表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターセイバーズ  作者: 短髪
4/16

16話~25話 ロイヤルストレートフラッシュ編


16話/Chaser ー新たなる敵ー


福岡 県立図書館内

オーロラマウンテンにもう一度戻るにはリスクが高い。俺はオーロラマウンテンについての情報誌から可能な限り得られる情報を調べてみることにした。そして・・。

竜牙:「見つけた・・。」

夏海:「こ、これって・・!」


- オーロラマウンテンの地下には化け物の巣らしきものが眠っている。それを目撃した大勢の取材班は行方をくらましている。しかし、この記事は表向きにすることはない。なぜならば、我々は化け物に口止めをされている。このことを外部に広めることを禁ずる。もし、そのようなことがあるならば、我々を一人残らず皆殺しにすると我々はその洞窟を管理しているという男から脅迫された。-


竜牙:「すべて体言止めでメモ書きのように記されている。」

夏海:「竜、この書籍は?」

竜牙:「オーロラマウンテン、難攻不落の山の秘密を探る! っていう当時の雑誌だ。この本の中にこの原稿用紙を破ったメモが挟まってた。」

夏海:「化け物ってモンスターのことを差しているのよね?」

竜牙:「確証はないけどな、だけどこの情報誌が発行されたのは去年みてぇだ。可能性はある。そして、あくまで俺の推測だけどこのメモはわざとこの本に挟んであるんだ。」

夏海:「ん?そなことしたらこの本を開いた人全員にこのメモを見られちゃうじゃ・・。」

竜牙:「いや、よく考えてあるよ。これならよっぽどの事がない限り見つからない。」

夏海:「?」

竜牙は自分の生徒手帳を開き、例のメモを挟んで夏海に手渡す。

夏海:「?」

竜牙:「ほれ、調べてみろよ。これでメモは消えた。」

夏海:「はぁ?そんなわけ・・・え・・?!」

パラパラ・・。

夏海:「え・・うそ・・・・なんで?!」

竜牙:「ページの上の方を使ってめくってみろ。」

夏海:「う、うん・・。」

パラパラ・・。

夏海:「あ!あった・・。」

竜牙:「そのメモが挟んであった本のページは左右下の部分が破かれていた。こうしておけばめくったときにページが指先に触れずページ同士が張り付いている状態でめくれる為、気づかれることはまずない。おまけにこの情報誌はなかなか分厚い。人ってページをめくるときは無意識に下の部分をめくるだろ?厚い本なら上の方からページをめくろうとすると本の重さで下に落ちてしまう。だからよっぽどのことがない限り、多くの人が下の方のページを詰まんで、パラパラとめくりあげながら本を読むはずだ。」

夏海:「すごっ・・よく気づいたわねこんな仕掛け。」

竜牙:「俺はページを一枚ずつめくっていたから気づけたんだ、このメモと仕掛けに。」

夏海:「!それじゃ・・竜みたいに一枚ずつめくられたら気づかれちゃうんじゃないの?」

竜牙:「見てみろよ、メモが挟んであるページのは風水の広告に使われている部分だ。こんなページよっぽど興味のある人でもない限り読み飛ばすだろ?おまけに情報誌っていうのは最初にパラパラ読みをして興味のあるページを開くのが自然だ。」

夏海:「すごい・・確かにこれなら気づかれないかも・・。」

竜牙:「モンスターの巣らしきものか。ハンターに報告すべきだな、これは。」


時が経ち、俺たちは二学期を迎えることになる。小池が俺たちのクラスに入学してきたことには驚いたけど、俺も夏海も初対面ではない。なんせあいつはモンスターセイバーズだ。これから迫りくる敵を前にしたこのタイミングで光ヶ丘に転入してきてくれたのはかなり心強かった。

竜牙:「小池、ちょっといいか?」

小池:「?」

竜牙:「昼休みの途中に悪りぃな。こいつを見てくれ。」

小池:「このメモ紙は・・!」

竜牙:「県立図書館でオーロラマウンテンについて調べてたんだが、こいつが見つかった。そのメモが指し示す内容は恐らく、ロイヤルストレートフラッシュのダイヤという男だ。」

小池:「あの眼鏡をかけた長身の男か。奴は目的の為にモンスターの力が必要だって言っていたな。」

ダイヤ:「その通りです。」

竜牙・小池:「?!」」

ダイヤ:「まだ学生の身分とはね・・正直、驚きましたよ。」

小池:「お前はオーロラマウンテンにいるはず、どうしてここに・・。」

ダイヤ:「あれだけのモンスターを討伐したあなた方の力を警戒しないわけにはいかないでしょう。真に勝手ながら調べさせてもらいましたよ。」

竜牙:「なら俺の質問にも答えろよ、モンスターの巣ってのは何を指し示している?」

ダイヤ:「おやおや、知られてしまいましたか。まぁ・・。」

シュゥツ!

ダイヤは姿を消す!

竜牙:「消えた?!」

ダイヤ:「邪魔者は始末してしまえば問題ない。」

ズバッ!

竜牙:「!あっ・・が・・っ。」

小池:「剣崎!」

ダイヤ:「これで・・とどめです!」

小池:「させるか・・。」

ダイヤ:「マシンガン・ナックル50連弾!」

小池:「バーニングモ・・!」

(なっ・・は・・や・・!)

ドカドカドカドカドカッ!

ダイヤ:「はぁっ!」

ドッカン!

小池:「ぐっ・・は!」

ドサッ!

竜牙:「っ・・小池・・。」

ダイヤ:「拳を使う攻撃は悪くない。・・が手数が足りませんよ?今日はご挨拶程度にしておきましょうか。ただし、次にお会いする時はあなた方の殺し時ってやつです。ククク・・。」

スッ。

竜牙:「消えて・・っ・・!」

(何もできなかった・・。)

速水:「ん?・・・!」

(あれは部長?!)


17話/秘密は形にして残してね


桜:「帰る!」

夏海:「待ちなさい!」

桜:「離してっ・・よ!」

夏海:「どこに向かう気?」

桜:「この書類の山!夏休みの間にどんだけ溜まってるのよ、私たちは学生なのよ?」

夏海:「仕方がないでしょ、あなたは副会長。私は会長の立場にいるんだから。」

桜:「もう・・むりっ・・!」

桜は扉を開けようとしたが・・。

ドスッ!

桜:「痛っ!」

花音:「おい、どこに行く気だ・・?」

桜:「げ・・麗華・・。」

夏海:「ありがとう麗華、書類の提出は間に合ったかしら?」

花音:「ああ、後は優香が残している書類だけ・・だ。」

ギロッ・・。

桜:「うぐっ・・!」

彼女は花音麗華。光ヶ丘学院第十七期生徒会書記。またの名を生粋のS!この学院の理事長、その娘である。

花音:「席につけ、何度お前が残した書類を私が尻拭いしたと思ってる。」

桜:「ひぃぃっ・・。」

花音:「分かっているな、今年はシルバーウィークも控えている。連休に入るまでに夏休みの間に溜まった書類をすべて片づけなければお前の休みはないと思え・・。」

桜:「な・・なちゅみぃ・・。」

夏海:「そんな目で見つめないでよ。自業自得じゃない!・・ん?」

ピコン・・。

夏海:「速水くんからライン・・?」

(・・・!)

ガタッ!

花音:「?どうした、夏海。」

夏海:「ごめん!私急用ができた・・残った書類は明日片づける!」

桜:「は?!ちょっ、どこに行くのよ!」

ドン!ガチャッ!

花音:「っ、ドアが壊れるだろ・・何を慌てて・・。」

桜:「あ、あ~私もこれから用事が・・。」

花音:「逃がさん・・。」

桜:「ヒィィッ・・。」

・・青空病院内。

タッタッタ・・!

速水:「あ!木嶋さん・・。」

竜牙:「お前・・夏海を呼んだのかよ。」

速水:「とっさに連絡しないと!と思ってしまって・・。」

夏海:「竜、あなたこれっぽっちも理解できてないじゃない・・。」

竜牙:「こ、これは・・。」

小池:「何か誤解をしているようなら違うぞ木嶋?俺たちは襲われたんだ、あのダイヤとかいう男に。」

夏海:「!」

竜牙:「お前は・・無事だったんだな。」

夏海:「だからっ・・人の事より自分の心配しなさいよ。」

竜牙:「夏海、あいつは俺たちの事を調べ上げているようだ。ここで動かなかったら俺たちと関わっている人たちの身も危ない。」

夏海:「だからと言って、そんな状態で戦う気なの?」

竜牙:「大丈夫、もう一人で無茶するようなことはしない。」

夏海:「なら約束して・・絶対に死なないって。」

竜牙:「!」

夏海:「今、誓える?」

夏海は小指を竜の前に出す。


11年前・・。

夏海:「よいっしょ・・。」

林:「きみ、前回りもできないの?」

竜牙:「・・・。」

夏海:「そ、そんなんじゃないもん!き、今日は調子が悪いだけだもん!」

・・放課後。

ガタッ!

夏海:「痛っ!できない・・・なんで・・?」

竜牙:「じいちゃんが言ってた、怖がってちゃ何もできないんだよ、夏海ちゃん?」

夏海:「うるさいなぁ。じゃあ竜くんはできるの?」

竜牙:「うん、できるよ!」

ガシッ。

竜牙:「まず、鉄棒を掴んで・・。」

ビシッ。

竜牙:「おへその上に鉄棒がくるように体を浮き上がらせて・・。」

クルッ!

竜牙:「勢いをつけて足を上げる。」

夏海:「!」

竜牙:「ね、できたでしょ?」

夏海:「すご~い!・・私はそんな風にできないよ・・。」

竜牙:「じゃあなんで練習しているの?」

夏海:「・・・それは・・。」

竜牙:「本当に諦めてる子はこんなに遅い時間まで練習なんてしないよ~。」

夏海:「だって・・悔しいもん。」

竜牙:「じゃあ夏海ちゃんが練習している時に怪我しないよう、これからは僕が様子を見に来るね!」

夏海:「ほんと?」

竜牙:「ほら!」

竜牙は小指を竜の前に出す。

竜牙:「約束!指切りげんまんしよっ。」

数日後。

神谷:「夏海ちゃん、鉄棒できるようになったんだね!」

林:「・・先生にこそっと教えてもらったんじゃないの?」

夏海:「あ・・それは・・。」

夏海は竜牙の方を見る。

夏海:「竜くんが・・。」

竜牙:「夏海ちゃんは一人で練習していたよ!僕、たまたま見たんだ。」

黄河:「へぇ、やるね夏海ちゃん!」

夏海:「な、なんで・・。」

(竜くんが教えてくれたのに・・。)

竜牙:「し~。」

竜牙は夏海に向かって手招きをする。

夏海:「え・・。」

テクテク・・。

竜牙:「頑張ってたから内緒にしておいてあげるね!」

夏海:「・・!」


竜牙:「夏海・・お前・・。」

夏海:「今誓いなさいよ。これは私たちにしかわからない・・秘密の約束。」

竜牙:「・・ああ、俺はこんなところで死んだりしない!」

ギュッ!

夏海と竜牙は指切りを交わす。

速水:「やっぱり木嶋さんを連れてきて正解でした。」

小池:「フッ・・。」

スペード:「どうしたダイヤ?お前にしては随分と浮かない顔をしているな。」

ダイヤ:「危険因子を見つけた。」

クローバー:「ほぉう、それは面白そうなのであ~る。」

ハート:「それって例のセイバーズでしょ?私にも一枚かませなさいよ。」

ダイヤ:「君一人に任せられない、私も行く。退屈凌ぎにはちょうどいい。」

ハート:「常に本読んでるネクラボーイがよく言うわ。」

ダイヤ:「フッ、なら君は歪んだ支配欲で人の心を操るクレイジーガールですね。」

スペード:「その辺にしとけよ、ジョーカー様の復活は近いんだ。」


18話/マインド・コントロール


夏海:「小池くんはコーヒーでいいかしら、竜は・・。」

ハート:「あの~すみません。」

夏海:「・・はい?」

ハート:「友達を探しているんですけどぉ知りませんか?男子高校生の2人で名前は剣崎竜牙、小池共士郎って言うんですけどぉ・・。」

夏海:「え?」

(2人の知り合い?でも小池くんと竜は最近知り合ったのに共通の知り合いなんているはずが・・。)

ハート:「きゃはっ!」

ゾクッ!

夏海:「な、なに・・この人・・。」

(体中に殺気が・・!)

ハート:「あのぅ?」

夏海:「あ、すみません・・。私、祖母のお見舞いに来ただけなのでこれで・・。」

夏海はハートの横を通り過ぎようとするが・・。

バン!

夏海:「?!」

ハートはゆっくりと笑みを浮かべる。

ハート:「コーヒーは小池くんに、エナジードリンクは剣崎くんに・・でしょ?」

夏海:「な、何を言って・・。」

ハート:「私、人の顔色から嘘を見抜くの得意なんだぁ・・。」


速水:「木嶋さん、遅いですね。」

竜牙:「俺、見てくるよ。」

小池:「っしょと・・。」

竜牙:「?なんだよ、小池。」

小池:「トイレだ、悪いが先にいかせてもらうぞ。」

竜牙:「あ、ああ。」

ダイヤ:「見つけました。」

竜牙・小池:「「?!」」

ダイヤ:「お怪我が軽そうで何よりですよ。」

竜牙:「てめぇ・・。」

小池:「剣崎、場所を移すぞ。ここは病院だ、騒ぎを起こすとまずい。」

竜牙:「ダイヤ、来いよ。ケリつけようぜ。」

ダイヤ:「フフフ・・。」


青空病院外

ダイヤ:「さてと、その状態で私と渡り合えるのでしょうか?」

竜牙:「この前のは不意打ちだろうが、次はやらせねェよ。」

小池:「落ち着け、剣崎。」

竜牙:「っんだよ、小池?」

小池:「もう一人いる。」

竜牙:「!」

ハート:「気づかれちゃったかぁ・・テヘへ。」

木陰に隠れていたハートが姿を現す。

竜牙:「お、女?!」

ハート:「この子たちが噂の・・。」

ダイヤ:「さぁ、どちらをやりますか?」

ハート:「じゃあ、剣を手にしているイケメン君にする!」

ダイヤ:「じゃあ私はボクシングボーイですか。」

竜牙:「小池、任せたぞ。」

小池:「ああ、そっちもな。」

ハート:「ダーツ・フラワー。」

ハートの手に黒バラのダーツの矢が作られる。

竜牙:「!」

ハート:「えいっ!」

竜牙:「ドラゴンソード!」

カキン!

竜牙はダーツフラワーをはじく!

竜牙:「速攻だっ!」

タッタッタ・・!

ハート:「ルーレット・プラント!」

竜牙:「!なんだ・・地面が光だして・・。」

ハート:「地中から湧き出なさい、大樹の根よ!」

竜牙:「うぉっ!なんだっ・・これ!」

ヌルヌルヌル・・。

竜牙の周囲が円形状に光り出し、地面から抜き出てきた根っこが竜牙の足を縛り、身動きをとれなくしていく!

ハート:「その剣も接近しないと振れないでしょ?プププッ!」

竜牙:「あいにく、ただの剣じゃねぇんだよコイツは。イナズマドラゴン!」

シュッ!ビリリリリィッ!!

竜牙は絡みついた根っこをイナズマドラゴンの稲光で燃やし尽くす!

ハート:「!」

竜牙:「もう一発いくぞ、イナズマドラゴン!」

シュッ!ビリリリリィッ!!

ドラゴンソードから放たれたイナズマドラゴンはハートを目掛けて突っ込んでいく!

ハート:「ニャァッ・・。」

ドッカァァアアン!

竜牙:「やったか?・・。」

(なんだ・・煙の中で誰かが立って・・。)

夏海:「第一の弾・火炎弾。」

ドッカァアアアン!

竜牙:「がはっ!ごほっ、ごほっ!」

夏海:「ちゃんと避けないと死ぬわよ?」

竜牙:「・・っ、どういうつもりだよ、夏海!」

ハート:「無駄よぉ、彼女の意識は今私の支配下にあるからぁ!・・キャハハハッ!!」

竜牙:「は、どういうことだ!」

ハート:「私の超必殺技・マインド・コントロール。対象の相手に触れるだけで半日はその人の意識を操ることができるのよぉ・・ぐふふふっ!」

竜牙:「超・・必殺技?!」

夏海:「構えなさい、竜。次は仕留める・・。」

ガチャッ!

竜牙:「まじかよ、これ・・!」

ハート:「アハッ!・・ハハッ、剣崎竜牙を仕留めろ。」

夏海:「仰せのままに。」

小池:「こんな技を使うやつもいたなんてな!」

ダイヤ:「おっと、君は私との戦いに集中した方がいいですよ?」

小池:「ちぃっ、剣崎!」

竜牙:「くっ・・どうすれば夏海を正気に戻せるんだ。」

夏海:「第二の弾・水弾!」

ドヴァァァッ!

竜牙:「うおっ!」

夏海:「隙だらけね。」

竜牙が顔を覆った瞬間に夏海が間を詰め寄り、拳銃を構える!

ガチャッ!

竜牙:「!この距離はまずいっ・・。」

夏海:「第一の弾・火炎弾!」

竜牙:「くっ!うぉぉぉりゃぁっ!!」

シュゥ・・ズバッ!

竜牙はドラゴンソードを地面に突き刺し、イナズマドラゴンを発動する。

ビリリリリィッ!

夏海:「うぐっ!」

(まぶしくて・・視界が定まらないっ!)

竜牙:「今だ!ドラゴンソ・・。」

ハート:「ルーレットプラント!」

ヌルヌル・・ガシッ!

竜牙:「っ!」

(動けねェっ!)

夏海は縛られた竜牙の前に立ち、拳銃を向ける。

夏海:「終わりよ!第一の弾・火炎弾!!」

ドッカァアアアン!

小池:「剣崎っ!」

ダイヤ:「マシンガン・ナックル50連弾!」

小池:「くっ!」

パシッ!パシッ!パシッ!

ダイヤ:「私の攻撃をすべて弾くとは・・だが防戦一方ではいずれ体力がつきますよ?」

小池:「くそっ、剣崎!」

(なんだ、人影が?!)

ハンター:「間一髪だったね・・。」

竜牙:「は、ハンター!助かったぜ・・。」

夏海:「私の弾丸をはじいた?!」

竜牙:「うぉぉぉっ!」

ガシッ・・ギュッ!

夏海:「なっ!」

竜牙は夏海が静止しているわずかな間に夏海に抱きつく!

夏海:「なっ、何をする!」

竜牙:「夏海!俺はお前と戦いたくないっ!!」

夏海:「命令は絶対なのよっ!」

振りほどこうとする夏海に竜牙は必至に抵抗する!

ハート:「ナニコレ・・。」

ハンター:「おっと・・。」

スッ!

ダーツ・フラワーを投げようとするハートの喉元にガイアソードをハンターが突きつける!

ハンター:「これ以上邪魔立てはさせないよ?」

ハート:「ウザッ!・・はぁ~興冷めだわ。帰ろ・・。」

ダイヤ:「なっ!おいハート・・。」

ハート:「あんたも撤収した方がいいんじゃない?3対1はさすがに分が悪いっしょ。」

ダイヤ:「ったく、勝手な方ですね・・。」

シュゥツ!

ハートとダイヤは姿を消す。

小池:「なっ!・・また逃げられた・・。」

ハンター:「剣崎くん・・。」

竜牙:「筋金入りの負けず嫌いがこんな訳の分かんねぇ技に操られてんじゃねぇよ。」

夏海:「いい加減っ、離してっ・・!」

竜牙:「お前こそいい加減戻ってこい。俺たちの武器は人を守るための力であって人を傷つけるものじゃねェんだよ。」

夏海:「!」

竜牙:「戻ってこいよ、お前が矛先を向ける相手は俺じゃないはずだ。」

夏海:「あ・・れ・・私・・。」

もうろうとする意識の中、夏海が正気に戻っていく。

竜牙:「お前、もしかして正気に?」

夏海:「!ちょっ、何してんのよ。やめなさいよ、ばかっ!!」

ボコッ!

竜牙:「うごっ!」

ドサッ。

夏海:「セクハラよ?分かってんの?」

竜牙:「あ、あのままにしてたらひたすら発砲してただろうが、この野郎ォ・・。」

小池:「だ、大丈夫か?」

竜牙:「ああ、慣れてるから気にするな。」

ハンター:「よかったよ木嶋さん、一時はどうなるかと思ったからね。」

夏海:「あの女・・今度あったら確実に仕留めてやるんだから・・。」

ハート:「嘘でしょ・・。」

ダイヤ:「どうかしましたか、ハート。」

ハート:「私のマインド・コントロールの反応が消えた。」

ダイヤ:「なかなかのやり手ですねぇ、新たなモンスターセイバーズたちは。」

ハート:「ほんっと気に食わないわ。」

ダイヤ:「いずれにしても今はジョーカー様の復活が最優先事項だ。」

ハート:「分かってるわよ、うるさいわね。」


19話/シルバーウィークを満喫だぜ!(サ〇シ風)


ダイヤ、ハートとの戦いから数日が経過し、クラスメイト達は明日からの連休に胸をはずませていた。

速水:「来ましたぁっ!」

竜牙:「テンション高っ!」

速水:「だってシルバーウィークですよ!」

小池:「気持ちは分かる。」

竜牙:「小池はギリシャに行くんだって?」

小池:「ああ、明日にはプライベートジェットで経つ。」

速水:「プライベートジェットって・・。」

竜牙:「速水、この学院の生徒は公共交通機関と縁がないやつが大半を占めているんだ。覚えておけ。」

速水:「お金持ちでない部長が今の単語を聞いて全く動じてないのもどうかと思いますけど・・。」

ピロン。

竜牙:「夏海からラインだ・・。」


― 明日、私と付き合って!とにかく大変なの。-


竜牙:「は?」


数日前

橘:「木嶋さん、連休は俺とどこかに出かけませんか?」

モブA:「いや、俺と!」

モブB:「いえ、僕と!」

夏海:「私はっ、誰とも出かけないからっ!」

橘:「なぜ!もしや彼氏が?」

モブC:「いや、そんなはずない!」

夏海:「関係ないでしょっ!とにかく、嫌なもんは嫌です!!」


生徒会室

夏海:「本当にしつこくて、だからクラスの男子たちを黙らせたいのよ。」

竜牙:「だから俺に偽の彼氏役を・・ってことか。」

夏海:「だ、だめ?」

竜牙:「わかった、夏海にはオーロラ島んとき世話になったからな。けどよ、偽の彼氏役なら俺じゃなくてもいいんじゃ・・?」

夏海:「それは・・そうだけど・・。」

桜:「あれ、先輩!」

竜牙:「おう、桜!夏海、とりあえずシルバーウィークの予定を空けておけばいいんだよな?」

夏海:「え、いいの?!」

竜牙:「ああ。今から生徒会の業務だろ?ちょうどいいタイミングだし俺は教室に戻るわ、勇太郎からノート写させてもらわねぇと。」

桜:「え、せんぱ・・行っちゃった。」

夏海:(わ、私ってば、どさくさにまぎれてデートの約束をしちゃった・・!)

桜:「で、夏海?」

夏海は桜に背中を向ける。

夏海:「さぁ、書類を片づけるわよ。連休明けの生徒総会に備えないと。」

桜:「コラ~!しれっと先輩とデートの約束してたでしょうがぁ!!」

夏海:「うぐっ!やっぱり聞こえてたのね、ぼさっとしてると麗華が来るわよ?」

桜:「うぐっ!・・あくまで口を割らない気ね?・・。」

夏海:(オーロラ島の時みたいなヘマはしないわよ、優香。)


翌日

竜牙:「え~っと、ここの突き当りを曲がって。」

夏海:「あ!竜、ここよ。」

竜牙:「!」

(おいおい、夏海の背後からものすごい殺気が・・。)

夏海:「どうしたの?」

竜牙:「お前・・クラスの奴ら、全然撒けてねェじゃんか。」

夏海:「しょうがないでしょ、木嶋さんに彼氏なんている訳がないっ!って言いながら私の後を尾行してきてるのよ、この人たち。」

竜牙:「あと、なんで遊園地なんだ?」

夏海:「ねぇねぇ!ジェットコースターいこ!!」

竜牙:「お、おい!」


その頃・・。

小池:「これがパルテノン神殿か。ここからギリシャの街並みをすべて見渡せるという世界遺産。」

ガサッ・・。

小池:「?」

(人の気配がする・・。)

男:「・・・。」

ドカァァアン!

小池:「うおっ?!なんだ・・!」

ゴゴゴゴ・・。

男:「・・・・。」

タッタッタッ・・。

小池:「おいおい世界遺産の前でこれだけ大規模な爆発を起こすとかマジか。」

(とにかく追いかけるか、もし奴がまた爆発を起こすとしたら民間人に危険が及ぶ。モンスター相手じゃねぇけど戦う術がある以上、放っておけねぇ!)


夏海:「うわぁ綺麗!」

竜牙:「観覧車から見る景色って幾つになっても驚かされるよ。」

夏海:「パノラマワールドみたいですごくいいよね!」

竜牙:「パノラマ・・か。」

夏海:「昔を思い出すよね。」

竜牙:「ああ、懐かしいな。」

9年前・・。

夏海:「竜!観覧車に乗ろうよ、私ねまだ乗ったことないの!」

竜牙:「ははっ、本当にお嬢様なんだな。」

夏海:「な、なによ・・。」

竜牙:「乗ろうぜ、今なら空いてるみたいだし。」

観覧車に乗りこむ竜牙と夏海。

夏海:「す、すごい・・。」

竜牙:「この観覧車、高さがあるからすげぇ見晴しいいよな。」

夏海:「まるでパノラマワールドみたい・・。」

竜牙:「へぇ、面白い例え方をするなぁ。」

夏海:「えへへ、そうかな。・・・。」

竜牙:「おいおい、急に俯いてどうした?」

夏海:「また観覧車に乗れたらいいな・・。」

竜牙:「観覧車ぐらいおじさんに連れてってもらえよ。」

夏海:「お父さん、最近忙しくて家に帰ってこれてないんだ・・。」

ポロッ・・。

竜牙:「な、泣くなよ。」

夏海:「だって・・。」

竜牙:「大きくなったらまた俺と一緒に観覧車に乗ろう。」

夏海:「本当?」

竜牙:「約束だ、ほら。」

夏海:「あの時の約束は今でも忘れないよ。」

竜牙:「まぁ今回は偶然だけどな。事実、今の今までその約束の事忘れていたし。」

夏海:「そ~いうことは覚えているフリでもしてればいいのよ。ほんっと空気が読めないわね。」

竜牙:「んだよ・・。」

夏海:「理由はどうであれ竜と一緒にまたこの観覧車に乗れた。それだけで私は嬉しい!」

竜牙:「俺は気が気でなかったけどな、クラスメイトの奴らにいつ刺されるかヒヤヒヤもんだったぞ。」

皮肉を言いながらの竜牙の笑顔に夏海は顔を赤くする。

夏海:(あれ・・この空気に二人だけの空間、もしかして告白するチャンスなんじゃ・・。)


ギリシャ。

小池:「パルテノン神殿の次は断崖の修道院メテオラか。くそっ、どこに行きやがった?」

男:「ここにもないな。」

小池:「あ!お前っ・・。」

男:「!」

小池:「お、おい待て!」

(あいつ、どこかでみたような。)

数時間後。

小池:「はぁ、はぁ・・。」

男:「ここが太陽神アポロンの神域。かつて大地のヘソと呼ばれ世界の中心だった場所か。」

小池:「お前、こんな遠くまで・・。」

男:「しつこいなぁ・・さっきからって・・小池先輩?」

小池:「お前・・速水か?」

速水:「あ、あはは。」

小池:「んだよ、おれはてっきりパルテノン神殿周辺を爆破した爆発魔かと。」

速水:「え、小池先輩もエイを追ってきたんですか?」

小池:「エイ?」

速水:「ギリシャで指名手配中の爆発魔・エイ。つい数時間前にパルテノン神殿に爆弾をしかけていたんです。僕、たまたま観光に来ていたんですが、偶然にもその爆弾を見つけてしまったんです。本当はこういう事をしたくなかったんですけど、神殿には観光にきている方も大勢いたのでできるだけ遠くに持って行って僕が爆破させました。」

小池:「あの爆発は速水がやったのか。」

速水:「ええ、エイの捜索と先程説明した爆発の経緯についてはすでにこちらの警察に話をつけています。」

小池:「お前、ここギリシャだぞ?言葉が通じないんじゃ?」

速水:「警察の方の中に日本人の警官が在籍していたので、通訳してもらいました。」

小池:「なんだこれ、鳥越し苦労ってやつか・・。」

ガクッ。

速水:「えっと・・どうしたんですか?」


20話/現れたもう一人の刺客


竜牙:「どうした夏海?」

夏海:「あっ、あの!」

竜牙:「?」

夏海:「いぃや・・その・・えぇっと・・。」

(どうしよう心臓の鼓動が収まらないっ!)

竜牙:「お、もうそろそろ降りないとだな。」

夏海:「ええっ?!もうそんな時間?」

竜牙:「久しぶりにいい景色見れたぜ。」

観覧車はゆっくりと下降していく。

夏海:「あ、あのね・・私「あれ?木嶋さん!」」

夏海:「え・・。」

従業員:「はい、足下に気を付けて降りてください~。」

竜牙:「どうやら見つかっちゃったみたいだな。」

夏海:「・・・。」

竜牙:「夏海?」

橘:「剣崎とデートだなんてどういう・・え”?」

ゴゴゴゴ・・。

竜牙:「うおっ!ど、どうしたお前。」

夏海:「いいところで邪魔してくれたわねぇ・・質問を投げかけたいのはこっちなんだけど?」

テク・・テク・・。

夏海は橘との間合いを詰め、周囲に見つからないようにそっと拳銃を橘の腹に突きつける。

ガチャッ。

橘:「へ?・・あ・・・。」

夏海:「ちょっとそこでお茶しましょう・・ね?」

竜牙:「な、夏海?!早まるな~!」

この後、橘がどうなったかは言うまでもない。

翌日。

光ヶ丘学院前のコンビニ。

竜牙:「まさかあいつが学校を休むとは・・。」

(それにしてもあいつ昨日何を言いそびれていたんだ?)

桜:「あ、先輩!ちょうどよかった、夏海が休んでいる理由をしりません?」

竜牙:「その事なんだけど俺にもよく分からないんだ。」

桜:「先輩ですら知らないなんて・・。私、夏海が学校を休むなんて信じられなくて。」

竜牙:「ああ、余計に心配しちゃうよな。なぁ、全然関係ない話なんだけど・・。」

桜:「はい?」

竜牙:「桜ってなんで俺の事を先輩って呼ぶんだ?同い年だろ。」

桜:「すっごい今更じゃないですか!」

竜牙:「いやその・・なんでだろうってずっと思ってて。」

桜:「私にとって先輩は・・剣崎くんはあこがれの存在なんです。色んな面で尊敬しているの、だから敬意をこめて先輩って呼んでいるんです。」

竜牙:「そ、そんな大した奴じゃねぇよ。大袈裟だなぁ。」

桜:「決して大袈裟なんかじゃないです。クラスは違うけど、先輩のいいところ・・・私はた~くさん知っていますよ?」

竜牙:「な、なんだよ・・そんなに褒めても何もでないぞ?」

桜:「えへへ。あ、私そろそろ学院に戻ります!」

竜牙:「あ、行っちゃったか。」

男:「あの~。」

竜牙:「うわっ!な、なんすか・・?」

男:「博多駅行の電車ってこの駅は通っているんですか?」

竜牙:「え、ああ。駅入って右手にある2番乗り場から乗車すればこの時間なら博多駅行が到着するはずだぜ?」

スペード:「ありがとう。あ!俺、スペードって言うんだ!」

竜牙:「お、おお。唐突な自己紹介だな、見たところ俺と同い年っぽいけど、外国人なのか?」

スペード:「そういう訳じゃないけど・・あ、これお礼。」

竜牙:「え、ちょっ!」

・・・・。

竜牙:「行っちまった。それにしてもなんでお礼がスペードのトランプカードなんだ?」

(ん?トランプ・・。)

放課後、竜牙は木嶋家に足を運んだが・・。

ピンポーン。

未央:「はい?」

竜牙:「お久しぶりです、剣崎です。」

未央:「あら、竜牙くん!」

竜牙:「すみません、夏海のことが心配で・・。」

未央:「心配をかけたみたいね、うちの娘が。夏海~竜牙くんが来てるわよ。」

ドタドタドタッ!

夏海:「うそ・・本当に・・。」

未央:「もう、勢いよく階段を駆け下りない!」

竜牙:「学校を休んだ割には随分と元気そうだな。」

夏海:「まぁその・・体調は悪くないというか・・むしろ心の病というか・・。」

(昨日の事が原因で竜とどう接したらいいのかわからなくて休んだ・・なんて言えない・・!)

竜牙:「何を訳のわからんことを・・。まぁ明日からは学校に顔出してくれよ?桜も心配してたぜ?」

夏海:「うん、ごめんね。心配をかけて・・。」

未央:「こんなところで立ち話もなんだしよかったら上がっていったら?」

竜牙:「あ、いえ・・様子を見に来ただけなのでこれで失礼します。」

夏海:「ありがとう、優香にも私からラインを入れておくね。」

竜牙:「なぁ、お前昨日何か言いかけてただろ?」

夏海:「え”・・あ、あ~気にしないで。」

(気持ちを伝えるのはまだ早かったんだってわかったから。)

竜牙:「何か悩んだりしてるなら相談に乗るから、無理するなよ。じゃ!」

夏海:「ありがとう・・。」

(一日かけて気持ちの整理をしたけど、やっぱり私は竜のことが好きだ。優香や朱里とライバルにはなっちゃうけど、負けないっ!うん、負けたくない。)

ハート:「ただいま~。」

ダイヤ:「スペードはどこに?」

クローバー:「博多駅に売ってあるクロワッサンが食べたいとか言っていたのであ~る。」

ダイヤ:「どうしたんですかね、突然。」

クローバー:「ジョーカー様の復活の為に我らには遊んでいる暇などないというのに。」

ダイヤ:「その通りですね。」

ハート:「じゃ、私はデパ地下に買い物行ってくるから。」

ダイヤ:「話を聞いていたのか?ハート・・。」

クローバー:「我も寝るのである!」

グーグー。

ダイヤ:「こいつら・・。」

スペード:「おう、帰ってたのか。」

ダイヤ:「スペード、これはどういうことだ?」

スペード:「いやぁ、博多駅にある売店のおばちゃんがサービスしてくれてよ。なんか、賞味期限ギリギリだから持って行ってくれって・・ほら!」

ダイヤ:(在庫処分じゃないか・・。)


21話/これが超必殺技!


竜牙:「なんだよハンター、これから部活があるんだけど。」

ハンター:「まぁまぁ、大事な話があるんだ。」

竜牙:「ロイヤルストレートフラッシュの連中のことか?」

ハンター:「話が早くて助かるよ。」

竜牙:「心配しなくても、奴らには借りがあるからな。絶対に倒す!」

ハンター:「水を刺すようで悪いけど、今の剣崎くんたちの実力じゃ彼らは倒せない。」

竜牙:「・・言ってくれるじゃねぇか。」

ハンター:「だからこそ新しい必殺技をこれから編み出してもらう。」

竜牙:「!」

ハンター:「高威力の必殺技、超必殺技と呼ばれる新たな力を身につけてもらいたいんだ。」

竜牙:「!ロイヤルストレートフラッシュのハートとかいう女が使っていた技のことか。」

(マインド・コントロールは確かに強力な技だった。あいつらに対抗する新たな力か・。)

ハンター:「君たちが愛用している武器には特殊な力が備わっている。その力を発動させるためにはイメージが大事だ。」

竜牙:「イメージ・・。」

ハンター:「今、君が求めている力はどういう力だい?」

竜牙:「俺が今欲している力・・それは・・。」

ハンター:「!」

竜牙:「どうした?急に顔をあげて・・。」

ハンター:「招兼ねざる客がきたようだね。」

ダイヤ:「久しぶりですね、剣崎竜牙。」

竜牙:「お前っ・・。」

ダイヤ:「世間とは狭いものですねぇ、こんなところで出会えるとは。」

ハンター:「剣崎くん、逃げるよ?」

ガシッ。

ハンターは竜牙の手を取る。

竜牙:「えっ、ちょっ!」

ダイヤ:「!」

(逃げを選択しましたか、剣崎竜牙はともかくあの”三島和人”が相手となると深追いは禁物ですねぇ。)

竜牙:「なんで逃げるんだよ!」

ハンター:「追っては来てないみたいだね。」

竜牙:「はぁはぁ・・答えろよ。」

竜牙はハンターの手を振り払う。

ハンター:「言ったはずだ、君はまだ彼らには勝てない。」

竜牙:「だからってこのままあいつらを好き勝手させる気かよ。」

ハンター:「焦ってはダメだ。それに君はこれから部活だろ?明日から毎日君の時間を少しだけくれないか?その時間を超必殺技の修行に費やする。」

一カ月後。

ダイヤ:「いよいよですねぇ。」

ハート:「ジョーカー様復活の瞬間をこの目に焼き付けることができるのね!」

クローバー:「楽しみなのであ~る。」

スペード:「ん?」

ガチャッ・・ギギギギィ・・。

スペード:「鍵の形は壺にあけられている鍵穴とぴったりなんだがな、どうやら特殊な封印術が施されているみたいだ。」

ハート:「!なにそれ・・。」

スペード:「封印の鍵が必要みたいだ。」

クローバー:「その封印の鍵ってなんなのだ?」

スペード:「かつてジョーカー様を封印した伝説のセイバーズが使用した鍵だ。この封印術は恐らくその鍵を差し込むことで術が解かれる。」

ダイヤ:「鍵の在り処は?」

スペード:「ジョーカー様と戦った伝説のセイバーズ、そいつが知っているはずだ。」

ダイヤ:「ハート・・動くぞ。」

ハート:「?どこに行く気。」

ダイヤ:「奴に聞くのが手っ取り早い。」

クローバー:「俺は違うところから探してみるだ。」

竜牙:「やった・・。」

ハンター:「これが君の超必殺技か。」

竜牙:「ああ。俺に足りなかった防御力をこいつなら補える!」

ハンター:「よし・・少し休憩にしよう、ここまでよく頑張ったね。」

ダイヤ:「休む暇などありませんよ?」

竜牙:「!またあいつか。」

ダイヤ:「単刀直入に伺いますよ、封印の鍵の在り処を吐きなさい。」

ハンター:「封印の鍵の在り処を探っているということはジョーカーの封印がもう・・!」

竜牙:「なっ、何の話をしてんだよ。」

ハンター:「話は後!とにかく今こいつを倒さないと後々厄介なことになる。」

竜牙:「なんだかよく分かんねぇけど、これまでの借りをここで返すぜダイヤ。」

ダイヤ:「いいでしょう、かかってきなさい。ただし手加減はしません!」

シュゥツ!

竜牙:「消えた?!」

ダイヤ:「こちらから行かせてもらいますよ、マシンガン・ナックル100連弾!」

竜牙:「っ!」

バシッ、バシッ、バシッ!

カキン、カキン、カキン!

ダイヤ:「私の攻撃を剣で弾いているだと?」

(バカな、剣裁きが格段に上がっている。)

竜牙:「攻撃の手が緩んだな、ドラゴンソード!」

ズバッ!

ダイヤ:「うぐっ!」

ハンター:「いいぞ、剣崎くん!」

ダイヤ:「面白い!こいつはせめてもの礼ですよ・・。」

ググッ!

ダイヤは力を溜め、拳を構える。

竜牙:「!やばっ!!」

ダイヤ:「フルパワー・マシンガン!」

バッシィッ!

竜牙:「うぐっ!!」

ダイヤ:「力を一点に集中して解き放つ私の拳はいかがでしたか?」

竜牙:「へっ・・きか・・ねぇ・・なぁ。」

ダイヤ:「往生際が悪いですねぇ・・。」

竜牙:「げほっ!に、肉を切らせて骨を断つってな・・。」

ダイヤ:「血反吐を吐きながら何を・・!」

(なんだ・体がしびれて・・!)

ハンター:「相手を甘く見て警戒を怠らなかった君のミスだね、剣崎くんは最初、君の攻撃を受け流す際にドラゴンソードにイナズマドラゴンを流し込んでいた。君は今、その電流が筋繊維に流れ込み体がマヒ状態に陥いっている。」

ダイヤ:「こ、こいつ・・!」

竜牙:「戦う術と書いて戦術と読むんだ。力任せに技を奮うだけが戦いじゃねぇんだよ。」

ダイヤ:「これは・・まずいですねぇ。一撃で彼を仕留めるしかない!」

ダイヤは拳を握りしめ、片足と拳二点に力を集める。

竜牙:「野郎ォ・・俺だってまだ本気を出してないぜ!」

ダイヤ:「いきますよ!」

シュタッ!

力を溜めた片足で思い切り地面を蹴り上げてダイヤは飛び跳ねる!

ダイヤ:「超必殺技・フライフルパワーマシンガン!」

竜牙:「超必殺技・ドラグアーマー・ノーマルモード!」

竜牙は自身に竜の鱗のような鎧を身に着ける!

ダイヤ:「なにっ?!」

ハンター:「ドラグアーマーは自身の細胞にドラゴンソードの力を流し込み、細胞変化させ、防御力を格段にあげる大技だ。ダイヤ、君にこの鎧が攻略できるか?」

ダイヤ:「こんなもの!」

ボォォォォウウ!

ダイヤ:「!」

(なんだ、彼の鎧から炎が!)

竜牙は拳を握る。

竜牙:「くらえ、ドラグアーマー・バーストモード!」

バッシッィン!!

ダイヤ:「ぐあああああっ、焼けるぅぅぅぅぅ!」

竜牙:「ドラゴンソード。」

ズバッ!

竜牙は倒れこんだダイヤの心臓にドラゴンソードを突き刺す。

ハンター:「終わったね、剣崎くん。」

竜牙:「ふぅ・・。」

ドサッ。

ハンター:「け、剣崎くん?!」

竜牙:「くそっ、さすがに体が動かねぇや・・。」

ハンター:「そうだ、怪我の方は大丈夫かい?」

竜牙:「ああ、致命傷にはなってねぇよ。それよりか、あいつが封印の鍵っていうのを狙って俺らに会いに来たってことは・・。」

ハンターはうなずく。

ハンター:「木嶋さんや小池くんのところにも奴らの刺客が行ってるかもしれない。」

竜牙:「助けにいかないとだな・・っ!」

ハンター:「無理は禁物だよ。それに彼らも超必殺技を習得している。」

竜牙:「!」

ハンター:「小池くんには僕の仲間が。木嶋さんには君と同時進行で僕が修行をつけたからね。」

竜牙:「けどハートって奴にはマインド・コントロールがある。それに俺が勝てたのだって相手が油断してくれていたことが大きい。」

ハンター:「心配かい?木嶋さんが。」

竜牙:「いや?マインド・コントロールされる心配が3割かな。」

ハンター:「ん?・・後7割は?」

竜牙:「敵さんがボロボロにされる心配だ。なんせあいつは筋金入りの負けず嫌いだからよ。」

ハート:「ダイヤの奴どこに行ったの。ん?あの子は・・。」

桜:「ね、夏海!サ〇ティー〇ン食べに行こうよ!」

夏海:「いいわね!私チャレンジザトリプルに挑戦してみた・・。」

桜:「・・どうしたの?」

夏海:「優香、ごめん先に帰っててもらえる?」

桜:「え?な、なんで・・アイス食べにいこうって・・。」

夏海:「明日埋め合わせするから・・ね?」

桜:「なんなのよもう~わかったわよっ!」

ハート:「いいわねぇ、華のJKって感じで!ねっ夏海ちゃん?」

ガシャッ。

ハート:「・・挨拶もなしにいきなり拳銃を向けるなんて礼儀がなってないんじゃない?」

夏海:「あんたのマインド・コントロールは至近距離にいる相手に話しかけることが引き金となって技が発動できるんでしょ?だからあの時、病院で私に病室を訪ねるフリをして話しかけた。あの問いには意味はなかったのよ、二人に会うことが目的なら手当り次第病室を探せば問題ないし、何よりあなたの場合必要であればマインド・コントロールで周囲の人たちを黙らせることだってできるだろうし。」

ハート:「随分と頭が回る子ねぇ。だから私と距離を取るために拳銃を向けているわけね。」

夏海:「分かったら構えなさい?第一の弾・火炎弾!」

ボォォゥウ!

ハート:「っと!危ないじゃない!!」

夏海:「この前の借りはここで返すわよ?」

ハート:「あはっ、燃える展開っ!ダーツ・フラワー!」

シュゥッ!

夏海:「花の茎を形どったあの時の矢ね・・その攻撃は知ってる。」

カシッ!

ハートが投げたダーツ・フラワーを夏海は人差し指と中指で挟みキャッチする。

ハート:「なっ!なんっう動体視力してんのよ・・。」

夏海:「超必殺技・第三の弾・竜巻弾!」

ドカァアン、シュルルルル!

夏海の放った弾丸は強大な強風をまといながらハートに突っ込んでいく!

ハート:「チィィッ!ルーレット・プラント!!」

夏海:「壁を作って防ぐつもりんでしょうけど、させないわ。第一の弾・火炎弾!」

夏海の放った竜巻弾に火炎弾の炎が混じり爆風となってルーレット・プラントを燃やしていく!

ハート:「ナニコレっ!」

夏海:「竜巻弾は組み合わせることができる弾丸よ。火炎弾の炎をまとった竜巻弾は強大な爆風であなたに襲い掛かるわ。」

(この前のオーロラマウンテンでの戦いで実感した。私の弾丸、その強みはいろんな組み合わせができること!)

ハート:「この女・・いつの間にこんなに強くなったの?!」

夏海:「第二の弾・水弾!」

バシャァァッ!

ハート:「キャァッ!」

夏海:「もたもたしている暇はないんじゃない?」

ハート:「ナニコレ・・さいっコー♡。」

夏海:「本っ当に気味悪い人!」

ハート:「ルーレット・プラント!」

シュルルル・・!

夏海:「しまっ・・・!」

ハート:「ア八ッ!夏海ちゃんGETォッ~。」

夏海:「っんあっ!ぐ・・くるしっ!!」

ハート:「ルーレット・プラントがいい具合に夏海ちゃんを締め付けてるねぇ~。」

夏海:「この・・っ!」

ハート:「そのままじっとしてなさい。また私の下僕にしてあげるわ・・ウッフフフフ・・。」

(拳銃にさえ警戒していれば問題ないわ。)

一歩、また一歩と夏海に近づいてくるハート・・。

夏海:「~っ!」

ハート:「もう少し・・!」

夏海:(今だっ!)

夏海は手にしていた竜巻弾の弾丸を地面にころがし、思いっきり踏みつける!

ガシャッ・・・ボォォォオウウウウウッ!

ハート:「うわっ!」

夏海:「くぅっ・・!これでダーツ・フラワーは地面から消し飛ばしたわ!」

ハート:「くそっ!前が見えない!」

ハートが視界を奪われている最中、夏海は自らが起こした竜巻弾の風力で上空に飛んでいた!

夏海:「ここで決める・・竜巻弾っ!」

拳銃口を後ろに向けて竜巻弾を放ち、夏海はハートとの距離を一気に詰める!

バッシュウウン!

ハート:「はやっ・・!」

ガシャッ。

夏海:「ゼロ距離射撃、これで終わりよ!第一の弾・火炎弾!!」

ガシッ!ボォォォォウウウ!!

ハート:「あああああああああああああああああああっ?!!!」

スタッ。

夏海:「はぁはぁ・・。」

(完全に焼け死んだわね・・。危なかったけどこれで借りは返したわよハート。」

ハート:「くっ・・・・。」

ドサッ。

ピロロッ・・。

夏海:「竜から?」

ピッ。

夏海:「よかった!竜も無事なのね!!うん?ああ、安心して。私もロイヤルストレートフラッシュの一人を倒したわよ。・・えっ?草原広場に来い?わ、分かったわ。今から向かう。」


22話/伝説のモンスターセイバーズは指名手配者?


速水:「小池先輩!見つけましたよ~。」

小池:「なんだ速水?お前部活じゃなかったか。」

速水:「それどころじゃないんですよ!ギリシャでの騒動を覚えていますか?」

小池:「ああ。結局どうなったんだ、指名手配者エイは。」

速水:「それが、向こうの警察の方から伝達されたメールの内容にエイが日本に潜んでいる可能性があるって書かれていたんです。」

小池:「なにっ?!」

速水:「シルバーウィークの帰省ラッシュの中に紛れて逃亡したのかもしれません。」

小池:「わざわざお前に連絡が来たということは福岡にいるのか?」

速水:「はい。確証はありませんが草原広場付近でエイらしき人物を見た人が多数いるみたいで。ネット上にこうしてあげられているんです、目撃情報が。」

速水はスマートフォンの画面を小池に見せる。

小池:「だったら話は早い。草原広場に向かう。」

速水:「あ、ちょっと!小池先輩!!」

草原広場

小池:「来ては見たものの、そう簡単に見つかるわけがないか。」

鳥牙:「お前、辺りをキョロキョロとしているが誰か探しているのか?」

小池:「え、あ・・えっとこの辺りでこういう人物を見ませんでした?」

小池はスマートフォンを開き、速水が開いていたサイトと同じものを男に見せる。

鳥牙:「なるほどな。それならお前の目の前にいるぜ。」

小池:「なに?!」

鳥牙:「俺がギリシャで話題になっている指名手配者エイこと剣崎鳥牙だ。」

小池:「け、剣崎だと・・!」

鳥牙:「何を驚いている?」

小池:「あんた、剣崎竜牙を知っているか?」

鳥牙:「!・・その話は後だ。お客さんだぜ?」

クローバー:「セイバーズ、見ぃつけたぞぉぉ!」

小池:「なんだ、この小太りな男は?!」

鳥牙:「ロイヤルストレートフラッシュっていう組織の一人、クローバーだ。」

小池:「!こいつも奴らの・・。」

クローバー:「小池共士郎と・・お前は誰であるか?」

鳥牙:「こいつを見れば俺が何者かはっきりすると思うぜ。」

クローバー:「!それは封印の鍵。」

小池:「封印の鍵?」

クローバー:「お前がジョーカー様を封印した伝説のセイバーズであるか?」

鳥牙:「フェニックスソード!」

鳥牙の剣は剣先が鳥のくちばしのように伸び、クローバーを突き刺す!

ズバッ!

クローバー:「!がばっ。」

鳥牙:「ジョーカーの封印が弱まっているのは知っている。悪いがお前と戦っている時間はない。」

シュッ・・・ズバババッ!

クローバー:「がっ・・!」

ドサッ。

小池:(なんだ・・速すぎて動きが見えなかったぞ・・。あのロイヤルストレートフラッシュの一人をわずか数秒で倒すなんて。)

鳥牙:「奴らの事を知っている様子だったな?ならついてこい、ジョーカーの復活を阻止するぞ。」

小池:「こいつ、何者なんだ・・!」

スペード:「おいおい3人の反応が消えたぞ・・。」

(どちらにせよ、ジョーカー様の封印を解くのが優先だ。)

スペードは呪文を唱えていく・・。

ごぼっ、ごぼっ・・バシャァッ!

スペード:「よし、呪文は間違ってなかったようだな。」

ジョーカー:「はぁぁ、ようやく封印が解けたぜ。」

スペード:「いえ、まだ完全には解けておりません。ジョーカー様。」

ジョーカー:「!下半身が壺とつながってやがる・・。」

スペード:「ご安心ください、封印の鍵を手に入れて必ずやジョーカー様の封印を完全に解いてみせます。しばしお待ちを。」

ジョーカー:「オウ、どちらにせよ俺はこの状態じゃ動けねぇ。頼んだぞ小僧。」

スペード:「承知しました。」

ジョーカー:「クックック、俺様の時代が来たぜぇ。」


数時間後の草原広場。

竜牙:「来たか、夏海。」

夏海:「!ボロボロじゃない。」

竜牙:「まぁ、一筋縄じゃいかねェよさすがに。」

夏海:「無事でよかったわ、ほんとうに。それでその、なんで草原広場に私を呼んだの?」

竜牙:「ハンターの話によるとロイヤルストレートフラッシュのアジトがこの先にある。」

夏海:「!」

竜牙:「奴らは一つの目的を遂行するためにモンスターワールドというところから俺たちの世界にやってきたらしい。複数のモンスターたちを従えてな。」

夏海:「モンスターワールド・・そんな世界が現実にあるなんて。」

竜牙:「奴らにはボス的立ち位置にある存在がいて、そいつを復活させる為に動いているようだ。」

夏海:「ボス・・?」

竜牙:「かつて一人のモンスターセイバーズによって封印された伝説のモンスター・ジョーカー。こいつがこの先にある草原広場の地下空洞の奥で眠っているらしい。多分そいつがボスだと思う。」

夏海:「ちょっ!そんなところに向かう気?・・危ないじゃない!」

竜牙:「そうも言ってられない。ロイヤルストレートフラッシュの連中はジョーカーの封印が弱まる時期を狙ってこの世界にやってきたみたいだ。そして、封印解除の最終工程・・それが例のセイバーズがジョーカーを封印する際に使用した封印の鍵を使うことらしい。」

夏海:「まって!だとしたら、彼らがが積極的に私たちを攻撃したりしているのは伝説のセイバーズをおびき出すためなのかも。」

竜牙:「その可能性もあるが、ただ単にセイバーズに計画の邪魔をさせたくなかった可能性もある。いずれにしてもこのまま見過ごすわけにはいかねェよ。」

夏海:「ハンターはどこにいるの?」

竜牙:「あぁ。あいつなら用があるらしくて、さっき別れた。」

夏海:「もう!こんな時に・・。」


23話/鍵になるのは超必殺技をも超えるX技


草原広場・地下空洞

夏海:「さっきから同じところをぐるぐる回ってない?」

竜牙:「進んでいるはずなんだけど・・ん?」

タッタッタ!

夏海:「ちょっ、まってよ!」

竜牙:「夏海、これ。」

夏海:「壁画?」

竜牙:「文字が書いてるな。・・封印されし伝説のモンスター・ジョーカーはこの世に災いをもたらす。こいつが封印より目覚めた時、恐らく奴をもう一度封印するのは困難だろう。ゆえに討伐しなければならない。もし、この壁画を見たものが今後増えるであろう次世代のセイバーズならば、最低限の力としてX技ぐらいは備えておいた方がいいだろう。」

夏海:「X技?」

竜牙:「って言ってもやっとこさ超必殺技を編み出したってのに・・。なになに?X技とは超必殺技のエネルギーを一点に集中し解き放つ技のこと。力を集中すべき個所にエックスの文字をイメージし、その中心に力を集めることがカギとなる・・か。」

スペード:「お前・・。」

竜牙:「!あ、お前は・・。」

スペード:「あん時は世話になったな、そうか・・お前が剣崎竜牙か。」

夏海:「竜、知り合いなの?」

竜牙:「顔見知りだな。確か名前はスペード。」

夏海:「トランプの・・ってことは!」

スペード:「そういうこった。まぁ俺の名前はあいつらと違ってコードネームじゃなく、本名だがな。」

竜牙:「へぇ、じゃああのトランプは遠回しに俺はロイヤルストレートフラッシュのスペードだって伝えたかったのか?」

スペード:「今更気づいたのかよ。まぁ何にしても、お前たちはここで終わるんだ。」

竜牙:「大した自信だな。」

スペード:「あと少しなんだ、こんなところで引き下がるわけにはいかねェんだ。」

竜牙:「聞き捨てならねぇな・・復活は近いってか?」

スペード:「フン、グラビティブレード!」

竜牙:「うおっ?!」

シュゥッ!

竜牙は自慢の反射神経でスペードの攻撃を交わす。

竜牙:「物騒な技だな、お前の殺意がヒシヒシと伝わってくるぜ。」

スペード:「ごちゃごちゃ言ってると舌を噛むぞ?」

竜牙:「その言葉、そっくりそのまま返すぜ。ドラゴンソード!」

スペード:「グラビティブレード!」

カキン!

竜牙:「うぐっ!重いっ・・!!」

スペード:「二倍の重力がこの剣にはかかっている。重さを感じないのは使用者である俺だけだ。」

夏海:「押し負けてる・・まずいわ!」

竜牙:「にゃろう・・超必殺技・ドラグアーマー!」

ドカァアン!

竜牙は竜装を纏い、その反動でグラビティブレードを押し返した!

スペード:「ぐっ・・やるな剣崎。だったらこれならどうだ?」

周囲の砂利や石がスペードの剣に集まってゆく・・。

スペード:「ヘビィドラゴン!」

竜牙:「イナズマドラゴン!」

ビシュゥン・・・・

ドカァァアアアアン!!

夏海:「うぐっ!」

(力と力のぶつかり合いだわ・・ってかこの地下空洞、この戦いの衝撃に耐えられるの?)

竜牙:「やるな・・。」

スペード:「五分五分か・・。」

小池:「こんなところに階段が・・。」

鳥牙:「この地下空洞の奥へとつながる階段だ。この先にかつて俺が封印に使用した封印の壺が眠っているはずだ・・・。」

小池:「どうした?」

鳥牙:「奴の気配を感じる、もしかしたら・・。」

小池:「ジョーカーが目覚めた?」

鳥牙:「いや、封印の鍵は俺の手にある。まだ奴は封印が半解している状態かもしれない。」

小池:「つまりジョーカーは・・。」

鳥牙:「まだ動けない。」

小池:「なら今のうちに奴を仕留めないと!」

カキン!

スペード:「くそっ・・このままじゃきりがないな。俺の動きにここまでついて来れるなんて!」

竜牙:「こいつ・・強い!」

スペード:「長引かせると不利になるな、仕方がない。超必殺技・アメイジングトルネード!」

スペードが剣を地面に思いっきり突き刺すと、地面からあふれ出たものすごい衝撃波が竜牙をはじき飛ばした!

シュルルルルッ!

竜牙:「ぐああっ!!」

(なんだこれ、竜巻の中に閉じ込められてるみたいな風圧で息がっ!)

スペード:「今度こそ仕留める、ヘビィドラゴン!」

竜牙:「負けて・・たまる・・かぁっ!」

竜牙はドラグアーマーをバーストモードへと切り替え、炎を使って逆噴射する!

ボォォォォウウ!

竜牙:「おらぁぁっ!」

(抜け出せたが・・逆噴射した炎を持続できねェ・・!)

シュゥウ・・ドカァアン!

スペード:「アメイジングトルネードから抜け出す為に・・無茶を分かってて炎を逆噴射させ、上空に体を押し上げたのか。」

夏海:「ちょっ、大丈夫なの?!」

竜牙:「げほっ、げほっ・・ああ、大丈夫だ。勢いつけて落下はしたけどドラグアーマーのおかげで体に影響はない。丈夫な鎧で助かったぜ。」

(逆噴射を利用した機動力は俺の体じゃ持たねェな・・くそっ。だけど抜け出すことはできた。)

スペード:「だったらもう一度・・。」

竜牙:「まずい!夏海、竜巻弾を!!」

夏海:「!」

竜牙:「早く!」

夏海:「ち、超必殺技・第三の弾・竜巻弾!」

バッシュウウン!

夏海の竜巻弾が竜牙の背中を後押しする!

竜牙:「超必殺技・ドラグアーマー・バーストモード!」

スペード:「!」

(はや・・っ!)

バッシィィィイイイン!

炎を纏った竜装がものすごい速さでスペードにぶつかる!!

スペード:「!がっ・・。」

竜牙:「ハァハァ・・俺の・・勝ちだ・・。」

夏海:「竜、大丈夫?」

竜牙:「さすがにドラグアーマーに無理をさせすぎたな。ナイスアシストだったぜ夏海!」

夏海:「なんで私の超必殺技のことを・・。」

竜牙:「ハンターから聞いてたんだ、お前の新しい必殺技のこと。ここまで威力のある技だとは思わなかったけどな!はははっ。」

夏海:「本当に無茶するんだから・・。」


24話/伝説のモンスター・ジョーカー


スペード:「完敗だ・・剣崎。」

竜牙:「お前!まだ・・。」

スペード:「安心しろよ、もう動けねぇ・・。この先には王の間がある、この・・地下空洞の奥だ。」

夏海:「それって・・!

スペード:「ジョーカー様と渡り合う自信があるなら行けよ。」

竜牙:「なにっ?!」

夏海:「ジョーカーって目覚めたの?」

スペード:「上半身だ・・けだがな。」

竜牙:「行こう、夏海。このまま放置はできねぇ!」

スペード:「ここから先は・・お前たちの意志で・・進むべきかどうかを決めろ・・。」

竜牙:「進むさ、ありがとなスペード。」

夏海:「だから、待ちなさいって!少しは休まないと!!」

スペード:「・・・。」

(ありがとうか・・。)

地下空洞の奥・王の間

ジョーカー:「なんだ貴様・・俺の部屋に土足で踏み込みやがって。」

竜牙:「お前がジョーカーか。」

夏海:「すごいシュールな絵ね。壺から上半身だけが飛び出ている・・。」

ジョーカー:「ハッ!あん時のセイバーズと違って殺気がねぇなぁ、お前らよぉ・・さては俺を舐めてるだろ?」

竜牙:「舐めてはないが、お前をこの世から消すためにここまで来たんだ。」

ジョーカー:「ルーキーセイバーズが、やけに自信満々じゃねェか。」

竜牙:「いくぜ、ドラゴンソード!」

夏海:「ちょっ!」

バシッ!!

竜牙の剣をジョーカーは片手でキャッチする。

ジョーカー:「お前、冗談でもこの強さじゃ笑えねェぞ?まさかこの程度の実力で俺を消そうとかほざいてやがったのか?」

竜牙:「くっ・・なんだこいつの握力っ!」

(剣がびくともしないっ!)

ジョーカー:「己の力量すら測れないガキ相手にわざわざ技を使うまでもない、凸ピンで十分だな。」

シュッ・・。

ジョーカーはドラゴンソードを掴んでいる反対の手で凸ピンの構えをとる。

竜牙:「・・・なっ。」

夏海:「竜っ!逃げてぇっ!!!」

ジョーカー:「何メートル吹き飛ぶか・・・な!」

バァン!!!

シュゥゥゥゥゥゥウ!!

ドカァアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

ゴトッ・・。

竜牙:「あ・・がはっ・・。」

ドサッ。

夏海:「い、いやっ・・!」

竜牙は大量の血を吹き出し、その場にうつぶせのまま倒れこんだ。

ジョーカー:「これで分かっただろ?俺とお前たちの実力差がよぉ。」

夏海:「よくも・・・よくもぉぉっ、竜をぉぉぉっ!!」

ガシャァッ。

夏海:「第一の弾・火炎弾!第二の弾・水弾!」

バァン!バァン!

ジョーカー:「お嬢ちゃんに凸ピンは可哀そうだな。へっ!」

(シャドウハリケーン!)

バッシュゥウウ!

ジョーカーが両腕を使って仰いでできた強風が二つの弾丸を消し飛ばす!

夏海:「そ、そんな・・!」

小池:「こ、これは・・!」

夏海:「こ、小池くん・・。」

小池:「剣崎・・何が・・起こって・・。」

ジョーカー:「身の程を教えてやったまでだ。」

小池:「お前が剣崎を・・。」

小池は猛スピードでジョーカーに突っ込んでいく!!

小池:「バーニングモードッ!」

ボォォォウウ!

ジョーカー:「へっ!」

ガシィッ!

小池:「!」

ジョーカー:「お前の炎もらうぜ。」

シュゥゥ・・。

小池:「吸い込まれて・・!だったらっ!!」

ガシィィツ!

小池はの拳が青色に光る。

小池:「くらえ!超必殺技・ソウルブレイクッ!!」

バッシィィンン!

ジョーカー:「なかなかいい拳だ、が・・まだまだパワーが足りん。」

ジョーカーの凸ピンが半身になった小池の腹に直撃する!!

バァン!!!

シュゥゥゥゥゥゥウ!!

ドカァアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

小池:「ぐっ・・がっ・・!」

バタン!

夏海:「嘘でしょ・・竜だけじゃなく小池くんまでこんなにあっさりやられるんなんて。」

鳥牙:「まぁ、お前にしてはよくやった方だな・・竜牙。」

夏海:「あなたは・・鳥牙さん?!」

ジョーカー:「貴様ァ・・あの時のセイバーズか?」

鳥牙:「久しぶりだね、ジョーカー。」

ジョーカー:「貴様の息の根・・今度こそ止めてやる!」

鳥牙:「まぁまぁ落ち着けよ。交渉と行こうじゃないか、ジョーカー?」

ジョーカー:「なにっ?」

鳥牙:「お前が俺の仲間になるって言うなら封印を解いてやってもいい。」

小池:「なっ!」

夏海:「な、何を言ってるんですか・・鳥牙さん?」

ジョーカー:「お前ぇ・・本気か?」

鳥牙:「本気だよ。」

奮える足に力を込めて小池は叫ぶ!

小池:「どういうつもりだ!剣崎鳥牙っ!!」

鳥牙:「おとなしくしといたほうがいい。今はアドレナリンがガンガンで立てているんだろうが、あんまりしゃべりすぎると血が出過ぎて死ぬぞ?」

小池:「こいつ!」

ジョーカー:「いいだろう、仲間になってやる。俺の封印を解け・・。」

鳥牙:「交渉成立~。」

夏海:「やめて・・やめて・・やめてぇぇっ!!」

鳥牙:「ロイヤルストレートフラッシュの連中は騙されただろうなぁ。俺がつくった鍵穴というフェイクに。」

ジョーカー:「?壺にその鍵を差し込むんじゃないのか。」

鳥牙:「この封印の鍵は差し込んでも開かない。こうするんだ、そ~らよっと!」

鳥牙は封印の鍵をジョーカーに投げつけた!

ピカァアン!

パキン。

封印の壺が割れる。

ジョーカー:「おっしゃぁああっ!!」

鳥牙:「復活だな、ジョーカー。」

ジョーカー:「なれなれしく話しかけるな!はっはっは!!これで俺は ”自由の身” だ。俺が貴様の言うことなど真に受けるとでも思ったかぁ?なぁ、おい。」

鳥牙:「フッ。こうなるだろうなぁとは思っていたさ。」

ジョーカー:「シャドウハリケーン!」

鳥牙:「ウイングスパイラル!」

シュゥゥッ、ドカァァアン!!

ジョーカー:「強がるな鳥牙!お前も知ってるだろう。俺の体にある細胞はどんな攻撃も吸収できる。」

鳥牙:「ああ、だからお前の力を取り込もうと思ったんだよ。」

ジョーカー:「なんだと?!貴様、俺を取り込む気か!」

鳥牙:「お前は自身を無敵の存在か何かと勘違いしているようだが、お前の体にも弱点はある。」

ジョーカー:「弱点だと?!」

鳥牙:「それは攻撃時に細胞が開くこと。」

ジョーカー:「!!」

鳥牙:「図星か!」

鳥牙はジョーカーに接近していく!

ジョーカー:「そいつはどうかな、俺の体は・・。」

鳥牙:「X技しか通さないんだろ?」

(つまりお前の細胞にも容量限界があるってことだ。)

鳥牙:「超必殺技・ブレイブファントム!」

ジョーカー:「バカが!超必殺技程度なら俺の細胞で吸収してやる!」

鳥牙:「んなことぁ分かってんだよ。」

鳥牙は背中に炎の翼をはやしてその翼でジョーカーを引き裂く!

ズバババッ!

ジョーカー:「なっ・・なんで攻撃が!」

鳥牙:「俺の超必殺技の特徴、忘れたのか?細胞を直接攻撃する炎の翼だ、細胞が開いているお前の体にはダイレクトに効いたんじゃないか?」

ジョーカー:「ぐっ・・一端引くか。」

シュゥッ。

鳥牙:「逃げたか。」

竜牙:「おい・・兄貴。」

鳥牙:「なんだ、喋れるのか?」

竜牙:「どういうことだ、これは!ちゃんと説明しろよ、なんで兄貴がセイバーズやってんだ。四年間、俺たち家族の前から姿を消して何やってだんだ!」

鳥牙:「質疑応答の前にお前は俺に感謝すべきだ、あのままだったら死んでいたぞ。」

竜牙:「おい、待て!」

(また・・引き止められなかった。)


あれから一週間の時が過ぎて、現在12月10日。周囲はクリスマスモードに突入していた。

だけど俺たちは・・。

青空病院。

竜牙:「なにもできなかった・・。」

夏海:「竜だけじゃないよ、私だって。」

小池:「医師から退院の許可が出た。剣崎、木嶋・・悪いが俺は光ヶ丘学院を離れる。」

竜牙:「!お前、何言ってんだよ。」

小池:「ジョーカー相手に俺は何もできなかった。眠りにつこうとするたびにジョーカーが現れて俺にこうほざくんだ。力が足りないってよ・・、俺は強くなるためにセイバーズになった。だからこそ敵に罵られるようじゃ、舐められるようじゃダメなんだよ!」

夏海:「そんな!ジョーカーの強さは別格だった、自分を責める必要なんてないわ!」

小池:「・・・・・力こそすべてだ。」

竜牙:「お前・・どこに行こうってんだ。」

小池:「もううんざりだ。敗北の先に何がある・・力が欲しい、何者にも屈しない圧倒的な力が!」

ガチャッ。

竜牙:「待てって・・こい・・うっ!」

夏海:「駄目よ竜、あなたは今立てる状態じゃないわ。」

ハンター:「今、小池くんとすれ違ったけど何かあったのかい?」

竜牙:「お前っ!今までどこに行ってやがったんだよ!!」

竜牙はハンターの襟をつかむ!

夏海:「落ち着きなさいって!」


25話/それぞれの道・・・


ハンター:「そもそも僕は君たちにジョーカーと戦ってほしいなんて一言も言ってないぞ!それにだ、僕はジョーカーに対抗する力を君たちにつけてもらおうと色々と調べていたんだよ。勝手に行動を起こしたのは君たちじゃないか!」

夏海:「!」

竜牙:「!」

ハンター:「剣崎くん、僕が情報を与えたのは身近に奴らのアジトがあることを理解して警戒してほしかったからだ。君たちをジョーカーの元に向かわせるために伝えたわけじゃない!それにあの地下空洞を進んだのなら見たはずだ、ジョーカーを倒すにはX技を身につけなければならないって書かれた壁画を。」

・・・2人は黙り込む。

ハンター:「・・だんまりか。念を押しとくけどジョーカーの件からはもう身を引いた方がいい。すでに鳥牙が吸収しているはずだ。鳥牙のもつフェニックスソードは倒したモンスターの力を吸収し、刀の強度を上げることができる特殊な剣だからね。」

竜牙:「その為にジョーカーの封印を解いたってのか、あのバカ兄貴は!」

ハンター:「いや、すでに封印が弱まっていたんだ。倒して吸収した方が得だと考えたのかもしれない。」

夏海:「ねぇ竜?鳥牙さんって確か行方不明だったはずじゃ。」

竜牙:「俺にも何が何だか分かんねェよ。」

ハンター:「とにかく君たちが無事に帰ってこられて本当によかった。鳥牙を見ただろう?これから先、君たちはより強大な力を持った敵と接触することが多くなると思う。だから・・。」

竜牙:「今以上の力をつけとけってことか・・。」

ハンター:「そういうこと。とにかく自分の身を守れなきゃ誰かを守るなんてできないよ。」

ジョーカー:「ぐっ!しつこい野郎だな、剣崎鳥牙!!」

鳥牙:「お前こそいい加減、俺の剣の一部になれよ。」

ジョーカー:「ふざけんじゃねェ!俺はやっと解放されたんだ!!」

鳥牙:「お前の運命はもう決まってるんだよ、X技・ロストタイム。」

パチン。

ジョーカー:「な、なんだ・・周囲の時間が進んでる?!」

鳥牙:「そう、お前以外の時間が進んでいるんだよ。そして俺自身も進んだ時間の数だけ行動が素早くなる!」

ボコボコボコボコボコボコボコ!!

鳥牙はものすごい速さでジョーカーをタコ殴りにしていく!

ジョーカー:「ぐっ!ああっ!!ごぼっ・・。」

鳥牙:「終わりだ、フェニックスソード!」

ジョーカー:「まずい・・吸い込まれて・・あああああっ!!」

シュルルルルッ・・。

鳥牙:「とりあえずは一件落着か、この剣の強度もこれで格段にあがったはずだ。」

(それにしても竜牙がセイバーズになっていたとはな。)

プルルルッ・・。

鳥牙:「もしもし?ああ、ロイヤルストレートフラッシュの連中から逃げる必要はもうなくなった。拘束していた本物のエイをギリシャの警察に突き出してやってくれ。それと奴に一言伝言を頼む、おかげさまで俺は自分の居場所を連中に気づかれずに行動を起こすことができたってな。」

ピッ!

鳥牙:「後は飢餓のやつが上手くやってくれるだろ。俺も動くか・・。」


速水:「部長!退院おめでとうございます!!」

竜牙:「あはは、ありがとな速水。」

速水:「浮かない顔ですね、まだ引きずっているんですか?」

竜牙:「何もできなかったからな・・。」


速水:「部長!」


竜牙:「うわっ、なんだよ・・。」

速水:「そんな部長の為に僕、僕の技を伝授しようと思って・・これ。」

速水はメモ紙を竜牙に渡す。

竜牙:「これは?」

速水:「ハヤブサランニングっていう技で、僕が昔陸上部に入っていた時の必殺技みたいなものです。部長はドラゴンソードを使ってモンスターと戦うじゃないですか、となるとここぞ!って時に相手との間合いを一気に詰める必要があるときって出てくると思うんですよ。」

竜牙はスペードと戦った時を思い出す。

竜牙:「すげェ・・この技があれば俺の攻撃がより柔軟に行える!」

速水:「えっと、一度どんな技なのかやってみますね。」

シュッ・・タッ!

―俺は速水のハヤブサランニングを見て全身に鳥肌が立った。ドラグアーマーで実現できなかった炎の逆噴射をつかった機動力による高速移動・・でもこの技を身につけることができれば・・。

後にこの技は俺の戦闘スタイルの要となる。-

桜:「心配してたんだから、無事でよかったよ夏海。」

花音:「一体何があったんだ。」

夏海:「まぁ家庭のいざこざで・・あは、あはは・・はぁ~。」

桜:「だいぶ授業進んでるけど大丈夫?」

夏海:「私、そういうところはぬかりないの。」

(入院中、先生に色々と教えてもらってたからね。)

小池:「着いたな、北の大地・・北海道。」

レイク:「待ってたよ、共士郎。」

小池:「レイクか。来てそうそうだがあの技を俺に教えてくれ。」

レイク:「ソウルブレイクを伝授してからまだそんなに月日は経ってないけど?」

小池:「教えろ。」

レイク:「ま、遅かれ早かれお前がここに来ることは分かっていた。」

小池:「俺の行動を予測していたのか?」

レイク:「なんとなくな、それよりかX技は使えるのか?」

小池:「使えたら苦労はしねェんだよ。」

レイク:「とりあえず頭を冷やせ。いつもの冷静なお前はどうした?」

小池:「レイク、俺は分かったんだよ。もう二度と、誰にも俺を見下させたりしない。俺は今まで強さを求めてきた。けど、今の俺が求めているのは強さじゃねぇ・・力だ。」

レイク:「?・・とにかく、ついてこい。」


~to be continued



番外編01/私も変わりたい!


桜優香16歳

桜:「はぁ~やる気が起きないわ。」

私は普通の人間だ。唯一他人と違うところを上げるとするならば、父が大手不動産会社の代表取締役で実家がお金持ちという面ぐらいだと思う。跳び抜けた運動神経もなければ、勉強ができるわけでもない。何をしても普通、良くも悪くもない・・おまけに私はマイペースで自己中心的なB型の象徴のような性格をしている。夢中になれるものもない、ただただ移りゆく日々を淡々と過ごす・・そんな感じだった。

少女:「第十七期の生徒会メンバーを募集してま~す。よかったら立候補してくださいね。」

桜:「やってるなぁ。いいな、みんなキラキラしてる。高校生だもんね、いろんなことに胸を弾ませているんだろうなぁ。」

雫:「な~に外見ながらたそがれてんのよ。」

桜:「私には何もないなぁと思ってさ。」

雫:「なんかすっごいナイーブになってるね。」

桜:「高校生になったら何か変わるのかなとか思ってたけど何も変わらなかったわ。バドミントン部入っても全然上達しなくて退部したし、先生の目を盗んでバイトしたらバイト先の先輩から告られるし、お断りしたら仕事きまずくなって私の方が結局辞ざる終えない形になっちゃったし、中学からの友達はバンドし始めたり、彼氏つくったりして付き合い悪くなるし・・高校デビューっていうの?なんか私だけ空回りしてる気がしてさぁ~こうして毎日淡々と過ごしていくのかなぁって思うと。」

雫:「華の女子高生がネガティブなことばっかりつぶやいてるんじゃないわよ。じっとしてても何もやってこないぞ。それにさ、あんたって興味あることにはのめり込むじゃん?それこそ人のプライベートな内容まで気になったら探りいれるっしょ?」

桜:「ご、ごめんなさい・・。」

雫:「いや責めてないって。あたしが言いたいのはさ今まで通り色んなことに首つっこんでみなって事よ。何かに夢中になってる人間ってのは一生懸命やってるもんだ。だからキラキラしてるように見えるのよ。幸い光ヶ丘には色んな事を学べる環境が整ってるし、あんたはお金に困ってないんだからやれる事って多いと思うわよ?」

桜:「雫せんせぇ~。」

雫:「まてまていつから私は先生になった、同い年だバカ。」

桜:「えへへ。あっ、私売店でジュース買ってくる。」

雫:「あたしはカフェオレで。」

桜:「なんで当たり前のようにパシろうとしてるのよ。」

雫:「あたしには今から優香のノート写す大作業が控えてるのよ。」

雫は桜の席に腰をかける。

桜:「ちゃんと授業受けなさいよ、っとに・・。」

雫:「まぁまぁ。後でミ〇ドおごるからさ。」

売店前の廊下

桜:「あれ、ノートが落ちてる・・。」

廊下に落ちていたノートを桜は拾う。

桜:「すごいこのノート・・内容的に剣道をしている人の物かな。沢山書き込まれてる・・。」

竜牙:「あっ!そっ、それ!」

パシッ。

竜牙が慌てて桜からノートを奪う。

竜牙:「な、中身・・見ちゃったか?」

桜:「ご、ごめんなさい。」

竜牙:「み、見られたぁ。いや落とした俺が悪いよな・・ありがとう、拾ってくれて。」

桜:「それ・・あなたが書いたの?」

竜牙:「あ・・あはは・・。書いたというか、ずっと剣道をやってたらいつの間にかこういうノートが出来てたんだ。きっかけは上手い人の動きとか全部書き記しるしていこうと思ったのが・・って、初対面の人に俺何言ってんだ。悪りぃな、余計な時間を取らせてしまった。」

竜牙はその場を立ち去ろうとするが・・。

桜:「れ、練習!」

竜牙:「えっ?」

桜:「練習・・見に行ってもいい・・ですか?」

竜牙:「?いいけど・・。」

翌日。

桜:「おはよっ!雫。」

雫:「うおっ、ど、どうした・・。」

桜:「ごめんね、一緒に帰宅できなくて。」

雫:「気にしてないよ、それよりあんた昨日剣崎くんと剣道部に行ったんだって?」

桜:「な、なんで知ってんの?!」

雫:「剣崎竜牙って言えば今年の推薦入学者の一人だよ。イケメンでめちゃめちゃ運動神経がいい彼は私たちの学年では有名だよ・・知らないの?」

桜:「し、知らなかった・・。で、でも運動神経がいいってのはうなづけるかも。剣道してる時の彼の動き、とってもキレがあったから。」

雫:「なぁに優香?その様子だと昨日知り合ったっぽいね、まさか惚れちゃったの?」

桜:「ふぇ・・いやいやそういうわけじゃなかよ!」

雫:「でも昨日、剣道部の練習を見に行ったんでしょ?」

桜:「き、気がついたら剣崎くんを呼び止めていたの。そして気がついたら彼の練習を見に行ってた。」

雫:「なにそれ~。」

桜:「剣崎くんの剣道している姿を見て私、感じたの!きっと私が考えてるよりもずっと努力してきたんだろうなぁって。私、剣道なんて全然知らんけど、見入ってしまってた・・。今の私に足りない何かを彼は持っとった・・。」

桜は目をキラキラさせながら拳を震わせている。

雫:「これは・・スイッチ入っちゃったか?」

桜は昨日配られていたビラを取り出す。

桜:「私・・これに出てみようと思うの。」

雫:「え”・・部活に入るとかじゃなくてそっち?」

桜:「当選するかはわからないけど、光ヶ丘学院の生徒会は職歴と同等の価値があるわ。それに私、パソコンスキルとか皆無だから、この生徒会業務を通して少しでも上達できたらと思ってるの。」

雫:「いいんじゃない?とりあえず、立候補するなら生徒会室に足を運んでみなよ!」

生徒会室。

本居:「初めまして、十六期生徒会長の本居平次です。黒木優斗、佐々木類、花音麗華、小石原由里、桜優香、木嶋夏海・・思ってたより候補があつまったね。まずはさっと生徒会役員決めの流れを説明致します。光ヶ丘学院の生徒会は教師と同等の権力を持ち、今後君たちが行う就職活動でも職歴として取り扱われる為、かなり重宝する。にもかかわらず立候補者は毎年非常に少ない、それは多忙な事務作業に追われるからに違いないよ。ここにいる5名はそれを承知の上で来ているととらえても構わないかな?」

桜:(うわぁ、みんな頭よさそう・・。それに木嶋夏海って1学年の校内実力テストでトップの成績を叩きだしていたあの・・?!)

本居:「生徒会メンバーは純粋な投票によって決まるのがこれまでの規定だったが、今年からは規定が変わり、面談とその人の人柄を重視した上で現生徒会長が新メンバーを決定するようになったんだ。」

花音:「どういった理由からそういう規定に変更されたんですか?」

本居:「私の決定ではない。学校側が決めたことだ、理由としては生徒会業務の多忙さにある。学生の身分でありながらもこなしている仕事量が計り知れないことから、途中で生徒会を抜けるものが多かったからね。」

桜:「せ、生徒会ってそんなに忙しいの・・。」

黒木:「こんなことで動揺するなら辞退した方がいい。職歴と同様に扱われるんだ、不思議ではない。」

夏海:「学生の本分は勉強よ。むしろこれが普通の反応だと私は思うわ。気にしなくていいからね?」

桜:「あ、ありがとう。」

本居:「うちの生徒会は少数態勢だ。生徒会長、副会長、書記2名。これが基本的なメンバー構成になる。ただし3学年は受験及び就職活動があるため、光ヶ丘学院の生徒会は2年生と1年生で構成されている。まぁ、第十六期の生徒会メンバーで現在残っているのは私のみだけどね。」

全員:「「なっ・・!」」

本居:「副会長は昨日交換留学の為、生徒会を引退し書記2名はだいぶ前に生徒会を抜けた。」

花音:「これは思ってたより事態は深刻のようだな。」

桜:「・・・。」

本居:「とにかく、後日面談を行うから各自配布された書類に目を通しておいてね。今日はとりあえず解散だよ。」

桜:「はぁ~早くも出鼻をくじかれた気がする~。」

夏海:「大丈夫?」

桜:「あ!さっきはありがとう。」

夏海:「気にしないで。あなた名前は?」

桜:「桜優香よ。よろしく!」

夏海:「木嶋夏海です。よろしくね!」

桜:「木嶋さんはなんで生徒会に?」

夏海:「頑張ってる幼馴染みに負けたくなくてね。」

桜:「幼馴染み?」

夏海:「剣崎竜牙って知らない?」

桜:「?!」

夏海:「ど、どうしたの?」

桜:「剣崎くんと幼馴染みなの・・?」

夏海:「そうよ、あいつとは長い付き合いになるわね。」

桜:「そ、そっか・・長い付き合い・・か。」

夏海:「ちょっと!何か誤解してない?」

桜:「え、付き合ってるんじゃないの?」

夏海:「私と竜はそういう関係じゃないわよ、よく勘違いされるけど。」

桜:「ほっ・・。」

(あれ・・なんで私・・ほっとしてるの?)

夏海:「ねぇ、あなたはどうなの?」

桜:「?」

夏海:「生徒会に入ろうと思った理由よ、何がきっかけなの?」

桜:「あ、あぁ・・それは自分を変えたくて・・。」

夏海:「どういうこと?」

桜:「昨日、剣崎くんが練習しているところを見てステキだなぁって思ったの。1つの事にただただ真っ直ぐ、夢中に取り組んでいる姿がとってもかっこよかった。」

夏海:「あ、あなた・・もしかして竜に惚れてるの?」

桜:「へ?!いやいやそういうんじゃなくて、私何をしても普通で当たり障りのない日常をずっと送っていたんだ。だからなのかは分からないけどクラスメイトや友人たちがとっても輝いて見えていたの。剣崎くんもそんな感じ、だから憧れに近いのかもしれない。」

夏海:「自分を変えたくてっていうのはそういう意味だったのね。いいじゃない、私そういうの嫌いじゃないわ。」

桜:「そ、そうかな。」

夏海:「生徒会、一緒になれたらいいわね。それじゃ私はこれで!」

桜:「うん、またね!」

後日、私たちは面談を行って今生徒会室の前に並んでいる。

夏海:「面談の手ごたえはどうだった?」

桜:「お、落ちる気しかしない・・。」

本居:「お待たせ、厳正な審査の結果、今年から生徒会メンバーに選ばれたのは3名だ。」

花音:「振り落とされたのも3名ということか。」

本居:「まずは起承転結ができていた自己PRを面談で見せてくれた花音麗華、君を書記に任命する。字も別格に綺麗だったしね。」

花音:「選ばれたからには全力でやらせていただきます。」

黒木:「けっ、理事長の娘だからだろ。」

花音:「ギロッ。」

黒木:「ひぃっ・・。」

本居:「花音は実力で選ばれている。理事長からも娘さんが生徒会になるべき器じゃないなら振り落としてかまわないと言われていたしね。そういう上からの圧力に関してはこの学院は皆無だよ。」

佐々木:「残り5名・・けど恐らく1人は・・。」

本居:「木嶋夏海。」

夏海:「あ、はい!」

本居:「噂通りの優等生だ。人の上に立つものは皆から認められる素質を持っていなければ誰もついてこない。その点、君は成績優秀で第一印象も悪くない。周囲の人たちも君の意見なら耳を傾けるだろう。生徒からも親しみやすく先生方からも信頼されている君はまさに生徒会副会長となるべき器だ。ゆくゆくは私の後を継いで生徒会長になってもらいたい。」

夏海:「あ、ありがとうございます!」

佐々木:「だいたい予想はしてたけどやっぱりこの4人が残ったな。」

本居:「最後は君だ。」


番外編02/人の心を変えるのは人の想い


本居:「最後は小石原由里、君だ。」

桜:「え・・。」

小石原:「えっ・・わ、わたくし?」

本居:「君には数多くのパソコンスキルが備わっている。ぜひ花音と共に生徒会に貢献してほしい、書記に任命する。」

その放課後。

桜:「結局、取り柄のない私が選ばれるわけがなかったんだ・・。」

雫:「元気だしなって、生徒会じゃなくてもいいじゃん。」

桜:「でもっ悔しいの・・悔しいっ・・。」

雫:「ゆ、ゆうか・・。」

桜:「わ、私もう帰るね。」

雫:「あ・・ちゃんと前見ないと!」

バシッ。

桜:「いたっ!」

竜牙:「お、おい・・大丈夫か?」

桜:「け、剣崎くん・・。」

竜牙:「あ、あの時の・・え?」

(泣いてる?)

桜:「ごめんなさい。」

スッ。

桜は竜牙の横を通りすぎる。

夏海:「あら竜じゃない。」

竜牙:「あ、ああ。」

夏海:「あ、あの子!」

竜牙:「夏海も知ってるのか?」

夏海:「生徒会役員に立候補していた子よ。」

竜牙:「いいのか?・・あいつ、泣いてたぞ。」

夏海:「!・・・竜、このプリントを私の机に入れといて。」

夏海は手に持っていたプリントを竜牙に押し付けて桜の元に駆け出す。

竜牙:「お、おい!」

夏海:「桜さん、桜さん!」

桜:「えっ、な、なんで!」

夏海:「待って!」

桜:「ごめん・・私・・。」

夏海:「何も悪いことなんてしてないじゃない。なんで謝るの?」

桜:「一緒に生徒会になろうって言ったのになれなかったから・・。」

夏海:「ほ、ほら・・ハンカチ貸してあげるから、涙拭いて。」

桜:「グスッ・・ありがとう。」

夏海:「どんだけ生徒会に入りたかったのよ~面白い子ね。」

桜:「違うの。何かをしようとするたびに失敗する、そんな自分に嫌気が差して・・すごく悔しくて涙が出たの。」

竜牙:「あ~わかるぜ、その気持ち。」

夏海:「!竜、ついてきたの?」

桜:「ごめんね、なんか2人に変な心配をかけちゃったね。」

夏海:「勝手にあなたのことを追いかけてきただけだから気にしないで。」

竜牙:「俺もだ。夏海から色々と聞いていたしさ、他人事じゃないなぁって。」

桜:「私、駄目なの。本っ当に何しても上手くいかない、しょうもない女なんです。もう笑うしかないよねっ、あははっ!」

夏海:「さ、桜さん?それはち・・「なんで笑ってんだ?」」

桜:「え?」

夏海:「竜?」

竜牙:「自分で自分の事を馬鹿にするなよ!頑張って行動を起こした自分をなんで褒めてあげないんだ!」

桜:「っ・・!」

竜牙:「なぁ桜、俺は人生って戦いだと思ってる。どんなに上手くいかなくても明日は必ずやってくる。生まれてきた以上、毎日生きていく為に戦っていかないといけない。戦うことをやめっちまったら人として生きているとは言えないんじゃないかな。」

桜:「・・!」

竜牙は桜の背中に手を当てる。

竜牙:「七転び八起きだ。お前がどんな人生を歩んできたのかは知らねェけど、悔しいって思えるならこの失敗は無駄じゃないさ。俺は・・そう思ってる。」

竜牙はその場を立ち去る。

夏海:「ご、ごめんねなんか・・。」

桜:「う、うわぁぁぁああん!」

夏海:「ちょっ!お、落ち着いて!」

桜:「ぐやしぃっ、くやっしぃぃっ!!」

ギュッ!

桜:「うずくまっとー場合じゃなか・・。」

拳を握りしめ、桜はグシャグシャの顔を上げて髪を上にあげる。

桜:「たしも・・私もっ! ”先輩” みたいに這い上がらんば。」

夏海:「プッ!急に泣き出したと思ったならなんなのよ本当に。」

桜:「だ、だって悔しいもん!」

夏海:「ねぇ優香(・・)?カラオケでも行かない、いろいろと発散させましょ!」

桜:「!う、うんっ!!」


数日後、私は本居先輩から呼び出しがかかった為、生徒会室に足を運んでいた。


桜:「あ、あの・・どういったご用件で?」

本居:「わざわさ呼び出してすまないね、あまり人の目が入るような場所で話すべき内容じゃないと判断した上で生徒会まで君に足を運んでもらったんだ。というのも小石原さんが生徒会書記を君に任せたいと言っているんだよ。」

桜:「えっ?!」

小石原:「真に勝手ながら数日前の剣崎くんと桜さんのやりとりを見てしまったんです。わたくし、強く胸を打たれました、あなたの生徒会候補にかける思いに。」

桜:「ええっ?!いやその・・お恥ずかしいところをお見せしました・・!」

小石原:「何を恥ずかしがる必要がありますか、あの時のあなたはわたくしの目にはとっても輝いて見えていました。」

桜:「あっ・・!」



雫:「何かに夢中になってる人間ってのは一生懸命やってるもんだ。だからキラキラしてるように見えるのよ。」



桜は両手で口を隠し、涙を流す。


― 私もほんの一瞬だけだけど輝いて見られたんだ。-


桜の瞳から涙がこぼれ落ちる。

桜:「あ、あのわたし・・。」

本居:「くすっ。自分を変えたいと思って立候補したと君は面談の時に言っていたね。」

桜:「あ、はい!」

本居:「青春してるじゃないか。君の強い思いが人の心を変えたんだ、こういう形で任命するのはいささか失礼な気もしたが、私と何より現書記である小石原さんからの推薦という形で君を生徒会書記に任命したい。」

桜:「う、うそっ・・いいんですか?」

本居:「君さえよければだけど。」

桜:「やりますっ!やらせてください!!」

小石原:「クスッ。応援していますわ桜さん。」

その放課後。

竜牙:「ん~やっと帰れるぜ。」

桜:「先輩っ!」

竜牙:「おお!桜か。」

桜:「先輩のおかげで私、生徒会書記になれました!」

竜牙:「ええっ、どういうこと?」

(というかなんで桜は俺のことを先輩って呼んでるんだ?)

夏海:「あなたと優香のやりとりを見て小石原さんが生徒会書記を辞退したそうよ、優香に書記を任せたいんだって。」

桜:「あっ、夏海(・・)!」

竜牙:「そうか、良かったじゃねェか。」

桜:「先輩が後押ししてくれたおかげです、私頑張りますっ!」

竜牙:「俺は何もしてねぇよ、行動を起こしたのはお前だ桜。」

夏海:「そうそう、竜なんておまけみたいなものよ。」

竜牙:「だとぉ、夏海ぃ~。」

桜:「あぁえっと・・二人とも喧嘩はやめて、ね?」

夏海:「来年は私が生徒会長、優香が副会長かしら?」

桜:「え~っ、花音さんだっているよ~。」

夏海:「そうねぇ、優香じゃ力不足かもしれないわねぇ~。」

桜:「なっ!なにおう?!」

竜牙:「桜!とっ捕まえてあいつにマ〇ク奢ってもらおうぜ。」

桜:「いいですね!そうと決まれば・・。」


こうして私は生徒会役員となった、この時をきっかけに私は剣崎くんに淡い恋心を抱いてしまう。そして地獄の!じ・ご・く!の生徒会業務に日々追われていくわけだがそれはまた別のお話。私は戦い続ける!人生という果てしなく長い毎日を・・これからも!!


桜優香過去編 THEEND

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ