活してきて今さら職を変えるわけにもいかず、どうにか俺をサポーターとして雇ってくれるパーティーを探していたのだが、どのパーティーも俺が"無能"だと知るとすぐ何処かへ行ってしまった。
「やっぱ"無能"はどこに行っても用無しってか」
そんな風に不貞腐れる俺の耳に叫び声が聞こえた。
「今すぐ出て行って頂戴!! あなたのような"役立たず"、私たちのパーティーに必要ないわ!!」
なんだか聞いたことのあるセリフが発された方を見るとそこには、
「ん? あれ"ブルーメジスタ"じゃねえか?」
"ベスト・オン・アース"に次ぐこの街で二番目の強さを誇るパーティー、"ブルーメジスタ"のメンバーがいた。この街の一番と二番のパーティーとして何度か顔を合わせたことがあるため大体のメンバーは知っているはずだ。
叫んでいるのはそのパーティーのリーダーだ。その目線の先には見たことのない一人の女の子がいた。フードを被っていてよく顔が見えない。
「あなたが強力なスキルを持っているというからパーティーに入れたのよ!! それなのに」
「そのことならちゃんと始めに言」
「言い訳なんていらないわ!! 今すぐ出て行って頂戴!! あなたのせいでクエストを失敗して私たちのパーティーに傷がついたのよ!!」
何か言おうとした少女の言葉を遮り、再び"パーティー追放"を宣告する"ブルーメジスタ"のリーダー。
少女は俯き、何も言わずその場を離れ、ギルドから出て行った。
俺はそれを見ていてもたってもいられなかった。たぶんついさっきの自分を重ねたのだろう。同じようにパーティー追放をされた自分を。どんな理由があれ仲間から見捨てられるのは辛いのだ。
何をしようというわけでもない。ただ、あの子を一人にしたくなかった。一緒に慰め合いたかったのかもしれない。
とにかく俺は彼女を追いかけた。
「待って!!」
ギルドから出てすぐに目当ての人影を見つけた。その人影は俺の声に反応して振り向く。驚いたのか強い勢いで振り向いたため、顔を隠していたフードが取れてしまった。そのフードに隠れていた中身があらわになる。
「!? え、エルフ!?」
特徴的な尖った耳、輝く金の髪、その少女は幻の種族、エルフだった。