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モンスターセイバーズ  作者: 短髪
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11話~15話 オーロラマウンテン編


11話/新たなセイバーズ現る?


ここは福岡。竜牙たちがオーロラ島でビーチバレー、速水がラスベガス・カジノで母親と賭け事をしていたその頃、彼らの通う光ヶ丘ではハンターが奮闘していた。

ハンター:「剣崎くんも木嶋さんも今頃は海外か。いいなぁ戻りたいな、青春時代。」

ドッカアアン!

ハンター:「人が物思いにふけっている時に飛び出してくるあたり、君たちは本当にKYだよね。」

?:「アアア・・。」

ハンター:「人体模型?いや、動いている以上それはないな。」

(ここのところモンスターはこの光ヶ丘学院周辺でしか確認されていない。休校中も警戒していたけど、どうやら当たりだったようだね。)

?:「アアア!」

シュゥッ!

ハンター:「うぉっと!武器はなくても王国で兵士をやっていた身でね、そうやすやすと僕はやれないよ?」

ガシッ!

ハンターは足首を何かにつかまれた!

ハンター:「っ!もう一体いたのか・・。」

?:「アアアアァ!」

ハンター:「くっ・・!」

バッシィィン!

ハンター:「なっ!」

男:「大丈夫か?」

ハンター:「き、君は?」

男:「普通、こういうわけのわからない奴らと出くわしたら本能的に逃げるだろ。こいつらの事、知っているのか?」

?:「アア・・ア・・。」

男:「まだ立てるのか・・なら、こいつを使うしかねェな?」

ハンター:「それはナックルグローブ・・!」

男:「いくぜ・・。」

立ち上がり、向かってくるモンスターの懐に男は膝を曲げて入り込み、拳をぶち込んだ!

シュゥゥ・・。

男:「ストームモードッ!」

シュルルル・・ドカァァアン!

男:「伏せて!」

ハンター:「うぉっ!」

男が攻撃し、硬直した状態をもう一体のモンスターが狙い撃とうと迫るが・・!

男:「いい判断だ、だが遅い。」

ハンター:「彼のこの身のこなし。明らかに日頃から修行して出来上がっているものだ・・。」

男は半身になり敵の攻撃を交わす。

男:「バーニングモードッ!」

ボォォォウ!

ドッカァアン!

ハンター:「モンスター2体を仕留める柔軟なフットワーク、君は一体?」

男:「俺は小池共士郎。あんたは?」

ハンター:「僕はハンター。そのグローブ・・どこで?」

小池:「ああ、とある男からモンスターセイバーズとしてこういう輩を討伐してほしいって言われてな。あんたもそういう一味か?」

ハンター:「レイクか・・。さすがにあの男か見込んでいるわけだ、その動きはボクシングかい?」

小池:「ま、少々かじっててよ。その様子だとあんたも元ハイソルジャーとみて間違いなさそうだな。」

ハンター:「その通りだ。時折、きみはどうしてこの学院に?」

小池:「あぁ、転入届とあとモロモロの提出書類を出しにきてたんだ。」

ハンター:「転入届?君転校してくるのか?!」

小池:「まぁ親の都合だ。それにしてもあんなのがウロウロしてるのに学校側のセキリュティは大丈夫かよ。」

ハンター:「まぁ偶然にもこれまで出てきた奴らは、人目につかないところで倒せてこれたからね。ただ、光ヶ丘学院のどこかに奴らが出現してくる原因があるはずだ。」

小池:「いずれにしても人に害をなす以上、放っておくわけにはいかねぇな。」

ハンター:「この学院には君の他に2人、すでにモンスターセイバーズがいる。」

小池:「!」

ハンター:「レイクが君を選んだように僕が選んだ後継者がいるわけさ。今までは彼らのおかげでどうにかなってたというべきかな。」

小池:「そいつらは今はいねぇのか?」

ハンター:「旅行中だよ。彼らもまだ学生だしね。」

小池:「そっか。」

ハンター:「ん?行くのかい。」

小池:「ああ、9月になったらこの学院に世話になる。あんたともまた会うかもな。」

ハンター:「小池共士郎くんか・・。これは心強いスケットだ。」


オーロラ島

竜牙:「そういえば朱里はまだ来てないのか?」

黄河:「ああ、大分遅れてはいるが明日には到着するらしい。」

桜:「あ、3人目の幼馴染み?」

夏海:「・・・。」

桜:「夏海?」

林:「そういえば朱との婚約の話はどうなったの、竜?」

桜:「え”?」

市原:「こ、婚約?!」

竜牙:「ゆ、雄介ェ・・。」

林:「あれ、話してないの?」

黄河:「神谷朱里。大日本銀行を影から支えるあの神谷プロの娘だ。夏海が容姿端麗と評されていると聞いたが、ならば朱里は才色兼備といっても過言ではない。」

市原:「そ、そんな人の婚約者って・・。」

竜牙:「昔、色々あって朱里の親父さんにえらく気に入られてしまってさ、親同士の約束事みたいなやつだよ。」

夏海:「さ、さぁこの話はおしまい!花火はまだ余ってるよ。」

桜:「夏海、神谷さんは・・。」

夏海:「またそうやって探りを入れてくる・・悪いクセよ、それ。」

(竜のことを好きになったということは、あの朱里とも・・。)

桜:「ご、ごめん。」

夏海:「これだけは言えるわよ?」

桜:「?」

夏海:「強敵よ。竜はともかく朱里の方はその気みたいだし。」

桜は口を開けたまま静止している。


12話/女の恋はスマ〇シュ〇ラザー〇並みに大乱闘する それがある意味恐ろしい!


黄河家

市原:「あれ、外に誰かいる・・。」

橘:「!え、ちょっ・・新〇結衣に似てる・・。」

市原:「ほんとだ!ガ〇キーにそっくりだ、なんだあの美人?!」

林:「お、外で待たせてしまったみたいだね。」

?:「!あ、おっそ~い!!」

竜牙:「朱里!」

神谷:「夏海っち、竜くん、大和くん、雄介くん!久しぶりっ。」

桜:「え、あれだけ綺麗な人で・・お金持ちで・・なんでもそつなくこなすの・・え・・え?」

(あれが神谷朱里さん、オーラが凄い。)

神谷:「今日はごめん!結局、こんな遅い時間にお邪魔する形になっちゃった。」

黄河:「気にするな、遠いところよく来てくれたな。」

夏海:「た〇ごっちみたいな呼び方しないでよね~。」

神谷:「いいじゃない、夏海っちさ~顔合わせるたびに綺麗なってない?」

夏海:「朱里さん?ご自分の容姿を後で手鏡に写してあげるわ。」

神谷:「外見だけで人の良し悪しは評価できないわ、そもそも女性の”可愛い”はつくれるんだから!」

桜:「カワイイはツクレル・・うん、うんっ!負けるなあたし。」

神谷:「ねね、見覚えのないお顔がひぃ、ふぅ、みぃ・・いらっいゃるけど、夏海のお友達?」

竜牙:「俺と夏海の同級生だな。」

桜:「桜優香です、よろしく。」

市原:「い、市原勇太郎です!」

橘:「たっ・・たた・・ちばな・・はじゅめ・・です!」

桜:「わかりやすっ。」

神谷:「こちらこそ!ご挨拶がおくれました、神谷朱里と申します。楽しい思い出をつくろうね!」

市原・橘:「「もちろんです!!」」

黄河:「さ、部屋に入るぞ。風呂にも入りたいしな!」

林:「風呂と言えばね、黄河家の露天風呂は寝れるからオススメだぞ~?」

市原:「ろ、露天風呂ォ・・。」

橘:「市原、口が開いてる。俺はもう驚かないぞ。」

竜牙:「岩盤浴も完備されてるからな、こいつん家。」

橘:「な、なんなんだ・・黄河家・・。」

(羨ましいぞ、ちくしょう。)

市原:「血涙が出てるぞ、橘。」


数時間後

部屋に案内された男性メンバー一同。

黄河:「それじゃ、男性メンバーはこの客間をつかってくれ。」

市原:「客間ひろっ!」

竜牙:「そしてちゃんと4人分のベットが置いてる。あいつ世話好きだなぁ。」

橘:「ん?1人分数え忘れてないか。」

黄河:「あ~俺は自分の部屋じゃないとなかなか寝付けなくて。そのノリが悪くてすまない。」

市原:「えぇ~修学旅行みたいなノリでまくら投げしたかったのに。」

橘:「団体行動は学生のうちに身に着けておくべきだぞ。」

林:「あ~ほらほら、二人とも部屋に入って!」

市原:「え、ちょっ!」

竜牙:「おやすみ、大和!」

黄河:「っ・・すまないな、竜牙、雄介。また明日!」

市原:「え、あいつ行っちゃったよ?」

竜牙:「大和は高所恐怖症なんだよ、ハハハ・・。」

橘:「!そういえばこの部屋3階にあたるんだよな。」

林:「そういうこと。おまけに乗り物もアウト!まぁ彼は小さい時にやんちゃして転げ落ちたりしててね。そのせいか恐怖心が芽生えて毛嫌いするようになったんだよ。」

市原:「言ってくれればよかったのに。」

竜牙:「あいつ、自分のそーいうとこ隠そうとするからなぁ。二人には悪いけどこっちで色々と気を使ってあげてくれ。」

橘:「男のプライドってやつだな、俺には分かる。」

市原:「荷物持ち係としてこっち来たやつがよく言うぜ。」

林:「ところで竜たちはオーロラマウンテンにはいかないのか?」

市原・橘:「「オーロラマウンテン?」」

林:「あれ、結構テレビで取り上げられてるのに知らない感じ?オーロラマウンテンはその名のごとく、オーロラが年中関わらず発見されている不思議な山の事だよ。原因は今だ解明されてない。」

竜牙:「そ~いや、オーロラマウンテンと言えば伝説があるよな。」

市原:「伝説?」

竜牙:「常にオーロラが出ているわけじゃないんだ。だからこの島の人々は山頂に登った際にオーロラが出ていたら願い事をするんだよ。祈りをこめてな。」

林:「ちなみに、願い事が叶った事例はわりと少なくないんだ。」

橘:「なんだと!剣崎、なぜ黙っていた!!」

竜牙:「お前がこうなると踏んでいたから言わなかったんだよ。何をお願いするのか見え見えだぞ?」

市原:「林さん、登ってみましょうよ。その山!」

林:「勧めておいてあれだけど結構険しい山道になるし、最近では怪物が出るという噂もある。」

竜牙:「怪物?」

林:「まぁリスクは伴うけど登る価値はあると思う。何て言ったってオーロラ島に来たんならオーロラを見て帰ってほしいじゃん?」

橘:「フッ、男心をくすぐる山だ。俺はのった!」

市原:「かっこいいこと言ってるけど、お前は下心見え見えだからな?」

竜牙::「雄介、話を持ち出したのはお前だ。後の事は任せてもいいか?」

林:「おっけ~。大たちも明日私の方から誘ってみよう。」

市原:「・・黄河さん、大丈夫かな。」


翌日

黄河:「うぅぅぅぅぅうううん・・。」

市原:「ものすごく頭をかかえてますが・・。」

夏海:「竜たちは行くの?」

竜牙:「ああ、ここ4人は行くつもりで話がまとまっている。」

(怪物の件も気になるしな。)

桜:「先輩が行くなら私も!」

神谷:「クスッ、竜くんが守ってくれるなら私も行こうかな?」

竜牙:「え”?」

神谷:「頼りにしてるわよ、私のナイトさん?」

竜牙:「な、何を言って・・。」

神谷:「 ”冗談” よ。顔真っ赤にしちゃってかっわいい~!」

桜:「じ~。」

橘:「き、木嶋さんはどうされるんですか?」

夏海:「ハァ?い・く・わ・よ・・行くに決まってるでしょ!何?私を独りにしたいわけ?」

びくっ・・。

橘:「すぅ、すみません・・。」

桜:「こわっ!夏海の嫉妬狂気やん・・。」

黄河:「みんなの身柄を預かってるものとして俺も同行しよう・・。」

竜牙:「いや無理してこなくても。」

林:「真面目だね~大。」

黄河:「登山には危険がつきものだ。それに昨日橘くんから教えられた、集団行動を身に着けることは財閥の御曹司として避けては通れぬものだということを。」

こうして一行はオーロラマウンテンに向かうことになった。


アメリカ・ロサンゼルス空港


速水:「僕は怒っています。」

幸一:「と、唐突になんだい。せっかく久方ぶりに会えたのに。」

速水:「お父さん、先々月あたりから仕送りが入ってない件について僕は抗議したいんだけど?」

幸一:「あ、はははは・・。」

速水:「まったく、お母さんに知られたら余裕で罵られるよ。私は億単位で稼ぎを出してるのにあなたは何をしているのかしら?会社の社畜となってペコペコ頭下げているにもかかわらず月に20万程度しか稼いでないんでしょう?おまけに会社の都合で海外に飛ばされ、サービス残業に追われる日々。生きてて楽しいのかしら?・・的な?」

幸一:「喋り方やイントネーションまで再現しなくていいよ!今日は眼鏡拭きを持参してないんだぞ、視界が・・ぼやけてきたじゃないか・・うっうっ・・。」

速水:「無理しないでお母さんに仕送り送るよう頼めばいいのに。」

幸一:「罵倒されるのが見え見えなのに、そんな情けないマネできないよ。智也、先々月から再来月分までの生活費を今ここでお前に渡しておくよ。遅れてすまないね。」

速水:「こうなるはなるまい・・。」


黄河家からオーロラマウンテンまでは距離があるため、竜牙たちは全員で夏海のプライベートジェットを使って向かうこととなった。

林:「悪いね夏、私たちまで乗せてもらって。」

夏海:「それは構わないんだけど・・。」

黄河:「怖くない、怖くない、怖くない、怖くない・・・。」

夏海:「や、大和?一応個室にベットがあるから少し休む?」

黄河:「何を言ってるんだ!俺が動いて飛行機が傾いたらどうする?!命は!一つしかないんだぞぉぉ!」

夏海:「あ・・ははは・・。ハァ~。」

橘:「重症だな・・これは。」

桜:「黄河さん、ビーチバレーしてる時は運動神経抜群で怖いものなし!ってかんじだったのに・・。」

神谷:「少しぐらい弱い部分があったほうが人間親しみやすいものよ?」

市原:「少しどころかむしろ最大の弱点に見えるけど。」

竜牙:「あんまり長いこと大和が耐えられそうにないな、後どのぐらいで到着するんだ?」

夏海:「そうね、後5、6分ってとこかしら・・。」

林:「夏、スピードを上げよう!」

黄河:「?!」

林:「そしたら3分は縮むはずだ、こんな苦しむ大はもう・・ププッ・・たくさんだ・・。」

竜牙:(こいつ、楽しんでるな・・。)

黄河:「おぃっ!・・な、なにをぉ?!」

夏海:「そうね・・ちょっとお願いしてくるわ。」

黄河:「ぎやあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

ビシュゥゥウウン!


13話/命がけの山登り!全員に帰れますように


オーロラマウンテン

黄河:「少数態勢で行動できるよう班分けをして登ろう。」

キラーン。

市原:「あの、水を差すようであれなんですけど・・。」

橘:「ああ、黄河は待機しておくのが無難だと思う。」

黄河:「問題ないっ!さぁ、くじを用意してある。」

桜:「だ、大丈夫かな・・。」

竜牙:「まぁ地に足が付いてる以上はさっきの状態よりかは安心していいんじゃないか?」

黄河:「俺はB班だ。」

林:「お、私もBだね。」

竜牙:「俺はA班って書いてる。」

神谷:「ほんと?私もよ竜くん!」

夏海:「あ、あたしもAだ。」

桜:「くっ・・B班・・。」

橘:「ちぃっ、Bか・・。」

市原:「俺はAだな。」


A班

剣崎竜牙 神谷朱里 木嶋夏海 市原勇太郎

B班

黄河大和 林雄介 桜優香 橘一


黄河:「竜牙、こいつを渡しておく。」

竜牙:「無線のトランシーバーか、本当に用意がいいな。」

黄河:「何かあってからじゃ遅いからな。」

こうして二班はそれぞれ別ルートを辿りながら登ることになった。

市原:「なぁ竜牙、さっきから俺たち同じところをぐるぐる登ってないか?」

竜牙:「あっはは、まっさかぁ!」

神谷:「勇太郎くんの言う通りかもね。私ももしやと思ってそこに立っている大木の木の枝に落ちていたツタをぐるぐる巻きにして張りつけておいたの。目印代わりにね。」

夏海:「それがここにあるってことは・・。」

竜牙:「やっべェな・・。」

(大和たちは大丈夫かな。)

一方B班は・・。

林:「今、どの辺りを歩いているんだろうね。」

桜:「なんか霧も濃くなってきたし、だ、大丈夫なのかな。」

橘:「道に迷っても不思議ではないな。」

桜:「えっと、黄河さん?ここって怪物が出たりするんですよね?」

黄河:「らしいな。まぁあくまで噂だけどね。」

橘:「戻るか。」

林:「切り替えが早いね~ 一くん、それはやめといた方がいいよ。」

橘:「なんでだよ、確実にやべェ山だろこれ。」

林:「こういう時は無理に引き返さない方がいい。余計に道に迷う可能性が高いし、竜たちと合流しないわけにもいかないよ。」

黄河:「むっ、向こうから滝が流れる音がする。行ってみないか?」

橘:「え、なんで?」

桜:「多分、滝って上から下に水流が流れることでできてるから、滝を目印に登っていけば確実に上に登れるってことなんじゃないかな?」

黄河:「そういうことだ。今は目先に目印となるものがあるならば向かうべきだと俺は思う。もしこの先に滝があるのなら、俺たちがいる居場所をドランシーバーで伝えやすいからな。」

そしてA班・・。

竜牙:「やっと霧が晴れたな。」

神谷:「だいぶ進んだんじゃない?」

市原:「見晴しのいいところに出たし一休みしないか?」

夏海:「さん・・せい・・。」

神谷:「大丈夫?」

夏海:「死ぬわ・・この山。」

竜牙:「もう少し体力をつけた方がいいぞ夏海?」

夏海:「っさい・・わね・・。」

市原:「神谷さんって賢いよな。」

神谷:「?」

市原:「頭の回転が速いっていうか・・。」

数時間前

神谷:「方向転換しましょう。今度は逆回りで進んでみない?」

竜牙:「?」

神谷:「同じ方向をぐるぐる回っているということは私たちは一直線にしか進んでなかった可能性があるわ。」

市原:「?それなら逆方向から回っても一緒なんじゃないか?」

神谷:「霧が晴れている状態ならそう断言できるかもしれないけど、この濃くなっていく霧の中で今の私たちの視野は狭まっている、だから死角となっている部分が多いのよ。」

竜牙:「そうか!反対方向からなら気づける箇所もあるかもしれない。それこそ枝分かれした道とか!」

市原:「結果、自分たちが通ってきたルートじゃ見えなかった分かれ道が見えてここまで辿りつけたんだもんなぁ。俺なんてそんな事考えもつかなかった。」

神谷:「目に見えるものだけが真実とは限らないわ。あらゆる可能性を想定し物事を判断することも時には必要だったりするのよ?」

市原:「ほぇ、勉強になります!」

夏海:「ホント、朱里がいてくれたおかげで助かったわ。」

市原:「けどよ竜牙、ここって怪物が出るって噂もあるんだったよな?」

竜牙:「警戒はしてる。ここまでそういうのとは出くわさなかったが正直、いないとは断言できない。」

市原:「だな、あの場では黙っていたがリアルな怪物を俺らは光ヶ丘で見ちまったもんな。」

神谷:「?」

夏海:「ねぇ竜、まさか・・。」

竜牙:「もしあ~いうのが出てきたとしたら2人を避難させるのが最優先だ、その時は頼んだぞ夏海。」

夏海:「危険を承知の上でここ足を運んだということは、この山にモンスターが生息している可能性があるから真実を確かめたかったのね?」

竜牙:「ああ、みんなを巻き込みたくはなかったが一番自然な流れでこの山に足を運ぶことができた。」

市原:「なにこそこそ話してるんだよ?」

竜牙:「あ~悪りぃ悪りぃ!」

神谷:「夏海っち、少しは落ち着いた?」

夏海:「うん、さっきよりはだいぶ!」

神谷:「それなら動きましょうか。日が暮れるとこの山は下山するのも危険だと思うわ。」

一方B班は・・。

黄河:「分かれ道だな。」

橘:「まじかよ・・。」

林:「さぁどうしようか?」

黄河:「困ったなぁ。」

林:「大丈夫だよ、大!」

黄河:「なんだ、何か考えがあるのか雄介?」

林:「一くん、きみはどっちだと思う?」

橘:「おい、なんで俺にふった?・・じゃあ特に理由はないけど左。」

林:「よし、みんな右にいこう!」

橘:「ハァ?俺は左って言ったんだよ。」

林:「こういうのはそ~いうお約束でしょ?ほら、早く!」

橘:「このヤロォ~・・。」

桜:「とりあえず進みましょう、黄河さん。」

黄河:「すまんな橘くん、ここは雄介を信じて進んでみよう。」

4人は道を歩き続ける・・そして!

黄河:「あ・・・。」

桜:「分かれ道・・。」

橘:「くそっ、またか・・。」

林:「一くん!」

林は目をキラキラと輝かせる。

橘:「ふ・ざ・け・る・な。俺はもう知らん!」

黄河:「だが、なんだかんだで道が続いているところを見ると選択としてはあながち間違ってはなかったかもしれんぞ。」

桜:「橘くん、人助けと思ってお願いっ!」

橘:「・・ったく。ど~なっても俺は責任を取らないぞ?」

(こうなったら、俺が思っている方向と反対方向の道を選んでやる。)

橘:「左だ。」

林:「よし、左だみんな!」

橘:「なっ?!お・れ・は左って言ったんだよ!」

林:「うん、だから左に進むんだよ?」

橘:「ぐぬぬぬ・・。」

桜:「林さん、反対の道を選択しなくてよかったんですか?」

林:「フフフ・・。だぶん、彼の顔を見る限り問題ないよ。」

橘:「このっ、クソがぁぁ!」

黄河:「雄介、その辺にしとけ。」


東京・成田空港

速水:「久しぶり、大介くん。」

佐藤:「連絡をくれた時は驚いたよ、ホント久しぶりだな速水。」

彼の名は佐藤大介。速水が転校する前に在籍していた学校でのクラスメイトである。

佐藤:「福岡からはるばる東京までよく来たな。」

速水:「まぁアメリカからこっちに戻ってきたから成田空港でどの道降りることにはなるんだよね。」

佐藤:「はるばるどころじゃなかったわ。アメリカって母親がいるとこ行ってたのか?」

速水:「まぁね。ついでにラスベガスで生活費稼いできた、今月厳しくて。」

キラーン。

佐藤:「いや、ベガスで生活費を稼ぐなんてお前ら親子ぐらいだからな?短期のバイトしてきたみたいなノリで話してるけど。」

この2人の絡みはまた後程覗いてみよう!


オーロラマウンテン・山頂付近

夏海:「・・・。」

竜牙:「夏海、大丈夫か?」

夏海:「・・・。」

市原:「む、無言で登ってる・・。」

神谷:「あ、みんな山頂まであと3メートルって書いてあるわ!」

「ゴガァァアアアアア!」

びくっ!

全員:「「?!」」

市原:「な、なんだよ今の声・・。」

神谷:「クマでもいるかしら・・。」

夏海:「あ、ありえない・・。」

竜牙:「おいおいまじか・・ここで来るのかよ。」

(モンスター・・!)


14話/コンビネーションが勝利の鍵になる!


竜牙:「おいおいまじか・・ここで来るのかよ。」

夏海:「竜、気づいてる?」

竜牙:「ああ、さっきの鳴き声はいろんなモンスターの声が重なっていた。何体か潜んでやがる。」

夏海は拳銃を竜牙はドラゴンソードを取り出す。

市原:「なっ・・!」

神谷:「何をする気?あなたたち・・。」

竜牙:「勇太郎、朱里を連れて離れた場所に隠れてろ!」

市原:「お、お前らはどうするんだ!」

ハンター:「彼らは大丈夫だよ、戦う術を備えているからね。」

市原:「え・・誰?」

竜牙:「ハンター?お前、ここ離島だぞ・・。」

夏海:「しかもオーロラマウンテンの中なんだけど・・。」

ハンター:「モンスター現れるとこにハンターは有りだよ?それよりか気配を感じる限りだと少なくとも10体近くは潜んでいると思うが、勝算はあるのかい?」

竜牙:「バカ野郎、できるできないかじゃねぇんだよ。ここは山の中だ、どこに隠れたって気休め程度にしかならない・・勇太郎と朱里の安全が保障されてない以上、俺たちがここで食い止めないと全員やられっちまう!」

ハンター:「だとしても2人を庇いながらの戦いはまだ不慣れなはずだ。彼らのことは僕に任せて。君たちは戦いに集中するといい、心強いスケットもつれてきた!」

小池:「よう。」

竜牙:「お前は・・?」

小池:「自己紹介は後だ、俺は接近戦を得意としている。お前たち2人の戦闘スタイルをざっとでいいから説明してくれ。」

竜牙:「俺はお前と同じタイプだと思う。夏海は拳銃をつかって後方支援ができるはずだ。」

小池:「なら後方支援は任せたぞ。とりあえず俺ら2人に攻撃が当たらないように注意してくれればいい。どちらにせよ、この即席コンビじゃあ連携とろうにも限界があるからな。」

夏海:「わかったわ、2人の死角は私に任せて!」

三人が背中合わせになった瞬間複数のモンスターが飛び移ってきた!

モンスターA:「シャァアアア!」

小池:「フン、ストームモード!」

シュルルル・・ドッカァン!

小池は左手の拳に渦巻く風を巻きつけて飛び込んでくるモンスターの懐に拳を叩きこむ!

モンスターA:「シャァ・・。」

ドサッ。

モンスターB:「グルルルゥ!」

竜牙:「うおっ!」

モンスターはサイドからエッジ使った攻撃をしてくるが、竜牙は態勢を低くして見事交わした!

竜牙:「そのエッジについているトゲトゲがうぜぇな・・ドラゴンソードッ!」

グサッ!

モンスターB:「グルルルゥ?!」

モンスターのエッジにドラゴンソードを突き刺し、竜牙は叫ぶ!

竜牙:「イナズマドラゴン!」

ビリリリリィッ!!

強烈な稲光がモンスターを感電させ、動きを封じる!

モンスターB:「ググググルルルゥ・・・・!!」

竜牙:「動きは封じた・・あとはコイツを抜いて・・・刺すッ!」

スポッ・・ズバァァッ!

モンスターB:「グ・・・ゥ・・!」

そんな小池と竜牙の背後を2体のモンスターが間合いを詰めて襲ってくる!

夏海:「新しい弾丸を為すにはちょうどいいわ・・。」

ガチャッ・・ガシッ!

夏海:「第二の弾・水弾!」

ドバァァアッ!

モンスターC・モンスターD:「「?!!」」

小池:「面白い・・水鉄砲ってか?」

竜牙:「にしては派手すぎるな!」

怯んだモンスター2体との間合いを今度は二人が逆に詰め寄る!

小池:「ストームモード!」

竜牙:「ドラゴンソード!」

バシィィッ!

ズバババッ!

夏海:「2人とも上っ!」

モンスターE:「ケケケ・・・。」

ドアカァアアン!

竜牙:「くっ・・ギリギリィ・・。」

モンスターのドロップキックを竜牙はドラゴンソードは受け止めている!

小池:「助かった、礼を言う!」

竜牙:「気にするな・・、いぃっ・・ぱつ・・頼んだせ!」

小池:「ああ!この状態からならクリティカルだ。」

(バーニングモード!)

ボォォォ・・・ドッカァアン!

モンスターE:「ケ・・ケ・ェ・・。」

竜牙:「炎の拳か・・かっけぇじゃねぇか。」

ハンター:「おお!即席にも関わらずちゃんと連携できてるじゃないか。」

市原:「ど、どうなってんだよ・・これ。」

(まさかあの時の怪物も竜牙が?!」

モンスターF:「グゥワァウウ!」

神谷:「こ、こっちに来たわよ!」

ハンター:「ガイアソード!」

ハンターが右手を広げると、実体のない光り輝く剣が右手に生えていく・・!

ハンター:「はぁぁぁっ!」

ズバババッ!

市原:「なっ・・。」

ハンター:「安心して、君たち2人には僕が手出しはさせない。」

市原:「ほ、本当に人間かよ・・。」

ハンター:「人間さ。ただちょっと戦う力を備えているだけだよ?」

神谷:「・・・・。」

ハンター:(ん?彼女は・・。)

竜牙:「はぁぁぁっ!」

ズバババッ!

モンスターG:「グゥ・・!」

倒れゆくモンスターの背中を間髪入れずに2体のモンスターが接近してくる!

モンスターH:「ヒャアアアア!」

モンスターI:「ガラガラ!」

夏海:「ねぇあなた、さっきの炎の拳を出せる?」

小池:「?」

夏海:「花火で火を受け渡すような要領であなたの拳の炎を増大させられないかしら?私が火力を調整するから、あの2体を仕留めてもらえる?」

小池:「!面白いことを考え付くな・・お前・・。」

夏海:「第一の弾・火炎弾!」

ボォォォウウ!

小池:「バーニングモード!」

火炎弾はバーニングモードの炎と混合し、巨大な炎に変化する!

小池:「くらぁえええっ!」

ドッカァアアアアアアアン!!!!

竜牙:「うわぁっ!」

ハンター:「うおっ!」

シュゥゥウウウ・・。

夏海:「やったわ!」

竜牙:「夏海!こっちも行くぞ!!」

ドラゴンソードに稲光をまとわせて竜牙は叫ぶ!

モンスターJ:「ガゥゥゥゥウ!」

夏海:「!そういうことね・・第二の弾・水弾!!」

ドバァァァッ!

モンスターJ:「ガゥゥゥゥウ?!」

竜牙:「これでラスト!イナズマドラゴンッ!!」

ズバッ・・ビリリリリりりィッ!

モンスターJ:「・・ガ・・・。」

ドサッ。

竜牙:「はぁ・・はぁ・・。」

小池:「はぁ・・片付いたな・・。」

ハンター:「素晴らしいっ!全部で10体、よく討伐したもんだ。」

竜牙:「一言見てェにいいやがって。」

?:「実に見事な戦いっぷりだ。」

夏海:「!誰っ・・どこから聞こえて・・。」

小池:「上だ!」

3人が上を見上げると一人の男が崖の上から見下ろしていた。

ダイヤ:「申し遅れました、わたしはダイヤと申します。」

ハンター:「・・・!」

市原:「お、おい・・どうしたんだ?」

竜牙:「ハンター?」

ハンター:「何をしに来た?」

ダイヤ:「おや?ハンター・・久しいですねぇ。」

竜牙:「ハンター?」

ダイヤ:「ちなみに1つ申し上げるなら、先程のモンスターたちはわたしが呼び寄せました。」

全員:「「?!」」

ハンター:「剣崎くん、木嶋さん、小池くん・・気を抜くなよ?コイツは一部のモンスターたちを支配下に置くロイヤルストレートフラッシュという組織の幹部・・そのうちの一人だ。」

ダイヤ:「我らの目的を遂行するためには力が必要ですからねぇ。ハンター絡みとなると皆さんはモンスターセイバーズですか?だとするならまたお会いする事になるでしょう・・これは楽しみだ。」

シュゥツ・・・。

夏海:「え・・消えた?!」

小池:「ハンター、俺たちは引き返すぞ。」

ハンター:「-そうだね。とはいえ、強い邪気を感じてここまで足を運んだけどまさか奴らが絡んでいるなんてね・・想定外だったよ。」

竜牙:「お、おい待てよハンター!」

夏海:「あのダイヤって人とどういう関係なの?」

ハンター:「それについてはまた今度お話するよ。それより君たちにはすべきことがあるんじゃないかな?」

市原:「・・・。」

神谷:「・・・。」

ハンターは朱里の事をちらっと見てその場を小池と共に立ち去る。

一方B班は・・。

橘:「おっしゃ山頂まで残り3メートルだ!」

林:「はぁ、はぁ・・ここまできといて言いにくいけど休憩にしないかい?」

桜:「黄河さん、私足が棒になっちゃってて・・。」

黄河:「そうだな、休憩にしよう。だが3人とも決して座っちゃ駄目だぞ?」

橘:「ああ、立てなくなる可能性がある。正直俺も足腰に痛みが来てて辛い。」

ドッ!

黄河:「なんだ?」

モンスターK:「グォォォゥ!」

桜:「あれはモンスター!」

橘:「お、おい!マジもんの化け物かよ・・。」

黄河:「想定の範囲内だ。」

桜:「え?ちょっ、危ないですって!!」

黄河:「セイッ!」

ドッカァァアン!!

橘:「な・・。」

林:「大は英才教育を受けているからね。武術も当然プロの元で修行をつけてもらっている、この程度の敵を目の前にしたぐらいじゃ怯まないよ?」

桜:「素手で・・あのモンスターを・・。」

橘:「お、おっかねぇ・・。」

黄河:「はぁぁ~。お前たち、あ~いうのが出てきた以上ちんたらしてられんぞ?山頂はすぐそこだ。」

桜:「そうですね・・夏海たちの安否も気になるし。」

橘:「トランシーバーで連絡は取っているんだろ?」

黄河:「ああ、さっき連絡をもらったが、竜牙たちもあとちょっとで山頂に到着するそうだ。」

桜:「よかった~。」

そして・・。

市原:「竜牙、モンスターセイバーズってなんだよ。2人はあの怪物たちの事を知っているんだろ?」

竜牙:「っ・・。」

神谷:「竜くん・・。」

竜牙:「2人を巻き込んじまったのは俺の責任だ。本当にすまねぇ・・。」

市原:「だから!あいつらはなんなんだよ!!訳が分かんねぇよ・・。」

竜牙:「俺たちがモンスターセイバーズになったのはここ最近で、モンスターについての詳細については何もわからない。俺たちにも奴らが人に危害を加える未知の生命体だって事以外は何も分からねぇんだ。それに今までは、光ヶ丘学院の周辺でしかその存在を確認できてなかったんだ。警戒を怠ったつもりはねぇけど、どこか俺も安心しきっていた。結果がこれだ。2人を巻き込んじまった。」

市原:「なんでそんな平然としていられるんだよ。下手したら死んでたかもしれないんだぞ・・。」

神谷:「ま、いいじゃない。誰一人として大けがを負った人もいない、みんな無事で事を終えたんだから今はそれで。」

竜牙:「朱里・・。」

神谷:「行きましょう、大和たちが首を長くしてまってるわよ?」


15話/Chaser -深まる謎ー


   「「「「山頂だぁぁぁ!!」」」」

黄河:「って朱里?!」

神谷:「同じタイミングで登ってくるなんてすごい偶然ね!」

橘:「あ~木嶋さんっ!会いたかったです~。」

夏海:「げっ・・!」

橘:「ちょっ!なんで逃げるんですか~!!」

林:「足腰に悲鳴がきてるんじゃなかったのかな、彼は・・。」

市原:「・・・。」

竜牙:「勇太郎・・。」

桜:「先輩!見てください、オーロラが!!」

竜牙:「!・・すげぇ・・。」

竜牙たちが見渡すと空一面にオーロラが光輝いていた!

橘:「!」

ガシッ!

橘は両手を合わせてお経を唱えるがごとく・・ぶつぶつと願い事を唱え始めた。

夏海:「ちょっと!やぁめぇなぁさいぃ~!!」

(何をお願いしているか分かったもんじゃないんだからぁ!)

橘:「ふぅがぁぁぁ・・!」

桜:「何をお願いしてるかはあの必死な姿でなんとなく察することができますね。」

市原:「竜牙、俺もお願いしたぜ。」

竜牙:「!」

市原:「お前と木嶋が無事でいられますように・・ってな。」

竜牙:「勇太郎・・っ・・!」

市原:「おいおい、辛気臭い顔するなよ。ありがとな俺たちのために・・。」

その日の夜

竜牙は前日の夜、花火をした海岸沿いに来ていた。

竜牙:「ロイヤルストレートフラッシュか。」

夏海:「ここにいたのね。」

竜牙:「夏海?」

夏海:「急にいなくなるから心配したのよ?」

竜牙:「あ、悪りぃ・・。眠れなくてさ。」

夏海:「あははっ、今日は色々とあったもんね~。」

竜牙:「オーロラマウンテンのこと、もう少し調べてみるかなって・・ずっと考えてた。」

夏海:「?!・・バカじゃない!登山するだけでも危険な山なのにまた登る気なの?それに、まだモンスターが潜んでいるかもしれないじゃない。」

竜牙:「けど、あのダイヤって男は何か目的があってあの山にいたはずなんだ。あの山には何かあるんだよ、きっと!」

バシッ!

・・夏海は平手で竜牙の頬をひっぱたいた。

竜牙:「・・!」

夏海:「今は・・命を大切にしなさいよ・・。」

竜牙:「なつ・・み・・?」

夏海:「あなたがいなくなる事で悲しむ人だっているのよ・・。」

ポロっ・・。

彼女の瞳から涙がこぼれ落ちる。

竜牙:「・・・。」

夏海:「竜はみんなを守る為にセイバーズになった。そんな竜を私は守るためにセイバーズになったのよ!なのにあなたがここで無茶していなくなったりしたら本末転倒じゃない・・私たちまだ17よ?これから先の人生をこんな訳のわからない奴らに無茶苦茶にされて言い訳がないじゃない!!!」

竜牙:「なつ・・ごめん・・。」

夏海:「市原くんがどんな気持ちだったか今の私には痛いほどわかる。竜はどうなのよ・・。」

竜牙:「・・。」

夏海:「朱里の言葉を思い出して、一回頭を冷やしなさいっ!」

夏海は振り返り、そのまま黄河家に戻っていった。

竜牙はただただ・・その場に立ちつくしてしまう。


神谷:「目に見えるものだけが真実とは限らないわ。あらゆる可能性を想定し物事を判断することも時には必要だったりするのよ?」


竜牙:「俺は分かってなかった。勇太郎の願いに込められた思いを・・夏海がセイバーズになった真意を・・何一つ分かってなかったんだ。」

翌日。

神谷:「じゃあね、みんな!」

林:「今年の夏はとても楽しかったよ。」

黄河:「たまには夏休み以外でも時間とって遊びに来い。俺はいつでも歓迎だぞ。」

夏海:「ごめんね二人とも。友達が一緒に来て迷惑してなかった?」

林:「何言ってんの?いい思い出がたくさんつくれたよね一くん?」

橘:「もう会いに来ることはねぇから安心しろ。」

林:「!つ、つれないなぁ・・。」

黄河:「悪ノリして人をおちょくるお前が悪い。」

橘:「フン!」

神谷:「夏海っち、竜くんの事お願いね?」

夏海:「うん。任せて!」

市原:「神谷さん、色々と学ばせてもらったよ。」

神谷:「こちらこそ、ありがとう!」

竜牙:「朱里!・・その・・。」

神谷:「また来年・・でしょ?」

竜牙:「・・!」

神谷:「次会う時は私の本気を見せるからね!」

夏海:「なっ!」

桜:「は?!」

竜牙:「は・・お前何を・・!」

神谷:「残念ながら今の台詞は ”本気” よ?」

ブロロロロ・・・・!

それぞれが思い思いの別れを告げた後、神谷を乗せたヘリコプターと林を乗せた船が島を後にしていく。

黄河:「さてと、お前たちも行くのか?」

桜:「あんまり滞在すると母が心配しちゃうので。」

市原:「世話んなりました!」

橘:「・・礼を言う。」

桜:「あの、オーロラマウンテンでは助けていただいて本当に感謝してます!」

黄河:「男が女性を守るのは当然のことだよ。気をつけてね!」

夏海:「次に会う時は飛行機ぐらい乗れるようになっときなさいよ?」

黄河:「うぐっ!・・ど、努力する。」

竜牙:「大和、体に気をつけてな。」

黄河:「お前もな、また来年元気な姿を見せに来てくれることを楽しみにしている。」

バシュゥウウウン!

夏海のプライベートジェットは飛び立った。

またその頃東京では・・。

佐藤:「剣道部に入ったんだって?」

速水:「うん。高校では違う事に挑戦したかったんだ。特に部長が凄い人で・・。」

佐藤:「へぇ~名前は?」

速水:「剣崎竜牙さんです。」

佐藤:「け、剣崎先輩だって・・?!」

速水:「?知ってるんですか。」

佐藤:「光ヶ丘学院の剣崎竜牙って言ったら大会でもそこそこ名を挙げている有名人だぞ。うちの姉ちゃんが光ヶ丘に体験入学行ったときに女性ファンがたくさん見に来ててすごかったって言ってた。」

速水:「ほぇ・・部長、やっぱ凄い人なんだ。」

佐藤:「そ~いやさ、陸上部で培ったスピードや反射神経は生かせているのか?」

速水:「うん。剣道のすり足を使った動きは足の筋肉に負担がかかるんだけど、陸上部で足腰は鍛えてたから全然平気だったりするよ。・・ん?」

?:「あの・・困ります。」

男:「いいから、俺が色々とおごるよ~?」

速水:「おい・・。」

男:「あ?」

バシィッ!

男:「あ”・・がっ・・。」

速水は男が油断した隙に所持していた竹刀で男の溝を突き刺した。

速水:「・・福岡だろうと東京だろうとこういう輩はいるんだな。」

男:「て・・め・・ぇ・・。」

佐藤:「警察には連絡したぜ、速水。」

速水:「人のあれこれから学びなおせ、この外道が。」

?:「あの!あ、ありがとうございます。」

速水:「あ、ハハハ・・。こういうのには慣れてるから気にしないで。」

?:「えっと・・そのお礼をさせてほしいんですけど・・。」

速水:「い、いやいいよ!」

佐藤:「おいおい速水ィ・・この子、めっちゃ可愛いじゃねぇか。お礼してもらえばいいのに~。」

速水:「からかうなよ。」

椎名:「私、椎名春香っていいます。そのお名前はなんて言うんですか?」

速水:「ご丁寧にありがとう。僕は速水智也。」

佐藤:「こいつの友人!佐藤大介だ。」

椎名:「佐藤くんにと、智也くん・・ね?」

速水:「え・・。」

(なぜ僕だけ名前呼び・・?)

椎名:「あ、私の事も春香って呼んでください。あと・・その、やっぱりご馳走させてください!」

速水:「で、でも・・それは・・。」

佐藤:「いいじゃねぇか、俺も付き添うから・・な?」

速水:「・・っ。」

3人はそーいった経緯でファミレスに向かうことに。

佐藤:「速水はいつ福岡に帰るんだ?」

速水:「明日には福岡空港行きの便に乗るつもりだよ。」

椎名:「そっか、智也くんは福岡に住んでいるんだね。」

佐藤:「椎名ちゃんは東京のどこに住んでいるの?」

椎名:「あ、私も福岡なんです。」

佐藤:「!・・・おや?おやおやおや?」

速水:「っ・・んだよ。近いよ・・。」

佐藤:「いや、だって・・な?」

椎名:「私、福岡にある光ヶ丘学院ってところに通う為、一人暮らしをしてるんです。」

速水:「!え・・。」

佐藤:「は~やみくんっ?」

速水:「あ、えっと・・僕も光ヶ丘の生徒なんだ。」

速水:「え、でも椎名さんって同い年だよね?見かけた事ないけど・・。」

椎名:「私、7月に編入試験受けたから9月から転入してくるんです。」

速水:「・・そういう事かぁ。」

佐藤:「な~にがそういう事かぁだよ!これはお前、あれだろ?運命的な出会いってやつじゃね?」

速水:「な、何言ってんだよ・・。迷惑だろ。」

椎名は顔を赤くして速水の事をチラチラと見てくる。

佐藤:「椎名さんは福岡にはいつ向かうの?」

椎名:「夏休み期間中はこっちで過ごそうかなって思ってたけど・・智也くんが福岡に戻るならわ、私も一緒に行きたいなぁなんて・・向こうには知り合いがいなくて・・。」

佐藤:「は~やみくんっ?」

速水:「だからやめろって!」


夏海のプライベートジェット内

市原:「木嶋、後どのぐらいで福岡に着くんだ?」

夏海:「あと45時間ってところかしら?」

橘:「き、木嶋さん・・向こうに戻ったら俺と・・「行かないわよ?」」

ズーン・・。

市原:「げ、元気だぜよ橘・・。」

竜牙:「夏海、帰ったらちょっと付き添ってほしいところがあるんだけど。」

夏海:「え?」

竜牙:「その・・何も見えてなかった。本当にごめん。」

夏海:「あ、いいのよ!反省してくれたなら。それでどこに行くつもりなの?」

竜牙:「県立図書館だ。」

夏海:「?」


~to be continued



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