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戦闘機ですが、異世界に転生させられちゃいました  作者: ロッキード絶対許さないマン
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浮遊島

 作者失踪ホイホイ

 たぶんこの辺りはそのうちものすごい勢いで改稿しますた。


生まれ育ったその島だけが私…フィーエル・フェジテの世界だったから、成人の儀式を終えて初めて飛んだその日は、その目で見る何もかもが新しいものだった。

 そのためだと思う。よく狩りや交易で他の島に出かけることの多い大人たちですら知らない巨大な怪鳥を目の前にして、なんの違和感もなく居れたのは。


 この島では男女を問わず、成人式を終えた者はその足で初めて一人だけで龍を駆って島の外へ飛ぶことを許される。普通は島をすこし離れた上空、隠蔽結界から離れない程度の近距離をよたよた飛ぶのが通例だが、私は初めての空中散歩に若干、というかかなり浮足立っていたのだ。

 うっかり隠蔽結界を離れ、島はどこだと探している内に、まだ話でしか聞いたことのない野生の黒竜が現れて。

 私に与えられた相棒―ソローが狩りの経験を長年積んできたベテラン猟龍だったことも幸いして、辛うじて黒竜の追撃から逃れていた、その矢先。


 耳を聾する大音響でその咆哮を轟かせながら、凄まじいスピードでその鳥は現れた。



「その鳥さんから離れて。その子、困っちゃってるよ」


 その子が埠頭に降り立った途端、剣を構えて取り囲んだガルムたちに私は言う。ガルムはこの島ではそれなりに有名な腕っぷしの持ち主で、それ故島を守るのは自分たちだという強いプライドがある。

 普段はそれで大助かりなのだが、正直こういう状況では困る。私はその子と話がしたいのだ。取り囲むのは、とりあえずやめてもらわないと。


「だ、だがなフィー。こやつ、羽ばたきひとつせず降りてきたんだぞ襲ってくるかも知れん!」


 うーん…まぁ、言われてみれば確かに不思議ではあるけれど。別に襲ってくることはないんじゃないかなぁ。今だって、ゴンタとかミミとかが体中引っ張ってるのにピクリともしないし。ていうか二人ともそろそろやめなさい。


「離れているんだ、フィー。襲ってこない内にここで仕留めてやる…!」


 でも肝心のガルムはそんなことまるで頭に入っていないらしく、彼愛用の長剣をかざす。


「ダメだよ!さっき私その子に助けてもらったもん!悪いことする子じゃないよ!」

『あの、フィー。この人は?』


 鳥さんも不安そうに聞いてくる。というかすごいな。教えてもいないのにもう私相手に念話ができるようになってる。もしかしたら本当に希少種の魔獣さんなのかも知れない。

 そんな鳥さんに、ガルムが島守の男で、とりあえずこれは島を守ろうという彼なりの義務感からなんだと言うと納得してくれた。

 …してくれたのだが、一方のガルムたちは鳥さんをここから追い払うことで頭がいっぱいのようだ。


「バケモノめ…!ここの連中を皆殺しにしようったってそうはいかないぞ!掛かれぇ‼」


 ガルムの号令で、剣を構えた大人たちが突撃する。

 あの子は、まだピクリとも動かない。いや、動かないのではなく、動けないのかもしれない。空に居る時はあんなに大きな音を立てていたのに、埠頭に降りてからはずっと静かなままだ。


 逃さなきゃ…!


 ほとんど反射的に、体が動いた。

 突撃を敢行するガルムたちの前に立ちふさがろうと、地面を蹴る。

 周りでこの様子を傍観していた人々が唖然としてこちらを見、相棒が慌ててこちらを制止させようと動き出したのを視界の端に捉え、けれど構わず走り続けた。


「待って!」


 叫んだ瞬間、ふと、背後から感じた。

 冷たい、生き物のそれとも違う無機質な殺気。

 見れば、すぐそこにいるその子の、なめらかな体表に不自然にポッカリと空いた穴。


 ピ――………と、聞こえるはずのない音が、聞こえた気がした。




「まったく。港の辺りが騒がしいと思えば、こんなことになっていたか」


 場違い以外の何物でもない、おっとりした老人の声が、いまだ土煙で視界の悪い埠頭に響く。

 ここ数年で聞き慣れた…というよりか聞き飽きた老人の声だ。


 ま、今一番聞いて安心する声なんだけれども。


「また厄介事のタネを持ってきたのか?フィー」

「師匠!」




 


 目の前の少女が師匠と呼んだ老人が近づいてくる。

 いったい何をする気だろう…正直なにされてもおかしくないシチュだからぶっちゃけガクブルなんですよ、私。 …震えられないけどね、私の体。


「………」

「………」


 私のノーズに触れんばかりの距離まで近づいた老人は、しかし特に何かをする様子もなく私を見つめたまま沈黙している。

 あの……なんか言ってよ………


「フィー、このデカブツはなんだ」


 いやそっちかい。いや、まあ普通に考えてそっちに聞くか…うん。


「さっき私が見つけた魔獣だよ。危ない所を助けてもらって」

「ほう…話はできるのか?」

「一応ね、念話で」

「ふむ…」


 そう言って彼は、唐突に私のノーズに手をぉってちょっとおおお⁉

 なにこのじいさんダイナミックセクハラ…///

 ……いや、私性別とか無いからそもそもセクシャルという概念が当てはまらないんだけれども。だからと言って唐突にボディタッチしていい訳ではないと思うぞ。


「……なるほど。そもそも口に当たる部位が存在しないと。なるほど」


 ………あたり。

 だから念話でしか会話できないんですよ。それも今の所フィーとしかできない。

 聞くだけならね、できるんだけどね。


「仕方ない。おい、声を聞くことぐらいならできるだろう。これからちょいとお前さんの体をいじるが、まあ害は無いから落ち着いていてくれ」


 それだけ、特に何も変なことはしないよと、ちょっとチクッとしますよ程度でものすごいことを言い放って老人は私のノーズに置いた右手を光らせる。

 いや、おい。


 じん、と微かに感じる熱。

 その熱は老人の右手の置かれたノーズから尾翼の先にまで至り、体中を何かが駆け巡る感覚を生じさせる。


「……なんて魔素量だ…!」


 わずかに表情を険しくし、そう呻く老人。

 だが、当の私は老人とは別のものに驚愕していた。

 コックピットに備え付けられた、操縦に必要な情報を表示する光学パネル。

 ほかの計器同様、体の一部だから感覚として認識できるそれが、私自身見たこともない表示パターンを見せる。


 妙に引き伸ばされたような感覚の中で、その表示は基本の表示パターンを外れ、私の意識にダイレクトに飛び込んでくる。


―――――

操縦補助システム、最新情報を更新。

・機体内魔素粒子循環を確認。最適化開始。

・機外魔素粒子の励起・魔力場の生成を確認。情報収集中。

・確認、魔力場を用いた、音声出力システム。


結論:新技能「音声会話」の取得。


 実行しますか?

  YES/NO

―――――


(ま、魔素粒子?あれか、フィーが空でよく分からないと言っていたあれか?しかし…粒子?というか、この表示はなんだ?)


―――――

回答:YF-23ブラックウィドウⅡ 試験機コード「PAV-1」の操縦補助システムです。

―――――


(操縦…補助システム?待て、私にはそんなもの積んでなかったはずだ。フライバイワイヤ(FBW)ならまだしも補助システムだと?)


―――――

…………………

―――――


(こら、なんか言え)


―――――

回答:本システムは、当機PAV-1の操縦自律化に伴い自動生成・初期化され、現在最適化・起動が完了しました。これより初期任務であるPAV-1の操縦アシストを実行します。

―――――


(待て、この機体は私の体なんだぞ?操縦補助なんて必要ない)


―――――

反論:操縦自律化により、「操縦」の定義は大幅に拡大されたものと認識しています。

―――――


(………つまり?)


―――――

PAV-1、貴機の今後の「生活」の補助を担当します。

―――――


(………………)


―――――

回答を待っています。新技能「音声会話」の取得を実行しますか?


YES/NO

―――――


(…私が決定権を?)


―――――

回答:肯定。本機PAV-1の中央処理系は「貴方」であり、機体に関する変更事項は「貴方」の判断で決定されます。

―――――


(…その、操縦補助システム?もう一度聞く。その新技能とやらを取得すれば、私は…喋れるようになるんだな?)


―――――

回答:「喋る」の定義次第ではありますが、広義において肯定です。

―――――


(了解した。………YESだ。)


―――――

回答を確認。

・中央処理系へのデータフィードバック開始。

・技能の外部取得、受け入れ準備完了。

・インストールを開始。

―――――



 瞬間、私の意識は現実へと戻っていった……



「…さん?鳥さん大丈夫?」

「どうやら初めてのスキル獲得だったらしい。外部取得だからな、負担が大きかったんだろう。すぐ目覚める」


 聞き覚えのある声がする。

 一方は少し前に知り合った声で、もう一方はもっと直前に聞いた声だ。


「そろそろ目が醒めてるだろう。おい、聞こえるか」

「……うぅ」


 過度に引き伸ばされた意識から覚醒するこの感じは嫌だなぁと、まだぼんやりするハードウェアで思う。

 確か……技能とやらを取得とかしたような…


「鳥さん、大丈夫?私が分かる?」

「…だ、大丈夫です。フィー………あれ?」


 あれれれれ?

 ちょいまち。


「……あ、あー」


 ……おう?


「…Radio check, PAV-1. Radio check, PAV-1」


 ……もしかして。私喋ってる?


「フィー…」

「どうしたの?なにか具合の悪いところでも…」

「もしかして私…喋ってますか?」

「………あ、本当だ。喋ってる」


 マジか。いや、あの…操縦補助システムとやらから聞いてはいたけれど。

 まさか本当に喋れるようになっているとは思いもしなかった。どうやってるんだ?コレ。


「とりあえず、念話が使える者以外と会話ができなくては、文字通り話にならん。そこで、お前に会話のスキルを私から強引に植え付けたのだが、どうだ?」

「いや……どうだって言われても、どうとも。貴方がやってくれたんですか?」

「そうだと言っているだろう?具体的には励起した魔素粒子を音に変換させているのだが…まあその話は後でしよう。ここの」


 そう言って老人は後ろをちょっと見て、また私の方に向き直る。


「…事の顛末も含めてな」


 …忘れてた。

 そうだ、私さっきここでフィー相手に誤射っちゃったばかりだった。誰もそのこと言い出さないし、私自身さっきまでそれどころじゃなかったからすっかり忘れてた。


「いずれにせよここではゆっくり話もできん。デカブツ、ついて来い」


 それだけ言い、老人は勝手にスタスタ歩いていく。

 さて、気は進まないが付いて行こうと思い、しかしちょっと待てと始動しかけたエンジンを慌てて止める。

 私を空へ上昇させるだけの水力を持つ双発のエンジンは、タキシング程度の低出力でも周りの人間を吹き飛ばせる。


「あのぅ…」

「…?なんだ

「失礼ですが、どなたか私を引っ張ってくれませんか。私の体は普通の道を通れるようにできておりません」

「……なるほど。ソロー」


 出番だ、とばかりに呼びつけられた紅いドラゴンは、果たして盛大にトカゲに似たその顔をしかめた。



 Vガンはいいぞ(唐突)

 試験やら面談やらでストレスマッハ、アンドBFVの忙しさのせいでまったく執筆活動進まなかったヒトがここに約1名。

 ソレ故にめっちゃお話の整合性が取れてない感あるので随時改稿しますた。(あとがきの改稿は手抜き)


 一番大きな変更点は2話の時点でYF-23がある程度会話できるようにさせた所ですかねぇ。ぶっちゃけ改稿前のまま4話書こうとしてコミュニケーション取れないのキツすぎたのでハードル下げました。言語の壁って大きいね。


 それじゃ今回の注釈をば


>操縦補助システム

 あるかもなぁって。完全に私の想像です。本当はあるかもしれないし、無いかもしれません。一応私の中ではキャラクター扱いです。


>PAV-1

 私の中で本作のYF-23は試験1号機という設定なので、その名前であるPAV-1を使用しています。国立アメリカ空軍博物館でモスボールされてるYF-23が何号機かとか筆者は全然知りません。誰か教えて下さい。更新するので。


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