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喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~  作者: 中島健一
聖王国編

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196/395

その195

 椅子に座ってる少女は足が床に届いていないため、ブラブラとその足を遊ばせている。それに合わせて毛量の多いオレンジ色の長い髪は揺れ、頭にのっけた黒いリボンもヒョコヒョコと動いて見えた。その少女は頬っぺを膨らまし、怒っているように見える。よく動物が威嚇する際、自分を大きく見せようとするそれとよくにていた。


 エリンはルナの前に立ち、ゆっくり少女に近付く。


「怖くない……怖くない……」


 と少女に言いながら、片手を前に出して少女の頭に手を置こうとしているが──、


 ガブッと少女はエリンの手に噛みついた。そして噛みつきながら言う。


「私は小動物じゃな~~い!!!」


「痛い!痛い!!」


「私はレディーよ!!」


「とっとりあえず、噛みつくのはやめてあげて?」


 ルナが少女を宥めた。エリンは噛まれた手に息を吹き掛けて、痛みをひかせている。


「そのレディーってどういう意味?」


「フン!学がないのね?そんな身体つきしてるくせに」


 少女はルナとエリンの膨らんでいる胸を見ながら言った。


「レディーは古代語よ!貴婦人とか淑女って意味」


「淑女は噛みつかないっての!」


 エリンがツッコムとギロッと睨み犬歯を見せつける少女。


「ま、まぁ落ち着いて。お名前教えてくれる?」


 フン!と鼻をならして、椅子から降りて、綺麗で可愛らしいドレスのスカートを掴み、貴婦人、いやレディーのように少女は挨拶した。


「私はルクレツィア・ゴルジア。チェルザーレお兄様の妹よ」


「「え!!?」」


「フン!驚いたようね?……ところで、あんたね?お兄様の庇護下にある女は!?」


 ルクレツィアはルナに指をさして言った。ルナはルクレツィアの指先に焦点を合わせながらたじろぐ。


「まだほんの子供じゃない!どうしてあんたなんかが……」


 涙目になるルクレツィア。それを見たエリンが部屋に備え付けて置いてある焼き菓子とミルクを持って話し掛ける。


「これ食べる?」


「うん……」


 エリンはルクレツィアの頭を撫でながら訳はわからないが慰めた。


「……って!やめろ~!!こんなことされに来たんじゃな~い!!」


 ルクレツィアはエリンの手に噛みつこうとしたが思いとどまる。エリンは胸を撫で下ろした。


「じゃあ何をしにいらしたの?」


 ルナはルクレツィアの顔を覗き込むようにして訊いた。


「質問したいことが、3つあるわ!」


 ルクレツィアはテーブルに置いてある焼き菓子が入ってる箱を見て、どのお菓子を食べようか選びながら言った。


「1つは小娘!あなたに質問がある!」


 1つ取り出してかじった。手にもった食べ掛けの焼き菓子をルナに向けながら言う。


「私に?」


 そう、と頷きながらルクレツィアは用意していた質問をぶつける。


「貴方は輪廻転生を信じる?」


「第十階級聖属性魔法のことですか?」


「本当に学がないのね……」


 ルクレツィアは呆れて下を向いた。


「……その魔法が何なのですか?」


 ルナが質問する。


「輪廻転生は魔法名でもあるけど、ちゃんとした意味があるの。死んであの世に還った魂が、この世に何度も生まれ変わってくるって意味」


「「……」」


 エリンがルナの方を見て、ルクレツィアの言うことを理解しているのか確認したが、ルナも理解できていないようだった。


「で?どうなの?信じるの?」


 ルクレツィアはルナに迫った。とはいってもルナの胸くらいの身長しかない為、迫力はなかった。


「申し訳ありませんが、もう一度だけりんねてんせいの意味を教えていただけますか?」


「はぁ……だから!貴方が死ぬでしょ?そしたら貴方の魂が、もう一度生を授かり、この世に誕生するの。別の肉体を手にいれてね?」


「その考えは……聖書の教えに」


「反するわ、それでも貴方の考えを聞かせて。これは重要なことなの」


 ルナの戸惑いに間髪入れずにツッコむルクレツィア。


「ルクレツィア様の仰ることはよくわからないのだけれど、人の死は全ての終わりではなく、神のもとに帰る入り口だとされています。つまりその魂は神ディータ様の采配によって天国か地獄へいくかが決まりま……」


「そういうのを聞きたいんじゃないの!古代人にはね、神は一人じゃないと信じている人もいたの!神ディータだけでなく様々な信仰や考え方をしていたの!!輪廻転生もその1つよ!さぁ信じる?信じない?」


「到底信じられないです」


 ルクレツィアはルナの目を見つめた。


「そう……わかったわ。ちなみにあなたは信じる?」


 今度はエリンに尋ねた。


「んーその考え方はあんまり好きじゃないっすねぇ」


「あなた達は恵まれているのね。例えば虐げられている人や理不尽な運命に嘆いている人にとっては救いにもなるのに……一応訊いておくけど何が好きじゃないの?」


「今の人生だけで十分っすよ?」


「……じゃあ2つ目!あなたと同じ聖女と呼ばれてるセリニについて!彼女と貴方と似ていると思う?」


「…全く似ていないわ……」


「どうしてそう思うの?」


 ルクレツィアは追及する。


「セリニ様と違って私には勇気も力もないから……」


 ルクレツィアはまたフンと鼻をならし最後の質問にうつった。


「それじゃあ最後!最後は二人に質問するわ!ここから出たい?」

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