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喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~  作者: 中島健一
三國魔法大会編

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その241


「ふぅ……オンヤ・ツーリストがやられた時はヒヤリとしましたが……第二試合は彼ではなくレイ君にすべきでしたね」


 ギラバはフリードルフⅡ世の横で呟いた。それを聞いたレイの父レオナルドは口をひらく。


「勿体ないお言葉……」


「それよりもお話とはなんですか?」


 第二試合が終った辺りからレオナルドは一般の観客席から国王と学校長アマデウス、戦士長イズナの観覧している特別席にやって来たのだった。しかし、第二試合で自国の選手オンヤ・ツーリストが敗れた為にギラバはどうしても第三試合の行方を気にかけ、レオナルドがここへ来た理由を後回しにしていたのだ。


「実は第一、第二試合について……」


 イズナはその語りだしでレオナルドも自分と同じ疑問を抱いたのだと感じた。すると、特別席の警護をしている衛兵が入り口で声をあらげているのが聞こえる。


「ですから!ここには入れません!!」


 突然現れた訪問者が叫んだ。


「ギラバ様!お話が!」


 ヴァレリー法国将軍のシルヴィアが外から声をかける。


 ギラバはシルヴィアの顔を確認して、入るように促した。王の側にいたアマデウス学校長が口を開く。


「どうやら武人達は皆同じ意見のようじゃな?」


 それを聞いたシルヴィアは特別席の中にいるイズナ、レオナルドと顔を合わせた。その目線を交じ合わせた光景を見たギラバは、


「ダーマの選手について……ですか?」


 レオナルドとシルヴィアが頷く、イズナはというと既にギラバに進言していたのだ。


「先程、私が訊いたことを2人にも答えてくれませんか?」


 イズナはギラバに促す。ギラバはヴァレリー法国の者がいることに抵抗したが、この三國魔法大会はそもそも同盟を結ぶ足掛かりの場でもあった為、ゆっくりと口を開いた。


「ダーマ王国の2人の選手のレベルは二人とも15でした」


「15!?」

「…そんな……バカな……」


 驚いているレオナルドとシルヴィアにイズナは告げた。


「私も同じ反応をした。少なくともレベル27前後だと」


 その意見に同意するように2人は頷いた。はぁと溜め息をつきながらギラバは言った。


「私のスキルに狂いはありません。因みにシルヴィア様は何をお考えなのですか?」


 美しい容姿のギラバが自分に話し掛けてきたことによりシルヴィアは一瞬クラクラしたが、何とか持ち直し、自分の考えを口にする。


「……はい。ダーマ王国と帝国が手を結んでいると考えております」


 イズナはそれを受けて自分が考えた最も悪いケースと一致していたことに驚く。何故なら最悪過ぎて自分のこの考えを一笑にふしたからだ。イズナは追求する。


「何故そうだとお考えに?」


「それは、勘です……しかし──」


 続けようとするシルヴィアを嘲笑うギラバ。


「ハハハハハ!勘ですか?その勘でこれから対帝国の同盟を結ぼうとするダーマの裏切りを、ここでヴァレリーの貴方が訴えることの意味をわかっておりますか?」


 高揚するギラバをイズナが制する。そしてシルヴィアの言いかけた言葉の続きを促した。


「状況証拠、或いはこじつけかも知れませんが、ダーマ王国の選手以外の生徒達がいないことと、ダーマ王国宰相トリスタンと教師ツヴァイの反応がおかしいのです」


「おかしいとは?」


 嘲るような声で訊くギラバ。


「何かに怯えているような……」


 本日2回目の溜め息をつくギラバは言った。


「仮にですよ?私の鑑定スキルが間違っていたとして、ダーマの選手のレベルが27だとしますよ?仮に!そして貴方が考えるような何かがここで起きたとしても……見てください?ここにレベル27を抑えられる者達がいるじゃぁありませんか?」


 今まで黙って聞いていたフリードルフⅡ世が重たい口を開く。


「止さぬかギラバ」


 その声に集まった武人と魔法使いは座している国王を見た。国王は全員の視線が集まってから話を続ける。


「レベル27の者達が観客を人質にとりながら戦った場合、お前達は勝てるのか?」


 王の問い掛けに一堂は黙った。その沈黙はかなり厳しい戦いになることを意味していた。


『第四試合!ヴァレリー法国魔法学園高等学校3年オリガ・ゴルルゴービチ!対──』


 実況が次の試合のアナウンスをする。


 リングに上がる2人の選手。それ見てフリードルフⅡ世は口を開く。


「あれもダーマ王国の選手だ。どう見る?」


 ギラバは鑑定スキルの結果を報告する


「レベル16です。確かにあの歳にしては強いですがレナード君の敵じゃないですよ」


 イズナとレオナルド、シルヴィアも乗り出すようにその選手を見やる。


「どうですか?彼女にも脅威を感じますか?」 


 3人の武人は言った。


「彼女はそこまでの強さを感じない……」

「そうですね……」

「確かに……」


 ギラバはそれ見たことかとふんぞり返っている。


「これで、貴方達の不安は杞憂に終わりました」


 ギラバがそう言い渡すと、また外が騒がしい。今度の来訪者は衛兵を難なく通り抜けたようだ。


「次から次に一体何ですか!?」


 姿を現したのは剣聖オデッサだ。


「今すぐ!観客を避難させろ!!」


 実況のアナウンスが鳴り響く。


『ダーマ王国国立魔法高等学校1年ルカ・メトゥス!!』


 リング上に白髪ツインテールの少女が大きな鎌を持って不適な笑みを浮かべて立っている。

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