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喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~  作者: 中島健一
聖王国編

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その172

~ハルが異世界召喚されてから5日目~


 整っていない道を馬車が通る。こんなにも振動が来るのかと、初めて馬車に乗ったときハルは思った。


 スコートがハルとレイのいる馬車には乗りたくないと駄々をこね始めたので、ハルは皆の前でアイテムボックスを出した。


「この中に皆の荷物を入れれば、荷馬車が空くからそこにスコートが乗れば良いんじゃない?」


 ハルが提案すると、スコートはくってかかった。


「気安く呼ぶんじゃ……」


 ゼルダに後ろ襟を掴まれスコートは退場する。


 そんなことよりも皆、ハルがアイテムボックスを持っていることに驚いていた。


「お前、アイテムボックスまで……」


「いいなぁ~」

「私もほしい……」

「うちもアイテムボックス持ちの人雇おうかな……」


 クライネの貴族ならではのアイデアにハルは毎回ゾッとする。


【1号馬車】アレックス、クライネ、リコス、ハル、アレン


【2号馬車】マリア、ゼルダ、レイ、デイビッド


 ハルは違う世界線でこの組み合わせ以外のパターンを試みたことがある。5日目は1日中馬車で移動することになるので、馬車に乗る組み合わせを変えて色々な人と話した。こういった修学旅行みたいなノリのイベントは移動時間が一番楽しいモノだ。その為に何度か戻ってしまった。明日6日目の深夜にユリを救い、7日目に王国に帰ってくる。フェルディナンと別れ、レベル上限が上がってから7日目以降の経験をハルはまだしていない。


 前回は7日目、王国に帰る道中で戻ってしまった。それ以降の帝国の動きをハルはまだ知らない。


「ねぇ?ハル君、どうやって第二階級魔法を習得したの?」


 リコスはいつも聞いてくる。余程魔法が好きなんだろう。ハルは正直に答えた。


「火の性質について考えるんだ」


「性質?」


 同乗しているアレックス、クライネ、アレンも聞き入った。


「例えば……」


 ハルは人差し指を立て、蝋燭の火のように小さな炎を出した。同乗者達はその火にみいられるようにして見ている。


「この小さな炎の中の温度よりも、この炎の先端部分の方が熱いのは知ってる?」


 ハルはもう片方の指を炎の中に入れたり、炎の先端部分を触れるか触れないかのギリギリのところを触れながら説明した。


「そうなの!?」


 アレックスは驚く。


「知らなかった……」

「私も」


 アレンとクライネも反応を示す。


「嘘……」


 リコスは自分も指先から炎を出して試した。


「本当だぁ!!」


 リコスは感動のあまり立ち上がり、あろうことか炎が顕現している手を下に向けてしまった。


 パチパチと馬車に火が燃え移る……


 慌てる一号馬車の住人達。ハルは慌てて水属性魔法を火にぶっかけてことなきを得た。


 ふぅ、とハルは安堵の吐息を溢すと水滴がしたたる。リコスがびしょびしょになってしまった。一号馬車は笑いに包まれた。


 ちなみにいつかの世界線ではリコスの炎のせいで馬車が全焼してしまったこともあった。


─────────


 恒星テラが沈みかかり、これから眠りにつく街を夕焼けの光で焦がす。一堂は目的地に到着した。


 それぞれが馬車から降りるとリコスがスクール水着に着替えていたのを一号馬車以外に乗っていた者達が目撃した。


 それを見てスタンは言った。


「流石に早いだろ!そんなに泳ぎたかったのか?」


 スタンのツッコミに一号馬車のメンバーは慌てた。リコスはむすっとした表情で返す。

  

「違います」




~ハルが異世界召喚されてから6日目~


 デュラハンは姿を消して、ハルの前に転移した。持っている長剣を横一閃に薙ぎ払う。


 ハルをそれをなんなく躱した。アレックスにはデュラハンの攻撃がハルをすり抜けたように見えただろう。


「ハル!!?大丈夫?」


「うん!問題ない!」


 ハルはそういうとデュラハンの胴に正拳突きをくり出し。デュラハンに拳が触れる寸でのところで第四階級火属性魔法ヴァーンプロテクトを唱えた。


 デュラハンは青い炎に包まれ絶命する。


 ハルがいた地球では、デュラハンは本来、頭部を抱えているはずなのだが、まだこの塔の何処かにその頭部がいるのではないかと、ハルは毎回疑問に思っていた。鑑定Ⅱのスクロールとデュラハンの長剣をアイテムボックスに回収してスタン達の元へとハルとアレックスは戻った。


 Aクラスの生徒達とスタンは妖精の隠れ家というところで昼食をとっている。



「さっきの3階層を突破して4階層があって、その上の最上階に祭壇があるんだよね?」


 食事をしながらリコスはスタンに訊いた。


「そうそう」


 スタンが頷く。リコスは続けて訊いた。


「スタン先生はその祭壇見たことある?」


「あるぞぉー別に何とも思わなかったけどな」


「何が祀られてたんですかね?本には祭壇があるとしか書いてないし」


「妖精族が大切にしていた何かが祀られてたんじゃない?」


 ゼルダが麺を頬張りながら言った。


「なに?お宝??」


 アレックスが食いついた。


「宝にしては、モンスター達が弱すぎるんだよな...」


 リコスが呟いた


 ──確かに…


「でも一番上の階層はレベル10に近い魔物がでるよね?」

  

 アレンが議論に参加する。


「それは人族で考えた場合であって、第四階級以上の魔法が普通に使える妖精族や竜族、魔族には通用しないんじゃないの?」


「確かに...大魔道時代において、それぞれの部族の戦士はレベル30が当たり前だった筈だ」


 スタンがそれに同意する。


カツカツカツ


 ハル達に向かって足音が近付いてくる。


 ──来たか……グレアム・ロック


「おー!これは実に聡明なお嬢さんですね」


 クロス遺跡の管理者グレアム・ロックがハル達の会話に加わる。

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