もちろん、プラネタリウム。
舞台に降り、改めて辺りを見渡すと壮大な景色が広がっていた。
まるでコロッセウムのような闘技場の中心から望む光景は、自分が歴史の一つになれたようで爽快だ。
無数の目が光っているから、結構怖いけれど。
『008番、お願いします』
「承知しました」
有力貴族の次男として鍛え上げられたこの9年。
とはいえまだ幼く、魔力も不安定ゆえ、先程王子が使用したような魔法は使えない。
通常、貴族の少年が扱えるのは初級程度だ。
第三王子の放った白く眩い魔法は、恐らく中級魔法、又は王室に伝わる魔法だろう。
5歳になり、図書館へ通うようになって学んだのは自分の置かれた環境についてだった。
その時、この世界には、といっていいのか、リスイン帝国内の話であるかは定かではないが、魔力や魔法が存在するようだと知った。
魔法は初級、中級、上級に大別される他、大雑把にではあるが属性とやらもあり、火、水、風などに分かれる。
初級から上級への区分は、魔力練度が一般の成人レベルである3程度の場合の魔力の平均消費量を元に、消費が少なく影響も小さい物が初級、たいして多量に消費し影響が大きいものを上級とする。
しかし、火と風で水を作り出す事もある事から、属性への疑義も多く、お偉いさんは日々頭を悩ませているとか何とか、と本には書いていた。
そして通常の魔法と異なる、王家秘伝の魔法があるーーーしかし、どういった魔法かは不明。
先立っての魔法は、闘技場を一面光らせはしたものの破壊した訳ではない為中級魔法程度、中級でなければ王家秘伝の魔法かと思われる。
勿論、初級を上級レベルにも、上級を初級としても使えなくはないが、どういった訳かどちらにしても魔力のコスパ?が悪いし試験には向いていない。
たかが試験で秘伝の魔法を使うとも思えないから中級だとは思うけれど、王子の考えなんて知り得ないので何とも言えない。
あんな魔法は使えない、しかし有力貴族としてそれなりの練度で魔法を使用しなければ恥さらし。
となると、見映えがよく、消費を抑え、練度が高めやすいもの。
ーーよし。
「星空」
闘技場の天井を暗くし、大小の光の粒を散らせ、瞬かせる。
解除する際は、セロハンが溶けるように闇を崩し、光は花火の様に落としながら消滅させる。
使用するのは初級の“暗転”と“明滅”のみ。
この魔法は生活魔法で、電気が存在しない我が国だからこそ発展した魔法ともいえる。
普段は蝋燭などを使うものの、パッと照らしたり、ロマンチックなムードを維持するために部屋を暗くしたりする時に便利だからと普及している。
部屋で扱う前提の魔法であるため、闘技場規模となると消費は増えるし、また演出のため練度は高く操作も難しめ、しかし初級。
貴族の子供として模範解答を出した、と浮かれた気分で闘技場の席へ戻る。
2部の会場?今行くと王子と鉢合わせそうなのでパスです。
新年おめでとうございます。
ぽつぽつ更新したいなと考えております。
本年も何卒、宜しくお願いいたします。