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もちろん、自己紹介。


闘技場の先程座っていた席に戻ると、藍色の髪の女の子がこちらをジッと見つめていた。


「…さっきの」

「ん?」


小さな声で呟くように話しかけてきたが、どのさっきかがわからず首をかしげる。


「さっきの、魔法。綺麗ですね。」

「ああ。ありがとうございます。あなたは何番ですか?」

「032番です。」

「それならもうすぐですね。」


少し時間を潰してから2部の会場へ移る予定だったし、ついでに彼女の魔法を見ていこう。

闘技場では、受験生が次々に魔法を放っては去っていくため回転率が高い。一周回って回転寿司に見えてきた。


『028番、お願いします。』


028番として呼ばれたのは薄い黄緑色の髪をした男の子だった。生まれつき髪の発色が鮮やかな世界ではあるが、黄緑色は珍しくあまり見かけない。なんなら初めてみたかもしれない。


どんな魔法を使うんだろう、と闘技場の中心へ目をやった途端、視界が真っ青になった。

一面の、青。海の中の様に、濃淡や揺らぎがあるのに、息苦しくない。こんな魔法あったのか。見上げても空はなく、晴れの日に光が差しこむような揺れがあるばかり。どうしてか無性に辛くなって、手を伸ばすも苦しさは止まず、悠然と青が佇むのを見ることしか出来ない。


あまりに美しい魔法に魅了され、同時に悲しくなった。


『はい、ありがとうございます。次、032番、お願いします。』


いつの間にか何人か終えていたようで、次は藍色の髪の女の子の番になっていた。頑張ってと声をかけると小振りに頷き闘技場へ転移した彼女を見て、ふと思う。皆、適応能力高いな。


その後、彼女が使用したのはよくあると言っては何だが有名な物で、少量の雪を降らせる魔法だった。昔住んでいた所は雪が降っても直ぐに溶けるような地域だったため、何度見ても楽しい気持ちになれるこの魔法はお気に入りだ。


1部試験を終えた彼女と共に、2部の会場へ向かう道中で名乗り忘れていた事を思い出す。


「そういえば、私はイヴ・スニネンと申します。お名前をお伺いしても?」


こちらでの名前はイヴ・スニネン。

有力貴族スニネン家の次男、といえば誰もがそんな人いたような?となる程の知名度。つまり微妙。二度目の生を受けて以来、人目を避け、目立たない様に生きてきたので、外部の人でまともに話したことがあるのは図書館の司書くらいのもの。

スニネン家といえば、三大貴族には値する権力は持つものの、奉公嫌い…というか過去に何やらあったようで反旗は翻さない代わりに王室への奉公を避けるため、ちょっとしたタブー扱いだったりもする。父よ何があったのか、とはさすがに聞けず今に至るが、第三王子と学友になる可能性も出てきたし、帰宅後早急にたずねなければ。何事も事前の対策と素早い行動が大事。


「私はクリス、クリス・タルヴィと申します。」


クリスと名乗る彼女と、お互いに敬語を止めようと話ながら2部会場の中へ入る。大学の大講義室に似た会場で、こちらでも席は指定されていなかった。教卓の前に立つ男性から順に詰めるように指示され、クリスと並んで席へつく。私語厳禁、という訳ではないようでぽつりぽつりと雑談が聞こえる。


「イヴは試験とか得意?」

「それはまだわからないかな。クリスは?」

「…苦手。」

「お互い健闘を祈ろう」

「そうだよね、もう神頼みしかない」


膝の上で手を握りしめ真顔で呟く彼女があまりに真剣で、微笑ましくなった。



地の文の書き方を忘れ迷走中です。

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