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喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~  作者: 中島健一
対帝国戦争編

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296/395

その294

~ハルが異世界召喚されてから13日目~ 


 曇天の空模様とは裏腹に獣人国のシルバーは心が晴れやかだった。自国の内乱が終わり、その復興の足掛かりとなる四國軍事同盟の調印式が行われる、フルートベール王国の闘技場へと赴いた。


 獣人国と比べてフルートベールの文明レベルは高い。新しい宰相を連れ、数々の建築物や民達が暮らす生活様式等を子細に観察している。


 そしてこの闘技場、今でこそ娯楽施設の色合いが強いが、かつては罪人を公開処刑するための場として活用していたようだ。


 シルバーは闘技場内を案内されながら辺りを見回す。これから行われる調印式の前に、各国の要人達が集結した。


 闘技場の様子を一望できるこの場所は、特別な観覧席のようだ。フルートベール王国、国王フリードルフⅡ世が立っているのを囲むようにして側近達が立ち並ぶ。国王が座しているのではなく立っているのは、これから結ばれる同盟が対等なものであることを表していた。


 シルバーがその観覧席に入って少しすると、ヴァレリー法国、ダーマ王国の要人達も入室する。


────────────────


 ハル達は観客達でごったがえす闘技場の中にいる。席に着くと、両隣にユリと剣聖オデッサが座った。後ろの席にメルが座る。


 ユリは、ハルの奥に座ったオデッサに苛立ったが、ハルが口を開いたので、その苛立ちを消す。


「見た限り、今回は暴動が起きることはなさそうかな……」


「これを機に帝国が責めてくると?」


 オデッサが尋ねた。


「はい。その可能性があったのですが、杞憂に終わりそうですね」


 ユリがハルの腕にしがみつきながら言った。


「じゃあハルくん!この大会を楽しみましょう?」


 先程、ハルに手を握られた為にユリのリミッターが外れてしまったのか、積極的にスキンシップをとろうとする。


「う、うん。でも油断してたらダメだよ?」


「はいぃ!!」


 オデッサは無言だが、握られた拳に力が込められているのをユリは確認した。


 その時、ハルの背後から声が聞こえる。


「オイ」


 その声の主はハルの肩を掴もうとしたが、オデッサが瞬時にそれを察知し、見る間もなく長剣セイブザクイーンを抜いてハルに触れようとする者の喉元に突き付けた。


「待って!」


 ハルの声で我に返るオデッサだが、それはオデッサに向かって放たれた言葉ではなかったことにオデッサは気が付く。


 ハルのもう片方の隣にいた筈のユリが今にもその無作法に声をかけてきた者の首を背後から切り落としてしまいそうにエア・ブレイドをあてがっていた。


 ハルは立ち上がり命の危機に瀕した者に声をかける。


「レイ……レイ・ブラッドベルくんだよね?」


 ハルの声を認識して初めて、レイは自分の身に危険が迫っていることを知った。


─────────────────


 これから魔法大会が始まる。その緊張をほぐそうとレイは観客席をねり歩いていると偶然あの時、実技試験を一緒に受けていた少年を見付けたのだ。


 同い年ぐらいの者に、一体どう声をかけたら良いかわからないレイはとりあえず、いつもの具合で声をかけてみたが、それが仇となった。


 気が付くとレイは喉元と首の後ろから鋭い刃を突き付けられる羽目となった。


 ハルに知り合い認定されたレイは、あてがわれた刃を取り除かれる。


 その瞬間レイは深く息を吸い、死の間際からの生還を喜んだ。


 オデッサは呟いた。


「なんだレオナルドの息子か……」


 今度は慎重にハルに話しかける。


「……実技試験で…お前の……」


「お前?」


 ユリがドスの聞いた声で聞き返す。


「あ、あなたが……第五階級魔法を唱えているのを見ました……」


「それで?」


 ハルが先を促す。


「お、俺に魔法を教えてください!」


 突然の申し出に驚くハルだが、データを収集するため、レイに魔法を教えることも悪くないと判断する。


 ──今回の世界線で、レイは戦力にならないけど、次からは上手くいけば強くなるかも……

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