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喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~  作者: 中島健一
聖王国編

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その171

~ハルが異世界召喚されてから4日目~


 学校に襲撃者は現れずAクラスの生徒達(レイ以外)は明日の合宿に備える為に買い物をしに行った。


 ハルは何度もこの武器屋に来ている。何故なら今まで教会で寝泊まりしていたが、動きやすい宿屋に住まいを移しているからだ。その為お金がいつもより必要だった。以前はリッド達冒険者に武器をギルドに売ってきてもらっていたが、MP回復ポーションを購入した時のように直接武器屋に売りに来ていた。


 ハル達が店にやって来ると奥から店の店主が物凄い勢いでやって来て挨拶してくる。


「いらっしゃいませ~!今日はどのようなご用件で?」


 両手を擦り合わせて他のAクラスの生徒達の間を縫って入り、ハルの前までやって来た。


「こんにちは、今日は僕の学校の友達と一緒に武具を揃えにやって来ました」


 武器屋の店主はハルに言われて初めてAクラスの生徒達に目をやった。


「あ~!ミナミノ様の御学友なのですねぇ~!私の店に連れてきて頂きまして誠にありがとうございますぅ!!」


 ハルにひざまずくのではないかという低姿勢でゴマをする店主。それを見たAクラスの生徒アレンはハルに耳打ちをした。


「この人の娘かなんかを人質にしているのかい?」


「ち、違うよ!ここでよく武器とか素材とかを売ってるんだ」


 両手を振りながらハルは誤解を解く。それを聞いたアレックスは店主に聞こえるように呟いた。


「へぇ~じゃあ割引とかしてくれたりしてね」


「ハ、ハハァ!!是非そうさせて下さいませ!!」


 アレックスを見るとウインクをしてピースサインをしている。流石は商人の血が入っているだけある。Aクラスの生徒達はそれぞれ店内を眺めていた。


「デイビッドは魔力を上昇させるこのロングソードと籠手を買ってみたら?」


 ハルはデイビッドが明日の合宿で妖精族のユリを救出するのに一役買うのを知っていた。


「拙者はあまりそのようなモノを装備したことがないのですが、ハル殿が言うのならば購入してみよう」

 

 ──そろそろ、アイツらが絡んでくる頃だ……


「やめてください!」

「やめてって言ってるでしょ?」


「なんだよ?一緒に選んでやるって言ってんじゃん?」

「なぁ?」

「グッフフ」


 マリア、アレックス、ゼルダ、クライネ、リコスが柄の悪い冒険者に絡まれていた。


 すかさずハルの後ろを彷徨いているスコートがゼルダの前に立ち、冒険者達に告げた。


「離れろ」


「なんだぁ?お前?」


 茶色い髪の冒険者が口をくちゃくちゃさせながら言う。


「俺はゼルダの護衛だ」


 短髪で耳元を刈り上げてる冒険者がそれを聞いて反応した。


「へぇ~ゼルダちゃんっていうのかぁ」


 ゼルダは頭を抱えて呟いた。


「この馬鹿」


 スコートは真剣な表情でもう一度言う。


「離れろ」


「おいおい、良いのかよ?お前ら魔法学校の生徒だろ?この王都じゃ魔法の使用は厳禁なんだぜ?」


「表出ろ」


 柄の悪い冒険者の1人が言うと、このやり取りを遠くから聞いていた武器屋の店主が物凄い形相でやって来た。


「おどれぇぇぇぇぁぁぁぁー!!!」


 床を滑りながらスコートと冒険者の間に入る。そして冒険者達に怒鳴った。


「お前らぁぁぁ!!この方達はここのお得意さんなんだよぉぉぉぉ!!!表出ろじゃねぇぇぇ!!お前らだけ出ていきやがれ!!」


 店主は背負っていた。ゴブリンジェネラルの大剣を振り上げ一気に振り下ろす。中々の剣速だ。床に付く寸でで大剣を止めると、風圧で風が舞った。


 冒険者達はその風に煽られながら急いで店をあとにする。店主は彼等の後ろ姿が見えなくなると先程までの形相を一変させ朗らかな表情を作った。


「アイツらは出禁に致しますので是非またうちに来てくれませんか皆様?」


 苦笑いをする生徒達。気を取り直して買い物を続けた。皆満足する買い物が出来たようだ。店をあとにしたとき店主の深々とした礼が印象的だった。



───────────


 冒険者3人組はゼルダの後をつけていた。嫌らしい笑顔でお互いを見合う3人。Aクラスの生徒達は解散し、ゼルダとスコートの2人が帰っているのを遠目から監視している。ゼルダの護衛と言っていたスコートが離れると3人組はゼルダに急接近し、声をかけようとしたが声がでない。


 またしてもお互いを見合う3人。明らかに異常事態だ。ゼルダはその3人に全く気付かず姿を消した。


「クワイエットプレイス……魔法を封じる魔法……」


 ハルはクワイエットプレイスを3人に唱えながら紫色のドレスを着た女のことを考えた。今ならわかる。あの女は考える時間が必要だったのだ。クワイエットプレイスは第三階級以下の魔法を封じる。その副産物として、対象者の発する音を消す。


 勇者ランスロットのパーティーメンバーに暗殺を生業とする者がいたそうだが、クワイエットプレイスをよく自分にかけたようだった。


 しかし紫色のドレスの女はおそらくハルが何らかの魔法を唱えたと考えたのだろう。スマートフォンから大音量で流れる音を消す為にクワイエットプレイスをかけたがスマートフォンはその対象外だったようだ。


 ハルはそんなことを考えた。冒険者3人組は自分の母親が殺人を犯した瞬間を目撃したかのような表情になり、その場を走り去ったのをハルは確認した。クワイエットプレイスが切れるのを最大の5時間後に設定している。少しは反省してくれることを願った。


 ──明日から合宿だー!!

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